2019年9月30日月曜日

2019年9月28日(土)明治安田生命J1リーグ第27節 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌 ~対話と圧力~

0.スターティングメンバー

スターティングメンバー

 札幌(1-3-4-2-1):GKク ソンユン、DF進藤亮佑、キム ミンテ、福森晃斗、MF白井康介、宮澤裕樹、深井一希、菅大輝、ルーカス フェルナンデス、チャナティップ、FWアンデルソン ロペス。サブメンバーはGK菅野孝憲、DF石川直樹、MF中野嘉大、早坂良太、荒野拓馬、FW岩崎悠人、藤村怜。予想通り右シャドーはルーカス。中断期間中、他の選手も試していたというが最も考えうる選択肢に落ち着いた。深井は6試合ぶりのスタメン。後述するがレオ シルバ対策だったと思われる。
  鹿島(1-4-2-2-2):GKクォン スンテ、DF内田篤人、ブエノ、犬飼智也、小池裕太、MF小泉慶、レオ シルバ、セルジーニョ、白崎凌兵、FW上田絢世、土居聖真。サブメンバーはGK曽ケ端準、DFチョン スンヒョン、伊東幸敏、MF永木亮太、中村充孝、遠藤康、FW伊藤翔。やはりターンオーバーを意識し、3日前の天皇杯で休ませたメンバーが中心。CB2人と小池、セルジーニョが中2日でのスタメン出場。
 その他プレビューはこちら。



1.想定される互いのゲームプラン

1.1 札幌


 詳しくは「2.」に書くが、鹿島がボールを保持する時間を多くすることで、札幌(の、この日のメンバー)には難しい局面を排除し、ロースコア所謂"塩展開"に持ち込む意図だったと思われる。
 我々サポーターに対して「週末は楽しいサッカーを観て幸せになってもらいたい」と聖人のような考え方を示すミシャ。しかし特に2019シーズンは、第2節の浦和戦のように、絶対に勝ちたいと思わせるゲームではその理想を捨てた戦い方を選択している。ミシャ札幌vs鹿島は4戦目。これまでは4バックの鹿島相手に5トップでぶん殴ることしか考えてこなかったが、4戦目にして、鹿島もミシャの「絶対負けたくないリスト」に入った感がある。

1.2 鹿島


 いつも通り、相手の出方を見ながら臨機応変に戦うが、札幌がボールを大事にしながら戦う展開を予想していたと思う。ボールを持つなら、ハイプレスで刈り取っての速攻を狙っていただろうが、実際は札幌はよりセーフティに試合を進めた。
 なお、DAZN中継で解説を務めた水沼さんが過密日程のことに前半、何度か言及していたが、小池、ブエノ、犬飼、セルジーニョ以外はターンオーバー。そこまで走れない印象も、「走れない戦い方」に甘んじる様子もなかった。

2.基本構造


 「サッカーの4局面」(①自分がボール保持、②相手がボール保持、③自分がボール喪失=ネガトラ、④相手がボール喪失=ポジトラ)に基づいてざっくり捉えると、元来の「ミシャ式」は①と②、互いの保持/非保持の局面に特化したチームだとされる。
サッカーの4局面

 ①の局面では、ウイングバックを最前列まで攻撃参加させて5トップ+αで攻める。②の局面では、ウイングバックを最後方まで戻して5バック+αで守る。人海戦術、人の数だけで語れないのがサッカーだが、ある程度の段階までは、人数はパワーだ。=ではないにせよ、≒くらいの意味合いはある。
 弱みは③と④、それぞれのトランジションだ。このうち④…ポジトラは例えば、鈴木武蔵や、武蔵が裏に走る時にパスを出せるチャナティップのような選手による個の力である程度担保できる。対して③は、これもフェルナンジーニョのような予測やボール奪取に長ける選手の起用で補えるし、札幌には深井のような選手もいるが、1人2人の選手でできることには限りがある。そして、お馴染みの、福森が最終ラインの状況を無視して無邪気に攻撃参加するような動きもネガトラを脆弱にしている要因の一つだ。

