2019年8月24日土曜日

プレビュー:2019年8月24日(土)明治安田生命J1リーグ第24節 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 ~もう一つの甲子園開幕~

1.予想スターティングメンバー

予想スターティングメンバー

1.1 札幌

×(非帯同、欠場確定)※特になし
×(負傷等で欠場濃厚)MF駒井(右膝半月板損傷)
*(負傷等で出場微妙)FWアンデルソン ロペス(股関節痛)

IN(夏マーケットでの加入)DF田中(特別指定選手登録)
OUT(夏マーケットでの放出)DF中村(Honda FCへ育成型期限付き移籍)
MF中原(ベガルタ仙台へ完全移籍)
MF小野(FC琉球へ完全移籍)

 ここ最近と同じスタメンだろう。中盤センターは3試合連続で宮澤と(理由は謎だが)荒野の組み合わせ。ただFC東京戦に関しては、深井よりも荒野が正解かもしれない。

1.2 東京

×(非帯同、欠場確定)※特になし
×(負傷等で欠場濃厚)DF中村
MF鈴木
*(負傷等で出場微妙)DF小川
MFユ インス

IN(夏マーケットでの加入)DFオ ジェソク(ガンバ大阪から期限付き移籍)
MF三田(ヴィッセル神戸から完全移籍)
OUT(夏マーケットでの放出)DF太田(名古屋グランパスへ完全移籍)
DFチャン ヒョンス(アル・ヒラルへ完全移籍)
DF吉本(清水エスパルスへ完全移籍)
DF山田(アビスパ福岡へ期限付き移籍)
MF久保(レアル・マドリードCFへ完全移籍)
MF平川(鹿児島ユナイテッドFCへ育成型期限付き移籍)

 小川は8/3のセレッソ大阪戦から離脱中。アナウンスがないが、加入早々フィットしているオジェソクの起用が妥当か。唯一、右MFのみ大森と三田どちらもありうるポジション。周囲との補完性を考えると、個人的には大森だと思うが、前節の敗戦(vs広島)を踏まえて変更してくることも考えられる。
 夏の移籍で2人のレギュラーを失った。戦術的に大きいのは久保の移籍。チャン ヒョンス⇒代役の渡辺は戦力ダウンだが戦術的にはそう影響はない。
 ラグビーワールドカップ開催により味の素スタジアムが使えないため、この試合から8節連続のアウェイゲーム。1戦目が世界一快適なスタジアムでの試合であることは僥倖か。

2.今季の対戦のおさらい

プレビュー

2019年5月18日(土)明治安田生命J1リーグ第12節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌 ~避けられぬデュエル~

 開幕から8勝3分の無敗と絶好調の東京vsジェイ、アンデルソン ロペスを欠きながらもリーグ戦5試合負けなしで上り調子の札幌は、チャナティップも故障明けでコンディションが万全ではない。アウトサイドでの勝負に活路を見出したいが、東京は右のルーカス フェルナンデスにはサイドでダブルチームでサイドを封鎖して対抗。
 東京はディエゴ オリヴェイラが中央でパワーを発揮する。特に深井とのマッチアップはディエゴの完勝で、ディエゴがロングフィードを競るだけで札幌守備陣には緊張感が漂う。両チームGKのビッグセーブもあり前半は0-0で折り返すも、後半キム ミンテと宮澤が関与するミスから小川のシュートで東京が先制。
 札幌はギアが上がってきたチャナティップと、途中交代の中野の突破から打開を図るが、カウンターから久保が2点目を決め、東京の狙い通りのプランで2-0決着。



