0.スターティングメンバー
スターティングメンバー |
札幌(1-3-4-2-1):GKク ソンユン、DF進藤亮佑、宮澤裕樹、福森晃斗、MFルーカス フェルナンデス、荒野拓馬、深井一希、菅大輝、チャナティップ、アンデルソン ロペス、FW鈴木武蔵。サブメンバーはGK菅野孝憲、DF石川直樹、キム ミンテ、MF白井康介、中野嘉大、早坂良太、FW岩崎悠人。ルヴァンカップで負傷した中原、ジェイは予想通りメンバー外。
鹿島(1-4-2-2-2):GKクォン スンテ、DF内田篤人、犬飼智也、町田浩樹、安西幸輝MF永木亮太、レオ シルバ、レアンドロ、安部裕葵、FW土居聖真、伊藤翔。サブメンバーはGK曽ケ端準、DFチョン スンヒョン、MF平戸太貴、三竿健斗、遠藤康、FW金森健志、セルジーニョ。こちらもほぼ予想通りのメンバー。
その他プレビューはこちら。
1.両チームのゲームモデルと10分間のプロローグ
1.1 両チームのゲームモデル
端的に書くと、札幌:
・ボール保持を安定させた状態で相手に5トップを押し付ける。
→相手は望ましい陣形を維持できなくなるか、5トップのどこかを捨てた状態で前に出てくることになる。この構図を作りゲームを支配する。
鹿島:
・札幌の5トップアタックは後方のバランスに難ありなので、耐えて何らか点を取る(カウンター、セットプレー)。札幌は停滞すると更にバランスが悪くなるので、他のチーム以上に先制すること、先に失点しないことが重要。
・上記の具体策は、ほぼ純粋なマンマーク(相手よりも個人能力が上回っている前提ならば非常に有効)。
札幌には定形的、言い換えれば主観的なゲームモデルがある。それは鹿島にもあるという人はいると思うが、鹿島のゲームモデルは札幌に比べて相対的である。試合前からわかり切っていることではあるが、相手を見てサッカーをするという点では、両者の意識にはかなりの差がある。
1.2 プロローグと化した開始10分間
上記を踏まえて試合展開を見ていくが、12分、鹿島ゴール前でのフリーキック。リバウンドから菅のクロスをレアンドロがブロックし、鹿島のカウンターが発動。札幌は即時奪回を目指すがレオ シルバが反転から伊藤にスルーパス。陣形が崩れていた札幌は後ろを守っていたルーカスがギャンブルスライディングで対抗する中央を割られ、伊藤が独走からソンユンとの1on1を制して先制点。
札幌が自らバランスを崩す展開に持ち込みたい鹿島にとり、極めて重要な意味を持つ先制点が、12分という非常に早い段階で転がり込む。
理屈の上では鹿島はシュートを撃つ必要はない。守りにエネルギーを割ける。札幌はそんな鹿島から得点しなければポイントを獲得できない。スコアが0-1となったことでイーブンな状態とは全く異なる試合展開になる。開始から数分間は鹿島のファーストディフェンスが曖昧で、6分頃には札幌がGKを含めたビルドアップで鹿島の1列目を突破、そのままスピードに乗ったアタックでシュートまで持ち込むこともできたが、そうした攻撃の再現は非常に難しくなってしまった。
1.3 プロローグから透けて見えた鹿島の狙い
この開始10分あまりの時間から一つ読み取れたことは、札幌の右・鹿島の左サイドにおける攻防の両チームの捉え方のギャップである。3バックの札幌は、右サイドに配されているのはボール保持/非保持のいずれの状況でも基本的にはルーカス1人。ルーカスが専属で、他の選手はあくまでサポート、副次的な扱いである。
対する鹿島は安部と安西の2人。ここで、鹿島の2列目は基本的にサイドアタッカーではなく攻撃的MFで、ボール保持時はサイドよりも中央のレーンで活動する傾向が強い。しかしこの試合、安部は序盤から大外に張り続ける。鹿島の視点では、ルーカスに安部とのマッチアップを突きつける。
鹿島ボール保持時は安部が大外に張るルール |
鹿島のボール保持攻撃の中から、この狙いが現れていた局面を3つ抽出する。
