0.スターティングメンバー
スターティングメンバー |
札幌(1-4-4-2):GKク ソンユン、DF進藤亮佑、キム ミンテ、福森晃斗、MFルーカス フェルナンデス、宮澤裕樹、深井一希、菅大輝、チャナティップ、アンデルソン ロペス、FW鈴木武蔵。サブメンバーはGK菅野孝憲、MF檀崎竜孔、白井康介、中野嘉大、早坂良太、FW岩崎悠人、藤村怜。故障者は復帰せず、メンバーは前節と全く同じだが、事前の予想通り、ボール非保持時に4-4-2で守る変則システム。
横浜(1-4-1-2-3):GK飯倉大樹、DF松原健、チアゴ マルチンス、畠中槙之輔、広瀬陸斗、MF扇原貴宏、喜田拓也、天野純、FW仲川輝人、マルコス ジュニオール、三好康児。サブメンバーはGK杉本大地、DFドゥシャン、和田拓也、MF大津祐樹、山田康太、遠藤渓太、FW山谷侑士。”9番”の2人を欠く中で、前節結果を残したマルコス ジュニオールではなく三好をトップで起用。ただ、これは扇原と喜田を中盤で共存させる策を模索した結果の副産物なのかもしれない。実際どれになると思う?— アジアンベコム (@british_yakan) April 18, 2019
その他プレビューはこちら。
1.ゲームモデルと基本構造
具体的な試合展開を見る前に頭に入れておきたい事項を「1.」に示している。
1.1 互いのゲームモデル
・札幌ビルドアップが整備されているマリノスからボールを取り上げることは難しい。よって、この対戦で、自軍がボールを保持して主導権を握る、いつものゲームモデルは捨てる。ボールは相手に持たせていいので、ミドルゾーン~アタッキングサードで相手の得意な形(下記)を発動させないように守る。そのためには、いつものマンマークを徹底することに加え、スペースを守る人が追加で必要になる。
・マリノス
まずボールを握る。そのためにはボールを取り上げるハイプレスと迅速かつ強烈なネガティブトランジションが生命線。
ボールを握った後は、ビルドアップで相手の1列目に困難を突きつけ、その困難を修正しようと2列目以降が連動し、陣形が崩れたところで攻撃を加速させる。
基本的に速くオープンな展開に持ち込むことは歓迎。ただし、この試合は”速いFW”(エジガル ジュニオ)を故障で欠き、トップに三好、アンカーに扇原。三好は”速いFW”の代役はできない。これはゴール前でのフィニッシュのクオリティとプレッシングの強度の低下を意味する。
よって、いつもと異なる展開として、ボールを保持する時間をいつも以上に長くし、札幌を押し込み(≒オープンな展開にはならず、札幌ゴール前にスペースはできないが、ボールを握れればゲームをコントロールできるし、押し込んでしまえば相手のカウンターも怖くない)、その上で後半により速い選手を入れて勝負、といったプランを用意していたのかもしれない。
1.2 基本構造(マリノスのボール保持時)
マリノスばボールを保持している時の基本構造(その形と狙い)はプレビューの3.2で書いた通りなので割愛。
対する札幌の4-4-2守備の狙いを端的に言うと、「マリノスのフィールドプレイヤーのうち、誰がマークすればいいのかわからない選手を、極力少なくすること」にある。マリノスの選手が移動しても最初に決めた通りに札幌の選手がついていくことで、マークのずれが生じたりフリーの選手が生じるリスクを極力、低減する。机上論的には、ずっとマンマークで相手選手につけるなら、1on1で負けない(ドリブルで抜かれない)限りは破綻することはない。
マリノスボール保持時のマッチアップ |
ここで、マッチアップが合わないポジションが2つある。一つは三好のところで、ここは札幌が2人、マリノスが三好1人で数的優位。三好が移動する(基本的には、”偽の9番”としてゴール前からいなくなり中盤に加わる)と、ミンテと福森はコミュニケーションを取りながらどちらかが三好をマークし、どちらかが最終ラインに残る。基本的には左利きで、右サイドで視界を確保しながらボールを持ちたい三好は、札幌から見て左側に流れていたので、福森が担当することが多かった。
もう一つは、マリノスのビルドアップを担うCB+アンカーと札幌の2トップのところ。3on2、マリノスがGK飯倉も加えてボールを保持することを考慮すると4on2になる。武蔵とロペスが単純に1人1人をマークするだけでは簡単に運ばれてしまうので、工夫が必要になる。
1.3 基本構造(札幌のボール保持時)