 対する鹿島。20年以上競争力を失わず、近年はこれまで勝てなかったAFCチャンピオンズリーグでも結果を残している。鹿島の強みは、その時々で日本屈指の選手を集める方針による個人能力の高さを根底に、戦術的には1on1を前面に打ち出すマンマークの強固さが挙げられる。そして鹿島はミシャ式のように「捨てている」局面がない。相手が出てこないなら自らボールを握って攻めるし、無暗に出てくるならカウンターで仕留める、臨機応変な戦い方ができる。

2.1 取捨選択


 前置きが長くなったが、札幌は鹿島にボールを渡すことで、以下のようなゲームの前提を作った。
・札幌が前掛かりになったところでボールを喪失してカウンターを受けるリスクを極力、低減させる(→試合から「局面③」を消し去る)。
・チャナティップ、ロペス、ルーカスを中心に、前方のスペースを活かした攻撃を仕掛けやすくする(但し、各選手のスタート地点は鹿島ゴールから遠くなる)。
・シャドーのルーカスが、鹿島のブロック内の矮小なスペースではなく、得意の右ワイド~前方オープンペースで活動できるようにする。

 図示すると以下。札幌は鹿島にボールを渡して[1-5-4-1]で撤退。札幌の[4]は、鹿島のSBと中盤センターの2人を基本的に意識している。最終ラインの[5]は、鹿島の2トップと攻撃的MFの計4人を意識しており、1人余ればとりあえずOKという考え方。
 CBのブエノと犬飼は放置している。GKクォン スンテも含めれば、アンデルソン ロペスとの人数関係はせいぜい3on1。アンロペは1人で何もできない。が、基本的に、最低限中央に立っていればアンロペは守備面で何もしなくてもいい。ボールを持たせることが狙いだからだ(欲を言うと、CB2人のうちどちらかに誘導するなどしてもいいとは思うが)。

 鹿島にボールを持たせてゴール前を固めれば、鹿島はこじ開けるためにいずれ、攻撃の枚数を増やしてくる。また、中央だけでなくサイドにも攻撃で脅威となる選手が必要で、これは特に左サイドの小池の攻撃参加が増える展開につながる。
1-5-4-1で撤退して鹿島の背後のスペースを狙う

 9人で守って鹿島の攻撃を処理して、その背後を狙う。これが札幌のプランだ。11分の進藤の先制点はこのプランをより強固にした。鹿島が点を取らないといけない状況になったためだ。

3.その男、進藤につき

3.1 対話の窓を開く鹿島


 前半の開始直後、互いにボールを保持する機会を得る。札幌がボールを保持すると、いつもの[1-4-1-5]に変形し、鹿島は高い位置から札幌の選手を捕まえるマンマーク気味のハイプレス。札幌は無理をせず、時に前線にボールを放り込んでプレスをやり過ごす。一方、鹿島がボールを保持した時は、「2.」に示したように札幌は撤退するので、鹿島はボールを持つことに障壁はない。
 
 ここからが本番。一目でわかる、5バックで引いてくるチームと「対話」をしながら、その構造を把握し、相手の弱みを突いていくことが鹿島には求められる。開始5分ほどで、札幌と鹿島國との間で、互いの大使との対話の窓が開かれた格好になった(これは、言いたいだけ)。
 鹿島國の「大使」は小泉。小泉が内田の後方に落ちて、内田を押し上げ、レオ シルバはよりトップに近い位置に移動する形を繰り返す。アンロペが鹿島のCB2人に個人で突っ込んだとしても小泉は常に安全地帯になる計算だ。
鹿島のボール保持時の人の移動

3.2 「対話」の内容


 小泉にボールが入ると、札幌はボールサイドにブロックを寄せて対抗。これ以降はあまりじゆうにさせないよ、という姿勢が、両チームの最初の「対話」の内容だ。
 鹿島の「大使」の役割はレオシルバ、札幌は宮澤と深井にそれぞれ移る。札幌は2列目と最終ラインの間にスペースを与えたくない。一方、ロペスと札幌の2列目との間にポジションを取るレオシルバ。深井と宮澤は、前と後ろ両方を気にしながらの対応を迫られる。レオシルバは、セルジーニョと共に、小泉や内田からのボールを小池のサイドに流して、その突破力を活かしたかったように見える。これが次の「対話」の内容だった。
札幌が[5-4]ブロックで寄せてくるので、レオシルバを浮かせつつ反対サイドにボールを流す