4:10頃、鹿島が自陣低い位置で、珍しく中盤センターを落として3バック状態でボール保持(サリーちゃん)。ただ中央の永木は何か危険なアクションを起こすわけでもないので札幌は放置。この対応はOKだが、ロペスは町田にボールが渡るとアタック。するとSB安西を見れる選手がいなくなるので、安西が完全にフリーの状態に。ここで安西は、ドリブルで札幌陣内に侵入する。
(4:10頃)安西が低い位置で受けてそのまま運ぶ |
2つ目は5:33頃、鹿島のゴールキックからの展開で、札幌の守備基準は2トップがCB2人。クォン スンテはオープンな安西にフィード。ルーカスが1列ジャンプして安西に当たる。
(5:33頃)安西へのフィードにルーカスが対応 |
3つ目は9:02頃、鹿島のスローインからのリスタート。一度札幌はリトリートしている。安西がレオ シルバからリターンを受ける。ルーカスは安部に引っ張られたポジションを取っていることもあり、リターンを受けた安西に対する札幌の対応は緩い。安西はルーカスと進藤の間を割る形で強引に突破を図り、結果成功、フィニッシュまで持ち込んだ。
(9:02頃)ルーズな対応を確認した安西が一気にペナルティエリアまで侵入 |
この3つの局面から定性的に分析できることがある。それは、
・鹿島はボール保持時に、左サイドに2人の選手を配している。
・札幌右サイドの守備ユニットは、ルーカスが含まれていることはわかるが、他の選手(荒野やロペス)との役割分担がよく言えばフレキシブル、悪く言えば曖昧で、方針が定まっていない。そもそも右サイドのユニットとして荒野とロペス、誰が含まれるのかもよくわからない。あまり重要視していないかのようにすら思える。
・鹿島は札幌の右(鹿島の左)の攻略を非常に意識している。安部は普段と異なりサイドに張ることでまずルーカスを引っ張り、ロペスや荒野と分断させる。安西がそこに登場する。安西はフリーなら迷わず仕掛ける。この方針が決まっていたのだと思う。
2.バイタルエリアの番人
2.1 (プロローグ後の展開)札幌ボール保持時のマッチアップ
大事なことなので繰り返すが、先制点が入るまでの12分間とその後の88分間+アディショナルタイムは分析対象として別物である。2.以降では、試合が別物となった後の展開を見ていく。
スコアが動いてからの数分間は、基本的には作り直そうとする札幌と、一旦引いて様子を見る鹿島、という構図で進んでいた。札幌ボール保持時の鹿島の守備の構図は、、まず以下のように引いた状態で4-4-2でセット。しかしその実態はマンマークの性質が強く、ブロック内ではまず人を捕まえる。
鹿島が札幌のボール保持攻撃に対応する際に、特に重要なマッチアップが以下に示した4つの黄色の線。両SBは大外のウイングバックに最優先で対応する。”最優先”を具体的に言うと、ボールが入りそうな状況下では早めに寄せること、特にサイドチェンジに対してはボールが渡る前にインターセプトできる位置取りを徹底していた。
チャナティップには、筆者がプレビューで書いた通り永木。そして札幌のDFラインはこの配置にはなっていないことも多いが、傑出したフィード能力を持つ福森には対面のレアンドロが早めにチェックできるよう監視していた。
鹿島のリトリート陣形と実際のマーク関係 |
2.2 ルーカス包囲網
引いてくる鹿島に、札幌が仕掛けた策として、まず大外のルーカスの単独突破が挙げられる。ルーカスまでボールを届けること自体は問題ない。それは殆ど警戒されていなかった進藤を経由すれば容易である。
問題はルーカスに届けられた後だった。先述の通り、安西がマンマークでルーカスを監視しており、ボールが入ると迅速に寄せてくる。この時、右利きのルーカスは縦方向への突破からのクロスがファーストチョイスなので、安西は必ず縦を切るポジションと体の向きを徹底していた。更に、安西がストップさせている間に安部がサポートし、内側へのドリブルコースを切るポジションを取る。
ルーカスは、強引に縦突破を図っても優位な位置取りをしている安西に体を入れられ、切り返して安部をかわしても、レオ シルバの守備範囲に収まってしまっていた。
ルーカスには2人がかりで封鎖 |
