2019年5月11日土曜日

プレビュー:2019年5月12日(日)明治安田生命J1リーグ第11節 松本山雅FCvs北海道コンサドーレ札幌

1.予想スターティングメンバー

予想スターティングメンバー

・札幌:
 ×(欠場濃厚)…MF駒井、MF中原、FWアンデルソン ロペス、MFチャナティップ
 ▲(出場微妙)…FWジェイ
・松本:
 ×(欠場濃厚)…MF山本

 チャナティップは水曜日のルヴァンカップ後の故障で遠征に帯同していないとのこと。相手が相手でありながら、珍しくあっさりと情報をオープンにする札幌陣営である。小野と石川はこの週から全体練習に合流している。
 松本は10節までの選手起用の傾向を見ると、開幕5戦前後で人を入れ替えている。CBは中央に期待の新加入・エドゥアルドからベテランの飯田。右は高さのある服部から、より平面での勝負に強い今井。右WBは岩上から田中隼磨。中盤はパウリーニョが不動で、その隣は藤田から宮阪(岩上と宮阪の起用法は、恐らくプレースキッカーが1人必要という考え方もあるだろう)。左シャドーはセルジーニョから中美へ。そしてトップは開幕4試合で永井、5節以降はレアンドロ ペレイラだったが前節は再び永井である。印象としては、走力に優れた選手を重視しているように思える。昨シーズン11ゴールのセルジーニョ、補強の目玉であるレアンドロ ペレイラに対し、中美は昨シーズン得点0、永井は1。



2.戦術面の一言メモ

(以下、札幌の黒字は前節のプレビューと同じ。青字が変更点)。

2.1 札幌


 基本戦略:より多くの人数による攻撃を突きつけ、相手の攻撃機会や攻撃リソースを奪う(守勢に回らせる)。

 ボール保持:ビルドアップはミシャ式4-1-5や5-0-5の形。中央3枚がローテーションしながらオープンな選手から前進を図る。ハイプレスを受けるなどして後ろで詰まったら、シンプルに武蔵かロペスへ。躊躇なく放り込む。アタッキングサードで相手よりも多くの攻撃枚数を確保したいためボールを保持して時間を確保するが、ポジティブトランジションで枚数が確保できているなら、時間をかけずに突撃することも許容される。

 ボール非保持:相手がボール保持が得意なチームならハイプレス。ハイプレス時、リトリート時ともにマンマーク基調の守備を展開する。特に相手のCBと中盤センターに同数で守備できるよう、前線の枚数を調整することが多い。

 攻撃→守備の切り替え(ネガティブトランジション):中盤2枚は即時奪回を目指すが、その位置取りは「中盤」ではなく最終ラインにいることが多い。要はCBの前進守備と同じなので、狩り切れるならいいが裏を取られるリスクも大いに抱えている。

 守備→攻撃の切り替え(ポジティブトランジション):2トップ気味で前残りしやすい武蔵とアンデルソン ロペスをまず使う。ロペスは背負ってのキープと仕掛け、武蔵はターゲット兼裏抜け担当。

 セットプレー攻撃:キッカーはほぼ全て福森に全権委任。ファーサイドで、シンプルに高さを活かすことが多い。ゴールキックは相手がハイプレスの構えを取らなければCBにサーブする。そうでなければ無理せずロングフィード(武蔵やロペスのいる右へ)。
 セットプレー守備:コーナーキックではマンマーク基調。
札幌ボール保持時の予想マッチアップ

2.2 松本


 基本戦略:敵陣ゴール近くで相手のミスを誘う。

 ボール保持:相手の圧力がない時を除けば前線のFWへのフィードで前進。フィードが成功したら、時間や手数をかけずにフィニッシュに持ち込む。

 ボール非保持:5-2-3でセットし一旦リトリート。相手がボールを下げる(後ろ向きでプレーし、かつ敵陣ゴールに近づいている)時に前線3人でしつこく追い回しミスを誘う。失敗したら1トップを残して自陣深くまでリトリート。相手のゴールキックの際も前線3人でのハイプレスを狙っている。