1.3.1 恩恵を受けるルーカス、負担を背負う菅、バックアップする深井と進藤
一方、札幌はボールを保持したときはいつもの5トップオフェンスを仕掛けたい。そのため、下のように形を変化させる。
この時、特に4バック採用の恩恵を受けるのがルーカス。菅と比較するとわかりやすいが、ルーカスはいつもの5バックで守っている時と異なり、守備時に最終ラインまで戻らなくてもいいので、ボール非保持→ボール保持に変わった時の移動距離が短い。そのため体力を温存できるし、チームとしても、ルーカスが最初から高い位置にいるので、ボールを奪った後に時間をかけずにすぐにルーカスを使う展開も可能となる。また、常に進藤が背後をバックアップしてくれる(ボールを逃がしたり、奪われた時に後ろを守ってくれる)こともプラスに働く。
札幌の4バック4-4-2→5トップ変換 |
一方、負担が大きいのが菅。4バックの左SBの位置から前線へと大移動を強いられるが、逆のシチュエーションでは下の図と反対の動きが求められる。普段(3バック⇔5バック採用時)の陣形でもこれと同程度の距離の移動は行っているが、この日は4バックなので守備の枚数が1枚少なく、また仲川という明確なマーカーがいるため、サボりが許されない状況でもある。
開始早々の0:50、札幌のゴールキックで、クソンユンが蹴ったボールをマリノスが跳ね返し、マリノスのボール保持に移行した時、菅がいつもにも増した勢いでDFラインに帰っていくのはこのため。
この左サイドの不安定さ(菅の長距離移動、福森と菅がオリジナルポジションから消える)のバックアップ役が深井。普段は深井と荒野、CBの宮澤の役割や立ち位置が頻繁にシャッフルされていたが、この試合は後方でボールを保持する際の人の配置が、完全に上記の形で決まっており、菅の背後を必ず深井が守る関係が成立していた。
1.3.2 控えめだったマリノスのハイプレス
マリノスは札幌のボール保持に対し、基本は高い位置からのプレスで対抗する。プレスが決まり、札幌がボールを持てなくなると、札幌は5トップの陣形に変化する時間を創出できず、得意とするアタックができなくなる。
しかし序盤、マリノスはこれまでの試合ほどの強烈なプレスは敢行しなかった。通常は試合の前半に相手がボールを保持すると、休む間もないほどの強烈なプレスを見せるが、この試合2:15頃に札幌のキム ミンテがピッチ中央付近でボールを保持した時に、三好はキム ミンテに厳しく寄せることをしない。
これは三好の選手特性の問題に加えて、札幌はあまりボール保持にこだわらずシンプルに前に蹴ることも少なくないため、ロングフィード1発でハイプレスが無力化され、武蔵とロペスの肉弾戦に持ち込まれるリスクを考慮して、慎重な入りを選択したのだと思われる。札幌にとっては、立ち上がりにマリノスが”時間”を与えてくれたことは悪くない状況だったと思う。
ハイプレスでハメようとするとロングフィードで回避 |
2.各個撃破
2.1 先制点につながったメカニズム
1.2で示した課題(2トップでマリノスのCB+GK+アンカーをどう守るか)に対する札幌の答えは、CBを孤立させての各個撃破だった。
マリノスはのCB+GK+アンカーの配置は、菱形に見立てることができる。三角形の集合体である菱形を作っていると、ボールを循環させやすいと言われる。ここで、札幌は最初に武蔵とロペスが中央のアンカー扇原の前に立ち、そのパスコースを遮断する。
マリノスは扇原が切られると、チアゴか畠中がボールを運ぶ必要が生じるが、
武蔵とロペスで中央を切り、どちらかのCBに出させる |
そのCBが運ぶと、元の菱形から”離脱”することになるので、サポート(詰まった時にボールを逃がす、等)が受けられなくなる。
その分、他の選手と新たな菱形を作ることができるが、下図のように札幌はその菱形の頂点の候補者(畠中からのパスの受け手の候補者)がどの位置にいようと、全員に密着マンマークを敢行し、畠中からの預けどころを作らせない対応をとる。
CBが持ち上がったところでアタックしつつ受け手を全員マンマーク |
3分過ぎには早速この形から先制点が生まれる。チアゴからパスを受けて畠中が前進を開始すると、ロペスが畠中の利き足である右足側から並走する。利き足でのコントロールが困難になった畠中のボールタッチが大きくなったところをロペスが奪い、そのクオリティを存分に発揮する形でゴール方向に突進、CBが分断、撃破され守備陣形が整わないマリノス最終ラインの背後にスルーパスを通したところで勝負ありだった。