3.戦術面の一言メモ

3.1 札幌


青字が前節との更新・変更点。
コンセプトより多くの人数による攻撃を突きつけ、相手の攻撃機会や攻撃リソースを奪う(守勢に回らせる)。
ボール保持(自陣)DFが自由なら福森からの展開。難しければジェイへのロングフィード。ゴールキックは相手がハイプレスの構えを取らなければCBにサーブする。
ボール保持(敵陣)サイドアタック主体。押し込んでから仕掛けるのは右の白井。菅は極力シンプルにクロス供給に専念か、相手SBを押し込んで福森をフリーにする役割。白井は得意なタイミングで仕掛けるが、左はより役割が決まっている。福森はファーサイド狙いを徹底する。
ボール非保持(敵陣)ジェイ出場時はジェイをセンターサークル付近に置いてリトリート。ジェイ不出場時は、相手がボール保持が得意なチームならハイプレス。ハイプレス時、リトリート時ともにマンマーク基調の守備を展開する。特に相手のCBと中盤センターに同数で守備できるよう、前線の枚数を調整することが多い。時間帯にもよるが、先制したらリトリートの傾向が強くなる。
ボール非保持(自陣)基本は1-5-2-3で、前3枚はポジティブトランジション用に残しておく。ゴール前からCBを動かさないことを重視。なるべくマンマーク関係を維持する。
ネガティブトランジション中盤2枚や前目に位置するDFは即時奪回を目指す。ビルドアップが成功するとともにポジションと役割がCBからセントラルMFのそれになる。但しトップ(ジェイ)のネガトラがあまり有効ではないこともあり、あくまでMF2人の個人での対処になりがち。
攻撃時に予防的に残っているCBは2枚、時に1枚で相手のFWと同数。裏はGKク ソンユンの極端な前進守備で何とかさせようとの考えがここ数試合は強くなっている。
ポジティブトランジションシャドーが裏に飛び出しての速攻がファーストチョイス。
先制したらリトリートからの速攻狙いに切り替える。
セットプレー攻撃キッカーはほぼ全て福森に全権委任だが、ルーカスもたまに蹴る。ファーサイドで、シンプルに高さを活かすことが多い。ゴールキックはなるべくCBにサーブしてからポジショナルなビルドアップを狙う。
セットプレー守備コーナーキックではマンマーク基調。
その他メモ5バックの相手に対してはCBの攻撃参加(福森サイド)で基準をずらす。

3.2 東京

分析対象は21節(vsセレッソ大阪)、22節(仙台)、23節(vs広島)。
コンセプトボールを捨ててゴール前に籠城し、守りを固めてから、2トップの推進力を活かしたカウンター狙い。
ボール保持(自陣)ボールはそれなりに大切にするがポジショナルには前進しない。ほころびが見えるまで縦にボールを入れない。
一番のパターンは2トップを走らせての放り込みなど。
ボール保持(敵陣)詰まったらサイドアタック。但しリスクは冒さない。
ボール非保持(敵陣)敵陣ではあまりアクションしないが、相手がボールを下げた時を狙ってマン・オリエンタッドなプレスから速攻を狙う。
ボール非保持(自陣)CBは空中戦に強く、GKの林もサイズがあり、ハイクロスや放り込みへの耐性がある。「CBを中央から動かさないこと」、「2トップを前残りでカウンターの余力を十分に残しておくこと」から逆算して守備を設計する。最終的には、DFがポジションを守った状態でクロスを上げさせるのはOK。そのための時間を2列目の献身により稼いでいるように見える。
具体的には、4-4-2というより4-4ブロックで中央に密集してセット、2トップは縦関係で1枚を残す。中央を切り、ミドルゾーンでSHが相手のSBをチェックするとともに、相手のSHをSBが捕まえて簡単にサイドで前進させないようにする。ボールと反対サイドは捨てる。簡単に相手のSHまで運ばれることを防ぐ(ハーフスペースをセンターのMFがカバーする時間を稼ぐ)。
ネガティブトランジション簡単に前進させないため、失った後の数秒間はボールホルダーへの圧力は確保する。その間にブロックの枚数を確保してリトリート。
ポジティブトランジション前残りの2トップが中心。永井が裏抜け、ディエゴ オリヴェイラがより引いた位置で待ち、ディエゴに預けることが多いが逆もあり(守備を考えると永井が下がったほうが都合がいいが、カウンターをするにはディエゴが後ろの方がいい)。運べる状況では2トップが一気に裏を狙う。
セットプレー攻撃CKのキッカーは東、三田。
セットプレー守備CKではマンマークにゾーンを併
その他メモ死んだふりをしつつ試合を殺しながら常に速攻を狙う。
髙萩の飛び出し。橋本との縦関係。

4.想定されるゲームプラン

4.1 札幌のゲームプラン


 東京が放棄したボールは、好調のジェイを使って前進か。ボールだけでなく最終ラインのビルドアップ部隊に時間と空間も与えてくれるはずだが、シンプルなジェイボールが効いてここ2試合は主導権を握れている。チャン ヒョンスが抜けた東京相手にもまずこれを試してくるだろう。

