1.予想スターティングメンバー
予想スターティングメンバー |
・札幌:
×(欠場濃厚)…駒井、中原
▲(出場微妙)…ジェイ
・名古屋
×(欠場濃厚)…青木、エドゥアルド ネット
▲(出場微妙)…なし
国際Aマッチウィーク期間中、札幌は鈴木武蔵、チャナティップ、ク ソンユン、岩崎(U22日本代表)が代表招集。武蔵はコロンビア戦でAマッチデビュー、コンディションが気になるが、ジェイも万全ではなさそうなので恐らくスタートは武蔵だろう。
名古屋は代表選手はなし。ここまで同様1-4-4-2とすると、メンバーは中盤両サイドが流動的だが、右には前節復帰し後半から途中出場したマテウスの起用を予想する。となるとシャビエルが2トップの一角に入るだろう。一方、2週間の中断期間にはミシャ式対策で3バックの練習をしていたとの報道があった。3勝1敗と好スタートを切っており、また宮原が使える試合では2018シーズンは全て4バックだった。極端な対策はしてこないと考えているがどうだろうか。
予想スターティングメンバー(1-3-4-2-1) |
2.各種スタッツ比較
リーグ戦4試合のスタッツを比較すると、名古屋は平均ボール保持率:59.8%と札幌(56.3%)を上回る。パス本数:2,007本(札幌1,781)等のスタッツと併せて考えると、札幌以上にボール保持指向型の印象を受ける。が、試合を見ると実際はシンプルに放り込んで勝負するケースも少なくない。これについては後述する。他にはセーブ数(札幌13、名古屋16)等も名古屋が優勢。なお都道府県別魅力度は、北海道1位、愛知県15位、食糧自給率(カロリーベース)は北海道194.2%、愛知県13.0%である。
ボール保持に定評のある名古屋に対し、札幌は「ロングボール」、「ドリブル」、「クロス」といった指標で名古屋を上回っている。これらで上回ることに寄与している張本人は誰なのか、詳しく見ていく。本来はリーグ平均等と比較するのが妥当だが、そこまでは時間がないのでご勘弁を。
各種スタッツの比較 |
※1:データソースは、トラッキングデータはJリーグオフィシャル。その他スタッツはhttps://www.sofascore.com/、関係ないデータはhttps://todo-ran.com/t/bestworst。
※2:ただし、sofascoreのデータはあくまで参考扱いがよさそう。一例として第4節のFC東京-名古屋では米本が明らかにクロス性のパスを3度ほど試みていたが、データ上は「米本のクロス数:0」とされている。またsofascoreのデータは後で修正されることもある。
※3:レーダーチャートは、札幌・名古屋いずれかの(優れている方の)チームを最大値(1)とした時の指数値を示している。
両チームのDF4人の数値を比較する。菅はMFに加えたいが、人数合わせのためDFとして比較する。
なお、レーダーチャートの最大値(1)は、両チームでスタメン11人ずつ、計22選手の中で各指標が優れている選手を基準とした指数で示している。例えば「Crosses」は福森が40とダントツ。DFのカテゴリの8選手の「Crosses」は福森を1としているので、各選手とも控えめなレーダーになっている。
チームでの役割や選手特性が比較的近そうな選手同士で並べている。
名古屋のCB2人は「Duels」、SB2人は「Tackles」が相対的に優れている。札幌は進藤、福森、宮澤に共通しているのが「Long balls」。進藤と福森は「Crosses」、宮澤と福森は「Key Passes」も優れており、攻撃の組み立て/崩しに関する指標が目立つ。宮澤の「Dribble attempts」がゼロなのは怪しいが、sofascoreはそうした集計をしているとしか言えないか。
またマイナス指標の「Dribbled past」は宮澤が5、福森と菅が4。名古屋は吉田が3、宮原が2だが、CB2人は0。これは明瞭に差が出ていると言っていいだろう。
スタッツ比較(DF) |
中盤センターの2選手を比較する。
