2021年12月7日火曜日

北海道コンサドーレ札幌の2021シーズン(2) ~選手個別雑感・MF&FW編~

 全編に続いてMF&FW編です。


6 高嶺 朋樹:38試合(内スタメン30)、2,637分出場、1得点0アシスト

  • 6番を与えられ期待は高かったものの、開幕はバックアッパーとしてのスタート。アンカーでは宮澤、インサイドハーフではチャナティップが1st choiceで、どちらでもない(又は、この役割だと他の選手に劣る)とされた高嶺は、第8節までは(前線に負傷者が続出した3節を除く)長くても30分弱のプレータイムしか与えられず、よく言えば「課題が見つかった」状態でした。
  • 風向きが変わったのは8節(アウェイのFC東京戦)のミンテの退場で、以降は宮澤が最終ライン中央にスライド。空いたアンカーに高嶺が入り、以降はほぼ不動のスタメンとして、この役割の選手では最も出場機会を得ました。
  • この流れ、経緯だけを見ると、本人の向上によってポジションを掴んだというよりは別の要因によるところが大きく、それはピッチ上の振る舞いを見ても正直なところあまり変わっていない…開幕時の課題は実はそこまで解決していないまま試合に出続けている状態だと私は思っています。
  • にもかかわらず不動のスタメンであるのは、端的に言うと彼の希少性…FW陣を除いたセンターラインの選手では唯一の左利きで、最終ラインで相手のプレスからボールを逃がすときに必ず1人は左利きがいた方が周囲がプレーしやすいから、という要因が大きいでしょう。
  • ボール保持時の「役割」を、もっと細分化して考えると、「ボール保持時に最終ラインやや左に落ちて宮澤と福森の間でプレーする」と定義できます。利き足で全てが定義されることはないのですが、ボールの運び方をあまり丁寧に落とし込んでいないチームにおいては、左利きで相手のFWからボールを隠しながら持ち出しがしやすい高嶺の有無は、荒野や駒井、深井、宮澤と比較すると、チームのボトルネックの緩和に少なからず影響していました。
  • ただ、きつめのことを言うと、それだけで試合に出ている間は否めず、静かなスタジアムで宮澤や監督ミシャからのポジショニングやボールの持ち方に関する指示は毎回多く見られますし、しかも非常に基礎的な原則レベルのことを言っているように見えます。
  • シーズン終盤は宮澤や福森の不在があり、代役として更に重要性は増していましたが、この2人(役割は全然違うが)と比べると、ボールを保持している時の影響力や完成度は現状かなり落ちるので、今後の向上を望むところです。


7 ルーカス フェルナンデス:27試合(内スタメン21)、1,728分出場、2得点2アシスト

  • 1年前に等々力で始まった”勘違い”。逆足のウイングバックという、明らかに機能性が低いシステムの最大の犠牲者として左ウイングバックでのシーズンがスタート。
  • 結果的には、前線選手の負傷等で金子が1列上がり、ルーカスの定位置も戻ってくるのですが、金子がドリブルで抜群のスタッツ(主に試行回数等の頻度関係)を叩き出したことの裏側として、ルーカスはボールに触る機会も減り、得意なプレーエリアも割譲しなくてはならず(金子が頻繁にタッチライン付近に流れてくるから)、そして中央にはターゲットらしい選手もいない。ベストのパフォーマンスを発揮できる環境にはとてもなかったと思いますが、それでも得意のシチュエーションで受ければ独力でチャンスを創出する能力は健在で、本人に関しては特に注文はありません。
  • ルーカスのフィニッシュは95%右足なのですが、それは相手もわかっていても何らかフィニッシュに持ち込めるという点でこのチーム(相手に5枚のDFでスペースを消されがち)には貴重な戦力であることは、今後もしばらく変わらないでしょう。

8 深井 一希:27試合(内スタメン21)、1,082分出場、2得点1アシスト

  • 「今年も膝は守れてよかった」というのが率直な感想ですが、プレータイムは2シーズン続けて1,000分程度にとどまりまり、また離脱期間も複数回あったことで、コンディション面で難しいシーズンだったのでしょう。
  • シンプルに考えて、より”走りの量”を要求するようになった2020シーズンからのトータルフットボール路線以降、明らかに稼働率が下がってきたと捉えられます。
  • 加えて、マンマークで全て対応する関係上、アンカー(1-3-1-4-2の「1」)の選手は相手の2トップの一角になる選手を最終ラインに下がってマークする、CB的な役割を担うことが要求されていて、深井はこの兼ね合いもあって稼働率が下がってきた、もしくは使いにくくなっているのかと感じています。宮澤や駒井、高嶺が最終ラインで試されて、深井が試されない理由は能力的にはないので、恐らくミシャがそれをしない理由は、最終ラインだと守備による膝への負担が大きいと考えているからでしょうか(その割には中盤で元気に走り回ったりはできるので、詳しく説明はできないのですが)。
  • この予想が外れていないとしたら、1-3-1-4-2ならインサイドハーフで起用するとか、本人の選手特性以上に、負荷の少ない役割を考慮して使っていくしかないのかもしれません。


9 金子 拓郎:38試合(内スタメン37)、3,211分出場、7得点2アシスト

  • シーズンの約半分を、シャドー/FWという結果が求められる役割で起用され、残り半分はどちらかというと直接結果には現れにくいアウトサイドでの起用でした。
  • まず後者の役割(サイドアタッカー)に関して言うと、リーグ最高クラスのドリブルのスタッツを記録しながらアシストは2。37節のトゥチッチへのラストパスはいいとして、32節(アウェイ横浜F・マリノス)は菅のスーパーゴールで数字がついただけ。
  • 彼が幾度もドリブルで切り裂いても殆どゴールに繋がらないということを示していますが、これは確かに、中央にターゲットがいないとか、クロスボールからの攻撃の設計に乏しいとか、個人に責を問えない要素も多分に含まれます。しかし、右ウイングバックはこのチームで最もボールが集まるポジションであるので、金子の場合はは犠牲者というよりは当事者としての側面も強いと思っています。
  • プレーエリアで捉えても、シャドーの定位置を逸脱して露骨にタッチライン付近に流れてルーカスの活動範囲を狭める光景はシーズン中ごろの定番でした。
  • そもそも(川崎みたいに圧倒的に攻撃機会が多いチームでないなら)「ドリブル試行数が群を抜いて多い」というのは、いつでも好きな時に仕掛けているとも捉えられる。そのプレースタイルは常にfor the teamであるかというと微妙なところで、「絶えず優位なシチュエーションを模索し続ける」とするポジショナルプレー全盛のモダンサッカーにおいてキャリアアップできるのか、という疑問が浮かびます。24歳で「戦術的には荒削り」は誉め言葉にはならないでしょう。
  • 前者の役割(シャドー)に関して言うと、相手が全て下位チーム(ガンバ1、横浜FC、清水、大分各2)とはいえ、7ゴールは悪くない結果だと思っていて、MFで考えるよりはむしろゴールを奪う役割の方が、このままだとすると向いているのでは?と見ています。
  • ただ、誰かが「金子ゾーン」と安易に言ったことで、”丹生ちゃんの心”の持ち主はみんな勘違いしてしまったのですが、基本的にタッチライン付近からスタートするウイングバックが中央方向に15mカットインして、その態勢のままゴールから25m離れた距離から枠内にシュートを飛ばすのは非常に難しい。これにプロのDF5人とGKが配置されると、この形でシーズンに3本決められるのは火星人のメッシとロッベンだけが例外です。
  • リヴァプールの両サイドも逆足ウイングじゃん!って思うかもしれませんが、彼らは役割的にはそんなにタッチライン付近にいなくて(だってSBに高精度のクロスマシンがいるから彼らのために大外は空けている)、寧ろ彼らはシャドーとして中央付近に入ってプレーすることができる。ミシャチームはウイングバックとは別に、最初からシャドーが置かれているのでそのスペースはない。
  • これが、私が逆足ウイングバックを”勘違い”とする理由で、金子は確かにそれっぽい位置からシュートを決めたりしているのですが、それは相手の守備が整ってないとか枚数確保できていなくてスカスカな時に、カウンターなどで最初から中央付近に陣取っていたという、相手のエラーに乗っかった側面が強いものです。
  • ともかく色々な意味で考えさせられる、当「考えるブログ」にふさわしい選手だったなと感じています。


  • 最後に去就について。まず今の時代に大卒でサラリーマンにならずプロスポーツを選ぶ選手に野心がないわけがなくて、「J1でそこそこのチーム」「お金じゃなくて愛のチーム」「残留できればOKのチーム」は、そうした野心に応える存在だと私は感じません(野々村社長がソンユンに言ったらしい、『ソンユンの成長にクラブが追い付けなくなったら移籍すればいい』も同義)。
  • クラブはそのことを理解した上で大卒選手のリクルートに力を入れていて、次の大卒選手の呼び水にするために、積極的なステップアップを支援することは中期的にはメリットになる。これが当然だと思ったので残留の報道には驚きましたし、ありがたい話だな感じます。この、残るという決断以上に、(前から報道があったのかもしれませんが)あまり長い時間悩まずにすぐ決断したのは人間性を示しているなと感じました。彼の野心に色々な面で応えられるクラブに2022シーズンは向かってほしいと心から思います。


14 駒井 善成:37試合(内スタメン37)、3,211分出場、2得点4アシスト

  • 開幕時は、「ボール保持時は相手の中盤の選手をマークするインサイドハーフで、攻撃時には中盤センター」でスタート。ボール保持時の役割はシャドーにもなったりしましたが、非保持はでは変わらず、最終的には高嶺と中盤で組むユニットが定番になりました。
  • この、高嶺と組んで、高嶺が下がることが多い場合に私は駒井の役割を便宜上「アンカー」と書くことが多くて、それは基本形が[1-4-1-5]の配置だと[1]であるからなのですが、実際に駒井がやっていることはアンカーというよりフリーマンに近かったでしょうか。
  • それは積極的に下がってボールに触ろうとする選択もそうなのですが、それ以上に、本人が行けると思ったシチュエーションで、ドリブラーの血が騒ぐのか、密集地帯に自分で突っ込んでいくのが結構多かったため。本来「アンカー」ってバランスをとることを第一に考えて、どっちかというと味方が突っ込んだ後の対処をする役割だと思うのですが、駒井は自分で行ける時はいってしまう。
  • この選手が賛否両論なのは、負担が小さくないタスクを抱えながら、こういうセオリーを無視した選択から、ゴールとかアシストといった結果を残すことがあるところ。その意味ではフットボーラーというかアスリートとしては確実に能力があると言えるので、不動のスタメンである理由はそういうところにあると思っています。
  • ただ、センタープレイヤーとして起用されるようになって3年目になりますが、宮澤や田中駿汰と同じ役割で考えると要改善な部分もあって、そもそもボールの持ち方だったりボディアングルのとり方を見ていると、適性はアウトサイド、リスクを冒せる役割なんだろうなという個人的な見解は変わりません。

