2019年4月11日木曜日

2019年4月10日(水)YBCルヴァンカップ グループステージ第3節 北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ ~身の丈に合ったサッカー~

0.スターティングメンバー

スターティングメンバー

 札幌(1-3-4-2-1):GK菅野孝憲、DF早坂良太、キムミンテ、福森晃斗、MFルーカス フェルナンデス、宮澤裕樹、金子拓郎、菅大輝、檀崎竜孔、岩崎悠人、FW鈴木武蔵。サブメンバーはGK阿波加俊太、DF濱大耀、中村桐耶、MF中野嘉大、高嶺朋樹、本間洋平、FW藤村怜。
 湘南(1-3-4-2-1):GK富居大樹、DF福島隼斗、秋野央樹、大野和成、MF古林将太、柴田壮介、齊藤未月、新井光、FW山口和樹、中川寛斗、大橋祐紀。サブメンバーはGK松原修平、DF小野田将人、MFレレウ、鈴木冬一、田中聡、FW鈴木国友、若月大和。



1.ゲームモデルと基本構造

1.1 互いのゲームモデル


・札幌
 本来はボールを保持して押し込みたい。が、ミシャの認識では、「湘南はハイプレスが得意な、半端にボールを保持することに拘ると難しいチーム」。よって、その方が効率的に攻撃できるなら、シンプルに放り込むこともいつも以上に許容する。
・湘南
 ブロックを破壊できるクオリティのある選手はいない。代わりに相手より勝っているリソースは走力。前線にスペースがある状態で素早くボールを送り込み、手数をかけずにシュートに持ち込む。または相手のビルドアップ段階でボールを刈り取れればそれに近い攻撃機会が得られる。

1.2 基本構造(札幌ボール保持時)


 メンバーを落としてもやはり湘南のハイプレスは変わらない。札幌は早坂をサイドに押し出し、宮澤を落とした3+1バックで組み立てを開始することが多かった。
 時折、宮澤や福森は、特別指定選手の金子(本来は中盤センターではないらしい)にも普段、深井や荒野がそうしているように最終ラインに落ちる(その分他の選手が中盤に上がるかサイドに押し出される)ローテーションプレーに加わってほしそうな様子も見られたが、金子がそこまで違和感なく役割を遂行することはまだ難しい。よって人の配置と役割は、普段のリーグ戦と比べるとより固定的に運用されていた。
札幌ボール保持時の基本構造

 湘南は前線の3選手でプレッシング。「+1」の早坂にボールが渡ると、WBの新井がジャンプして突撃。開始1分ほどで早速激しい接触があり、知性派・早坂を怒らせていた(関係ないがプロフィールを見ると、古田寛幸と藤田征也のテイストが入った風貌である)。
 基本的には湘南が前3人がプレス部隊で、3人で蹴らせて7人で回収する。中盤センターの2人はそのために、なるべく中央から動かない(プレスに加勢しない)。特に、福森の左足を切りながら寄せ、右足で窮屈な状態で放り込ませた状態は格好の狙いどころだった。
ハイプレスからのボール回収

1.3 基本構造(湘南ボール保持時)


 札幌の対応は、特段図解も必要ない5-2-3⇔5-4-1でのマンマーク基調の数的同数守備。
 対する湘南は、リーグ戦での対戦とは一変して、ボール保持時にDFラインからのシンプルな放り込みはほとんど使ってこなかった。
 この理由は二段階で考えられ、①リーグ戦のレギュラーの山﨑のようなターゲットマンがいないので、180センチオーバーの選手が並ぶ(特に大橋はキム ミンテとマッチアップ)札幌相手にイージーな放り込みでは厳しい、②よってDFを動かした状態で勝負したいが、シャドーの山口や中川が低い位置に下がり、札幌のCBを釣り出そうとするも、早坂や福森があまり乗ってこなかった(動いてくれなかった)状況。
ボールを動かしながら仕掛けるタイミングを探すが札幌DFが動かない