畠中はこの試合後ボロクソな評価だったが、利き足を切られ、預けられる味方もいないこのシチュエーションに追い込まれると、他のDFであってもかなり厳しいだろう。左利きのCB確保の重要性を改めて感じさせる構図でもあった。
更にこの得点から約3分後、6:20頃に武蔵がフリーキックを獲得し、福森が直接決めてスコアは2-0となる。ボールを保持しなくても良し、と考えるチームにとっては願っても展開で試合を進める権利を得る。具体的な変化としては、2トップのロペスと武蔵の位置をより低い位置に設定するようになり、マリノスが低い位置でボールを回している時には相手せず、ハーフウェーライン付近まで放置し、陣形を圧縮して守るようになる。
2.2 DFの前に置いた”リベロ”
開始から10分間の消極的な入りを見ると、マリノスは”様子見”と考えていたように思える。10分過ぎころから、ボールと共に人を動かすことで打開を探る。
マリノスの人の動きは大きく言って2つに分けられる。一つは、右サイドの喜田がよく見せていた、列を1つ降りる動き。扇原の横に降りることで、その周辺の選手のビルドアップの出口を増やす意図がある。もう一つは、2~3選手で立ち位置をシャッフルさせるもの。シャッフルすることで相手のマークを惑わし、フリーの選手を作ることを目的とする。
マリノスの人の移動(シャッフルと列を降りる動き) |
札幌の対応は、シャッフルする選手には人を受け渡しながらマンマークを維持する。一方で、喜田の列を下げる動きは放置されることが多かった。
この背景にあったのは、試合後ミシャが「リベロ」と表現した中盤センターの2人(深井と宮澤)の働き。DAZN中継のインタビューによると、ミシャ(杉浦コーチ)曰く
”いつもとは違う守り方にした。最終ラインに置いている「リベロ」を最終ラインの前に置くことにした。”とする考え方になっており、これは恐らく宮澤を指していると思うが、宮澤だけでなく深井も似た位置づけだったように見えた。 この2人が中央から動かず、スペースをカバーすることから札幌のマンマーク守備は逆算されていた。
下の図で言うと宮澤は本来の守備基準である天野の動きについていくのではなく、中央のスペースを埋めつつ、入ってくる広瀬を捕まえる役割に切り替え、天野はルーカスにスイッチすることで対応していた。一方深井は、喜田を放置し、中央に新たに出現する三好を見る。この2人がなるべく食いつかず中央に残ることで、堅牢さが維持される仕組みになっていた。
2人の「リベロ」は人につられず中央からなるべく動かない |
ただ16:40頃にマリノスがオフサイドながらもゴールネットを揺らしたプレーでは、この放置された喜田の攻撃参加が起点となっていた。喜田が一度、扇原の横でボールに関与してからポジションを上げる(本来のインサイドハーフの位置まで上がる)が、三好を見ていた深井は喜田への反応が遅れ、喜田から仲川へのスルーパスを許してしまう。もっとも喜田が脅威になったのはこの時くらいで、全般には、落ちていく選手は放置して中央を守るという「リベロ」の配置は効いていた。
3.Homecoming Day
札幌の攻撃機会の多くは、中央を固めてからのマンマーク迎撃によるボール奪取から始まっていた。後述するが、マリノスはアウトサイドを使う”作用”以上に、中央に人が入ってくる”作用”が強い。そのため中央にボールが集まる傾向にあるが、札幌のマンマーク関係がなかなか崩れないので、ボール周辺の圧力は札幌の方が終始、優勢な状況が続き、中央でのボール奪取が多かった。
ピッチ中央でボールを奪えると、この日の裏テーマである、本来のポジションである右MFに”戻った”、ルーカスが躍動する。下は22:40、中央で三好へのパスをチャナティップがカットしたときの状況だが、1.3.1に示したように、ルーカスは反対サイドの高い位置からアクションを開始できるので、すぐに前線、得意の右ウイングのポジションをとれる。
ボール奪取時にルーカスは既に高い位置にいる |
この試合のルーカスのドリブル企図数は13回、うち成功8回といずれも、スタメン6試合目にして最多だったが、ウイングの位置からのルーカスの仕掛けの成功は、札幌の得点機会にほぼ直結する。チームとして決定機が少なかった第5節、第7節では、ルーカスの突破が封じられ(第5節)、そもそもボールが渡らず仕掛ける機会が殆どない(第7節)状況だった。