18 チャナティップ:23試合(内スタメン23)、1,859分出場、1得点6アシスト

  • 本来このチームでは別格の実績、経験、能力を有するインターナショナルなプレイヤー(あ、ガブちゃんも代表歴あるか…)で、給料はよくわからないですが、18年に完全移籍時の移籍金は300万ドルとどっかで見たのは、(マーケティング的な特性も含め)個人的にはリアルな相場感だなと勝手に思っています。
  • どうしてもチャナは弟キャラ感があると思っているのですが、鈴木武蔵が移籍、ジェイのキャリアが下り坂になって、それらに比肩しうるクオリティの選手が加わっていないなら、加入5シーズン目のチャナは、前線の牽引役として果たすべき責任はもっと大きくてもいいと捉えています。
  • この点では、2シーズン続けて負傷離脱が続いたことは、代表召集の負荷などを考慮しても中心選手としてはポジティブに見ることはできないでしょう。ただ、あれだけ動くプレースタイルだと他の選手よりも負荷は大きくて、その意味では深井と同じくトータルフットボール路線には向いてないのかな?と仮説を立ててもいます。
  • ともかくコンディションさえ整えばスーパースターに戻るはず…と見ていたので、なんとかシーズン大詰めになって切れが戻ってくれたのはよかったと思います。新シーズンへの展望を一つ挙げると、小柏との組み合わせや使い方(互いの配置関係など)が、チームの得点力向上に向けてはポイントになりそうです。前線で唯一「引き付けてリリース」をして味方アタッカーにスペースを与えられる存在なので、トゥチッチの命運を握ることにもなるでしょう。



27 荒野 拓馬:28試合(内スタメン15)、1,330分出場、0得点0アシスト
  • 全治8~9か月とされていた負傷から、第10節(4/16vs横浜F・マリノス)に5か月弱でピッチに戻ってきた時は、それまで9戦で2勝2分5敗のチームの起爆剤として期待されました。
  • が、この試合で直接失点に絡んだ時は「試合勘不足」という言葉が思いあたったのですが、その「試合勘らしきもの」はシーズンを通じて取り戻されることはなく、少数精鋭のスカッドにおいて少なくはない誤算だったでしょう。
  • 元々、荒野は財前監督が2列目でデビューさせて、バルバリッチはウイングバック、四方田監督はウイングバックとインサイドハーフから最終的にはアンカー、ミシャは中盤で宮澤と組む2枚のうちの1枚と、やっているポジションは違うにせよ、「繊細さよりも、無理がきく」のが持ち味。
  • 2020シーズンにトップで起用された時も、長い距離を走れることやその速さでチームに貢献していたのですが、コンディション不良からそうしたダイナミックさも失われていて、2021シーズン終盤には消去法的にシャドーで使われたりもしましたが、シャドーとしては中間ポジションでプレーする能力の不足(それは前からわかっているし、シンジとイナとノノが何度も言ってたらしい)が露呈されただけでした。
  • そして戦術的には、駒井で割を食ったとも言えるでしょう。「中盤で1人がバランスを取って、1人がフリーマン的に振る舞う」がここ2~3シーズンの定番だとしたら、駒井がまさに、ここ2シーズンの荒野と似た振る舞いをしていて、先述の通り駒井がたまに突っ込むのを許容する役割でいるなら、荒野と並べることは現実的ではなく、荒野はそれこそ最終ラインとかを練習した方が良いかも、と思い始めています。それでも、まずはとにかくコンディションでしょうか。

28 青木亮太:31試合(内スタメン17)、1,330分出場、4得点1アシスト

  • サッカー星人。アウトサイドでregate(相手を1on1で抜き去るドリブル。金子が得意なやつ)をする役割としては不足かもしれませんが、とにかく相手の逆をとるのが上手くて、金子みたいに高速で動いていなくても(いないように見えても)一瞬で相手との距離を作ってシュートチャンスを作ったりボールをキープしてくれる。
  • 初スタメンは第17節でしたが、その後は確実に出場機会を増やし、ポジションはアウトサイドがメインでしたが役割的には中盤でpausa(小休止、所謂”ためを作る”)をするとか、DFとFWの間を繋ぐとか…要するに金子、駒井といった他の主力選手が得意な、「縦に突っ込む以外の役割」を任せられる選手で、開幕時の期待以上に重宝されました。
  • 中野嘉大のウイングバック起用には否定的だったミシャでもスタメンで使える程度の守備能力というか、プレーを読んでポジショニングを調整することができ、必要な時には身体を張った対応もできるので、数字に表れない貢献もしていたと思います。
  • 右利きの左WBとして、田中宏武の加入がありますが、仮に田中が即戦力級だったとしても青木は常に18人には入れておきたい選手でしょう。一つ言うなら、ミドルシュートも備えているので、引いた相手に対するジョーカーとして期待されることも増えるかもしれません。


4 菅 大輝:36試合(内スタメン26)、2,240分出場、1得点2アシスト

  • 2020年11月の新型コロナウイルスへの感染による影響で、ポジションとコンディションを取り戻すところからのスタートでした。この点では荒野とやや近いのですが、菅は荒野よりはトップフォームに戻るのが早く、左サイドで福森と組む4年目(5年目?)のユニットは、どう転ぶかわからないサッカーをするチームにとって心強い存在でした。
  • シーズン中盤以降、青木の台頭により、ルーカスも含めた3人でプレータイムをシェアする関係も一時ありましたが、菅自身は良くも悪くも変わっていなくて、アップダウンしながら時折裏を狙う、縦に抜け出してからのクロスボールというタスクは安定的に供給していました。シーズンを通じてアウトサイドは金子>菅≧ルーカス>青木という序列のようで、相手のSBにアプローチに行く役割があることを考慮すると、ルーカスをサブに置いてでも菅を起用する思惑は理解できます。
  • 注文をつけるとするなら、菅の場合は早いクロスがオプションではなくスタンダードになっていますが、中の状況を見て配球できるとより良いかと感じます。
  • 変わったとするなら、福森の負傷で遂にリーグ戦でも最終ライン左で起用されたことでしょうか。ただ自分よりも大きくて(多分)速い武藤(めちゃコミック)にはやられてしまって、かつての大宮のバレーと曽田さんマッチアップを思い出しました。これは本人というよりは編成の問題でしょう。


11 アンデルソン ロペス:14試合(内スタメン14)、1,218分出場、12得点0アシスト

  • 報道及び移籍時のフロントのコメントからすると、3年契約の最終年だったようで、残り半年の時点でバブルが弾ける直前の中国に売ることができたのは、このクラブとしては久々に良い取引ができたと言えるでしょう。
  • しつこくて恐縮ですが、2020年8月の名古屋戦から、”9番”として覚醒の兆しはありました。以前は自分で突っ込むことしか考えていなかったのが、周囲を使えるようになって、加えて2021シーズンはより補完性の高い小柏の加入と、PKを蹴る機会に恵まれたことが特典量産の要因だった、とサクッとまとめておきます。


32 ミラン トゥチッチ:11試合(内スタメン5)、449分出場、2得点0アシスト

  • 加入時に「都倉みたい感じだと思う」と、見る前に書きましたが、見た後も印象は変わっていません。
  • 背後にいるDFに対し、入れ替わって反転するのが好きそうで、器用そうなイメージがあるかもしれませんが、それはつまり相手DFをブロックするプレーが得意ではないことの裏返し
  • 9番としてはあまりポジティブに捉えらえないほど動いていて、このチームが[1-4-1-5]ないし[1-3-4-2-1]のようなシステムでプレーするなら、シャドーがFWを活かすのか、FWがシャドーを活かすのか、という考え方はありますが(というか、相互性があるのが一番いいんでしょうけど)、トゥチッチはシャドーを助けられるタイプの選手には見えなくて、あまり器用さは感じないですし、周囲がトゥチッチに合わせてあげる必要がある。となると彼はその期待に応えられるだけのゴールを、リターンとして返してくれるのかな?という点はまだ不透明です。
  • 得意な形は、恐らく柏戦の1点目のような、左に膨らんで走って相手DFと距離をとっての左足シュートなのでしょうけど、1パターンだけでやれるほどJ1は甘くないと思いますし、札幌はどうしても頭を狙ったクロスボールの放り込みが主体なので、そっちの方でやれるかどうか、がキャリアを決めることになるかもしれません。
  • ただ、前線が小柏、チャナティップ、駒井でアウトサイドに菅、といったスカッドだと、セットプレーのディフェンスで高さが欲しいところで、(ドドちゃんでも別にいいんですけど)トゥチッチ。


33 ドウグラス オリヴェイラ:21試合(内スタメン0)、331分出場、2得点0アシスト

  • あんまりドドちゃんに関しては書き記す感想がない(どんな選手かは知っているし、その範疇のプレーだったから)のですが、一つ言うとしたら、ジェイのコンディションの問題があり、「終盤に高さで強引にゴール前勝負」のシチュエーションで、あまり空中戦得意じゃないドドちゃんに白羽の矢が立つことは何度かありました。

  • ホームの徳島戦(7/4、第21節)では、恐らくリーグで最もパワーがないDF陣相手にドドちゃんを入れると相手がアワアワしてくれて、最終的にオウンゴールで決勝点、って展開ではあったのですが、基本的にはトゥチッチと同じで背負うよりも反転したいタイプなので、高さ要員として計算に入れにくいのがネックかと感じています。


35 小柏 剛:30試合(内スタメン27)、2,338分出場、7得点4アシスト

  • 開幕直後に離脱もあり、初ゴールは11節、その次が17節とコンスタントにゴールがあったわけではありません。ただ、特にシーズン序盤に、ポストに嫌われたりで決定機を逸している、決定力が課題の印象があるかもしれませんが、GKを外してシュートまではできていましたし、そもそも小柏にやらせたい役割がチーム内で多すぎて、ゴール前で勝負できるシチュエーションがそこまでなかったと思っています。
  • 一時はウイングバックで途中出場するとか、試合中にインサイドハーフに移動するとか、起用法も定まらない中での7ゴールは十分に立派だと言えるでしょう。なおFootball labによると、FWでの先発起用は12試合(後の15試合はシャドー/セカンドトップ)。
  • プレースタイルはイメージ通りで、速さもそうですが動き出しの量が秀逸で、タイミングが合わなければ何度も前線で動き直しを繰り返す。これは裏へのシンプルなボールを多用する札幌には合っていますし、トップの補佐役としての性質が強いシャドーではなくて、彼がFWとして定着すれば、その動き出しに合わせるボールももっと増え、結果も自然とついてくるはずです。この記事を書いている最中に日本代表への初召集が発表されましたが、2022シーズンは間違いなく攻撃の中心として期待されるだけに、コンディショニングは気を付けてほしいです。