4.2 東京のゲームプラン


 いつも通り、札幌の重心を札幌ゴールから遠ざけて、2トップの前にスペースを作ってから自陣からのロングカウンター。

5.想定される試合展開とポイント


 ここ2試合の札幌を牽引しているのは、シーズン後半戦になると本気を出す男・ジェイ ボスロイドだ。ビルドアップがうまくいかない、もしくは、敵陣に侵入はできても、(時間がかかるなどして)得点の匂いがしないような展開で、さっさとジェイに当てることで速い攻撃と、ボール喪失⇒被カウンターへのリスクヘッジが実現している。
 東京はボールを放棄するチームなので、札幌は敵陣に侵入すること自体はそう苦労しないはず。だが、ここ2試合の様子を見ると、この試合でもジェイへの放り込みのプライオリティを高めて、札幌は戦いそうな気がしている。

 ゴール前では森重vs武蔵、ジェイvs渡辺というマッチアップが想定される。森重はともかく、渡辺のマッチアップは気になるところ。かといって森重をジェイに当てると、オジェソクがより絞って中央で対応する必要があり、白井が暴れる土壌が整う。チャンヒョンスが抜けても、ハイボールに強い林がいる東京相手には、スペースに速いクロスで勝負したい。1年前はその白井の得点などミドルシュート2本もあって、札幌が逆転勝利を収めたが、基本的には東京相手には先行することが他の相手以上に重要だ。
ジェイvs渡辺、武蔵vs森重のマッチアップ

 放り込み作戦の短所はネガティブトランジション。札幌の5トップが攻撃参加している状況で東京の速攻が発動するとスペースはある。ただし永井、ディエゴに対して3枚(荒野、ミンテ、あと1人)がいれば基本的には対処できるはず。だからジェイボールを主体に攻めることは差し引きでプラスだと思う。


用語集・この記事内での用語定義


1列目守備側のチームのうち一番前で守っている選手の列。4-4-2なら2トップの2人の選手。一般にどのフォーメーションも3列(ライン)で守備陣形を作る。MFは2列目、DFは3列目と言う。その中間に人を配する場合は1.5列目、とも言われることがある。
守備の基準守備における振る舞いの判断基準。よくあるものは「相手の誰々選手がボールを持った時に、味方の誰々選手が○○をさせないようにボールに寄せていく」、「○○のスペースで相手選手が持った時、味方の誰々選手が最初にボールホルダーの前に立つ」など。
ショートカウンター守備ラインを高めに設定し、相手ゴールに比較的近い位置でボールを奪い、速く攻撃すること。
トランジションボールを持っている状況⇔ボールを持っていない状況に切り替わることや切り替わっている最中の展開を指す。ポジティブトランジション…ボールを奪った時の(当該チームにとってポジティブな)トランジション。ネガティブトランジション…ボールを失った時の(当該チームにとってネガティブな)トランジション。
ハーフスペースピッチを縦に5分割した時に中央のレーンと大外のレーンの中間。平たく言うと、「中央のレーンよりも(相手からの監視が甘く)支配しやすく、かつ大外のレーンよりもゴールに近く、シュート、パス、ドリブル、クロスなど様々な展開に活用できるとされている空間」。
ビルドアップオランダ等では「GK+DFを起点とし、ハーフウェーラインを超えて敵陣にボールが運ばれるまでの組み立て」を指す。よってGKからFWにロングフィードを蹴る(ソダン大作戦のような)ことも「ダイレクトなビルドアップ」として一種のビルドアップに含まれる。
ビルドアップの出口ビルドアップを行っているチームが、ハイプレスを突破してボールを落ち着かせる状態を作れる場所や選手。
マッチアップ敵味方の選手同士の、対峙している組み合わせ。
マンマークボールを持っていないチームの、ボールを持っているチームに対する守備のやり方で、相手選手の位置取りに合わせて動いて守る(相手の前に立ったり、すぐ近くに立ってボールが渡ると奪いに行く、等)やり方。
対義語はゾーンディフェンス(相手選手ではなく、相手が保持するボールの位置に合わせて動いて守るやり方)だが、実際には大半のチームは「部分的にゾーンディフェンス、部分的にマンマーク」で守っている。

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