ルーカスのドリブル回数(/90分)とチームのビッグチャンス創出回数 |
そんな要警戒のクオリティを持つルーカスへのマリノスの対応は甘かった。29分の札幌の3点目もルーカスの仕掛けが決め手となったが、この時は深井のサイドチェンジがルーカスへと渡り、仕掛けの状況が整う。その前にマリノスは全員が自陣に撤退するが、扇原が最終ラインに入って一時的に枚数が5枚になっている。しかしながら5枚にして札幌の”横幅”への対応を強化するといった狙いは見られず、大外の広瀬は中央方向のみをケアしており、「5枚」にした意図が感じられない。
マリノスは逆サイドの監視が甘くルーカスへのサイドチェンジが易々と成功 |
この大外監視の甘さもあり、深井はそこまで強烈な(福森のような)サイドチェンジを蹴る選手ではないが、難なくルーカスへのサイドチェンジが成功する。そしてルーカスに渡った時、扇原が最終ラインに加わるシフトは解除される。マリノスの守備の意図がよくわからないまま、ルーカスが広瀬との1on1を制し、ニアの広瀬-畠中のチャネルに走り込んだロペスへのピンポイントクロスが成功して札幌が3点目。フィニッシュがクロスなのはわかり切っているので、扇原を枚数に加えて5枚とした方が、チャネルを塞ぐ意味でも効果的だったと思うのだが。
4.後半の変化
4.1 和田の投入
マリノスは後半開始から松原→和田に交代。広瀬を右に移す。
46分 |
この交代の狙いは、サイドの立ち位置を変えてボールを動かすことにあったと思う。
4.2 前半のマリノスの問題点
前半のマリノスで不可解というか非常に効率が悪かったのは、札幌の守備対応を見た上で、相手の意図しない形に変化を強いることができていなかった点である。具体的には、札幌はルーカスとチャナティップが広瀬と松原にほぼマンマークなので、この2人がサイドで高い位置を取れば、ルーカスとチャナティップを低い位置に押し込めるが、
(仮定)サイドで高い位置を取る選手がいると札幌の守備が動かされるが… |
実際には松原と広瀬は中に入ってくる動きが大半だったので、ルーカスとチャナティップは殆ど動かされることなく2人に対応できる。加えてチャナティップは松原にサイドでボールが渡った時に中切りを徹底していたが、これは恐らく相手は中央を使いたいので外に展開されるのはOK、中央を切るように立て、と指示があったのだと思う。
実際は中央に入ってくる動きが多いので札幌が中央を固めスペースがなくなる |
4.3 サイドに張ってろ!
ようやくこの課題解決の糸口が後半になって見え始める。右はSBの広瀬、左はマルコス ジュニオールがサイドに張るようになる。特に、右で広瀬がサイドに張ると、チャナティップに対し、喜田とどちらを見るのかの判断を突きつけることができる。
マルコスJRと広瀬がサイドに張る |
チャナティップが喜田を優先すると、広瀬には菅、仲川には福森とスライド(マンマークなので、マークをスイッチ)して対応するが、そうすると札幌は本来決めていたマーク関係とのずれが生じ、またマリノスの立ち位置に菅や福森が引っ張られるのでスペースが空いてくる。
広瀬がサイドに張り、喜田が落ちると札幌の守備基準がズレる |
4.4 トップレス問題
しかし中央の空けたスペースを活用する選手がいない。三好はその手前でプレーする選手であり、マルコス ジュニオールは反対サイドにいる。
そのため、マルコス ジュニオールは次第に中に入っていくようになる。左サイドで、和田も外の意識が強くなったのは後半開始から10分後の55分頃だったと思う。
5.最低限の必要スペック
57分、マリノスは扇原→大津に交代。大津がトップに入り、中盤はいつものメンバーに戻す。
57分~ |
再び、人の配置と役割(の、傾向)が変化する。まず喜田がCB2人の間に落ち、チアゴと畠中の運ぶドリブルを促進させる。これは、札幌の守備の性質を考えると、前半から仕掛けても良かったと思う。
アウトサイドに「誰かが張る」については、札幌のSBをピン止めするように高い位置で張るようになる。SBの広瀬と和田がこの役割を担うことは少なくなる。中央では大津が、三好のような偽の9番ではなくリアルな9番に近い役割として振る舞う。そしてワイドと中央で人をそれぞれピン止めした上で、ハーフスペースへの侵入を狙う。