2.3 バイタルエリアの番人
ならば中央はどうか。引いてくるチャナティップから、もしくは最終ラインの選手から直接、中央の武蔵とロペスに楔の縦パスが入る機会は何度かあった。この時、鹿島はSBが札幌のWBをケアしているので、中央は武蔵・ロペスと犬飼・町田で2on2の数的関係。武蔵とロペスが重ならないポジションを取っていれば、鹿島のDF同士でカバーリング関係を作ることは難しく、攻撃側にとって有利な1on1の局面に持ち込めるはず。
しかしそうならなかったのは、武蔵やロペスにボールが入ると、”バイタルエリアの番人”レオ シルバがすかさずプレスバックして挟み込むことで攻撃の芽を摘むんでいたため。元々武蔵はDFを背負ったプレーがそこまで得意ではない。ならばロペスに期待したいが、ロペスも本質的には活動するためにある程度のスペースが必要なタイプで、レオ シルバの圧迫により前線の起点創出能力は完全に機能不全に陥ってしまった。
縦パスはレオ シルバが掃除 |
3.2手先の準備
3.1 5-2-3守備に切り替える札幌
この試合、札幌がうまくいかなかった原因はいくつかあるが、鹿島のボール保持時に効果的な圧力をかけられなかったことも大きく影響した。
ここ2試合、特に浦和戦では、中盤の受け手となる選手をマンマークで消し、中盤への楔のボールを奪うことでショートカウンターを発動させる。そこから逆算して守備を設計していた札幌だが、鹿島相手に同じやり方が通用しなかったのは、鹿島はSBに、攻撃を組み立てられる内田、崩しからフィニッシュまで個人で完結できる安西という高い能力を持つ選手がいるためだった。
15分頃から札幌の守備は5-2-3⇔5-4-1、ここ2試合で機能していた2トップ気味の形から、2018シーズンまでのスタンダードな形に戻す。これは、鹿島のSBをケアしやすい
失点後札幌は5-2-3にシフトする |
3.2 安西を更に突き出す鹿島の策
これもはまらなかった。鹿島は3バック気味の形にシフトする。安西は更にロペスから遠ざかり、代わりに町田がロペスの視界内で大きく映る。町田がロペスを引き付けるように、ロペスの正面でプレーすることで、札幌が企図したロペスー安西の関係性は再び曖昧になる。
3バック気味にすると安西は更に前で振る舞える |
23分の鹿島の追加点は、内田の対角へのフィードから、ロペスの背後を取る形の位置取りをしていた安西にルーカスが(またもジャンプする形で)対応したところからだった。ルーカスの寄せを安西が股抜きでかわすと、不意を突かれた札幌のバイタルエリアはエアポケットのように空いており、安西の中央へのペネトレイトは誰にも止められず易々とラストパスを許してしまった。
(鹿島の2点目)内田→安西のフィードで1列目が剥がされ無防備状態に |
1発で飛び込み股を抜かれたルーカスの対応も不用意だったが、1.で指摘したように序盤から再三マークが緩かった安西への、組織としてのケアはここでも解決されていなかった。
4.欠けていたムーブ
4.1 札幌後半の変化
後半開始から、札幌は攻撃時の人の配置を微妙に変えてくる。
(後半頭から)3-2ビルドアップに切り替える |
荒野と深井は極力最終ラインに落ちない。ミシャのオプションの中では最もオーソドックス寄りと言える3-2-5。
この狙いは宮澤のコメントに「後半は前と後ろとの距離感を良くしようと意識をした」あるが、前線と最終ラインをリンクさせ、セカンドボールを拾うために中央の人を増やした、と読み取るのが妥当だろう。その証拠に、前半、武蔵とロペスへのシンプルなフィードは非常に少なかったが後半は開始5~6分で数回使われている。放セカンドボールを拾えるための準備をした上で放り込みによるビルドアップも増やしていこう、という話があったのだろう。
4.2 様子見を強いられるレオ シルバ
鹿島のマーク関係を図示すると以下のようになる。
札幌はビルドアップ要員が1人減り、3バックが大胆なポジション(横幅を長く)をとることが難しくなる。よって、攻めに出たいが、ボールの動かし方はより慎重になっていて、後半立ち上がりは信頼のおける福森起点で縦に展開することが多かった。