48 ジェイ:24試合(内スタメン7)、871分出場、1得点4アシスト

  • ジェイに関しては2021シーズンどうだった、というトピックよりも、それまでの思い出の方が圧倒的に多いので今回は何も書かなくてもいいかなぁ、と思ったのですが、スタッツを見てて気づいたのは、この限られた出場機会で4アシストもしている。そしてそれらは全部「アバウトなボールをジェイに放り込んで、空中戦で落としたところをシュート」というもの(そこまでアバウトじゃないボールもあるけど)。
  • 昨年の総括の際に、ジェイについて「ゴールは減っても、起点を強引に作る能力は代替不可能」と書いたんですが、これで4点も入ってたんだな、と改めて凄さを思い知らされますし、この働きはジェイ以外には絶対できないので明白な戦力ダウンになるでしょう。接戦になった時に、不在を嘆くようなシーズンにならないと良いのですが。

2021年12月6日月曜日

北海道コンサドーレ札幌の2021シーズン(1) ~選手個別雑感・GK&DF編~

※このシーズンはチームのプレー内容に対する総括が難しいので、選手への感想から書くことにします。


GK

1 菅野 孝憲:36試合(内スタメン36)、3,240分出場、46失点

  • 個人的にチームMVPを選ぶなら菅野です(次点が田中駿汰、3位が宮澤)。このシーズン、14勝のうち1点差勝利が8勝で、セーブ数とかのデータが乏しいので印象論になってしまいますが、菅野は平均して毎試合2本くらいは枠内シュートを防いでいるとしたら、順位や結果に最もポジティブな影響を及ぼしていると言えると思います。
  • プレーを見ると相変わらず、このサイズの選手としては抜群に完成度が高くて、特に放り込まれても殆ど弱点を露呈しないのは頼もしいです。
  • また、コンサドーレのここ2シーズンで最もスキルアップした選手かもしれません。バックパスの処理を毎試合完璧とは言えないとしても、入団直後と比べると処理の安定性は見違えるほど向上していて、以前はただ蹴っていたシチュエーションでも役割を遂行することができています。
  • クラブとしては小次郎の台頭に期待したいのでしょうけど、恐らくあと3年程度はかかると考えると、まだまだトップフォームを維持してほしいですし、自陣で形らしい形がない守備対応をしていて、依然として緊縮財政下であることを考えると、2022シーズンも菅野の存在が生命線なのかと思います。


34 中野 小次郎:2試合(内スタメン2)、180分出場、4失点

  • アウェイの浦和戦(5節)で、菅野に特にトラブルがないのに起用されたのは莫大な期待の表れで、この試合では持ち味のフィード能力を披露しながらクリーンシートを飾りましたが、翌節は神戸相手に4失点で「育成投資としても危ない」とする認識になったのか、また負傷の影響もあって以降は出番に恵まれませんでした。
  • 菅野をJ1水準の比較対象とすると、まだシュートストップが不安定で、それは中~遠距離の反応もそうですし、至近距離で誘導しながらコースを消す対応にも課題は感じます。入団前の紹介だと、「高3~大学で急激に動けるようになってきて…」とありましたが、見ている限りはまだこうした身体動作も向上の余地がありそうで、25~6歳くらいまでは長い目で見守るべき大器なのかなと思います。


DF

2 田中 駿汰:37試合(内スタメン37)、3,285分出場、1得点1アシスト

  • 「安定」や「秩序」という言葉とは無縁のフットボールをピッチ上で展開するチームにおいて、フィールドプレイヤーでは最もそれらをもたらしていた選手でした。
  • 特に2021シーズンは対戦相手のシステムが1-4-2-3-1ないし1-4-4-2系が大半のため、右サイドバックっぽい仕事や役割がメインだったと思いますが、アウェイ川崎戦(14節)で三笘を封殺したように、役割がセンターバックから変わっても寧ろ強みを発揮していたと感じます。
  • 選手特性としては、顔は小籔千豊さん味がありますが、駿汰は手足が長くリーチがあるので、相手と対峙した際に無理に足を出してボールを取りに行く(バランスを崩す)必要がないのが特徴かと感じます。役割は違いますがパトリック・ヴィエラを少し想起させます。
  • ボール保持時は、こちらも相手が1-4-2-3-1ないし1-4-4-2だとSBになりますが、2021シーズンはSBというよりはフリーマン的に中央に出ていって、セカンドボールを拾ってシュートしたりと攻撃性能を発揮していました。この点ではミシャの言う「なるべく高い位置をとって対面の選手を押し込め」に忠実で、今のチームでそこそこ楽しんでやれてはいそうですが、恐らく引く手あまただけにオフの動向は注目されます。


3 柳 貴博 :25試合(内スタメン1)、335分出場、0得点0アシスト

  • まず本人はすぐに試合に出たいと思っていたでしょうが、年齢や選手構成も考慮すると、クラブとしては短期的だけでなく中期的な視点もあっての獲得だったと思います。結果としては、短期的には強みも一定は出せていたものの、スタメンで使うにはまだ課題があって、特にチームのスタイルというより可能性のある役割(最終ライン)への適応に苦労したシーズンだったでしょうか。
  • 田中駿汰の項目で書きましたが、最終ラインの左右の選手はサイドバック的な役割が強まりつつある中で、”SB歴”が割と長めの柳には一定の期待があったと思います。
  • 宮澤の不在もあり、リーグ戦で唯一のスタメンとなった名古屋戦(第26節)も、対峙する名古屋のサイドアタッカー(マテウス)への対応を期待されてのもので、実際に、ピッチに立っていた前半の45分間はまずまずのパフォーマンスだったと記憶しています。
  • ただ、この試合後半から駿汰を右、高嶺を中央に移す形が一時期定着したように、駿汰が務めることが多くなった右DFは「最初に敵陣にボールを届ける人」の側面が強くなっていて、どっちかとうと大外の滑走路をアップダウンするタイプの柳はこの役割を最後まで消化できず、コンサドーレの最終ラインだと使い方が難しくなってしまいました。
  • それでもこのチームにはon the ballで特徴を発揮する選手は飽和気味で、監督もそうした選手を好みますが、ボールは常に1つしかないので柳のようなoff the ballでも活きる選手は不可欠でしょう。
  • そのフリーランとサイドを封鎖する能力はWB起用の貴重なオプションとなり得ましたし、また一定のサイズがあり空中戦で頭数に含められる、そして3バックでの起用も可能である点は、シーズンを追うごとに徐々に重要性を増していきました。(正直ここ4シーズンを見てこの点の監督の手腕にはあまり期待していないのですが)こうしたタイプの選手を今後カスタマイズして、期待している役割を遂行できるようにしていけるかは、選手を自由に買えないチームとしては極めて重要な視点かと思います。


5 福森 晃斗:32試合(内スタメン32)、2,798分出場、1得点5アシスト

  • ポジティブな面を挙げると、前方向に突っ込んで守備をしたいとするチームポリシーによって菅の庇護も弱まり、また俊足のDFキム ミンテもいなくなった中で、相手のウイングに対して福森はどこまで守れるか?という点は大きな懸念でしたが、結果的には思ったほどSBとしてweaknessが問題になることはなかったと思います。これは福森がどうというか、Jリーグにはそもそもウイングとしてプレーできるタイプの選手が非常に少なくて、だいたいの選手は中央に入った時に特徴を出せるタイプだから、と言えるでしょうか。
  • 攻撃面に関しては相変わらず、チームで一番信頼されている選手で、出し手として(無論トライの数相応のエラーもあるとして)びっくりするパス(いや、福森だとそうは驚かないか)で決定機を演出したりもありましたが、チームにとって大きいのはGKや中央のDFからのボールの逃がしどころとして非常に頼りになる点でしょうか。田中駿汰にも言えますが、多少難しいボールでも体で収めてくれるので、中央で相手の圧力を受けてもとりあえず福森に預けておけばそうそう事故にはならないのは、柳や岡村、一時代役を務めた高嶺、そして中村にはないスキルで、これらの選手が出場機会を増やすにはそこがポイントになるかなと思います。
  • 気がかりなのは、これはまず福森個人の問題ではないのですが、中盤で触って展開できるチャナティップが不在だと最終ラインから前線にダイレクトに蹴っ飛ばす雑なアタックが増えるな、という点は、チャナティップ不在期間が長いシーズンにおいては特に感じるところでした。もう一つは、恐らく慢性的に足の状態が悪そうで、プレースキックを田中駿汰や菅に任せたり、全般にピッチ上を動いている時にあまり足に負荷をかけないような動きが増えている(ように見える)点です。


10 宮澤 裕樹:29試合(内スタメン28)、2,423分出場、0得点0アシスト

  • アンカーでスタートしましたが、ミンテの不調によって最終ラインにスライド。その後はミンテの事情だけでなく本人のパフォーマンスによって最終ライン中央として不可欠な存在でした。「宮澤はCBじゃないでしょ」と言い続けた私ですが、30歳を過ぎても衰えない能力と向上心によって、今やチームで一番DFらしい選手になっていると思います。
  • 役割的にはまず相手の1トップをマークすることが大きくて、ここ物理的にめちゃくちゃ速い選手がいると厳しい時もあるのですが、宮澤のすごいところはパワーで劣勢でも簡単にやられずに粘り強く対処できる(荒野だと相手にチョップして退場でしょう)点で、対人能力は年々進歩していると感じます。
  • そして最終ラインからの配球については、アンカーでもCBと同等の要求水準ではありますが、最大の違いはアンカーに高嶺が入ると宮澤は右に回れる点で、ミンテと組んでいた時は左で窮屈そうにしていたのが解消されたことで本人の負担も減りました。カップ戦で最終ラインに宮澤も田中もいないと、誰も相手を引き付けてからパスしてくれないので、中盤から前は狭いスペースで走って蹴るだけのプレーに終始していましたが、今のところは、CBとして基本的なタスクを必ずやってくれるキャプテンの存在なしにはチームの未来が想像できないところです。


20 キム ミンテ:9試合(内スタメン7)、628分出場、0得点1アシスト

  • あくまでこのシーズンに関しては、結論としては、ミンテニスタの私も全面的に認めますが、宮澤との競争に敗れた格好となりました。
  • 2020シーズンにかなり序列が下がった印象でしたが、今シーズンは開幕からスタメン出場が続きました。それは相手に対して1on1で対処する方針が再確認されて、パワーとスピードのあるFWに対してはミンテが不可欠だと考えたからででしょう。
  • 開幕戦では横浜FCのクレーベに対して期待通りの強さを発揮するなど、ミンテにとってこのチームスタイルは追い風だなと思っていましたが、次第にチームのプレス強度が落ちていき、また各チームとも札幌にボールを持たせる選択を続けたことで、対人の強さよりもボールを運んで味方に届ける能力が重要になっていきます
  • そうなると、ずっとミシャが4年間気にしていて、試合中も大声でミンテの名前を読んでいる理由なのですが、ミンテは相手と対峙すると簡単にクリアでボールをリリースしてしまうので、味方(主に中盤の選手)に負荷がかかっていく。最終的には2度の退場(8節と15節)は、そのポテンシャルに期待して我慢し続けたミシャが考えを変えるには十分だったかと思います。
  • それも8節は数的優位下で相手の誘い出しに乗ってしまってDOGSOを取られて、15節はクローザーとして投入されたATにバックパス処理のミスから。それぞれずっと課題とされていたプレーでもあったので、残念ながら擁護は難しいものでした。


