2019年6月20日木曜日

プレビュー:2019年6月22日(土)明治安田生命J1リーグ第16節 北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖 ~おれは しょうきに もどった~

1.予想スターティングメンバ―

予想スターティングメンバ―

・札幌:

×(非帯同、欠場確定) FW菅(日本代表招集)
×(負傷等で欠場濃厚) MF宮澤(5/25ガンバ戦での右膝軟骨損傷)
MF中野(6/1広島戦での左ヒラメ筋肉離れ)
*(負傷等で出場微妙) MF駒井(右膝半月板損傷、6月末に復帰の見込み)

・鳥栖
×(非帯同、欠場確定) DF原(日本代表招集)
×(負傷等で欠場濃厚) MF石川(長期離脱中)
*(負傷等で出場微妙) DF藤田(5/18右ひざ外傷性滑膜炎、全治4週間)
FWイサック クエンカ
FW豊田(右足首負傷で別メニュー調整)
FWフェルナンド トーレス
FWビクトル イバルボ

 札幌は水曜日にアウェイ磐田でのルヴァンカップを戦ってからの中2日、鳥栖はリーグ戦から中6日。ただ札幌は、ルヴァンカップではこの試合に先発が見込まれる選手の多くは休ませている。メンバーは恐らく、前節川崎戦から右WBルーカスが復帰。左はそのまま石川だろう。前線はアンデルソン ロペスの起用法がポイントだが、ルヴァンカップ磐田戦は「試合勘を取り戻すため」本人志願でのフル出場だったらしく、本調子にはまだなさそうで、前節同様、武蔵が右シャドーと予想する。
 鳥栖はルイス・カレーラス監督の”休養”、金明輝監督への交代から、ガンバ、広島、鹿島に3連勝で持ち直してきたが、ここ2試合はセレッソ、浦和に1点差で惜敗。それでもチームには自信とバランスが取り戻され、見事な手腕を発揮していると言ってよいだろう。別メニュー調整が続いている豊田、クエンカ、イバルボ、前節は途中出場したトーレスも負傷を抱えている状況で、前線が心もとないが、その他のメンバーは固定されている。ここ5試合と同じような選手起用の傾向になると予想する。右はU-22日本代表から戻ってきた松岡が有力だが、前節・浦和戦で先制点を挙げた安庸佑もいいアクセントになりそうだ。


2.戦術面の一言メモ

札幌は青字が前節との変更点。

2.1 札幌


コンセプト より多くの人数による攻撃を突きつけ、相手の攻撃機会や攻撃リソースを奪う(守勢に回らせる)。
ボール保持(自陣) ビルドアップはミシャ式4-1-5から、高い位置に張るWBを出口と位置してサイドチェンジ等でボールを届ける。キム ミンテがスタメンに復帰して以降は後方の役割が固定気味で、宮澤がアンカー、深井が中央左。福森のフリーロールも自重気味。ゴールキックは相手がハイプレスの構えを取らなければCBにサーブする。そうでなければ無理せずロングフィード。
ボール保持(敵陣) サイドアタック主体。押し込んでから仕掛けるのは右のルーカス。菅は極力シンプルにクロス供給に専念か、相手SBを押し込んで福森をフリーにする役割。ルーカスのアイソレーションを活かすためにチャナティップ、福森からのサイドチェンジを狙うが、チャナティップは消されがち。ルーカスはコーナーフラッグ付近で自由を与えられているが、福森はファーサイド狙いを徹底する。
ボール非保持(敵陣) 相手がボール保持が得意なチームならハイプレス。ハイプレス時、リトリート時ともにマンマーク基調の守備を展開する。特に相手のCBと中盤センターに同数で守備できるよう、前線の枚数を調整することが多い。
ボール非保持(自陣) 基本は5-2-3で、前3枚はポジティブトランジション用に残しておく。ゴール前からCBを動かさないことを重視。なるべくマンマーク関係を維持する。
ネガティブトランジション 中盤2枚は即時奪回を目指す。ビルドアップが成功するとともにポジションと役割がCBからセントラルMFのそれになる。CBは2枚、時に1枚で相手のFWと同数。裏はGKク ソンユンの極端な前進守備で何とかさせようとの考えがここ数試合は強くなっている。
ポジティブトランジション ゲームプラン次第。ロペスを欠く数試合はあまりオープンな展開を好まず、相手のネガトラの方針にもよるが、前半は急がないことが多かった。後半、オープンになってからはチャナティップ(オープン展開で前残りしていれば速攻の起点になりやすい)からの速攻が増える。
→ロペス、武蔵が戻ってきたなら、その縦への速さを活かす攻撃はオプションとして用意しておく。
セットプレー攻撃 キッカーはほぼ全て福森に全権委任。ファーサイドで、シンプルに高さを活かすことが多い。ゴールキックはなるべくCBにサーブしてからポジショナルなビルドアップを狙う。
セットプレー守備 コーナーキックではマンマーク基調。