この時も鹿島は福森をレアンドロが見ていることは変わらない。他のマーク関係もほぼ同じだが、中央ではレオシルバの視界内に深井と荒野が登場する。鹿島が中央を締めていると、リスキーなパスは札幌も避けたいこともあり、この2人になかなか簡単に縦パスが入ることは多くなかったが、フォアリベロ的にバイタルエリア広範を見ていたレオ シルバが後方よりも前方を意識せざるを得ない状況になる。
福森が頼りにされる展開になると、札幌のアタックの重心はルーカスの右から福森の左へとシフトする。そこからの展開は、大外の菅の突破もあったが、より中央のレーンでプレーするチャナティップに預けることが多かった。
前半札幌が殆ど有効に使えなかった中央レーン~ハーフスペースでチャナティップが活動できれば、得点に直結するプレーの期待値が高まるはずだが、チャナティップがボールを保持したときに、背後霊のようにつきまとう永木に加え、レオ シルバ、犬飼、町田がゴール前を固めているため、物理的にスペースが非常に矮小な状況でボールを持たざるを得ないことが多かった。
後半の札幌が、鹿島ゴールをこじ開けるのに足りなかった(セットプレーから1点は取ったが)要素として、ゴール前の渋滞解消のためのポジションチェンジが挙げられる。鹿島のDFは、ゴール前ではほぼ確実に人についてくる。犬飼と町田は中央を固めているように見えるが、その実態は武蔵とロペスにひたすらついていくというもの。よって、武蔵やロペスが動くとDFを本来いるべき場所から引き剥がすことができる(この時の札幌のDFのように)。
札幌の前線で最もポジションチェンジを行っていたのはチャナティップだったが、チャナティップのムーブによって動かせる選手は本来2列目の永木。つまり、チャナティップがゴール前から離れたりサイドに流れても、鹿島のゴール前の人数は変わらない。武蔵やロペスがそうした役割を担わなければならないが、両者とも、スペースがない中で中央に鎮座しているだけの状況が多く、この選択は悪手だったと思う。
多少は両チーム間のパワーバランスが揺れ動くも、スコアには影響がないまま迎えた60分頃。ここで、札幌は福森が動く。厳密にはまず宮澤が動くのだが、試合を決定づけたのは福森の振る舞いだったと思う。
後半から後ろの枚数と人を固定し、かつ減らしたことでボールの前進が難しくなると、宮澤は監視されていない自身が中盤に登場することで、中央にフリーの受け手を作る。この時、荒野か深井が宮澤の背後をカバーする。中央で宮澤が持てるようになると、サイドのルーカスや菅、シャドーのチャナティップといった崩しのキープレイヤーに最短距離で供給できるようになる。鹿島は66分、前線にセルジーニョを投入したが、これは宮澤をケアする意図もあったとみている。
この動きに追随?なのか、それまで我慢していた本能なのか、福森が徐々に大胆なポ位置取りを見せるようになったのもこの時間帯だった。元々中盤センター志望だったらしい福森の攻撃参加はこれまでも散々見てきたが、宮澤は荒野や深井がカバーできるタイミングで攻撃参加するのに対し、福森のそれは非常にギャンブル的で、特に宮澤と同じタイミングで前に出たり、そのまま帰ってこなかったりと深井の振る舞いを非常に難しくしていたように思える。
深井の戸惑いはそのままチームの綻びとなって表れ、早速59分にはレアンドロに裏を取られて決定機を招いている。
76分の鹿島の3点目は進藤のサイドチェンジが引っ掛かったところから。内田が拾った時、レアンドロがまずサイドに膨らむ動きを見せる。深井はこれに惑わされてしまった格好で、深井が空けた中央のエリアでセルジーニョが引いてポストプレーに成功。この時、今度は福森が不用意にセルジーニョに食いついたことでその背後は全開となってしまった。
福森としては自分が責任を取る意識もあったと思うが、全般に攻守両面で前への意識が強すぎるあまり、カウンターを準備しているチーム(湘南も該当する)には格好の狙いどころとなっている。