名古屋はシミッチが「Key passes」(9)、「Long balls」(33)、「Accurate passes」(370)、「Interceptions」(11、深井と同数)、米本は「Duels」(68)、「Duels (won)」(33)、「Tackles」(21)等でこのカテゴリのリーダー。「Big chance created」は脅威の4。「シミッチが組み立て、米本が中盤で掃除役を担う」という役割分担が反映されている。
一方の札幌。例えば「Accurate passes」は荒野256に深井220、「Long balls」は荒野18に深井26等を見ると、名古屋ほどの分業感はあまり感じない。筆者はミシャ式でのこの2人の組み立てへの寄与において、さほど役割が分けられていないと思っているが、このスタッツもそのイメージに近い。守備系の指標は、「Interceptions」(荒野4、深井11)「Duels」(それぞれ33、41)、「Fouls」(それぞれ5、12)等に着目すると、深井の方が数字に表れる貢献が大きそうだ。
スタッツ比較(MF) |
最後は攻撃的MFとFW。ここではプレー時間が近い選手同士で比較している(加重平均すれば色々な比較ができるが、今回は面倒なのでしない)。
チャナティップとシャビエル。プレー時間はほぼ同じである。見えづらいが、ここまで2アシストを記録している点は互角。シャビエルはクロスが多いが、プレースキッカーであることも含まれていると思われる。ドリブルはチャナティップ9にシャビエル10。後述するがこのカテゴリのリーダーはアンデルソン ロペス(20)。数字から、ボールを持った時のチャナティップは昨年以上にマークが厳しくなっていることがうかがえる。
スタッツ比較(攻撃的MF) |
サイドアタッカー同士ということでルーカス フェルナンデスと和泉。ルーカスは「Crosses(acc.)」(7)、「Key passes」(12)が優秀。鹿島戦では封じられた印象だが、名古屋にとり警戒すべき選手なのは間違いないだろう。
スタッツ比較(サイドアタッカー) |
最後はFW。ジョーは4試合フル出場なのに対し、武蔵はスタメン落ちの試合もあったため、ターミネーター・アンデルソン ロペスと比較する。
「Duels」、「Duels (won)」はアンロペも悪くないのだが、ジョーのそれ(69、35)は傑出している。アンロペはチャナティップ、ルーカス フェルナンデス、ガブリエル シャビエルといった選手を差し置いての「Dribble attempts」、「Dribble attempts (succ.)」が22人中トップ(それぞれ20、10。成功率50%もトップ)である点が光る。一方「Shots blocked」(14)も飛び抜けており、「シュートっちゃあシュートだけど相手にブロックされてゴールラインまでは行かないよ」が多い。いかにもアンロペらしい。
スタッツ比較(FW) |
3.戦術面の一言メモ
各種スタッツも踏まえて整理する(以下、黒字は前節のプレビューと同じ。青字が変更点)。
3.1 札幌
ボール保持:ビルドアップはミシャ式5-0-5ベースだが、福森が偽SBのような形をとる。中央3枚(宮澤・深井・荒野)がローテーションしながらオープンな選手から前進を図る。展開はロングフィード主体。崩しは閉塞すると大外の仕掛けによる。右のルーカスがファーストチョイスになりつつある。
ボール非保持:第2節、第3節はミドルゾーンで5-3-2(5-1-2-2)ブロック。後方に5バックを余らせ、2トップはハーフスペース消し、中盤3枚はマンマークで相手の中盤をケア。前節は従前の5-2-3守備を併用。
攻撃→守備の切り替え:5トップが前張りをしている前提だと、中盤2枚(荒野、深井)は即時奪回を目指す。後方は無理せず枚数確保。
守備→攻撃の切り替え:2トップ気味で前残りしやすい武蔵とアンデルソン ロペスをまず使う。ロペスは背負ってのキープ、武蔵はターゲット兼裏抜け担当。
セットプレー守備:マンマーク基調。
札幌ボール保持時の予想マッチアップ |
名古屋が3バック採用の場合 |
3.2 名古屋
ボール保持:開幕3試合はボールを保持する時間が多かったが、前節FC東京戦ではジョーにシンプルに当てる形も多用していた。特に、ランゲラックのゴールキックは繋がずジョーに当てるケースが多い。CBが関与する組み立てにはあまり期待していない印象すらある。
