1.予想スターティングメンバー
1.1 札幌
×(非帯同、欠場確定) | ※特になし |
---|---|
×(負傷等で欠場濃厚) | MF駒井(右膝半月板損傷) |
*(負傷等で出場微妙) | MF宮澤(10/18セレッソ大阪戦での右太もも肉離れ) MF荒野(左ふくらはぎ痛で10/18セレッソ大阪戦を欠場) |
IN(夏マーケットでの加入) | DF田中(特別指定選手登録) |
---|---|
OUT(夏マーケットでの放出) | DF中村(Honda FCへ育成型期限付き移籍) MF中原(ベガルタ仙台へ完全移籍) MF小野(FC琉球へ完全移籍) |
ここ2週間に行われた試合を休んでいた選手のうち、ジェイとチャナティップは22日の全体練習に合流。一方、そのチャナティップと同じ「軽い肉離れ」と診断された宮澤の出場可否は50%を切っているはず。代役として荒野に期待がかかるが、荒野も微妙な状況だ。ただ、先週のセレッソ戦では中野が試合途中から中央に回ったものの、宮澤か荒野のいずれかがいないと厳しいので、恐らくよほどの状況でない限りは荒野は強行出場になるのではないか。
前線は信頼の厚いジェイの先発起用が有力だが、試合展開を想定すると、アンデルソン ロペスは先発/ジョーカーいずれの起用法でもキーマンになるだろう。
なお、「選手・スタッフ・職員 総勢90人で埼玉入り」をするらしい。これに長期離脱の駒井が入っているのかわからないが、おそらく選手+スタッフで45人程度と考えると、札幌の職員は45人程度なのだろう(鹿島の職員数は改めてすげーなと思わされる)。
1.2 川崎
×(非帯同、欠場確定) | ※特になし |
---|---|
×(負傷等で欠場濃厚) | DF馬渡(10/9鹿島戦での左膝外側半月板損傷) |
*(負傷等で出場微妙) | MF阿部(膝の痛みで10/20ガンバ大阪戦を欠場) FW小林(10/21練習試合での右足負傷) |
IN(夏マーケットでの加入) | GK馬渡(愛媛FCから期限付き移籍) |
---|---|
OUT(夏マーケットでの放出) | DF舞行龍(アルビレックス新潟へ完全移籍) MF鈴木(ガンバ大阪へ期限付き移籍) MFカイオ・セザール(V・ファーレン長崎へ期限付き移籍) FW宮代(レノファ山口FCへ期限付き移籍) |
AFCチャンピオンズリーグに参戦していたので当然といえば当然だが、前線は2チームで回せそうなほどの選択肢がある。トップは小林の負傷に加え、公式戦ここ5試合は交互にスタメン起用されており順番でいくとダミアン。トップ下はダミアンと同時起用が多く、相性が良さそうな脇坂を予想する。
中盤は負傷離脱していた大島、齋藤、U-22代表招集によりたびたび離脱していた田中も戻っておりほぼベストメンバー。左は阿部のコンディションを考えると、長谷川の起用が予想される。
一方、最終ラインは右側の2ポジションに、これという適任者がいないためか流動的な起用が続く。CBは開幕当初のレギュラーで4月から離脱していた奈良、9月から離脱していたジェジエウが10/21の練習試合で実践復帰。奈良は90分プレーしたというが、カップ戦決勝というシチュエーションを考えると、残りのメンバーから、前節も先発した山村の起用が有力。札幌の高さ対策にもなる。
2.今期の対戦の振り返り
2019年6月14日(金)明治安田生命J1リーグ第15節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 ~カオスの調停者~
宮澤とルーカスを欠き、ジェイとアンロペも故障明けの札幌は川崎にボールを渡し、自陣からのダイレクトな攻撃に活路を見出す。しかし(毎度のことながら)札幌の人を受け渡す守備は川崎の流動的な攻撃に翻弄される。前半からク ソンユンの度々のビッグセーブでなんとか0-0を維持し、武蔵のPKで1点のリードを奪って折り返し。後半はカウンターにも結び付かず防戦一方の展開で、小林のヘッドで川崎が追いつく。その後も川崎が攻めるが1-1で試合終了。