50 岡村 大八:21試合(内スタメン4)、458分出場、1得点0アシスト

  • ポジティブに言うと、勝っている試合のラスト10分でピッチに送り出すだけの能力は信頼されている(彼よりも若い選手にはその役割が与えられていないので、ここには明確な差がある)。一方でスタメンのDFとしては、サイズにせよDFとしての経験にせよ不足なのは承知で、終盤は高嶺や菅の後塵を拝していました。
  • ラスト10分跳ね返すだけならOKなのですが、イーブンのスコアからスタートして90分プレーすると考えると、大八にできることが現状少なすぎて、位置づけとしてはミンテに近いのです、味方のMFに負荷がかかることが、その守備能力のプラスを上回っているので起用には慎重にならざるをえないのは理解できます。
  • 一度書きましたが、ボールを保持している時の振る舞いは悪い意味で進藤化していて(とにかく高い位置を取れ、というのはミシャが言っているようですが)、受け手及び出し手としては全く機能しなくなるので、右DFで出ていると1人少ない状態でプレーしているぐらいの影響がある。ボールを預けられないとか運べないとか配球ができないとなると、モダンなフットボールでは、その選手のかなり可能性を狭めてしまうというか、非常にクラシカルな選手だなと感じました。
  • ただ24歳でJ3からプロデビューの大卒3年目、クラブの戦略としては、彼のような選手が主力になってくれることが前提でもあるので、何とか出場機会を確保してほしいところ。ただそのためには、繰り返しになりますがもっとモダンなDFにならないと難しいかなと思います。

2021年12月4日土曜日

2021年12月4日(土)明治安田生命J1リーグ第38節 横浜FCvs北海道コンサドーレ札幌 ~変わらないことの価値~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 横浜は厳しいシーズンでした。4/8に早川監督が就任し、5/26の福岡戦からは韓浩康が中央に入る3バックの1-3-4-2-1が多いようです。噂では、夏のマーケットで加入したGKブローダーセン、FWサウロ ミネイロといった選手はまずまずのクオリティで、彼らの個人能力を押し出しているようなチームに変わったと聞いていましたが…この日は前線は日本人選手3人のユニットでした。
  • 札幌はジェイが帰国して、また”インパクトプレイヤー”(横浜ではサブの選手をこう呼ぶようです)にFW不在のスカッド。

2021年11月27日土曜日

2021年11月27日(土)明治安田生命J1リーグ第37節 北海道コンサドーレ札幌vs柏レイソル ~クラシカルの対峙~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 柏はここ3試合は同じメンバー(1-4-4-2で、最終ラインが右から大南、上島、古賀、三丸、中盤がサヴィオ、三原、ドッジ、仲間、2トップがクリスと武藤)、その先まで遡っても1-4-4-2は固定されていましたが、やはりミシャ対策ということで5バックになる1-3-4-2-1、それも前線を1枚削って大南が右WBに入る、消化試合としてもかなり慎重な選択をしたと思います。
  • 札幌は離脱していた宮澤、青木が戻ってきて、ようやく頭数は揃ってきたところ。トゥチッチは31節以来のスタメン起用で、試合前に契約非更新と引退を示唆している”ライオンハート”ジェイはベンチスタート。

2021年11月21日日曜日

2021年11月20日(土)明治安田生命J1リーグ第36節 サガン鳥栖vs北海道コンサドーレ札幌 ~Possession & Progression~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 前節は王者・川崎をGuard of honorで迎えながら2つ目となる土をつけた鳥栖。この試合にもスタメン出場した中野嘉大、そしてJ1初ゴールとなる先制点を挙げた岩崎は、消化試合ということで札幌が出場を許可する(岩崎は前例アリ)のかとも思いましたが今回は温情なしでした。左WBには大畑、前線は中盤起用が多かった白崎が入ります。
  • 山下は後半戦は1ゴールのみと、勢いに陰りがあるようです。右WBは飯野が欠場で、松本がリーグ戦初スタメン。松岡が清水に移籍した後は、中盤底に樋口が回ることが多かったのが、この日は小泉がその役割を担います。
  • そんな鳥栖のシステムは、ボール保持はいつもの4バックに可変するとして、ボール非保持は1-5-2-3っぽい形でしたので、ニュートラルな状態では1-3-4-2-1としています。
  • 札幌はサブにFW2人、DF4人という陣容からも明らかなように、菅、宮澤、ルーカス、柳、ドウグラスオリヴェイラの離脱でかなり厳しい台所事情。期限付き移籍で貸している余裕もないのですが、選手としては外で出場機会を確保したいのは、それまでの起用法からすると必然でもあるのでしょう。

2021年11月7日日曜日

2021年11月6日(土)明治安田生命J1リーグ第35節 清水エスパルスvs北海道コンサドーレ札幌 ~君が話していたはずのこと~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • ミッドウィーク(祝日)の敗戦(vsFC東京、0-4)を受けて、ロティーナ監督の電撃的な解任に踏み切った清水。この日のスタメンでは、中盤センターに竹内、右に西澤、左の中村、という構成は新監督の色が表れていると言えるでしょう。システムは別に、1-4-4-2表記でもいいのですが、2トップのプレーエリアや役割分担を考えると縦関係意識だったのかなと思います。
  • 札幌は、深井が12試合ぶりのスタメン復帰。荒野がその分、前線にスライドする形ですが、選手特性を考えると駒井と逆のような気もします。

2021年11月4日木曜日

2021年11月3日(水)明治安田生命J1リーグ第34節 北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ ~No pain, no gain.~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 9月に監督交代があった湘南。結構ユニークなチームだという印象で、それは特にCB中央に坂(現大分)や石原広教といったサイズのない選手を置いて、単なる”後ろのDFが多い弱者のサッカー”に甘んじないという気概を感じました。ただこの試合は中央に大岩、左に山本とサイズのある選手を置いていて、この辺りは名DFとして鳴らした山口智新監督の考え方が表れていると言えるでしょう。
  • 3試合連続でスタメンだったウェリントンがベンチスタートなのは、ゲームプランによるのだと予想できます。
  • 札幌はルーカス、宮澤、そして試合当日に負傷が公表されたドウグラスオリヴェイラを欠きますが、岡村がサブに復帰。

同数守備vs1-3-1-4-2:

  • 2021シーズンのJ1で最も多く使われているシステムが、1-4-4-2ないし前線の1人が下がり目に位置する1-4-2-3-1(この2つを区別して論じる方もいますが私は根幹は同じだと思っています)。純粋マンマークで守る札幌は、このシステム相手だとアンカーが下がった1-4-4-2になる点は毎回指摘している通りです。
  • その次に多いのが、広島、大分、ガンバ、前節の福岡らが採用する1-3-4-2-1。3バックだとこれが各チーム1st choiceになっているようですが、この日の湘南はアンカーのいる1-3-1-4-2。
  • よって、湘南のビルドアップの際、前線が3枚の札幌は、後方が「3-1」で4枚になる湘南に対して、同数で守りたいなら何らか形を変える必要があります。この点がゲームの構造的な部分でのポイントの一つでした。

物足りなかった、明白なフリーマン:

  • 札幌の回答は、この試合に関してはいつもの「純粋マンマークの同数守備」を放棄して、最終ラインは数的優位を作る守り方とします。
  • 前線はチャナティップがトップ下のポジショニングで湘南のアンカー田中をマンマーク、小柏と青木が2トップの形で並び、ここは湘南の3バックに対して2トップで数的不利の構図。その分、どこで札幌が多かったかというと、最終ラインが3枚で、2トップの湘南よりも1人多い。
  • 一般に、サッカーでは攻撃側が優位とされるので、最終ラインは相手よりも1人多いのがセオリーです。この点においては、川崎フロンターレやヴィッセル神戸のようなチームに対して、最終ライン同数で対応する(しかも本職DFではない、対人に強くない選手が混在している)普段のミシャチームは型破りというか、クレイジーというか、もしくは”勝利以外の何か”を目標やKPIとしているようにも感じられます。この日の数的優位での対応は、ミシャチームとしてはイレギュラーなやり方ですが、サッカーのセオリーとしては普通のことです。

  • 一方で湘南としては、札幌はいつもの同数守備で来ると予想していたと推察します。湘南もこれまでと出方を変えていた(これが今のスタンダードなんでしょうか?最近見ていないので把握してないです)のは、恐らく札幌の同数守備対策だったのでしょう。
  • 具体的には、湘南の”変化”は、3バックの中央の大岩と右の石原が通常よりも右寄りの位置にスライド。石原を、4バックのSBみたいなポジションでプレーさせる、イレギュラーな配置とすることで、札幌のプレスにかかりにくくして、彼をボールの収めどころにしたかったのだと思います。
  • 石原はDFとしてはサイズ的にはかなり小さいのですが、このボール保持時の役割と、守備ではマッチアップする相手がチャナティップということで、サイズの懸念をあまり感じずに起用できると踏んだのでしょう。いつもの3バックの中央だと、ジェイやトゥチッチとのマッチアップになる可能性があるので、DF出身の山口監督としては、そのリスクを嫌ったのだと思います。
  • ギミック自体は、かつての宮本ガンバと似ていて、2020シーズンまでガンバでコーチを務めていた影響なのだと思います。

  • ですので湘南としては、石原をある程度フリーな状態にして、ビルドアップの起点にしたいと考えていたものの、札幌が石原に対して特定の守備者を用意しない(放置する)対応にしたのは、そこまでは想定していなかったという感じだったと思います。

  • 両者の思惑や戦術面の選択を整理すると▼になります。
  • フリーマンの石原を含む、湘南の3バック+アンカー、計4人(+,GKの谷)が関与するビルドアップを、札幌が3人(小柏、青木、チャナティップ)で、前線に有効なボールを配球させないなど対処できれば札幌に有利な展開に。よく「数的優位だから良い」とする論調?分析?を目にしますが、何度も言ってますが「どこかが数的優位ならどこかは数的不利になる」。その意味では、ここでは数的不利で対処できた方が、別のところで数的優位のままでいられるので、まず3人での対処を探るべきです。
  • 一方、湘南が数的優位や配置的な優位性を活用しつつ、前線に有効なボール(受け手が前を向いてプレーできる状態になる)を配球できれば、湘南に好都合な展開になります。
互いの思惑と選択(湘南の自陣でのボール保持のシチュエーション)