3.3 鹿島ゴール前で急ぎたい札幌と、「対話」をぶち壊す男


 10分の札幌の先制点は、まだ「対話」が続いている状況下だった。発端は9分の鹿島ボールのスローイン。これも右サイドからの展開で、札幌はボールをレシーブする土居に寄せてボール回収、すぐに福森がトップのロペスに当てて、宮澤とルーカスがサポートし、右の白井の前のスペースに運んで鹿島陣内に侵入。この試合、札幌が初めてゾーン3に侵入した場面だ。
(札幌の得点シーン)奪ってロペスに当ててダイレクトに展開

 この時、札幌は、鹿島のブロックの枚数が揃う前に速く攻めたいとの意図が見え見えだった。札幌も多少、枚数が足りなくとも、鹿島が枚数も配置も揃っていない状況ならば被カウンターのリスクも小さく、ローリスクローリターンな状況のうちに仕掛けたかったということになる。それは鹿島陣内に侵入した後の9:59、進藤の侵入から白井、宮澤と渡り、普段は滅多に見せないアーリークロスを選択した宮澤からもわかる。宮澤は13分にも、札幌の逆襲からゴール正面でミドルシュート。これは相手に当たって鹿島のカウンターになりかける(も、小泉のパスミスで形にならず)が、このようなリスクがあるにせよ、普段は選択しないプレー(宮澤のミドルシュート)をしてでも、鹿島のDFが揃う前に仕掛けたかったのだろう。

 このアーリークロスはレオシルバが触るが、ルーカスが拾って再び白井へ。この時、鹿島は小泉が白井と宮澤に二度追いしてアタック。が、三度目、白井に渡った時はアタックもカバーもできず、鹿島はほぼ4バックの4枚だけで守る形になっていた。一方、札幌はルーカスが直前のプレーに関与したのでゴール前にいないが、進藤が白井に入ったタイミングでまるで中央でFWのような位置取り。その進藤の前、ハーフスペースに走ると見せかけてグラウンダークロスをスルーしたチャナティップと、コントロールショットを咄嗟に選択した進藤の個人戦術は見事だった。

3.4 対話は続く


 進藤の邪魔が入ったが、まだ両チームの対話が続く。
 得点直後、札幌がボールを保持するシチュエーション。鹿島は基本的に、札幌の[1-4-1-5]でのボール保持に対してCB役の選手に2トップで圧力をかけてくる。ソンユンはまずミンテに出すことが多く、ミンテが進藤に預けると、進藤はロングボールの選択が多かった。そのターゲットは、ロペスもあったが、この状況では右のルーカスと白井を狙ったボールが目立った。2人ともターゲットや、ボールの収めどころにはなれない。が、右サイドで抜け出せればチャンスということもあってか、または単に中央でボールを失いたくないとするボール放棄・リスクも放棄的な考え方があってか、この選択が目立っていた。
鹿島のハイプレスに対して札幌は安易に中央で展開せずサイドのスペースに蹴る

 [1-4-4-2]で守る鹿島に対し、札幌はシャドーが本来浮きやすいポジション。が、チャナティップとルーカスに中央で札幌の側からボールを入れることはなるべく避けていた。チャナティップはレオシルバか小泉が監視するし、ルーカスはDFを背負える選手ではない。その意味では、この可能性は最初から期待せず捨てていた。もっとも、浮きやすいポジションであるので、例えばロペスに当てた後のセカンドボールをルーカスが拾って展開、のような形では機能していた。

4.対話から圧力へ

4.1 永木の投入と鹿島の変化


 両チームが互いに様々なシチュエーションで相手の出方を探る「対話」は20分頃で終了。試合は次のフェーズに移るが、25分、レオシルバが太ももの裏を痛めで鹿島は永木に交代。永木が得意の右に入り、小泉は左に移る。
27分~

 レオシルバが痛んだ経緯もあり、永木は交代が決まってから2分ほどの時間があった。この間に対応を話し合っていたのだと思うが、永木の投入以降に鹿島は形を変える。
 セルジーニョと白崎は、スタートポジションは常に外に取る。これにより、どちらのサイドでボールを動かしても、反対サイドにボールを流すことで札幌のブロックを横スライドさせることがより容易になる。所謂「横幅を使う」プレーだ。
2列目がサイドに張る鹿島