サイドにはウイングを張らせて空いたスペースを狙う |
三好が”偽の9番”だと、どうしても下がったポジショニングに偏重するので、ゴール前に枚数が欲しい局面ではそれが裏目に働く。本来大津ぐらいのナチュラルな9番としての資質が必要なのかもしれない。
札幌は77分、ロペス→早坂、マリノスは79分、天野→山谷に交代。ルーカスが痛んだことに伴い、82分にはルーカス→岩崎。両チームとも主役級の選手が下がり、ラスト10分はお開きムードに。
82分~ |
6.雑感
マリノスは喜田や両SBの位置取りや振る舞いを見ると、やはり普段の高速化展開は異なるプランだったように思える。普段のプランであれば、例えばインサイドハーフの喜田はもっと高い位置取りで、前線で失ったボールをすぐに回収する役割が重要になるが、別の仕事をより意識していた。反面、仲川やマルコス ジュニオールは中央に寄った位置取りが多く、中央でボールを要求することが多く、これは「いつものサッカー」の振る舞いだった。中盤から後ろはよりポジショナル、かつスローな展開を志向しているように見え、前線は速く仕掛けたいというチグハグさを感じた。
札幌はマリノスのこのチグハグさに加え、4バックの採用による攻撃面でのルーカスの躍動、多用する偽SB戦術と噛み合った4バックのマンマーク基調守備、早い時間での2得点、等の要因が大きかった。なかでも特に、浦和戦に続いての「マンマークで相手についていく守備が大成功」とも総括できる。守備もそうだが、このスカッドはドリブルでボールを運べる選手が多い。そのため、引いて守り、相手を前に出させてから地上戦で勝負できる選手の特徴を活かす戦い方の方が、実はいつもの遅攻を軸とした戦い方よりも適性がありそうである。
なおプレビューで4バックと予想したことについて。結果的に予想が的中して嬉しいというよりも、万が一、ポステコグルーの奥さんか兄弟がこのブログを見ていて、この情報により”四方田カーテン”(メディアに練習内容を書かないでくれと頼むこと)が意味を成さなくなったりしたらマズイなと思ったところはある。ただ、この対戦はこれまで3戦とも4バックだったし、オプションとしては十二分に考えられる状況だった(特に隠すような情報でもないだろうと判断した)。札幌が4バックだったことについてマリノス陣営からは特にコメントがないが、予想外だったとするならそれは準備不足と言えるのではないか。
用語集・この記事上での用語定義
・1列目:
守備側のチームのうち一番前で守っている選手の列。4-4-2なら2トップの2人の選手。一般にどのフォーメーションも3列(ライン)で守備陣形を作る。MFは2列目、DFは3列目と言う。その中間に人を配する場合は1.5列目、とも言われることがある。ただ配置によっては、MFのうち前目の選手が2列目で、後ろの選手が3列目、DFが4列目と言う場合もある(「1列目」が示す選手は基本的に揺らぎがない)。攻撃時も「2列目からの攻撃参加」等とよく言われるが、攻撃はラインを作るポジショングよりも、ラインを作って守る守備側に対しスペースを作るためのポジショニングや動きが推奨されるので、実際に列を作った上での「2列目」と言っているわけではなく慣用的な表現である。
マリノスのゲームプランの失敗に助けられた感が強いですが、前半での3得点は良かった。後半は大怪我しない試合をすれば良いのだから。
返信削除ロペスの球離れが早ければ、武蔵にも何度も得点機があったと思われます。武蔵が得点のサポートをして最初の2点が入ってるのだから、これを読んでる皆さんは、武蔵への評価もしてあげてください。
「このスカッドはドリブルでボールを運べる選手が多い。そのため、引いて守り、相手を前に出させてから地上戦で勝負できる選手の特徴を活かす戦い方の方が、実はいつもの遅攻を軸とした戦い方よりも適性がありそうである。」(本文雑感より引用)激しく同意。ジェイの居ない現在の状態ならば、その方が試合も安定するだろうし、勝ち点の上積みも望めるであろう。
ドリブルで運べる・仕掛けられるルーカスのWB起用がいかに負担だったかを思い知る展開でした。3バックのチーム相手だと、ミラー布陣にしてルーカスが相手のWBとマッチアップする形で問題ないとして、4バックのチーム相手だと今後どう起用するか難しいところですね。
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