宮澤とルーカスを欠き、ジェイとアンロペも故障明けの札幌は川崎にボールを渡し、自陣からのダイレクトな攻撃に活路を見出す。しかし(毎度のことながら)札幌の人を受け渡す守備は川崎の流動的な攻撃に翻弄される。前半からク ソンユンの度々のビッグセーブでなんとか0-0を維持し、武蔵のPKで1点のリードを奪って折り返し。後半はカウンターにも結び付かず防戦一方の展開で、小林のヘッドで川崎が追いつく。その後も川崎が攻めるが1-1で試合終了。
3.戦術面の一言メモ
3.1 札幌
コンセプト | 5トップで攻めて5バックで守る。相手の攻撃機会や攻撃リソースを奪う(守勢に回らせる)。 |
---|---|
ボール保持 (自陣) | 1-4-1-5や1-5-0-5の形からサイドのDFが持ち上がってシャドーやトップに縦パスを狙う。 |
ボール保持 (敵陣) | 引いて受けるチャナティップに預けての打開。フィニッシュは右の白井の仕掛けから。 |
ボール非保持 (敵陣) | 「ボールを取り上げたいチーム」との対戦を除いてはハーフウェーライン付近まで撤退。 |
ボール非保持 (自陣) | 1-5-2-3でセットしてマンマーク基調で守る。最終ラインはなるべくスライドせず5枚を残しておく。 |
ネガティブ トランジション | 前線の3選手はなるべく下がらず即時奪回に切り替え。後ろはすぐに戻って人を捕まえる。 |
ポジティブ トランジション | 自陣で奪った時はトップ(ジェイ、アンデルソン ロペス)、シャドーのチャナティップを探して預けて速攻を狙う。 |
セットプレー攻撃 | キッカーはほぼ全て福森に全権委任。ファーサイドのターゲット狙いが多い。ゴールキックはなるべくCBにサーブしてからポジショナルなビルドアップを狙う。 |
セットプレー守備 | コーナーキックではマンマーク基調。 |
その他memo | 同数で守る3バック相手なら対人に強い1トップ2シャドーがターゲットで質的優位を活かす。ギャップのできやすい4バック相手ならWBへのサイドチェンジを狙う傾向が強い。 |
3.2 川崎
「前線の選手は裏抜けが少ないのでネガトラが速い」というのは非常に腑に落ちる。
コンセプト | スモールフィールドでの戦いに持ち込み、選手の質とユニットのコンビネーションで局面を制圧。 |
---|---|
ボール保持 (自陣) | DFと中盤センターはあまり広がらず、あまり動かずに中央でボール保持から家長やトップ下に預けながらゆっくり前進。 |
ボール保持 (敵陣) | サイド(特に左)に人を3~4人集めてコンビネーションで突破からのクロス。中央も同様に人を集めて、基本的に足元でのプレーからの突破を狙う。 |
ボール非保持 (敵陣) | なるべく[1-4-4-2]は維持したまま前線4人+1人で高い位置から人を捕まえ、成功すればショートカウンターを狙う。4+1人でのプレスが失敗すると自陣ゴール前に最終ラインを引き直す[1-4-4-2]へ移行。 |
ボール非保持 (自陣) | ブロックが整ったら人を捕まえる。最終ラインのCBはスライドするので相手FWが流れるタイプだと中央から不在になることも。 |
ネガティブ トランジション | 密集攻撃からボールホルダーを囲い込んで即時奪回を狙う。 |
ポジティブ トランジション | 自陣で回収後は長いパスで前線の選手を走らせての、まずはダイレクトな展開を狙う。 |
セットプレー攻撃 | キッカーは中村、左足なら下田など。 |
セットプレー守備 | CKではマンマーク基調。 |
その他memo | ダミアンが出場している時はロングボールの比率がやや多め。 |
4.想定される互いのゲームプラン
札幌としては、まともに撃ち合いたくない。川崎に持たせて(できることなら塩漬けにしながら)背後のスペースを突く、という6月のリーグ戦と同様のプランを考えていると思う。
ただ、それが6月にあまり機能しなかったのは、札幌の前線の選手のコンディション(負傷明けの選手が多く、また武蔵は初めて右シャドーに入った)もあっただろうが、「3.2」でも書いたように川崎はネガティブトランジションが強烈だから。その点では、6月の試合でスタメンを外れた、前を向けば相手にとって脅威となるアンデルソン ロペスの起用法がキーになりそうだ。