4バックはCBは中央から動かず、SBは高めの位置取り。左の吉田は仕掛け/崩しにも関与するが、右の宮原のそれは控えめで、バランスを気にした位置取りをする。よって2列目の攻撃的MFは、左の選手は吉田の滑走路を空けるため中央に絞るが、右の選手は比較的サイドでのアクションが多い(右に本来センタープレイヤーのガブリエル シャビエルが起用されていてもその傾向は変わらない)。
CBが開いた間に中盤の選手が降りるサリータ・ラボルビアーナ(所謂サリーちゃん)はあまりしない。が、ジョアン シミッチはCBの脇や手前など、前を向ける位置に頻繁に降りてきてボールを受ける。シミッチは開幕戦(4-0で鳥栖に圧勝)で早速その脅威を見せつけたことで、第2節のセレッソ戦では、ロティーナセレッソはシミッチの左を徹底的にカットする守備を敢行し(その手駒は都倉だった)、米本とスイッチして右に流れることも多かった。
ビルドアップの出口は中に絞るSHか、降りてくるジョー。相手の1列目を突破するとSBも含め全員ペナ幅でプレーする。
ボール非保持:4-4-2というよりも4-2-4でセット。相手も4-4-2ならほぼマンマークになるが、相手が3バックでかみ合わせが悪くとも、前線は人への意識が強く、前から捕まえる。2列目以降も連動する(1-3-4-2-1のセレッソは、大外WBが空くところにGKからのフィードを狙っていたが、名古屋はSBが出てくる)。
自陣ゾーン1ではCBはスライドせず相手FWを捕まえる。ハーフスペースは米本とシミッチがカバー。
攻撃→守備の切り替え:前4枚は前残り気味に、失ったらすぐ圧力をかける。セレッソ戦ではGKまで戻させて蹴らせて回収、にたびたび成功していた。
守備→攻撃の切り替え:クリアから始まることが多く、あまり整備されている印象はなく、また速さも感じない。前残りのまま対応しているとアタッカーが複数残っていて、そこからカウンターに繋がる場合もあるが、守備が崩されているとジョーも下がっていることも多い。
セットプレー守備:マンマーク基調。ジョーとシミッチがそれぞれニア、ファーポストに立ち他はマンマーク。
名古屋ボール保持時の予想マッチアップ |
札幌は鹿島戦と同様に5-2-3で守備をセットすることが考えられる。ただ名古屋の選手特性(特に両SB)を考えると、第2・3節で採用し、一定の成果があった5-1-2-2の方が良さそうだ。宮原はある程度、放置でいい。深井はジョーとの空中戦のセカンドボール争い等の仕事に投入したい。
名古屋ボール保持時の予想マッチアップ:5-1-2-2パターン |
名古屋が3バック採用の場合 |
4.試合のポイント
4.1 序盤の名古屋のハイプレスへの対処
試合開始と共に、名古屋は形がどうであれ、前線からの積極的なプレッシングで札幌を押し込みミスを誘おうとしてくるだろう。
札幌は最悪それにうまく対処できない場合はシンプルに蹴っ飛ばす手もあるが、その場合はある問題が生じる。それは後方でボール保持の時間を作ることは難しくなり、WBのルーカスが高いポジションを取りづらくなること。
第2節浦和戦と第4節鹿島戦について、DAZN中継で示される前半の平均ポジションをプロットし、成功したパスの本数を線で示したものが以下。ルーカスのサイドで押し込まれてた鹿島戦(左)と、チャナティップのビルドアップで相手に困難を突きつけ、試合の主導権を握った浦和戦(右)ではその位置取り、味方との関係に大きく差が現れている。先に見た通り、今の札幌の最大のチャンスメイカーはルーカス。ハイプレスにビビってシンプルに蹴る展開だと、札幌は自ら武器を手放すことになる。
パスネットワーク図(札幌第2節・第4節) |
一方、名古屋は非常にラインが高く、ボールホルダーへの圧力が弱まったタイミングで裏を狙うとビッグチャンスになる。FC東京は2トップだけでなく、中盤の東や髙萩も積極的な裏狙いで牽制を続けていたが、札幌はそうしたオフザボールで活きそうな選手が武蔵くらいしか考えられない(チャナティップやロペスはボールを受けに下がってくるだろう)。
4.2 福森の半端な位置取りは活きるか?