 サイドに2人張ることの意味合いはもう1つある。ルーカスがサボれなくなる。札幌は序盤、白井と進藤がルーカスの対応について都度指示を出しながら小池のサイドを守っていたが、白井は張り続ける白崎と1on1状態が続くので、小池の攻撃参加には常にルーカスが対応を余儀なくされる。
横幅を使われると札幌の横スライドが間に合わなくなり中央にスペースができる

 34分の、鹿島が小泉の中央侵入からゴール前でFKを得たのはこの形。右から左へボールを動かし、札幌のやや強度に欠ける横スライドによってできたスペースに小泉が侵入。上田の落としを受けることで、札幌の最終ラインの前でゴール方向に向かってプレーすることに成功していた。

4.2 圧力に屈する


 試合は後半へ。鹿島は後半もハイプレスを継続。49分、札幌のGKクソンユンからのビルドアップ、進藤がロペスに当てたボールをブエノが背後からアタック。土居と小泉で拾って、小泉は福森が止めかけるも、こぼれたボールがセルジーニョの元へ。キムミンテをブロックしながら浮き球をセルジーニョが上手く処理し、クソンユンのタイミングを外したロブショットで鹿島が同点に追いつく。
 前半から、札幌はビルドアップを成功(敵陣でボールゲイン)させる気はないが、一方で不用意にボールを失いたくないとする選択が目立っていた。それはフィードの受け手の選択にも表れていたが、この時は進藤がロペスに当てることを選択。中央で収まればチャンスになりやすいが、失えば被カウンターの危険があることは先述の通り。進藤がこの自身の選択についてどう思っているかはわからないが、鹿島相手にはややイージーな選択だったと言えるかもしれない。

5.やり切るしかない

5.1 荒野投入


 後半早々の得点でスコアが1-1となった後も鹿島は圧力を継続。札幌はこのまま、ボールを手放す戦い方で行くのか、それともどこかで仕掛けるのか、やや判断に迷っていた感がある。
 60分にベンチが動く。宮澤⇒荒野に交代。宮澤が直前に1枚警告を受けていたこともあったと思うが、どこかで深井か宮澤に代えて荒野を入れるタイミングは考えていたのだろう。
60分~

 67分、札幌はチャナティップが永木、ロペスがブエノに圧力をかけて長いボールを蹴らせる。チャナティップの1on1の守備力は、この日も内田や永木相手に健在だった。一方、序盤からロペス1人の守備をいなしていたブエノだったが、後半になると疲労もあってかシンプルに蹴る場面も目に付くようになる。このボールは福森がセルジーニョに競り勝って回収。ミシャがよく言う「後ろの選手は高さがあるので蹴らせて跳ね返したい」を具現化した守備だ。
 ボールは深井が回収する。これも狙っている札幌のポジトラの局面だ。
鹿島が蹴ったボールを跳ね返して回収からのポジティブトランジション

 鹿島は永木が右サイド、小泉もボールサイドの右寄りに移動している。札幌は前半、このシチュエーションでボールを預けらせる選手はトップのロペスと、シャドーのルーカスしかいなかった。というのは、チャナティップが内田への対応もあって押し下げられてあまり高い位置取りをできなかったこともある。
 この時はチャナティップが高い位置似る状況でボール回収に成功したことと、加えて荒野がピッチ中央にいたことが重要だ。チャナティップ→ルーカスと渡ると、鹿島もさすがに戻ってくるが、荒野は数選手を追い越して前線の枚数に加わる。思わず解説の水沼さんも「おおっ!」と声を出すが、走りを含めた荒野の運動能力は、鹿島が仕掛けてくる試合の強度にも耐えうる。長い距離を走れるのが宮澤や深井との決定的な違いで、武蔵を欠くこの試合で後半まで温存しておいたのは、オープンになってくる時間帯での活躍に期待があったのだと思う。
1トップ+2シャドーに1無邪気が絡んで4人で速攻