この試合、鹿島のロングカウンターは大半が福森の背後を狙ったもので、それは選手特性や札幌の攻撃時のポジションニング、攻撃の傾向等を考慮していたと思うが、ボールを持っている時にもう少し準備が必要だったと思う。
札幌はビルドアップ要員が1人減り、3バックが大胆なポジション(横幅を長く)をとることが難しくなる。よって、攻めに出たいが、ボールの動かし方はより慎重になっていて、後半立ち上がりは信頼のおける福森起点で縦に展開することが多かった。
この時も鹿島は福森をレアンドロが見ていることは変わらない。他のマーク関係もほぼ同じだが、中央ではレオシルバの視界内に深井と荒野が登場する。鹿島が中央を締めていると、リスキーなパスは札幌も避けたいこともあり、この2人になかなか簡単に縦パスが入ることは多くなかったが、フォアリベロ的にバイタルエリア広範を見ていたレオ シルバが後方よりも前方を意識せざるを得ない状況になる。
3-2ビルドアップ時の人の関係 |
4.3 欠けていたマンマーク攻略法
福森が頼りにされる展開になると、札幌のアタックの重心はルーカスの右から福森の左へとシフトする。そこからの展開は、大外の菅の突破もあったが、より中央のレーンでプレーするチャナティップに預けることが多かった。
前半札幌が殆ど有効に使えなかった中央レーン~ハーフスペースでチャナティップが活動できれば、得点に直結するプレーの期待値が高まるはずだが、チャナティップがボールを保持したときに、背後霊のようにつきまとう永木に加え、レオ シルバ、犬飼、町田がゴール前を固めているため、物理的にスペースが非常に矮小な状況でボールを持たざるを得ないことが多かった。
チャナティップにボールが入るようになるが、中央はビジー状態 |
後半の札幌が、鹿島ゴールをこじ開けるのに足りなかった(セットプレーから1点は取ったが)要素として、ゴール前の渋滞解消のためのポジションチェンジが挙げられる。鹿島のDFは、ゴール前ではほぼ確実に人についてくる。犬飼と町田は中央を固めているように見えるが、その実態は武蔵とロペスにひたすらついていくというもの。よって、武蔵やロペスが動くとDFを本来いるべき場所から引き剥がすことができる(この時の札幌のDFのように)。
(仮定)マンマークを逆手に取り人をどかすことができていれば |
札幌の前線で最もポジションチェンジを行っていたのはチャナティップだったが、チャナティップのムーブによって動かせる選手は本来2列目の永木。つまり、チャナティップがゴール前から離れたりサイドに流れても、鹿島のゴール前の人数は変わらない。武蔵やロペスがそうした役割を担わなければならないが、両者とも、スペースがない中で中央に鎮座しているだけの状況が多く、この選択は悪手だったと思う。
5.本能のままに
5.1 厄介な選手特性
多少は両チーム間のパワーバランスが揺れ動くも、スコアには影響がないまま迎えた60分頃。ここで、札幌は福森が動く。厳密にはまず宮澤が動くのだが、試合を決定づけたのは福森の振る舞いだったと思う。
後半から後ろの枚数と人を固定し、かつ減らしたことでボールの前進が難しくなると、宮澤は監視されていない自身が中盤に登場することで、中央にフリーの受け手を作る。この時、荒野か深井が宮澤の背後をカバーする。中央で宮澤が持てるようになると、サイドのルーカスや菅、シャドーのチャナティップといった崩しのキープレイヤーに最短距離で供給できるようになる。鹿島は66分、前線にセルジーニョを投入したが、これは宮澤をケアする意図もあったとみている。
宮澤が攻撃参加すると荒野が背後を守る |
この動きに追随?なのか、それまで我慢していた本能なのか、福森が徐々に大胆なポ位置取りを見せるようになったのもこの時間帯だった。元々中盤センター志望だったらしい福森の攻撃参加はこれまでも散々見てきたが、宮澤は荒野や深井がカバーできるタイミングで攻撃参加するのに対し、福森のそれは非常にギャンブル的で、特に宮澤と同じタイミングで前に出たり、そのまま帰ってこなかったりと深井の振る舞いを非常に難しくしていたように思える。