  • 実際の展開は…湘南は、フリーの石原にボールが入っても、そこから特に札幌が脅威になるようなプレーの選択がなかったと思います。たとえばフリーの状態で、近いポジションにいるWBの山田にボールを預けることがありましたが、それだけで「フリーのボールホルダー」という優位性は消えます。
  • やはり基本的にはフリーの選手はスペースにドリブル(conducción)して相手を引き付けるべきで、その意識も石原は弱いと感じました。
  • 札幌は、石原にボールが入ると、小柏かチャナティップが遅れて寄せる対応をします。チャナティップの場合は、アンカーの田中を背中で消しながら寄せますが、これも湘南はボディアングルやポジショニング次第でフリーな状態の選手を作るクオリティや工夫はあまり感じられず、少なくとも前半は札幌にとり殆ど問題になりませんでした。

  • 札幌が前線で数的不利でも対処できていたので、前半は、普段同数で頑張っている最終ラインはいつも以上にやりやすかったというか、大きな問題に至ることはなかった、と乱雑ですが結論づけることとします。

2021年10月24日日曜日

2021年10月24日(日)明治安田生命J1リーグ第33節 北海道コンサドーレ札幌vsアビスパ福岡 ~長すぎた冬眠~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー&試合結果
  • 福岡は試合前の時点で8位。恐らく札幌よりも低予算ながら、またスーパーなFWもGKもいないながら、札幌よりも先に残留を決めました。
  • 札幌の予算なり選手陣容を引き合いに出して「監督もフロントもすごいんだ」とする論調を見るたびに、個人的には、GKセランテスを放出して前年までJ2で20試合以上出場したシーズンがないGK村上に懸け、その分空いた外国籍選手の起用枠も含めセンターラインに重厚な補強をしたフロント及び監督の判断、戦略的な思考面はもっと注目に値するものだと思います。
  • そんな福岡に札幌は今シーズン3戦負けなしで、恒例の福森の飛び道具か、長身FW(ジェイ、ドウグラスオリヴェイラ)のパワーを活かした攻撃で得点を奪っていることは興味深いというか、マッチョサッカーを上回るマッチョサッカーが結局よりどころになっていると言えるでしょう。
  • この試合は、前線にジェイが復帰するものの、負傷者(宮澤、福森、岡村?、ルーカスフェルナンデス)の影響で最終ラインに高嶺と菅が並んでおり、パワー不足は懸念されるところです。

2021年10月17日日曜日

2021年10月16日(土)明治安田生命J1リーグ第32節 横浜F・マリノスvs北海道コンサドーレ札幌 ~あくまで”お祭り”なのだ~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • マリノスは畠中が離脱中で、岩田が8試合連続のCB起用。かつてのオシム・ジェフにおける中島浩司氏(阿部勇樹とストヤノフのバックアッパー)みたいな?重要な位置づけになっているようです。前線はエウベル&前田の組み合わせが多かったのが、仲川を右に起用してきたのは、マッチアップする札幌の左DFを意識でしょうか。
  • 札幌は宮澤が左ふくらはぎ痛、岡村も恐らく中断期間中のエリートリーグ何らか受傷があったようでDF2人を欠きますが、福森とチャナティップの復帰は好材料。

2021年10月3日日曜日

2021年10月2日(土)明治安田生命J1リーグ第31節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 ~ミシャさん初めまして~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 前節、柏に勝って連敗を4で止めたガンバ。システムは3バックと4バックを交互に採用していて定まっていないイメージですが、「勝っているチームは変えない」原則を意識なのか、前節と同じく4バックベースの布陣で30周年記念試合に臨みます。前線は宇佐美とパトリックの2トップとも解釈できますが、役割やプレースタイルから縦並びで表記します。
  • 札幌は離脱者(福森、深井、チャナティップ)以外は特筆点ナシのメンバーでしょうか。

2021年9月26日日曜日

2021年9月26日(日)明治安田生命J1リーグ第30節 北海道コンサドーレ札幌vsサンフレッチェ広島 ~夢は何年目まで?~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー&試合結果
  • 試合前の時点では札幌の方が1試合消化が少ないながら、勝ち点では並んでいるチーム同士のカード。
  • 広島は、開幕は4バックでスタートし、シーズン途中から3バックの1-3-4-2-1主体に切り替えているようです。メンバーは最終ラインと中盤センター(川辺の欧州移籍に伴いハイネルがスタメンに昇格)はほぼ固定で、前線はシャドーにエゼキエウと森島が多かったのが、この試合はジュニオール サントスと柴崎。前者はポテンシャルは評価されつつも、未だに活かし方を確立できていないようで、1トップの1st choiceはドウグラス ヴィエイラ。
  • 札幌は福森と深井、チャナティップが離脱中で、ジェイもこの日はメンバー外。スタメンは必然とこの辺りになってくるとして、リザーブに(中島ではなく)中村が入っているのは、左DFの候補が菅と高嶺だといくら何でも本職いた方がいいでしょ、みたいな観点もあったのでしょうか。

2021年9月19日日曜日

2021年9月18日(土)明治安田生命J1リーグ第29節 ヴィッセル神戸vs北海道コンサドーレ札幌 ~見ている景色は繋がっているか~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 神戸はGK前川が負傷でここ数試合は飯倉。3バックの採用はリーグ戦3試合目で、ここ4試合は最終ラインの枚数だけでいうと3→4→4→3となっているようです。
  • これは恐らく編成上、ウインガーの確保に苦労している一方で、大迫、武藤、そしてボージャンと中央で仕事をする選手を夏のウィンドウで確保できた(大迫と武藤に関しては、ACLで外国人選手枠が3に減るので両方欲しかったのでしょう)。これらの事情を踏まえて、また今は組み合わせを試行しながら戦っているのでしょうか。
  • そのため前節に引き続いて3バックの採用を予想していましたが、蓋を開けると大﨑は普通に中盤にいて4バックがベースの形、武藤が右でした。3バックになると大﨑が必然と?復権してスタメン復帰なのかと思っていたのでかなり意外でした。また右サイドが極端に薄くて、開幕前に櫻内獲得に走ったのが、いつしか酒井が右に回って初瀬が左で定着しているようです。
  • 札幌は、小柏が左太もも痛で欠場とのことで、こうなるとトップ(ジェイかトゥチッチの二択)以外は殆どメンバーの入れ替えの余地がない。柳が右に入るか?ぐらいが議論の的になりえるのですが、ミシャは田中駿汰の右を気に入っているようで、特にサプライスがない11人がスタメンに名を連ねました。

2021年9月12日日曜日

2021年9月11日(土)明治安田生命J1リーグ第28節 セレッソ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 ~アーリークロスの是非~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 中2日の同一カード。スタジアムはキンチョウから改装して「ヨドスタ」になったんですね。そして再びホームとアウェイを入れ替えるという、珍しい経緯をもったスタジアムなのではないでしょうか。
  • セレッソは左SBに丸橋、中盤センターに開眼しつつある喜田、中盤左サイドに乾、2トップの一角に前節リーグ戦初ゴールの松田力の4選手をターンオーバー。
  • 対する札幌は、菅を最終ライン左に持ってきて、高嶺をCB(中盤センターだけど、常に下がる役割の選手)に戻しています。そしてシャドー(守備時は相手のセントラルMFをマーク)の青木を左に移して、空いた前線のポジションに初先発となるミラン トゥチッチ。選手自体は1人しか入れ替えていないので、どこまで動けるかが気になるところです。

2021年9月9日木曜日

2021年9月8日(水)明治安田生命J1リーグ第19節 北海道コンサドーレ札幌vsセレッソ大阪 ~こんな陣形を誰がさせるのか?~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 監督交代後3試合目で、かつ、分析サンプルが松波ガンバとの連戦しかないセレッソ。札幌に合わせて3バックの採用もあるかなと思いましたが、蓋を開けてみればチアゴがベンチで、どう見ても1-4-4-2だな、というメンバーを送り出してきました。
  • キャプテンの清武が負傷で離脱しましたが、そのポジションでは8月末に加入した乾に期待がかかります。
  • セレッソが「どう見ても1-4-4-2」なら、札幌も大半のシチュエーションで4バックとして稼働するのでこの表記にします。予想通り、荒野は大半の時間CBっぽいことをしていましたし、青木も中盤センターみたいだった、としていいでしょう。
  • カップ戦で欠場した青木と小柏が復帰しましたが、福森の離脱により高嶺が最終ラインにスライド、このあたりの選手のやりくりは依然として難しい状況です。

2021年9月6日月曜日

2021年9月5日(日)JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝第2戦 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌 ~続・10ヶ月の固執~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 本日閉幕するパラリンピック開催のため、平塚をホームとするFC東京は、予想通り、初戦で休養していた森重とブラジルリアントリオが先発。そして三田が中盤センターに青木と代わって入り、東が右。中盤2枚のシステムで三田をセンターで使うのはあまりなく、攻撃的な布陣を選択してきたとの印象です。
  • 試合前の長谷川監督のインタビューでも「とにかく1点取るしかない」と言っており、(当たり前なんだけど)割と本心というかいかに点を取るか、を考えてこのゲームに臨んできたのかと推察します。
  • 札幌は1戦目で欠場した青木、小柏、チャナティップ、深井のうち、青木は軽いランニング程度は行っているとの報道がありましたが、結果的にはベンチのトゥチッチ以外は1戦目と同じメンバー。

2021年9月2日木曜日

2021年9月1日(水)JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝第1戦 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 ~10ヶ月の固執~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • FC東京はブラジリアン3トップがベンチスタートで、森重は帯同しているらしいですがメンバー外。右SBには、8月のリーグ戦ではまだ信頼を得ている途上っぽかった鈴木がスタメンに昇格しています。
  • 札幌は、チャナティップが試合直前に内転筋?の負傷で離脱(さすがに何度目だ…)、ジェイが急遽スタメンに入ったとのこと。

2021年8月29日日曜日

2021年8月28日(土)明治安田生命J1リーグ第27節 北海道コンサドーレ札幌vs川崎フロンターレ ~本当に「安い」と言えるもの~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 川崎は、3日前に福岡とのアウェイゲームではキャプテン・谷口を欠き、ジェジエウもターンオーバーとした影響もあってか開幕26試合目にして無敗記録がストップ。ただしリーグ戦はまだ3ヶ月続くということで、5人を入れ替えるターンオーバーで札幌に乗り込みます。
  • 夏にヨーロッパへと旅立った田中碧、三笘の後継者探しは、前者は旗手が最終ラインからスライドか、橘田を試しているところで、後者は元々長谷川に宮城という、質的にはともかく似たタイプの選手がいるので比較的、問題は小さいと言えるでしょうか。しかしその旗手は前節、接触プレーの影響で前半途中で退き、この試合も欠場。
  • 札幌は、後継者探しをしているということでもないですが、キム ミンテの期限付き移籍や、コンディション不良等により深井、宮澤といった選手の欠場が重なると、元々手薄なポジションのバックアッパー不足が顕在化します。
  • マルチロールな選手をやりくりしたうえで、ここ2試合は最終ラインの4番手となる選手を右DFの位置で試行錯誤していますが、ミシャの中では前々節で起用した岡村、前節で起用した柳は一長一短という評価なのでしょうか(私は柳で問題ないと思いますが)。高嶺の最終ライン起用はそこそこ気に入ってるようで、名古屋戦に続いて、簡単な相手ではないですが重要な役割を任せられています。

