- 今回も対談(Q&A)形式でお送りします。
※次回以降が本題です。今回は前書き。
1.シーズン全体の総括
1.1 ピッチ上に影響を与えた要因
Q.
- 2020シーズンは10試合勝ちなし、ミシャ体制3年で順位、失点数などの指標がワーストとなった。この最大の要因は?
A.
- 選手のコンディションとかミクロな話は別にすると、ソンユン選手と武蔵選手。
Q.
- その2人はそんなに重要なの?
A.
- サッカーって点取る人とゴールを守る人が一番重要ですよね。極端な話。ミラクルレスターなんか典型かもしれませんが、相手が8割ボール持っててもそこが凄ければ勝てる。ソンユン選手は毎試合1点は防いでいた印象がありますよね。場合によっては2~3点?もっと止めたり。
- ただ菅野選手は私が見る限り、コンサドーレ史上でソンユンの次に完成度が高いGKだと思います。あのサイズであれだけシュートストップできるし、パワー負けしないし、高さも補えるのはすごい。けど足元がうまいってイメージが何故かあるけど、実際はそこまででもないとも思っています。
- ともかくGKに責任を全て押し付けるのは間違いです。結局完璧な形で撃たれたらソンユン選手であってもノーチャンスですから。
Q.
- 武蔵の重要性について。
A.
- ソンユン選手と同じで、ミシャが言っていた通り決定力…他の選手じゃ決められないところを武蔵なら決めれる、みたいな観点もありますが、ただそれ以上に武蔵選手の有無で戦術的なバリエーションの部分の影響がでかい。
- いるかいないかでクオリティの多寡というより、武蔵がいないとゼロ…どうしようもなくなる部分があります。
Q.
- 具体的にはどういう部分が、武蔵がいる/いないで変わる。
A.
- 本来5バックって特殊なシステム。DFを5人も用意すると、スライドは楽だけど、後ろで守ってから前に出ていくのは構造上難しい。MFも3人は必要で、しかも3人で中盤をカバーするのは負担がでかい。じゃあ4人にすると5-4で守備の枚数は多いけどFW1人しか置けなくなります。
- だから5バックって自陣ゴール前を守ることを考えると効率的だけど、それ以外は非効率なので、ヨーロッパで、Jリーグみたいなガチの5バックってあんまり見ないですよね。極端な撤退からトップへのロングフィードで盛り返していくソリボール系にせよ、ボール保持で陣形変更の時間を作るミシャ式にせよ。
- ヨーロッパでよく見る5バックは、局面では5枚で守ることはありますが、コンセプトとしては3バックだと思います。マンチェスターシティみたいな破壊的なチームに対しては、5バックでアンチフットボールな選択もみられますが。
- けど武蔵選手のようなFWがいると、5バック+4人のMF(中盤センター2人にシャドー2人)でスペースを消して守りながらも、チャナティップとのコンビでロングカウンターができるから、簡単に言うと「『人数をかけて守ること』と『危険な攻撃』が両立できる」。よって彼のようなカウンターアタックで破壊的な威力のある選手の存在は、5バックのデメリットをそこまで顕在化させない。
- しかも武蔵選手はFWのポジションを”消費”せず、シャドーで出場しながらも得点力を補強できる(=遅攻のキーマンであるジェイ選手と共存が可能なので、引いてスペースを消せば沈黙、になりにくい)。これはなまらでかいアドバンテージ。
- 余談だけど、こう考えるとミシャが革命的なのは5トップにしたことではなく、中盤を削ってトランジションを捨てたことじゃないかと思います。やっぱり中盤の枚数が少ないチームってリソースの効率が悪い。ミシャは両ゴール前に特化することでそこを逆にとっている。
Q.
- 普段さんざん「戦術が~」と言ってるのに、結局は個人の話なんだ。
A.
- 個人の選手の話も広義の”戦術”の範疇だと思いますよ。どんな選手を有するかでチームのクオリティは決まりますから。後は、グループ戦術とか個人戦術とか色々な切り口がありますし。よく「今日の○○選手はよかった」と言ってるのは全て戦術論の類ではないでしょうか。