2.2 鳥栖

コンセプト コンパクトに守り、コンパクトかつ速く攻める。
ボール保持(自陣) 配置は1-4-4-2。相手が2トップなら福田を落としてサリーダ・ラボルピアーナで3枚にして組み立てる。いずれにせよSBが横幅をとり、SHは左(クエンカ、小野)が中に絞る。右はサイドに張る。横幅を使って前進し、攻撃のサイドを決める。無理そうなら迷わず蹴る。
ボール保持(敵陣) 攻撃のサイドが決まったら2トップと2列目を密集させ、ボールサイドに密集して個人技でなるべく早いタイミングで突破。2列目、3列目が中央に走り込んでサポート。崩しは個人技に頼りなので、アタッカーが勝手に突っ込む(得意な間合いで仕掛ける)ことが多くなると秩序が崩れ、オープン展開になりやすい傾向を感じる。
ボール非保持(敵陣) 1-4-4-2でセット。コンパクトな陣形を作って(整えて)から2トップがプレスのスイッチを入れる。但し深追いはせず、相手が2列目を突破しそうならリトリートに切り替える。
ボール非保持(自陣) 1-4-4-2でセット。片側サイドに追い込んでボールサイドに密集し、ゾーナルに守る。反対サイドは捨てる(が、SBの外側はSHが見る)。中間ポジションの選手にボールが入ると複数人で囲う。2トップはワンサイドカットでサイドチェンジを許さないのと、アンカーにボールが入るとプレスバックで4-4ブロックをサポート。
ネガティブトランジション 敵陣では密集を活かし、ボール喪失直後は即時奪回の意識もあるが、基本は無理せずリトリート。ミドルゾーンにブロックを作った状態から再開で可。
ポジティブトランジション 速く攻める。2トップに当て、2列目、3列目がサポートするとともにオープンスペースへのランから素早く前進を狙う。
セットプレー攻撃 キッカーは殆ど原川。ゴールキックはCBにサーブ。ショートコーナーもよく使う。
セットプレー守備 コーナーキックではゾーン基調にマンマークを併用。三丸をストーンに、+2人、計3人がキッカーに対して面を作る。GKの前に4人で列を作る。3人でターゲットをマークの全員守備。

 補足:鳥栖のボール保持(自陣ビルドアップ)
鳥栖のボール保持時の配置の例(自陣~敵陣侵入まで)

 補足:鳥栖のボール保持(敵陣)
2列目アタッカーの単騎突破主体で速く攻める。ボールサイドに寄ることでバックアップ。

(雑感)手持ちの戦力、そして鳥栖のクラブカルチャーを考慮の上での、チームとしての狙いは明確かつコレクティブな印象。ハードワークをしない鳥栖なんてありえない。「正気に戻った」感がある。
但し、試合を決める選手やゴール前を死守するような選手には乏しい。札幌のように、空中戦で滅茶苦茶勝ちまくる選手や30メートルのフリーキックを決める選手、ちっこくて捕まえられないし失わない選手、60メートルドリブルで突進してしまう選手etcがいないので、守りやすいと感じるチームも少なくないだろう。
なおトーレスはネガティブトランジションに難があるのと、長い距離を何度も走れない(コンディションの問題)が大きく、スタメンで見られていないのだと思われる。