深井の戸惑いはそのままチームの綻びとなって表れ、早速59分にはレアンドロに裏を取られて決定機を招いている。
福森の攻撃参加はカバー不能 |
76分の鹿島の3点目は進藤のサイドチェンジが引っ掛かったところから。内田が拾った時、レアンドロがまずサイドに膨らむ動きを見せる。深井はこれに惑わされてしまった格好で、深井が空けた中央のエリアでセルジーニョが引いてポストプレーに成功。この時、今度は福森が不用意にセルジーニョに食いついたことでその背後は全開となってしまった。
無防備な福森の背後 |
福森としては自分が責任を取る意識もあったと思うが、全般に攻守両面で前への意識が強すぎるあまり、カウンターを準備しているチーム(湘南も該当する)には格好の狙いどころとなっている。
この試合、鹿島のロングカウンターは大半が福森の背後を狙ったもので、それは選手特性や札幌の攻撃時のポジションニング、攻撃の傾向等を考慮していたと思うが、ボールを持っている時にもう少し準備が必要だったと思う。
6.雑感
引いた相手を崩して得点することはどのチームでも難しい。とにかく先制点が早すぎたことで、完全に意図しない試合展開になってしまった。
流れの中から得点することができなかったが、どちらかというと、より容易に手を付けられるのは、引いた相手を崩そうとする時のバランスの担保の仕方。中央をルーカスが守っていた1点目、対応が曖昧なエリアから仕掛けられアワアワするだけで終わった2点目、そして開幕戦でもあったが、ボールを保持して前進しようとしている時の後方のリスクマネジメント。一つひとつ、手をつけなければ、これからも狙われ続けるだろう。
流れの中から得点することができなかったが、どちらかというと、より容易に手を付けられるのは、引いた相手を崩そうとする時のバランスの担保の仕方。中央をルーカスが守っていた1点目、対応が曖昧なエリアから仕掛けられアワアワするだけで終わった2点目、そして開幕戦でもあったが、ボールを保持して前進しようとしている時の後方のリスクマネジメント。一つひとつ、手をつけなければ、これからも狙われ続けるだろう。
うpはやいなー。こんばんは、にゃんむるです。
返信削除無理して試合観に行ったら疲労で体がやばいです。だってしばらくリーグ戦行けないから・・・(´・ω・`)
一言で試合の話をまとめるとギャフンッ!って感じ。最初の10分間で、これはかなり研究されてるから不用意にいったらイカンよと思ってたら菅がやらかす。うp主に同意で先取点とられた時点でこの試合はホントに難しくなってしまいましたね。まんまと鹿島の術中にはまりました。ジェイが居なかったのも痛いなー。ジェイ居てくれれば、武蔵かロペスに替えてジェイ入れてDFにつかまりながらも仕事してくれてたと思うんだよねー。ルーカスとチャナはあまり仕事させてもらえなかったですね。おそらく今後の対戦相手もこの二人には厳しくマークつけてくるでしょ。チャナはいつもマークされてるけどねwww だからこそ頑張って欲しかったんだけどコンサ生え抜きの面々はちょっと厳しかったですね。パスの精度の面でだいたいこんな感じじゃね?ってパスがことごとくピンチ&失点に繋がってたのが気になります。精進して下さい。にしても鹿島はやっぱり鹿島でしたわ。90分間こちらを相手に勝つためのサッカーを高い精度で展開されて、負け惜しみじゃなくて久々に負けても全然悔しくない試合でした。強くなるにはまだまだやるべきことが一杯あるんだなと前向きな気持ちになりましたわ。何処かにレオシルバみたいなのいねーかなー。そんな感じ。にゃんむるでした。またのー('ω')ノ
そうですね、あまり鹿島すげー論には個人的には賛同できないんですが、菅のあのしょぼいターンオーバーは鹿島でやったらぶん殴られてますね。
返信削除チャナは究極のボールプレイヤーというか、まだ自身が捨て駒になる形でゲームを作ったり味方を活かすところまでは辿り着いてないですね。