1.予想スターティングメンバー
予想スターティングメンバー |
- 札幌はルヴァンカップから中2日ですが、ミシャはコンディションよりもメンバーの継続性を重視すると予想します。変化があるとしたら、広島相手にマーキングとゴール前での仕事を期待できそうな、ドウグラスオリベイラのスタメン起用を予想します。ただ、私は広島相手ならジェイのようなタイプの選手が本来は望ましいと思います。
- 広島は前節と同じメンバーを予想します。ハイネルがここ2試合は中央です。
2.サンフレッチェ広島に対する印象
- 広島は[1-3-4-2-1]のシステムで便宜上、表記されます。ボール非保持はその”便宜上の表記”の通り、トップのレアンドロ ペレイラを残して9人でブロックを組み、人海戦術でスペースを消す守備を展開します。基本は無理せず引いて守り、あまりアップテンポな展開は好まず、じっと相手のミスを待っているタイプのチームだと言って差し支えないでしょう。
- 一方でボール保持時には、レアンドロ ペレイラと、右シャドーに入るドウグラス ヴィエイラの変則的な2トップのような設計になっています。
- 左シャドーの森島と比較するとわかりやすいと思いますが、森島は主にピッチ中央付近でプレーしてラストパスを供給する役割。一方のドウグラス ヴィエイラの最大の役割はゴール前でクロスボールやラストパスに合わせたり、レアンドロ ペレイラの陰から飛び出すシャドーストライカーとして振る舞うことです。
- 恐らく、ここ数シーズンの広島は左の柏の突破からのクロスが最大の武器になっており、更に特筆すべきは柏は右足インスイングのクロスでプレーをフィニッシュすることが多いので、左クロスに対してファーサイドで合わせられる、高さのある選手を置きたかったのだと思います。
得意の左サイドアタック |
- 何故高さのある大柄な選手が好ましいかというと、左サイドからの右足インスイングのクロスは必ずDFの頭を越えるようなボールになりやすい。それこそマンチェスターシティが繰り出すような、サイド(バスケで言うローポストっぽい位置)で抜け出してDFとGKの間を高速で通すようなクロスを供給することが、左足を遜色なく使える選手じゃないと難しい(右足に持ち替えているうちにDFとGKの間のスペースがなくなってしまう)ためです。
- 札幌が得意としていた(過去形にしておきます)サイドアタックからのクロスで終わる攻撃もそうですが、このクロスボールを活用した攻撃は、相手が引いてブロックを構築し、スペースがない状態でもその頭を越えて合わせることができれば打開できる可能性が残されます。よくある「5バックで引いて守るので重心が後ろ目な、攻撃の時の破壊力に欠けるチーム」に埋没しないためには、このようなパターンを持っていることは重要です。
- 他のポジションも左右非対称で設計されており、敵陣に運ぶまでの役割を図に示すと以下のようになります。ウイングバックは左の柏は1on1で仕掛けるウインガー、右の茶島は前方のスペースは空けておいてドウグラス ヴィエイラに使わせつつ、引いた位置でビルドアップの出口になりながら、そのスペースや中央にボールを届ける役割です。茶島の位置にそれこそルーカスフェルナンデスのようなウインガーを置くよりは、前方にスペースを作れビルドアップの出口になれる選手の方が適役、との整理でこうなっているのかと思います。
- 最終ラインの3枚は左にスライドした形というか、佐々木がSBのようなポジションを取ることが多い。中央はサイドを変える役割が主で、森島は前線よりもこちらの局面に加わっていることが多いです。
ビルドアップ~敵陣侵入までの設計 |
- ドウグラスヴィエイラがシャドーに入ることでの守備力低下は織り込み済みというか、ブロックには加わりますがあまり過度な負担は強いず、枚数確保による人海戦術と積極的なマークの受け渡しでやりくりが見られます。
- このドウグラスヴィエイラが守る、広島から見た右サイドで、WBの茶島が早めに出る、茶島の背後を野上がスライドしてカバー、中央の荒木は相手FWのマークを担っているので動かない…結果、野上と荒木のスペースが空く機会は度々確認されています。
3.試合展開の予想
- 2020シーズンのJ1では、交代枠5人ルールの存在もあってか、敵陣からのリスタート時に高い位置からプレッシングを行うチームが増えているとの印象がありますが、広島はリトリートの意識が高いチームなので、札幌が敵陣でプレーする、広島としては札幌を自陣に引き込んでミスを誘うような展開が多くなると予想します。
- この展開ではチャナティップに期待が集まります。札幌の、7月のトータルフットボール革命以来、中盤~前線の選手には攻守の切り替えにおける「速さ」と「早さ」が求められるようになり、「早さ」はあっても、30m程度の速攻における「速さ」はそこまででもないチャナティップには逆風が吹いています。これは宮澤、深井、ジェイといった選手も同様で、ボールを保持する時間が長くなるほど頼りになる選手のプライオリティは日々低下している状況にあります。
- 一方で、広島のように引いてスペースを消してくるチーム相手には、ボールを動かしてスペースを作る、そのスペースでプレーするというアクションが不可欠なのですが、速攻にかなり振っている今の札幌のスカッドでは、計算できそうなアタッカーがチャナティップくらいしかいない。速攻に慣れきった選手たちがスペースを作れていない状況で、ルーカスや福森が広島の5バック相手に放り込む。ターゲットがジェイならともかく、ロペスやドウグラス1人で、脇に駒井やチャナティップではこのアタックでは厳しい展開が予想されます。
- チャナティップは広島の右サイド、つまりドウグラスヴィエイラの背後のスペースが定位置になります。ここを崩しの始点にするとして、チャナティップが下がらずにボールを供給できる状況を作りたい。これは福森や高嶺の仕事です。
チャナティップがDFの前で受けるまでは到達できそう |
- 広島としては狭いスペースに誘い込んでからのボール奪取→速攻を狙いたいと思いますが、チャナティップは本来は狭いスペースでも活動ができる。彼の出来が、広島の思惑通りになるか、計算を崩すかのカギを握ります。
- ここ最近は完全に右サイドアタック一辺倒ですが、チャナティップのいる左サイドでボールを保持することになれば、右サイドに期待される役割も変わってきます。駒井かルーカスのどちらか1人は、ファーサイドからゴール前に飛び出すプレー(それこそ、ドウグラスヴィエイラがやっているような)が欲しいところです。
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