3.想定されるゲームプラン

3.1 札幌のゲームプラン


 いつも通り「多くの人数で攻撃して多くの人数で守る」。菅を欠き、ルーカスがいるので、崩しは右偏重が予想される。ルーカスにいかにいい形でボールを届けるか。左サイドで組み立て、福森やチャナティップで右に展開というパターンを狙いたい。
 しかし雨予報の厚別の天候は考慮する必要がある(「4.1」)。天候次第ではロングボールを多用し、ゴール前で強引な打開を狙うことも想定される。

3.2 鳥栖のゲームプラン


 相手が守備を整える前に速く攻めたい。極端には引かず、トランジションから札幌の穴を突く狙いで来るだろう。ミスを誘発する観点ではビルドアップ部隊へのハイプレスもそれなりに用意してくるはず。ただ、それがうまくいかなければ撤退から耐える時間も覚悟することになる。

4.想定される試合展開と試合のポイント

4.1 雨の厚別


 週末の東日本は雨予報。一般に、雨は、人とボールの走りを難しくする。雨の影響を受けにくいプレースタイルとしてロングボール戦法がある。一説によると、英国でキック安堵ラッシュが定着した理由はその気候にあるらしい。しかし厚別は風が標準搭載されている。厚別の風は、四方田札幌を柏に3-0で勝たせるくらいの影響力がある。格ゲー(スマブラ?)のフィールドだとしたらユーザーの好みは真っ二つだろう。

 札幌は地上戦…ポジショナルなビルドアップもできるし、ジェイが帰ってきたので厚別の特性を活かした戦い方にも対応できる。対する鳥栖は、速く攻めたいという意思が感じられる戦いをしている。恐らくカレーラス体制の反省として、相手の守備枚数が揃い、ブロックを作られたら攻略が難しくなるので、ブロックが整う前に速く攻めないと点が取れないという分析を、金明輝監督はしているのだと思う。
 鳥栖の速い攻撃の源となる、守備→攻撃のトランジションでの選手の走りは雨の影響を受けそうだ。ずっと走っている展開にはならないが、体力配分等には影響するはず。より万能性の高い札幌に利がありそうなコンディションだと予想する。

4.2 横幅アタック vs 圧縮守備(からの攻撃):その1


 試合展開の予想を難しくする雨の影響はひとまず頭の隅に追いやって考える。
 両チームの戦力をはじめとする、試合を取り巻くその他の諸要素を考慮すると、「試合展開の決定権」がある(≒やりたい試合展開に持ち込みやすい)のは札幌の側だろう。よって札幌がボールを保持し、ミシャ式1-4-1-5に変形するいつもの形に対する、鳥栖の対応をまず初めに考える。

 鳥栖は広島戦、前節の浦和戦も、相手の1-3-4-2-1に対して4バックの1-4-4-2だったので、恐らく札幌相手にも4バックで挑むことが予想される。4バックでミシャ式5トップに対抗するには、中盤から1名借りて変則5バックにする手もあるが、恐らく鳥栖は4-4ブロックを圧縮して対抗してくるだろう。

 鳥栖は攻撃に関して、敵陣ゴール前を速く攻めることから逆算しているという考察は「4.1」の通り。一方、守備(ボール非保持)はどうか。ゴール前を守ることに関していうと、マーキングよりもボールへの圧力を優先している。相手をサイドに誘導した後はDFラインはマーク関係をリセットしてボールサイドにスライドする。恐らく、鳥栖のDFだとマンマーク色が濃い守備をしても相手のFWとのクオリティの差で厳しくなるので、ボール周辺の圧力を高め、相手がスペースを狭小にすることで対抗したいのだろう。
 平たく言うと、コンパクトにして守る必要がある。どうやって相手にシュートを撃たせるかというより、シュートまで持ち込ませずに刈り取ってしまうという思想に見える。

 上記(鳥栖陣内での札幌のボール保持と鳥栖の対応)を図示すると以下。
 札幌の深井やキム ミンテが「攻撃のサイドを決める」と、鳥栖はボールサイドに選手が寄ってボール周辺の圧力を強める。札幌は「3.1」に書いたように、深井は福森を選択するはず。福森からの展開を左に誘導し、
(鳥栖の守備)攻撃サイドを決めさせたらボールサイドに密集して反対サイドは捨てる