 そのためCB中央の秋野からスタートして、サイドのCB→WBまでは地上戦でボールを運んで様子を見つつ、ミスをしても特に重大な問題にはなりにくいサイドからボールを動かすことで攻撃機会を模索しているような展開だった。
 構造的には、3日前のリーグ戦で大分に執拗に突かれて崩壊した攻撃パターンと似てはいるが、大分のそれは崩しの切り札として非常に洗練されたアタックで、仕掛けるタイミングでキーになる選手がトップスピードでスペースに突っ込んでくるが、湘南の得意とする展開とはやや異なる(本来得意とするのは、相手と五分五分の競り合いを作り出して、セカンドボール争奪戦により多く人を送り込んで制する)。サイドではなく中央に狙いどころを作りたい湘南としては、やや消極的にこの形を選ばされる格好となっていたと思う。
菅と福森の裏を狙うが本来意図する形ではない

2.敗戦からの教訓


 この試合、札幌が明らかに意識していた攻撃の形は下図。札幌から見た右サイド、湘南CB大野の背後のスペースに福森から対角へのフィードなどで、湘南がブロックを作る前にシンプルに人とボールを送り込んでいた。13分、檀崎が裏に抜け出してシュートを放ったのを皮切りに、前半だけでも数回見られ、23分には抜け出した檀崎から、サポートに加わったルーカス フェルナンデスのドリブル突破が成功しPKを獲得、武蔵の先制点に繋がった。
湘南がブロックを作る前に放り込む

 補足すると、福森がボールを持つと近いサイドの岩崎と武蔵は直接楔のパスを受けることを狙う(かのような)ポジションを取る。右サイドでは、ルーカスが下がり目に位置(普段は5トップとして非常に高い位置に最初から張る)し、対面の新井を狙いたいスペースから遠ざける。ルーカスのボールタッチ位置は、明らかにこれまでのリーグ戦と比べると低い位置が多かった。
 リーグ戦での3連敗を踏まえた改善点として、札幌が遅攻を構築し、相手がブロックを作ってゴール前を固められるといういつものパターン以外に、シュートまで持ち込める攻撃のオプションを確保しておこうという意図があったのは確かだろう。左利きのDF石川が負傷?という事情はあったにせよ、レギュラーメンバーの中でロングフィードが蹴れる福森と、速攻で勝負できる武蔵の起用はこのコンセプトに合致する。

 この得点で試合の7割は決まった。先制して特段、札幌が引き気味になったというほどでもないが、無理をしてバランスを崩してまで攻める必要はなくなった。40分には自陣で金子の見事な個人技から武蔵が抜け出し、檀崎がプロ初ゴールとなる2点目。続く41分には檀崎の裏へのパスに湘南DFラインのギャップを武蔵が突いて抜け出し3点目。2点目は金子の個人技が大きいが、3点目はリードしている展開でなければ稀なシチュエーションでの得点だった。

3.雑感


 先制点を取ったことも大きいが、根本的には湘南のサブメンバーに対して個人能力で解決してしまう場面も多かった。例えば武蔵が湘南のDF秋野に競り勝つ場面が多かったが、週末はセレッソのDFヨニッチ相手にそうはいかないだろう。後半開始早々にリトリート守備が崩されて1点を失ったが、それ以外は殆ど湘南の決定機もなく試合を進められた。
 それでもリーグ戦3連敗中の、先制されると一気に苦しくなる展開を次の週末も繰り返すわけにはいかない中で、速攻のオプションが垣間見れた点は明るい材料だろう(昔誰かが「身の丈に合ったサッカー」と言っていたが、速攻のオプションを持っておくにこしたことはない)。ただ、相手チームの特性も考えると、それがすぐに結果に結びつくかはまだ何とも言えない。

用語集・この記事上での用語定義

・ゲームモデル:試合の基本的な進め方。「チームとしていかに戦うか」。チームの哲学や理念、選手特性等、あらゆる要素を包含して作られる。

・ジャンプ:ボールを持っていない側の選手が守備ラインを1列上げて相手に対応すること。

・マッチアップ:敵味方の選手同士の、対峙している組み合わせ。

2 件のコメント:

  1. こんばんは、にゃんむるです。
    おそらく春に生観戦できる最後の試合。
    たくさん点数入って、勝てて良かったー。でも倍くらい点数入っててもおかしくない試合だった。まあ良しとしますか。
    檀崎。これは当たりかもしれんな・・・(´-ω-`)更に精進して欲しい。
    1ケ月くらい、超忙しくなる予定。コッソリ読んで、たまにコッソリ書き込む予定。よてー。
    そんな感じ。にゃんむるでした。またのー(-ω-)/

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    1. 檀崎は身体がもうちょい厚くなると面白いですね。こちらも続けていきますのでお体にはご自愛ください。

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