 攻撃→守備の切り替え(ネガティブトランジション):前提として、手数をかけない攻撃が主体で攻撃枚数は少なめ。この場合はリトリートが多い。

 守備→攻撃の切り替え(ポジティブトランジション):すぐにトップに放り込む。

 セットプレー攻撃:キッカーは殆ど宮阪。
 セットプレー守備:コーナーキックではマンマーク主体。
松本ボール保持人の予想マッチアップ

3.予想される試合のポイント

3.1 ソリボールとは


 松本はスタッツ上は以下の特徴がある。
・パス本数が少なくロングボールの割合が高い
・ボール保持率が低く、相手に持たせる
・クリアが多い
・スプリントが多い



 あらゆる振る舞いには目的がある。松本の場合は、自チームがどう攻撃するか、ということ以上に、いかに相手の重大なミスやインシデントを誘発してシュートチャンスを作るか、ということに力点が置かれているように思える。湘南ベルマーレのようなチームは、ボールを奪った時に自チームの選手が攻撃のスピードを上げて一気に前進できるような仕組みになっているが、松本のそれは根本的に相手の重大なミスを誘って、それ自体で得点機を作ってしまおう、という考え方に見える。
 そのため、まずボールを敵陣ゴールに近づける。能動的にロングフィードを放り込むことの他に、受動的には相手のボール保持時のバックパスを狙っている。そうしてボールが敵陣ゴールに近い状況になった時に、相手のボールホルダーに局面的に圧力をかけて、”パニック”を誘う。
 このやり方はJ2では一定の成果を収めてきた。しかしJ1の選手相手では、選手個々の対応力はJ2よりも上であり、また長期政権ゆえにチームとしてのやり方も認知されている。かつて札幌が、アルウィンでパニックに陥ったのは当時19歳の進藤。進藤は3年が経ち、札幌で一番信頼できるDFへと成長を遂げた。となると松本が狙うのは、前田との速さのミスマッチがある福森か、まだ”DFになっている途上”のキム ミンテか。いずれにせよ、狙いどころは複数あるので、レアンドロ ペレイラよりも永井で来るだろう。札幌はアンカーに入る宮澤が適切にサポートできるかがポイントとなりそうだ。

3.2 チャナティップ不在の影響


 3年前の対戦(札幌ホーム)では、反町監督が「札幌はトップ下がジュリーニョかヘイスのどちらかで傾向が変わるので見極めたい」と話していたことが印象に残っている。今回は、アンデルソン ロペスを欠く札幌の前線はチャナティップが軸になるとみてトレーニングをしてきただろう。試合1日前に知るであろう、チャナティップ欠場のニュースは、札幌だけでなく松本陣営の戦い方にも影響しそうだ。
 恐らく落ち着いて対処できれば、札幌は松本の1列目を突破することはできる。この後が問題で、チャナティップが担っている左→右サイドへの変換は恐らく岩崎には難しいだろう。アンカーや最終ラインから直接ルーカスに展開するか、他の手段でルーカスが勝負できる形を作る必要がある。
チャナティップ不在の中でどうルーカスに展開するか

3.3 返しのムサボール


 松本とはスタイルや志向が異なるが、走力に優れ前線から果敢に守備を行うという共通点がある湘南に対し、昨年ミシャはリスク回避のためにロングボールを多用する戦い方を選択している。
 そう考えると、札幌も武蔵への放り込みで応戦する展開もありうる。結果、松本のボール保持時間がいつもよりも長くなっても、前線を機動力重視で編成している松本相手なら、札幌も自陣に引けば守り切れるという計算は十分に考えられるだろう。また、岩崎は寧ろこっちのやり方が合っているのかもしれない。放り込みの応酬で間延びするオープンな展開なら、松本には前田がいるが、札幌も武蔵と岩崎がいる。3年前の、戦力的に拮抗していた状況とは異なる。単にオープン展開で殴り合うだけなら札幌に分がありそうだ。松本は、再三問題になっている札幌の福森-菅のチャネルを狙うなど、殴り合い一辺倒にならないアイディアが求められるだろう。
それぞれのアタッカーvsDFのマッチアップだと札幌に分がありそう

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