 石川に入ったところでアタックしてミスを誘う。ボールを回収した後は、
サイドに追い込んで奪えば反対サイドのミスマッチもスペースも気にならない

 定石通り、札幌のサイドのスペースを狙うなどして縦に速く展開し、陣地を回復することを狙ってくるだろう。
奪った後は2トップと両SHがカウンター

 札幌の左サイドは、ルヴァンカップでは温存した石川が恐らく先発起用される。ミシャ自身も川崎戦の後に認めていたが、石川、早坂といった選手がアウトサイドなら「単独突破してこい」と送り出すことにはならない。石川の後方を、いつものように福森がサポートする形になるが、石川を適切にサポートできないと、鳥栖相手ならこのように相手のカウンターの起点になりかねない。

4.3 横幅アタック vs 圧縮守備(からの攻撃):その2


 札幌の狙いはシンプルである。鳥栖が捨ててくるファーサイドを狙う。
 一つは、左サイドで福森をクロスの射程距離に置いて、ミスマッチになっているターゲットに放り込む。
ファーサイドがミスマッチになる(ことが予想される)のでクロスで狙いたい

 もしくはサイドチェンジから揺さぶり、ルーカスが優位な(仕掛けが成功しやすい)状況を作ってから勝負。フィニッシュはクロスにジェイや武蔵が合わせる形なのは変わらず。
捨てられているルーカスに届けて勝負したい

 いずれにせよ鳥栖はボールと反対サイドは”捨てている”。それは反対サイドで、武蔵やルーカスが待っていても関係ない。捨てているサイドに出させなければ、ドリブラーだろうとストライカーだろうとそのサイドは死ぬので鳥栖の勝ち、ボールを逃がせられれば札幌の勝ちだ。
 ボールサイドで札幌のプレーに特に関与しそうなのは、福森、チャナティップに石川、深井。それぞれ役割は、福森はロングレンジのキックで反対サイドに逃がす役割、チャナティップは中央で受けて反対サイドに逃がす役割、石川はその2人がボールを保持するのを助ける役割、深井は攻撃を開始する役割になる。

 予想としては、札幌は福森をフリーにするために↓のパターンを使ってくる。チャナティップが下がり、石川がそのチャナティップがいたレーンに移り、石川が空けたタッチライン際に福森。チャナティップを一度経由して中央に引き付けることで福森がフリーになりやすい。
(福森をフリーにする)左サイドで”旋回”して守備の基準を崩す

 これで福森がフリーになるところまでは予想できる。ここから放り込むこともできるし、鳥栖は「いつもの守り方」だと空中戦に特段の装備はしないので、これだけでゴール前で”何か”が起きるかもしれない。
 ただ、崩しにはもう1段階が恐らく必要。例えば石川がハーフスペースで裏に抜ける。これもパターンとしてあり川崎戦でも試みていた。
福森がフリーになった”先”が欲しいが、石川が抜けるのは鳥栖も想定内か

 もっともこれも鳥栖の意図する「ボールサイドに閉じ込める」の術中にはまっているとも捉えられる。その意味では少し強引な打開策である。

 なお、この鳥栖と似たコンセプトのチームに町田ゼルビアがある。懐かしの四方田札幌vs町田は2016年に実現し、1度目は町田の圧縮サッカーに、初スタメンのヘイスちゃんを初めとする札幌のスローなアタッカー陣が捕まって圧殺され0-2の敗戦。野津田公園までの登山で疲れてしまったのかもしれないが。
 二度目の対戦では札幌ドームで札幌がリベンジを果たす。この試合は、試合開始早々にカウンターからヘイスが先制点を挙げたことも大きかったが、明確な町田対策を用意していた。それは「ウイングバックが捕まる前に福森のロングフィードで対角に逃がす」。J2では異次元、J1でも比肩しうる選手は殆ど見当たらない、最終ラインから反対サイドに蹴っ飛ばせる福森の特殊能力を存分に活用し、圧縮守備の突破に成功している。
(2016/9/2)福森のロングフィードで町田の圧縮を無力化

4.4 例外は存在するか?