 67分にはクソンユンのスローから、右サイドでルーカスが縦に爆走。この、ルーカスが右サイドのタッチライン付近でプレーするシチュエーションも、その選手特性から考えると札幌が狙っていた(というか、発動を期待していた)形だったと思う。といってもこの1回か2回くらいしかなかったし、ルーカスは他のタスクで消耗していたが。
 それでも「右サイドのルーカス」が強力なことは、このプレーの結末が(ゴール前でわちゃわちゃした後に)ロペスのポスト直撃のシュートで終わったことでも証明される。耐えながら、荒野やルーカスのような癖があるけど個の打開力がある選手をピッチに置いておいて、その個人技爆発を待つ時間の過ごし方が続く。

5.2 終盤の展開


 70分以降は疲労もあってオープンな展開になりかける中で、互いに攻撃の選手を投入して一発を狙う。鹿島は上田⇒伊藤、内田⇒中村。札幌は菅⇒中野、ルーカス⇒岩崎。
 基本的にはボールが行ったり来たりする展開を想定して考える。札幌はルーカス、交代した後は岩崎を走らせるが、鹿島はそれを凌いでカウンター。これだけで陣形は互いに間延びする。プレーが途切れないと、選手にとっては難しい展開だ。
80分~

 ラスト15分での最大のチャンスは82分、鹿島のセルジーニョのクロスから、競ったボールのリバウンドに白崎が飛び込み岩崎のファウル気味のチャージがあったが主審は見逃す。その後もルーカス⇒岩崎の交代がイマイチ効果的でない札幌に対し、鹿島がチャンスを作り続けるが1-1で試合終了。

雑感


 2019シーズンに何度かみられている札幌の、ボールを放棄する戦い方は、前半はうまくいった。後半は失点前後の時間帯はやや不安定で、65分以降の互いにオープンになる時間帯に丸腰で殴り合う”あるある”な展開を是とするなら、鹿島相手に後半もそこまでわるくない試合運びだったと言えるだろう。重要だったのは深井の起用で、久々のスタメンだったが中央でのスペース管理と人への強さは健在。鹿島が形を変えてくる25分前後までは、宮澤と共に、レオ シルバにも殆ど仕事をさせなかった。
 基本的にサッカーはボールありきのスポーツで、ボールを放棄して戦うことは理屈の上ではアリでもその実行は簡単ではない。その意味では、単に筆者の好き嫌いの問題ではなく実践的な側面として、次の鹿島との対戦では再びボールと共に戦う選択をしてほしいところだ。