川崎は札幌を意識するとしたら、ミシャチーム得意の横幅アタックをあまり自陣ゴール前で発生させたくないはず。札幌を自陣ゴールから遠ざける意味でも、川崎の守備の重心は高くなることが予想される。
5.想定される試合展開とポイント
5.1 川崎の特徴と札幌の狙いたい展開
想定される、平均的なポジション(互いのボール保持/非保持時)を基にしたマッチアップは概ね以下。共に、左サイドの選手が高めのポジションを取ることは共通している。
札幌ボール保持時の平均的なポジションとマッチアップ |
川崎ボール保持時の平均的なポジションとマッチアップ |
川崎ボール保持時の平均的なポジションとマッチアップ |
この「平均的なポジション」は、札幌は恐らく多少のメンバー変更があっても変わらない。川崎は、左のにMFに入る選手によっては、長谷川のようにサイドに張らない場合もある。
この図で何が言いたいかというと、川崎は中央に人を集める傾向があり、そして「中央でボールが行き来する展開」に強い。人を中央に集めており、かつその”狭さ”がデメリットにならないだけのクオリティがある。そして、攻⇔守で札幌ほどのポジション移動をしないため、(ボールが行き来する)速い展開になった時に、攻⇔守の切り替えを迅速に行えるためだ。
前節セレッソ大阪戦の記事で、「広く攻めて狭く守る」ことがサッカーの基本だと書いた。川崎は「狭く攻めて狭く守る」チーム。狭く攻めることは一般にセオリーに反している。が、セオリーを無視しているのは、その問題さえ解決できれば、ゴールはゴールライン上の中央にあるので、中央を突破するのが一番効率がいいとする考え方があると思われる。川崎はデメリットを打ち消すだけの、密集地帯での攻防に強さがある。言うまでもなく、選手個人の能力と、2~4人の選手が関与するユニットとしてのプレーの洗練さ(普通はあれだけ近寄っていると動きが被り、互いに打ち消して機能しない)によるものだ。
(イメージ図)「中央でボールが頻繁に往来する展開」だと川崎に分がある |
だから札幌は、基本的にはボールが頻繁に行き来しない展開に持ち込みたい…
1)札幌のゴール前にずっとある
2)川崎のゴール前にずっとある
3)札幌のゴール前にあり、川崎のゴール前まで運ばれていくが、そこから帰ってこない→札幌は得点か、それに近い状態になっている
4)川崎のゴール前にあり、札幌のゴール前まで運ばれていくが、そこから帰ってこない→札幌は失点か、それに近い状態になっている
5)札幌が横幅を使ってボールを動かしている
とパターンを整理すると、4)は避けたい。2)は難しい。志向したいのは5)だがそれも難しい。となると1)か3)、札幌のゴール前のプレー機会が多くなるのは覚悟での戦いになりそうだ。
5.2 札幌ゴール前での4on2
その、札幌の「ゴール前でのプレー機会」のパターンの1つ。札幌が後方でボールを保持している時の展開を考える。
・初期配置は概ねこのようになるはず。川崎は[1-4-4-2]で、2トップは高めのポジションから人を捕まえてくることが多い。札幌は、ここはいつもの形で、キム ミンテ+中盤の2人で対応したいところ。
・札幌の前線3人は「FW2人+チャナティップ」。なので、川崎はCB2人が左寄りのポジション。
・チャナティップは頻繁に落ちて荒野や深井を助けるが、川崎は、神戸戦でイニエスタに密着していた田中がスッポンマークで対抗してくることが予想される。
札幌ゴール前でのボール保持時の「4on2」と前線の「2on2」 |
6月のリーグ戦での対戦では、序盤はジェイへのロングフィードが何度か選択され、そのジェイへのフィードから札幌が先制点となるPKを獲得している。しかし、このゴールキックから”セット”されたプレーならばともかく、ジェイへのフィードを選択した時の問題は、川崎相手に引いたポジションをとっていると、ジェイに当てた後のサポートが遅くなり孤立無援状態に陥ることがある(ジェイが味方に「もっとサポートを速くしてくれ」とするやり取りをしている場面もあった)。