 「4.2」「4.3」に書いた通り、金明輝監督の鳥栖のスタイルはシンプルかつオーソドックス。ここまで数試合を見て、奇策を用いず結構頑固なタイプだと予想している。
 しかし福森、チャナティップ、ルーカス、ジェイと揃う札幌相手に、そのオーソドックスなゾーナルディフェンスのスタイルが通用するかは疑わしい。そう考えると、鳥栖がこれまでの試合と戦い方を微妙にアレンジしてくることも十分に想定される。

 例えば、大外をカバーするために最終ラインを4枚+1(サイドハーフを下がり目)にするやり方。これでルーカスにサイドチェンジされてもスライドが間に合いやすくなる。右サイドハーフは、松岡の起用を予想するが、福森との「速さのミスマッチ」を突くために安庸佑の起用もありうる。埼玉でも浦和の宇賀神のサイドを何度か切り裂いていた。
 ただ恐らく5バックにすることはないと予想する。完全に5バックにすると、両サイドハーフというポジションを撤廃しなくてはならないので、速攻時の攻撃の枚数が2枚減ってしまう。最終ラインにCBを3人置く(ジェイに対して必ずパワーのある選手で対抗できる)メリットよりも、このデメリットの方が上回ると考えるだろう。

用語集・この記事上での用語定義


1列目 守備側のチームのうち一番前で守っている選手の列。4-4-2なら2トップの2人の選手。一般にどのフォーメーションも3列(ライン)で守備陣形を作る。MFは2列目、DFは3列目と言う。その中間に人を配する場合は1.5列目、とも言われることがある。ただ配置によっては、MFのうち前目の選手が2列目で、後ろの選手が3列目、DFが4列目と言う場合もある(「1列目」が示す選手は基本的に揺らぎがない)。攻撃時も「2列目からの攻撃参加」等とよく言われるが、攻撃はラインを作るポジショングよりも、ラインを作って守る守備側に対しスペースを作るためのポジショニングや動きが推奨されるので、実際に列を作った上での「2列目」と言っているわけではなく慣用的な表現である。
サリータ・ラボルピアーナ センターバック2人の間にセントラルMFの選手が降り、計3人で3バックの配置にしてからビルドアップを行うこと。相手が2トップで守備をする時に3人で数的優位かつ、幅をとることで相手2トップがカバーしきれないポジションからボールを運べるようにする。最近誰かが「サリーちゃん」と言い出した。
質的優位 局所的にマッチアップしている選手同士の力関係が、いずれかの選手の方が優位な状態。攻撃側の選手(の、ある部分)が守備側の選手(の、攻撃側に対応する部分)を力関係で上回っている時は、その選手にボールが入るだけでチャンスや得点機会になることもあるので、そうしたシチュエーションの説明に使われることが多い。「優位」は相対的な話だが、野々村社長がよく言う「クオリティがある」はこれに近いと思ってよい。
ex.ゴール前でファーサイドにクロスボールが入った時に、クロスに合わせる攻撃側がジェイで、守備側は背が低く競り合いに弱い選手なら「(攻撃側:ジェイの)高さの質的優位」になる。
→「ミスマッチ」も参照。
守備の基準 守備における振る舞いの判断基準。よくあるものは「相手の誰々選手がボールを持った時に、味方の誰々選手が○○をさせないようにボールに寄せていく」、「○○のスペースで相手選手が持った時、味方の誰々選手が最初にボールホルダーの前に立つ」など。
数的優位 局所的にマッチアップが合っておらず、いずれかのチームの方が人数が多い状態。守備側が「1人で2人を見る」状況は負担が大きいのでチャンスになりやすい。ただし人の人数や数的関係だけで説明できないシチュエーションも多分にあるので注意。
チャネル 選手と選手の間。よく使われるのはCBとSBの間のチャネルなど、攻撃側が狙っていきたいスペースの説明に使われることが多い。
トランジション ボールを持っている状況⇔ボールを持っていない状況に切り替わることや切り替わっている最中の展開を指す。ポジティブトランジション…ボールを奪った時の(当該チームにとってポジティブな)トランジション。ネガティブトランジション…ボールを失った時の(当該チームにとってネガティブな)トランジション。
ハーフスペース ピッチを縦に5分割した時に中央のレーンと大外のレーンの中間。平たく言うと、「中央のレーンよりも(相手からの監視が甘く)支配しやすく、かつ大外のレーンよりもゴールに近く、シュート、パス、ドリブル、クロスなど様々な展開に活用できるとされている空間」。
ビルドアップ オランダ等では「GK+DFを起点とし、ハーフウェーラインを超えて敵陣にボールが運ばれるまでの組み立て」を指す。よってGKからFWにロングフィードを蹴る(ソダン大作戦のような)ことも「ダイレクトなビルドアップ」として一種のビルドアップに含まれる。
ビルドアップの出口 後方からパスを繋いで行うビルドアップに対し、相手は簡単に前進させないようハイプレス等で抵抗する。
この時、ハイプレスを最初から最後まで行うとリスキー(後ろで守る選手がいなくなる)ので、ハイプレスは人数やエリアを限定して行われることが多いが、ビルドアップを行っているチームが、ハイプレスを突破してボールを落ち着かせる状態を作れる場所や選手を「ビルドアップの出口」と言っている。
ブロック ボール非保持側のチームが、「4-4-2」、「4-4」、「5-3」などの配置で、選手が2列・3列になった状態で並び、相手に簡単に突破されないよう守備の体勢を整えている状態を「ブロックを作る」などと言う。
マッチアップ 敵味方の選手同士の、対峙している組み合わせ。
マンマーク ボールを持っていないチームの、ボールを持っているチームに対する守備のやり方で、相手選手の位置取りに合わせて動いて守る(相手の前に立ったり、すぐ近くに立ってボールが渡ると奪いに行く、等)やり方。
対義語はゾーンディフェンス(相手選手ではなく、相手が保持するボールの位置に合わせて動いて守るやり方)だが、実際には大半のチームは「部分的にゾーンディフェンス、部分的にマンマーク」で守っている。
ミスマッチ 「足が速い選手と遅い選手」など、マッチアップしている選手同士の関係が互角に近い状態とはいえないこと。