用語集・この記事上での用語定義


1列目守備側のチームのうち一番前で守っている選手の列。4-4-2なら2トップの2人の選手。一般にどのフォーメーションも3列(ライン)で守備陣形を作る。MFは2列目、DFは3列目と言う。その中間に人を配する場合は1.5列目、とも言われることがある。ただ配置によっては、MFのうち前目の選手が2列目で、後ろの選手が3列目、DFが4列目と言う場合もある(「1列目」が示す選手は基本的に揺らぎがない)。攻撃時も「2列目からの攻撃参加」等とよく言われるが、攻撃はラインを作るポジショングよりも、ラインを作って守る守備側に対しスペースを作るためのポジショニングや動きが推奨されるので、実際に列を作った上での「2列目」と言っているわけではなく慣用的な表現である。
ゲーゲンプレスGegenpressing. ゲーゲン=ドイツ語で「強い」と訳されていたが直訳すると英語のversus等に近いらしい。
ボールを持っているチームがボールを失って相手ボールになった後、間髪入れずにプレスを仕掛けてボールを取り返す戦術。一度相手ボールにすることで、相手は攻撃に切り替えるので守備が手薄になる。敵陣ゴール前で行うと威力が増す。クロップ監督のドルトムントによって一気に世界へ広まった。
質的優位局所的にマッチアップしている選手同士の力関係が、いずれかの選手の方が優位な状態。攻撃側の選手(の、ある部分)が守備側の選手(の、攻撃側に対応する部分)を力関係で上回っている時は、その選手にボールが入るだけでチャンスや得点機会になることもあるので、そうしたシチュエーションの説明に使われることが多い。「優位」は相対的な話だが、野々村社長がよく言う「クオリティがある」はこれに近いと思ってよい。
ex.ゴール前でファーサイドにクロスボールが入った時に、クロスに合わせる攻撃側がジェイで、守備側は背が低く競り合いに弱い選手なら「(攻撃側:ジェイの)高さの質的優位」になる。
→「ミスマッチ」も参照。
守備の基準守備における振る舞いの判断基準。よくあるものは「相手の誰々選手がボールを持った時に、味方の誰々選手が○○をさせないようにボールに寄せていく」、「○○のスペースで相手選手が持った時、味方の誰々選手が最初にボールホルダーの前に立つ」など。
数的優位局所的にマッチアップが合っておらず、いずれかのチームの方が人数が多い状態。守備側が「1人で2人を見る」状況は負担が大きいのでチャンスになりやすい。ただし人の人数や数的関係だけで説明できないシチュエーションも多分にあるので注意。
ゾーン3ピッチを縦に分割した時に、相手ゴールに近い側の1/3の領域を指す。
チャネル選手と選手の間。よく使われるのはCBとSBの間のチャネルなど、攻撃側が狙っていきたいスペースの説明に使われることが多い。
トランジションボールを持っている状況⇔ボールを持っていない状況に切り替わることや切り替わっている最中の展開を指す。ポジティブトランジション…ボールを奪った時の(当該チームにとってポジティブな)トランジション。ネガティブトランジション…ボールを失った時の(当該チームにとってネガティブな)トランジション。
ハーフスペースピッチを縦に5分割した時に中央のレーンと大外のレーンの中間。平たく言うと、「中央のレーンよりも(相手からの監視が甘く)支配しやすく、かつ大外のレーンよりもゴールに近く、シュート、パス、ドリブル、クロスなど様々な展開に活用できるとされている空間」。
ビルドアップオランダ等では「GK+DFを起点とし、ハーフウェーラインを超えて敵陣にボールが運ばれるまでの組み立て」を指す。よってGKからFWにロングフィードを蹴る(ソダン大作戦のような)ことも「ダイレクトなビルドアップ」として一種のビルドアップに含まれる。
ビルドアップの出口後方からパスを繋いで行うビルドアップに対し、相手は簡単に前進させないようハイプレス等で抵抗する。
この時、ハイプレスを最初から最後まで行うとリスキー(後ろで守る選手がいなくなる)ので、ハイプレスは人数やエリアを限定して行われることが多いが、ビルドアップを行っているチームが、ハイプレスを突破してボールを落ち着かせる状態を作れる場所や選手を「ビルドアップの出口」と言っている。
ブロックボール非保持側のチームが、「4-4-2」、「4-4」、「5-3」などの配置で、選手が2列・3列になった状態で並び、相手に簡単に突破されないよう守備の体勢を整えている状態を「ブロックを作る」などと言う。
マッチアップ敵味方の選手同士の、対峙している組み合わせ。
マンマークボールを持っていないチームの、ボールを持っているチームに対する守備のやり方で、相手選手の位置取りに合わせて動いて守る(相手の前に立ったり、すぐ近くに立ってボールが渡ると奪いに行く、等)やり方。
対義語はゾーンディフェンス(相手選手ではなく、相手が保持するボールの位置に合わせて動いて守るやり方)だが、実際には大半のチームは「部分的にゾーンディフェンス、部分的にマンマーク」で守っている。
ミスマッチ「足が速い選手と遅い選手」など、マッチアップしている選手同士の関係が互角に近い状態とはいえないこと。




1 件のコメント:

  1. はじめまして。福井市在住の王島将春(おうしままさはる)と言います。

    間もなく、エゼキエル書38章に書かれている通り、ロシア・トルコ・イランがイスラエルを攻撃します。そして、マタイの福音書24章に書かれている通り、世界中からクリスチャンが消えます。その前に、キリストに悔い改めてください。

    管理人様は北海道コンサドーレ札幌のスタッフでしょうか。もしもスタッフではなくても、スタッフになりたいという想いがあるなら、その想いが実現しますようにと、キリストに祈り求めてください。私から見ても、それほどの才能(分析力)と情熱があれば、変えられる未来があると感じますし。ご一考ください。悔い改めに関しても、スタッフになる事に関しても。

    返信削除