2021年8月26日木曜日

2021年8月25日(水)明治安田生命J1リーグ第26節 北海道コンサドーレ札幌vs名古屋グランパス ~頻度主義の罠~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • スタメン表記はお互いのボール非保持の際の配置がベースです。丸山、木本、そして期限付き移籍のキム ミンテを起用できない名古屋は、ボール非保持は3バックを採用。森下が最終ラインと2列目を行き来して調整栓を担います。そして前線には、シュヴィルツォクが初のスタメン起用。
  • 札幌は柳が初スタメンで、こちらは何故かミンテを放出したことで勝手に手薄になった最終ライン右に起用されています。

2021年8月22日日曜日

2021年8月21日(土)明治安田生命J1リーグ第25節 大分トリニータvs北海道コンサドーレ札幌 ~「遅さ」の意義~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 大分は、前節マリノス相手に4バックでスタートしましたが、今回は最終ライン5枚に戻してきました。前線は、柏から完全移籍で加入した期待の呉屋が初のスタメン起用。同じく右にも夏のマーケットで獲得した増山が起用され、絶対的なレギュラー不在だった2つのポジションが埋まった格好にあります。
  • そしてシステムは札幌の1-4-1-5に変形する形を恐らく意識した1-3-4-1-2。町田がトップ下でアンカーの荒野とマッチアップします。
  • 札幌は、高嶺が3試合ぶりにスタメンに戻って、駒井がシャドー、金子が右WBにスライドし、ルーカスがベンチスタート。ジェイとルーカスは同時起用したい、ということならわかりますが、厚別での対戦で前線起用され2ゴールの金子を、わざわざWBに戻すことの積極的な理由が見当たらないように思えます。
  • 最終ラインは出場停止の宮澤に代わって、岡村が右でスタート。これは駒井の起用くらいしか代案がないので、想定通りでしょうか。


2021年8月14日土曜日

2021年8月14日(土)明治安田生命J1リーグ第24節 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 ~けっきょく たてぽんが いちばん つよくて すごいんだよね~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 東京は森重が累積警告による出場停止から復帰。トップはディエゴ オリヴェイラが欠場ですが、前節の負傷の影響とみられます。
  • 負傷者による右SBの人材難のため、左にバングーナガンデ(長いので以下カシフ)が入り小川が右にスライド。ただ、秋田から獲得した鈴木がベンチ入りしています。
  • 札幌は前節に続いて中央に深井。ルーカスが出場停止、チャナティップは特に情報なしですが欠場で、高嶺を入れて荒野を上げる選択もあったと思いますが、好調の青木が2トップの左/左シャドーの役割に入ります。

2021年8月11日水曜日

2021年8月9日(月)明治安田生命J1リーグ第23節 北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ ~先を歩く決断~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 浦和は約1ヶ月ぶりの公式戦。東京オリンピック開催に伴う中断期間に酒井宏樹、ショルツ、江坂が登録されましたが、江坂以外はおそらくコンディションの観点で招集外。
  • また名前が明かされていませんが、7月末に新型コロナウイルスの陽性者が1名発表されており、該当者抜きでメンバーを組んでいると予想します。左は明本が所謂「幅を取る選手」で、宇賀神と並べるチョイスは珍しい。ゴールラッシュでチームを牽引してきたユンカーのベンチスタートは戦術的な理由でしょうか。
  • 札幌は、2ヶ月半前の16節の鳥栖戦以来に深井がスタメン復帰。荒野との序列は流動的ですが、唯一の左利きでキープレイヤーになっていた高嶺を下げることでの影響が注目されます。
  • ルヴァンカップでの活躍により重用されてきた青木がベンチスタートで、菅の起用も含め、対人守備での強さを重視しているような印象もあります。ジェイ投入のタイミングでルーカスを右からずらしそうなスカッドである点は依然として気になりますが。

2021年8月1日日曜日

2021年7月30日(金)明治安田生命J1リーグ第4節 北海道コンサドーレ札幌vsガンバ大阪 ~夏休みの過ごし方~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 6/29(火)から9/1(水)まで毎週ミッドウィークに試合をこなすという、選手も戦術ブログ君もぶっ倒れそうなスケジュール中のガンバ。J1のリーグ戦に関しては、新型コロナウイルスでの未消化分があり出遅れていましたが、前節は大分との6 pointerを制して最低限、降格圏からの脱出には成功しています。
  • メンバーはターンオーバー前提なので誰が主力とは言い難い面もありますが、システムは3バック+2シャドーの1-3-4-2-1、最終ラインはこのユニットが基本でしょう。
  • 札幌は宮澤が謎の欠場で、田中駿汰が中央にスライド、駒井が右DFで起用されています。前線はジェイが復帰で、小柏と金子がそれぞれスライド、ルーカスが久々に左WBに”なってしまいます”。

2021年7月11日日曜日

2021年7月10日(土)明治安田生命J1リーグ第22節 ベガルタ仙台vs北海道コンサドーレ札幌 ~夏の7不思議~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 4月の厚別での対戦時は開幕10戦未勝利だった仙台。しかし12節以降の10試合は、等々力で川崎相手に追いついて勝ち点1を得るなど3勝4分で13ポイントを稼ぎ、低水準で推移する残留争いラインから引き離されずにしぶとく戦い続けています。この間5試合でスタメン出場し2勝2分に貢献したフォギーニョの離脱が痛いところでしょうか。
  • その他メンバーは、5月から合流しているFWフェリペ カルドーゾが初スタメン。スタメン出場が多い選手の中では、西村と氣田がベンチスタート。
  • 札幌はTwitterで「俺はフルシーズン出場可能」とサポーターに絡んでいたジェイが5/29の柏戦以来の復帰。厚別での対戦でも仙台のDFアピアタウィアの上から決勝点を挙げており期待がかかります。仙台が2トップ気味なので、今回も私は1-4-4-2と解釈します。

2021年7月5日月曜日

2021年7月4日(日)明治安田生命J1リーグ第21節 北海道コンサドーレ札幌vs徳島ヴォルティス ~見えにくい差~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • リーグ戦ここ5節で2分け3敗の徳島は、2列目のバトッキオ、渡井、最終ラインの福岡といった選手の序列が上がっており試行錯誤が続きます。
  • チーム最多得点(5点)の宮代は初のベンチスタート。厚別の風もありますし、札幌は後半に人を入れ替えて急激にペースややり方を変える傾向がある(≒それまでのやり方を”捨てる”ことに抵抗がない)チーム。5月にホームで逆転負けを喫したこともあってのメンバーセレクトでしょうか。
  • 札幌はアンデルソン ロペスの移籍話が具体化してからの数試合は、荒野が前線で起用されてきましたが、故障から戻った小柏が初めてアンデルソン ロペスのポジション(左FW/3トップの頂点)でスタート。深井が前節負傷交代したため、荒野は中盤センターのバックアップとしての役割も兼ねます。
  • 長身FWが抜けてからルーカス フェルナンデスの出場機会が増えるなどは相変わらずチグハグ感がありますが、こちらも前線は試行錯誤が続くと思われます。

2021年6月27日日曜日

2021年6月27日(日)明治安田生命J1リーグ第20節 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌 ~原則論に向き合う部分と逃避する部分~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:


スターティングメンバー&試合結果

  • 鹿島は、東京オリンピック代表に選出された上田が負傷で2試合続けてのメンバー外。他は、相馬監督就任以降で序列が変化していることもあってか、両SBは杉岡と常本が起用されています。
  • 札幌は前から思っていたのですが、このメンバー(高嶺がスタメン)で相手が1-4-4-2系のシステムだと、高嶺は常に宮澤と福森の間でプレーするなど、ほとんどの時間を1-4-4-2っぽい陣形で戦っているのでこういう表記でもおかしくないでしょう。メンバーについては特段触れることがありません。

2021年6月21日月曜日

2021年6月19日(土)明治安田生命J1リーグ第18節 北海道コンサドーレ札幌vs大分トリニータ ~前方向が刺さる理由~

 1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

  • 大分が中継画面向かって左側(ホーム側)の陣地を前半選択したのでこのように表記します。
  • 大分は、中盤センターの1st choiceである下田がメンバー外で、右アウトサイドには最終ラインでの起用が多い小出。左の高畑、下田に代わって起用の羽田、そしてトップに入る井上も含めて考えると、なんとなくゲームプランが見えてきます。
  • 札幌はアンデルソンロペスとの別れの時が近づき、他にも起用できる選手のオプションに乏しい前線は、ルヴァンカップに続いて荒野の前線起用が継続されます。この日は、大分が3バックの1-3-4-2-1ベースということで、必然とトップに近い位置でのプレーが多くなります。

スターティングメンバー&試合結果

2021年6月14日月曜日

2021年6月13日(日)YBCルヴァンカップ プレーオフステージ第2戦 横浜F・マリノスvs北海道コンサドーレ札幌 ~日ごろの行い~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • ポステコグルーが正式にセルティックへの栄転が決まり、松永英機アカデミーダイレクターが暫定監督に就いた、マリノスは、第1戦との違いは、右SBの小池→松原。のはずが、ティーラトンがキックオフ直前に体調不良で小池が左に入ります。そしてオナイウがA代表に追加召集された前線は、天野が入り、マルコス ジュニオールがトップにスライド(だったと思います)。
  • これまで●●年の人生で様々な暫定監督による指揮を見てきましたが、"9番"としてレオ セアラが起用できる状況下での、この采配はかなり尖ったものだなという印象があります。なかなか全てを把握していない状況下で思い切った采配は難しいと思うからです。という旨?の質問が試合中、実況アナウンサーから清水秀彦解説員に投げられた際は、なぜか不機嫌おじさんが爆発していましたが。
  • 札幌は、第1戦で負傷交代した深井、小柏がやはり欠場で、まず駒井を中盤センターにスライド。そして第1戦では両アウトサイドを務めていた青木と金子を前線に配置し、3日前に天皇杯に出場していたルーカスと菅をスタートから起用でやり繰りします。

2021年6月6日日曜日

2021年6月6日(日)JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフステージ第1戦 北海道コンサドーレ札幌vs横浜F・マリノス ~俺らは知ってるぜ~ 

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • リーグ戦中断期間ということで、もしくはリーグ戦は川崎フロンターレの独壇場であることを踏まえて、現実的にタイトルが狙えるカップ戦のグループステージ以降は徐々に位置づけが変わってくるということなのか、お互いに主力級がスタメンに並びます。
  • ただ、札幌は予想されたメンバーからジェイがよくわからない理由で外れ、荒野が長期離脱から復帰後では初めて前線で起用されました。
  • マリノスは前田が代表招集中で、やや序列低下気味の仲川が右に入ります。