5 件のコメント:

  1. 鳥栖は昔の鳥栖っぽく頑張ってくるとして、札幌はコンディション的に90分できないかもしれない選手と薄いベンチという制約があります。雨だと疲弊しますし、不確実性も増えそうです。
    付き合ってひたすら頑張るのも損と思いますが、どのくらい引いてラインを設定しそうでしょう?
    あと晴れあるいはドームだと揺さぶって疲弊させてからが本番といいサッカーで良いと思いますが、風もあるなか戦い方を工夫しそうでしょうか?

    返信削除
    返信
    1. 鳥栖はGKも大きくない選手ですし、CBもそんなにゴール前で強くないこともあって、撤退して守るよりはスペースを管理し、ラインを上げて圧縮するスタイルで考えていると思います。浦和や広島相手にも4バックで、終盤にDFを入れて枚数をあわせる(5バックにする)のもしなかったのがその根拠です。
      ただミシャ式は相手からすると浦和や広島の1-3-4-2-1以上に偏った戦術なので、どうするか読めない部分もあります。私は最終的には、カウンターがしやすいという理由で1-4-4-2で来るだろうと読んでいます。

      札幌がロングボール主体に切り替えるか否かは、鳥栖の前線守備の強度による所が大きいと予想します。これについても、鳥栖は前線だけ頑張るのではなく、陣形をコンパクトにして中央の密度を高めることを優先しているので、90分トータルで見るとそんなに前からは激しく来ないとは思います。

      ただ、13節の鹿島戦は、鹿島が1on1のデュエル重視、かつ1-4-4-2同士のミラーゲームということもあって、鹿島に引っ張られて結構、序盤から鳥栖も間延びしていた印象でした。札幌が放り込み主体で前後分断気味になると、同じような展開になるのもあるとみています。

      削除
  2. なるほど、ご丁寧にどうもありがとうございました!

    返信削除
  3. バチクソ分かりやすい

    返信削除
    返信
    1. まじくそありがとうございます!

      削除