そのため、ジェイへのフィード一辺倒ではなく、後方の「4on2」を起点にしたビルドアップの時間が生じる、6月の対戦と同様の展開が予想される。この時はアンカー荒野が下がりすぎる問題があった。「4on2」を4人で攻略して、荒野がより高いポジションで前を向けることで次の展開…5トップで時間をかけずに攻撃に移行する形に繋がる。逆に、この展開が失敗すれば川崎の前線4人でのカウンター。リスクとリターンを常に天秤にかけた状態での攻防は荒野がカギを握っている。
なおジェイとジェジエウのマッチアップは4:6くらいでジェジエウが優勢だった(あくまで印象論)。4でも起点を作れれば、川崎相手には大きい。相手が山村になるとパワーバランスはどうか。アンデルソン ロペスの突進力も捨てがたいが、久しく「本物のFW」と戦っていない山村との勝負を、スタートからジェイに託す価値は十分にあるだろう。
川崎のボールを保持攻撃の特徴は、ポジションチェンジと密集。ボール周辺のエリアに過剰なほど人を送り込み、また家長や脇坂は横方向にかなりのポジション移動を行う(基本的にはボールに寄っていく)。札幌の「人を捕まえて受け渡す」守備は非常に相性が悪い。人が増え、また配置が目まぐるしく変わると、個々の「どこまでついていき、どこで受け渡す」の判断が難しくなる(相手の人ではない、別の判断基準にしないとついていけない)からだ。
それでも基本的なマッチアップは決まっていて、長谷川vs白井、進藤は白井の斜め後ろを見ながらハーフスペースに寄ってくる選手(トップ下の選手が有力だ)、右シャドーの武蔵も、川崎の左SB(車屋)まで下がって捕まえることになるだろう。フジテレビで「主役」とされている武蔵だが、白井と共に我慢の時を過ごすことになりそうだ。
2019シーズンの中盤戦から定着した、「右シャドー・武蔵」。これが初めて実装されたのが6月の川崎戦だ。恐らく、この時の狙いは川崎の左SBの背後を狙うこと。ただ、この時は武蔵が想定以上に守備に追われ、ジェイとのチェーンが機能しなかった。
恐らくトランジション後にダイレクトにジェイを使うのではなく、チャナティップをクッションとするなど、速攻の形はよりデザインされた形で来ると思うが、その思惑通りになるか。狙われることがわかっている、車屋の振る舞いも気になるところ。
荒野が下がってこなければ中央から展開できる |
なおジェイとジェジエウのマッチアップは4:6くらいでジェジエウが優勢だった(あくまで印象論)。4でも起点を作れれば、川崎相手には大きい。相手が山村になるとパワーバランスはどうか。アンデルソン ロペスの突進力も捨てがたいが、久しく「本物のFW」と戦っていない山村との勝負を、スタートからジェイに託す価値は十分にあるだろう。
5.3 我慢の先に
川崎のボールを保持攻撃の特徴は、ポジションチェンジと密集。ボール周辺のエリアに過剰なほど人を送り込み、また家長や脇坂は横方向にかなりのポジション移動を行う(基本的にはボールに寄っていく)。札幌の「人を捕まえて受け渡す」守備は非常に相性が悪い。人が増え、また配置が目まぐるしく変わると、個々の「どこまでついていき、どこで受け渡す」の判断が難しくなる(相手の人ではない、別の判断基準にしないとついていけない)からだ。
それでも基本的なマッチアップは決まっていて、長谷川vs白井、進藤は白井の斜め後ろを見ながらハーフスペースに寄ってくる選手(トップ下の選手が有力だ)、右シャドーの武蔵も、川崎の左SB(車屋)まで下がって捕まえることになるだろう。フジテレビで「主役」とされている武蔵だが、白井と共に我慢の時を過ごすことになりそうだ。
川崎の得意の攻撃パターン(密集から抜け出してサイド突破) |
2019シーズンの中盤戦から定着した、「右シャドー・武蔵」。これが初めて実装されたのが6月の川崎戦だ。恐らく、この時の狙いは川崎の左SBの背後を狙うこと。ただ、この時は武蔵が想定以上に守備に追われ、ジェイとのチェーンが機能しなかった。
恐らくトランジション後にダイレクトにジェイを使うのではなく、チャナティップをクッションとするなど、速攻の形はよりデザインされた形で来ると思うが、その思惑通りになるか。狙われることがわかっている、車屋の振る舞いも気になるところ。
サイドをえぐられる前に食い止めてジェイに当てての速攻を狙いたい札幌 |
0 件のコメント:
コメントを投稿