2021年5月30日日曜日

2021年5月29日(土)明治安田生命J1リーグ第17節 柏レイソルvs北海道コンサドーレ札幌 ~未来を映す鏡~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • ミッドウィークから中2日のタフな日程。柏をあまり見れていないのですが、3バックと4バックの併用で、出場記録から見ると最終ラインの古賀、大南、上島、中盤の椎橋、前線の江坂が軸でしょうか。前節からは川口・江坂・細谷がスタメンを外れ、高橋峻希・三原・アンジェロッティを起用しています。
  • 札幌も珍しくターンオーバーをしており、宮澤、深井、金子、菅がベンチスタート。前節ジェイと福森を早めに交代させたのはこのためだったのでしょう。中盤センターと両ウイングバックにフレッシュな選手を起用していますが、アンデルソンロペスとチャナティップを欠く前線はやりくりが厳しい状況です。

2021年5月27日木曜日

2021年5月26日(水)明治安田生命J1リーグ第16節 北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖 ~何が起こるか見てみよう~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー
  • 依然としてとしてハードな日程が続くシーズンですが、ボール保持:1-4-1-3-2、ボール非保持:1-5-3-2のようなシステムの鳥栖はほぼ全ポジションでメンバーを固定しています。
  • この日のスタメン以外だと、前線の2トップに酒井宣福や林が入ったり、札幌から期限付き移籍のよし君こと中野嘉大がここ2試合、左MFの小屋松のポジションで活躍したりはありますが、他はほぼこのメンバー。ここまでは素晴らしいシーズンを送っていますが、今後はコンディション維持もポイントになりそうです。前節の鹿島戦に続いて本田が起用されているのは、ディフェンスに理由があったでしょうか。
  • 札幌は、得点ランキングトップのアンデルソンロペスが前節負傷交代、最終ラインのファイター・キムミンテがシーズン2度目の退場処分で2試合出場停止。いずれも起用できれば、鳥栖相手にはキーパーソンとして期待されるので痛い状況です。タイ代表への合流を控えるチャナティップは、全体練習に復帰しておりベンチスタート。

2021年5月23日日曜日

2021年5月22日(土)明治安田生命J1リーグ第15節 北海道コンサドーレ札幌vs清水エスパルス ~「なんとかしている」のはだれか~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 8戦勝ちなしの清水は、ここ数試合スタメン起用が続いていた立田、鈴木唯人がベンチスタートでディサロが第8節以来のスタメン。また、チアゴ サンタナは体調不良だそうです。ボール保持は1-4-4-2、ディフェンスは1-5-3-2ないし1-5-4-1で守る、ロティーナがセレッソ自体から見せていた変則システムを採用しています。役割が変わるポジションには松田陸や片山のようなフィジカル自慢の選手が重用されていました。
  • 札幌はキム ミンテ、ルーカスが復帰しましたが、カップ戦での起用もあるのでベンチスタート。左は札幌加入後初めてとなる駒井。確か浦和では、たびたび左でも起用されていたでしょうか。当時はアウトサイドで違いを作る役割でしたが、このスタメンだと使い方は別だろうな、という予感がありました。ジェイのスタメン起用は、水曜日のルヴァンカップを「食あたり」で休んだ影響もあったでしょうか。

2021年5月19日水曜日

2021年5月19日(水)YBCルヴァンカップ グループステージ第6節 北海道コンサドーレ札幌vs鹿島アントラーズ ~忠実な若者~

1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌は、菅が遂にDFでスタメン出場。4バック相手だとCBというよりSBの役割だと考えるとわからなくもないですが、岡村が右、柳が右WB、ルーカスが左WBと聞くと非常にチグハグ感…何度も書いてますが普通に4バック(右から柳、岡村、ミンテ、菅で、ルーカスが右MF)じゃダメなんか?との感想です。それでも駒井は勝手に降りてくるんでしょうけど。
  • 鹿島はGKと最終ラインは前回のルヴァンカップでの対戦と同じ。一方で新型コロナウイルスの影響か?で休んでいたアラーノが戻ってきていたり、アルトゥール カイキが初出場だったりと力のある選手が並んでもいます。

2021年5月17日月曜日

2021年5月16日(日)明治安田生命J1リーグ第14節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 ~沈黙が解なら~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 川崎は中3日の日程ですが、前節もホームゲーム、かつジェジエウ、ジョアン シミッチ、家長、レアンドロ ダミアンがスタメンから外れていたこともあって、この試合は田中碧(と、負傷の大島)以外はほぼベストメンバー。
  • 札幌は依然としてキム ミンテ、ルーカス フェルナンデス、そしてチャナティップを欠く布陣。荒野も万全ではないとのことで、トップ下(シミッチの担当)には予想通り駒井、最終ラインには宮澤がスライドしています。

2021年5月9日日曜日

2021年5月9日(日)明治安田生命J1リーグ第13節 徳島ヴォルティスvs北海道コンサドーレ札幌 ~理不尽なるライオン~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 徳島はCBにいずれも初先発のカカとドゥシャン。鳴り物入りで加入した前者には大きな期待がかかります。ドゥシャンにはそんなに真新しさがない(やれる/やれないことはわかりきっている)ものの、札幌が得意とするクロスボール攻撃を意識した起用でしょうか。後は、トップ下にバトッキオ、左の西谷もリーグ戦初先発。
  • 札幌はチャナティップが負傷とのことで、普段の”序列”の通り、駒井が前線で起用されます。空いた中盤センターの椅子には深井。

2021年5月5日水曜日

2021年5月5日(水)YBCルヴァンカップ グループステージ第5節 北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖 ~諸々の発動条件~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 4試合で勝ち点1の鳥栖は、グループステージ突破がかなり難しい状況で、ホームでの試合に出場していた山下、仙頭といったメンバーも帯同せず完全に消化試合モードを感じます。
  • 金監督のポジショナルプレーにおいて特に重要な選手は、GKのパク イルギュと左利きCBのエドゥアルド。仲間に時間とスペースを与えることができるこの2人がいないチームに対するパフォーマンスは、割り引いて考える必要があるでしょう。中盤の福井は16歳、まだまだこんな選手が出てくるのが恐ろしいところです。
  • 札幌は何人か負傷者がいるとのことですが、岡村は恐らく確定、中村はベンチ入りしたので使える状況ではあるみたいです。ただ、左DFは昨年も何度か急場凌ぎで使われた高嶺。こちらはレギュラークラスが少なくとも5~6人くらいは名を連ねています。

2021年5月3日月曜日

2021年5月2日(日)明治安田生命J1リーグ第12節 湘南ベルマーレvs北海道コンサドーレ札幌 ~隣の芝は青く見える~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌はミッドウィークに引き続き、キム ミンテとルーカス、更には岡村がメンバーを外れ、恐らく故障等だと見られます。毎年最終ラインは枚数不足で、ミンテなり進藤なり比較的、無理がききそうな選手がフル回転して凌いできましたが、岡村のコンディションによっては今後も含めて不安を感じます。
  • 湘南は、トップの大橋、両アウトサイドの高橋と岡本、インサイドハーフの山田直輝、169cmのDF石原、GKの谷が不動のスタメンのようで、後は中盤の名古、最終ラインの館と大野あたりが出場機会が多い。ほぼベストメンバーと言っていいでしょう。

2021年4月30日金曜日

2021年4月28日(水)YBCルヴァンカップ グループステージ第4節 北海道コンサドーレ札幌vsアビスパ福岡 ~原型のわからない何か~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー
  • 札幌はキム ミンテが出場停止。ミシャ曰く「負傷者が多い」とのことですが、具体的にはルーカスと深井を指しているでしょうか。ただ、起用できる状態の柳や青木がベンチスタートだったりで、この4節でグループステージ突破を決めにきたメンバーだと見て取れます。左DFが中村ではないのは、これも故障なのかもしれませんが、「福森がいないとどうしようもない」からなのか?と思いました。
  • 福岡はリーグ戦からターンオーバーしています。ただ、結果的に、60分前後にサロモンソン、前寛之、金森の主力3選手が登場し、時間を限定させたうえでこちらも決めに来たんだろうなと思います。

2021年4月25日日曜日

2021年4月24日(土)明治安田生命J1リーグ第11節 北海道コンサドーレ札幌vsベガルタ仙台 ~令和の俊也?~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌はキム ミンテ、ルーカスが負傷でメンバー外。田中がスタートから最終ラインの中央に入るのは、2020シーズン序盤のFC東京戦以来でしょうか。
  • 仙台はお金がないと聞いていますが、独特のスカウティング網を持っているのか、それとも代理人の売り込んできた選手を積極的に獲る傾向があるのかわかりませんが、2021シーズンから加入した外国籍選手が3人。
  • ただCovid-19の流行下で裏目に出ているのが、入国制限措置によってオッティ、フォギーニョといった選手の合流が遅れ、オッティは先日ようやくデビューを果たしましたが早速負傷で離脱してしまいました。結果この試合のメンバーは比較的、前のシーズンから見知った選手が多い印象です。

2021年4月23日金曜日

2021年4月20日(火)YBCルヴァンカップ グループステージ第3節 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌 ~失われる緊張感~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • ちょうど2週間前のリーグ戦、ドームでの札幌戦の後に鹿島はザーゴ監督の交代を決断し、後任は相馬コーチが内部昇格。更には複数選手に新型コロナウイルスの陽性反応があったとのことですが、恐らくそれはエヴェラウド、ファン アラーノといったブラジル人選手。もっとも彼らはカップ戦には出てこないクラスなので、直接的には影響はあまりないでしょう。
  • 少数精鋭編成の札幌は、毎年恒例のキム ミンテがリーグ戦と掛け持ちになるのでしょうか。明るい材料はドウグラス オリヴェイラの復帰で、使い勝手のいい選手であるため、スタッツ以上に戦術的な幅は広がっていくと思います。

2021年4月17日土曜日

2021年4月16日(金)明治安田生命J1リーグ第10節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜F・マリノス ~変わらぬ愛と変えねばならぬ未来~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 負傷で起用できない選手は、札幌がGK中野と小柏。マリノスは仲川。お互いに、本調子ではないと思いますが、荒野とティーラトンがメンバーに復帰したのは好材料です。
  • 札幌はその小柏以外は、ルーカスが2試合続けてベンチスタートになった他はほぼベストメンバー。菅を左に置く理由は、やはりボールプレイヤーが前線に多すぎてバランスが悪いことが理由の一つでしょうか。
  • ACLに出場しないマリノスですが、エリキのようなキープレイヤーを除けば比較的戦力をキープしているように見えることもあって、替えのきかないCB2人以外は比較的、メンバーを入れ替えながらシーズンを送っています。特にGKも高丘とオビで回しているのは珍しい方だと思いますが、これはシーズン後半、東京オリンピック(やるんですよね?)開催後くらいの時期により活きてくるかもしれません。

2021年4月11日日曜日

2021年4月11日(日)明治安田生命J1リーグ第9節 北海道コンサドーレ札幌vs鹿島アントラーズ ~幾つかのtrade-off~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • まぁまぁ忙しくてあまり鹿島の試合を見れなかったのですが、ほぼベストメンバーのようです。この11人以外だと、中盤に永木、2列目攻撃的MFに荒木、最終ラインに広瀬や関川が登場することもあるようです。エヴェラウドと土居が相手によってポジションをスイッチする傾向は2020シーズンと同じですね。
  • その、エヴェラウドを擁する鹿島に対し、唯一対抗できるDFキム ミンテを出場停止で欠く札幌は、最終ラインに宮澤。そして前節負傷の小柏のポジションには駒井。ルーカスは初めてベンチスタート。ジェイのベンチ入りもこのシーズン初めてです。駒井とチャナティップが前線に並ぶと、チャナティップが前に出て守備をするのでこの2トップでシステムは表記します。

2021年4月8日木曜日

2021年4月7日(水)明治安田生命J1リーグ第8節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌 ~地図にない場所で~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 共に中3日でのゲーム。FC東京は前節から東→安部、中村帆高→ 中村拓海。おそらくスカッドの関係で、前線と中盤はある程度ターンオーバーしながらシーズンを乗り切っているのは過去のシーズンから続く傾向ですが、CBは依然として森重と渡辺への依存度が高く感じます。
  • ただ、森重の中盤起用と1-4-1-2-3の採用は、単にコマ不足というよりは、最終ラインの要である選手を動かすデメリットをも上回る、戦術的なメリットを感じているのだと予想します。
  • 札幌は、負傷離脱中だった小柏と田中駿汰が復帰で、開幕戦のメンバー(おそらくこれが現状のベストなのでしょう)が揃いました。深井は休養とみられ、ジェイも徐々にコンディションを上げているようですが、まだ起用には至らないようです。

2021年4月4日日曜日

2021年4月3日(土)明治安田生命J1リーグ第7節 アビスパ福岡vs北海道コンサドーレ札幌 ~閃きの母~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

  • ドウグラス グローリが出場停止、ブルーノ メンデスを故障で欠く福岡は、いずれもリーグ戦初出場となる渡と奈良が先発。そして湯澤が左MFに入り、自陣では5バックで守る陣形を採用します。
  • 札幌は、U24代表招集中に負傷した田中に変えて岡村がリーグ戦初先発。2021シーズン初となる宮澤のCB起用は、岡村との兼ね合いを考えたのがまず思い当たります。第2節以降離脱していた小柏はベンチに復帰しましたが、青木はまたも体調不良でメンバー外。中野嘉大の鳥栖への期限付き移籍もあり、一気に手薄感を感じさせます。
スターティングメンバー&試合結果

2021年3月28日日曜日

2021年3月27日(土)YBCルヴァンカップ グループステージ第2節 サガン鳥栖vs北海道コンサドーレ札幌 ~論理的な理由~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

  • 鳥栖は直近のリーグ戦のメンバーから、仙頭、山下、島川を残して8人を入れ替え。うち左DFの中野、FWの林がU24日本代表に招集されています。
  • なお鳥栖のシステムを数字の羅列で示すと、ボール非保持は1-4-4-2、ボール保持は1-4-3-3に近い形ですが、便宜上1-4-4-2としています。リーグ戦ではボール非保持は、左MFが最終ラインに下がる1-5-3-2が近いでしょうか。ただメカニズムや役割はさほど変わりません。
  • 札幌も同じくU24代表の田中駿汰(但し、前日に負傷離脱したことが発表されました)を欠きますが、他にMF宮澤とGK中野小次郎を入れ替え。他の8人は先週末のリーグ戦にスタメン出場した選手を選んできました。
  • 注目は最終ライン右の駒井ですが、一般的な3バックの右(センターバック)と言うより、相手の右サイドをマンマークする役割と考えると起用には妥当性が増します。特に4バック+2トップ系のチームが2021シーズンのJ1には増えているので、札幌のこのポジションはよりサイドプレイヤー的な性質が求められています。

スターティングメンバー&試合結果

2021年3月21日日曜日

2021年3月20日(土)明治安田生命J1リーグ第6節 北海道コンサドーレ札幌vsヴィッセル神戸 ~ 今、考えるべきこと~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌は2試合休んでいたチャナティップが直前の練習で復帰、小柏以外は開幕戦のスタメンが揃いました。GKは2試合連続で小次郎。
  • 神戸は山口や酒井高徳を除くと、主力選手を2~3試合ごとに休ませています。この試合は井上、ドウグラス、そして代表招集を受けたフェルマーレンがメンバー外。

2021年3月18日木曜日

2021年3月17日(水)明治安田生命J1リーグ第5節 浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌 ~燃料の使い方~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 前節0-3から中2日の浦和は、固定気味だったスタメンから右に関根、中央に金子、そして小泉と阿部をそれぞれ1列スライドさせてきました。メンバーの固定について、前節、リカルド・ロドリゲス監督からは「チームの完成度を高めたいため」とする説明があったようですが、本音はまだ起用に耐えうる選手が17~8人見極められていないというのが実情でしょうか。
  • 札幌は、新型コロナウイルスの影響により土曜日の試合がスキップされ中6日で埼玉に乗り込みました。移動を考慮しても、マンマーク戦法のチームには非常にありがたい”補給期間”となったと思います。
  • 離脱が重なって壊滅的だった前線は、中野と青木が練習に復帰しており、多少は計算が立つようになりました。そして駒井も直前に練習復帰し、開幕戦とは逆の左インサイドハーフで出場しています。

2021年3月11日木曜日

2021年3月10日(水)明治安田生命J1リーグ第3節 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌 ~背中の数字の意味~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー
  • 中2日の広島はスタメン4人を入れ替えてきました(茶島、今津、柏、柴崎)。もっとも前節はリーグ屈指の攻撃力を誇るマリノス相手ということで、前線にスピードのある選手を並べてリトリートからのカウンター狙い、の傾向が普段以上に強く、前節のメンバーが基準かというとそうでもない気もします。
  • 個人的には、ジュニオールサントスが下がり目のFWでスタートから起用されるとしたら、彼の運動能力に太刀打ちできる”リベロ”は札幌にはいない(というか、そもそも宮澤しか選手がいないのですが)ので、ベンチスタートなのはどちらかというと好材料かと思っていました。
  • 中3日の札幌は、前節終了後に小柏、駒井、トレーニング中にドウグラスオリヴェイラと青木、そして試合直前にチャナティップが出場不可となり、この5選手はいずれもシャドーが務まる選手で、キャンプ終盤に離脱した中野も含め、シャドーだけ一気に手薄な危機的状況に陥ってしまいました。高嶺が急遽スタメン入りしましたが、選手の役割整理や配置は別にすると、選択肢がこれしかなかったのが実情だったでしょうか。

2021年3月7日日曜日

2021年3月6日(土)明治安田生命J1リーグ第2節 名古屋グランパスvs北海道コンサドーレ札幌 ~僕たちは付き合っている~

 1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 名古屋のフィッカデンティ監督は、あまりターンオーバーに積極的ではない印象があり、過密日程となった2020シーズンも特にCBの中谷と丸山は34試合フル出場という記録を残しています。起用に応える選手も凄いですが、キーとなるポジションは多少コンディションに不安があっても、信頼できる選手は動かさないという方針が読み取れます。
  • ミッドウィークのガンバ大阪とのゲーム(ACL組のリーグ戦)が延期になったことを考慮しても、名古屋のメンバーは福岡での開幕戦と同じだろう、となんとなく思っていましたが、実際はトップ下に柿谷→シャビエル、右SBに宮原→成瀬、アウトサイドはマテウスを左に持っていき、右に前田。
  • 柿谷はこのスカッドだと裏抜けからのフィニッシュを期待するストライカーで、シャビエルはよりマテウスや前田を活かせるタイプだと見ます。森下を含めてレギュラークラスを3選手保有している最終ライン右はよくわからないですが、森下は左で考えられているともどっかで見た記憶があります(だとすると、そのポジションは対人性能を非常に重視しているのでしょうか)。
  • 対する札幌は、水曜日のルヴァンカップで11人を入れ替えたのは、この試合により照準を合わせていたからで、こちらも予想通りのメンバー。ただ、変えなかったと見るか、変えられなかったと見るか。試合を見た後では違った感想になる方もいるかもしれません。

2021年3月3日水曜日

2020年3月3日(水)YBCルヴァンカップ グループステージ第1節 アビスパ福岡vs北海道コンサドーレ札幌 ~遠いセーフティリード~

 1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 両チームとも完全ターンオーバー。特に福岡は名古屋とのリーグ開幕節が日曜日開催のため、中2日の日程を考慮するとここで休ませつつ、出場機会のなかった選手のコンディションをコントロールしない理由はありません。
  • 札幌はこれまでCB中央を務めた選手がキムミンテ、宮澤、田中駿汰。3選手ともリーグ戦で起用したので誰になるかが焦点でしたが、タイプ的には一番キムミンテに近そうな岡村が起用されました。もっとも、柳はアウトサイドでの起用がこれまで多かったので、中央ができそうなのが岡村しかいないという事情もありますが。
  • 札幌のジェイ、福岡の杉本太郎といった選手は負傷でメンバー外。

2021年2月28日日曜日

2021年2月27日(土)明治安田生命J1リーグ第1節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜FC ~遠近両用~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 開幕戦ですが、横浜の情報が殆どなかったためプレビューはお預けです。ただ、メンバーに関しては昨年の2トップの一美と斉藤光毅、サイドアタッカーの中山、CBの小林が抜けており、特に前線の選手のキャラクターが変わったことはチーム作りの前提条件の一つとなりえます。左利きのCB小林の退団については、3バックの採用がやや難しくなったと言えるかもしれません。
  • 対する札幌としては、横浜の最終ラインが3枚、4枚いずかれは断言できないにしても、前線は2トップの採用が濃厚。となるとアンカーにはCB兼務の宮澤を置きたいと考えるのは極めて妥当です。他は概ね予想通りのメンバーですが、キャンプイン時は高嶺と深井のユニットも見られたようですが、やはり信頼が厚い駒井が先発起用されています。

2021年1月2日土曜日

北海道コンサドーレ札幌の2020シーズン(2) ~「後は決めるだけ」だったのか?~

Q.

A.

  • 極端なプレッシング主体のサッカーに突如転換したことは、違和感というか納得感があまりなかったけど、それまでの様々な文脈(ルヴァンカップ決勝でスーパーサイヤ人に負けて限界を感じた、元々志向しているスタイルの浸透が2年間やって難しかったetc…)を考慮すると妥当感が出てくるな、って話ですね。ざっくり言うと。
Q.
  • ようやく2020シーズンのサッカーの話ができる。
A.