よって、どちらかというとポジショナルなビルドアップがポイントになりそうだ。名古屋が前から人を捕まえる守備を敢行すると、想定されるマーク関係は以下。札幌は1~3節のように福森が組み立てに関与しない位置取りをすると、ただでさえスペースができやすい米本の周囲は曖昧になる。
福森の浮きやすい位置取り(1) |
福森がサイドで半端な位置取りをすることも考えられる。その場合、名古屋は中盤2枚がサイドにスライドして守ることが予想される。開幕4試合を見ると、ボール非保持時の名古屋はこの形が頻発しそうだ。ボールサイドで狩り切れるといいが、失敗すると裏にはスペース、中盤もボールと反対サイドが空いたままで放置される。前節、FC東京の決勝点もこれに似た形からの永井の裏抜けで生じている。非常に再現性がありそうな形なので、札幌は狙いどころとしたい。
福森の浮きやすい位置取り(2)と想定される名古屋の守り方 |
4.3 無邪気な25歳 vs 老獪な25歳
選手個々のマッチアップでポイントになりそうなのは2つ。一つはこの、荒野とジョアン シミッチ。
(再掲)荒野vsシミッチ |
札幌の守備が5-2-3でも5-1-2-2でも、この名古屋ボール保持時のマッチアップは変わらないだろう。シミッチと米本がスイッチする可能性も低そうだ。というのは、札幌の左にはチャナティップがいるため、シミッチが右にスイッチすると、ボール非保持時にはチャナティップとマッチアップしなくてはならない。
シミッチと荒野のマッチアップはほぼ確実に予想される |
ここまで攻守両面において今年は違うぞ感を見せている荒野だが、前節・鹿島戦では相変わらずの課題(守備対象が曖昧になると持ち場を離れて、守るべきエリアを空けてしまう)が露見される場面もあった。
これまでのゲームを見ると、シミッチはそうした荒野の選手特性を逆手に取るのは非常に上手そうではある。セレッソは名古屋のCBを捨ててシミッチをサンド、FC東京はシミッチが中央から消えると放置気味にしていたが、レシーバー(ジョーや和泉)とアイコンタクトが成立すると鋭い縦パスが入っていた。解説の戸田和幸氏も指摘していたが、ゴールから遠い位置にいたとしても放置すると危険な印象である。
シミッチは赤円のスペースによく出没する |
ミシャは浦和戦の柏木と同様、荒野にある程度ついていく守備を許容すると予想される。シミッチも荒野にずっと付かれるのは厳しいだろう。浦和は柏木が消されても長澤がいるが、名古屋の中盤の分業傾向を見ると、シミッチが消されると米本が代役を果たすことは難しそうだし、CB2人が起点になることもなさそう。荒野とシミッチが”相打ち”になる展開であっても、札幌にとって大きいはずである。
4.4 被害は最小限に…
最後にこのマッチアップに言及しないわけにはいかない。ジョーvs宮澤。昨年10月の対戦では、札幌はジョーを1点に”抑えた”ものの、その1点は宮澤が献上したPK。荒野がシミッチと相打ちなら札幌に利があると書いたが、宮澤がジョーとのデュエルで疲弊してしまうとそれも帳消しになる。特にお互いに3バックを採用する場合は、一層このマッチアップを名古屋は狙ってくるだろう。
宮澤や深井(ゴールキック時の競り合いは中盤の選手が競ることが予想される)がジョーに空中戦で勝つことはほぼ不可能。被害を最小限にとどめるには、ボールを取り上げ、プレー機会を削ぐしかない。その上で、やはり中盤に1人(深井)が余る5-1-2-2でブロックをセットするのがベターか。ただ、ジョーは地上戦でもターゲットになりうる。その場合はアンカー深井の脇を狙ってくるだろう。
深井を余らせる形になると地上戦での対処が課題になる |
フィニッシュも言うまでもなくファーストチョイスはジョー。ガブリエル シャビエルがFWに入る形だと名古屋はターゲットが1枚しかいないが、それでもピンポイントで合わせられると得点機会に繋がってしまう。クロスを上げられる前に、大外の菅とルーカスの対面の選手への対応が命運を分ける。
恐らくスタートから採用されることはないが、”ジョーカー”として、最終ラインで最も高さがあるキム ミンテの起用というソリューションもある。昨年4月の札幌ドームでの対戦では、ミンテがほぼジョーにマンマークで対応し、文字通り完封したことが3-0の快勝に大きく寄与した(まだCBとしてのメッキが剥がれる前だったが…)。少なくとも、”保険”として、確実にベンチ入りはするだろう。
おはようございます! にゃんむるです。18日振りの休日www
返信削除この名古屋戦のプレビューは2回読んだけど、全然勝てる気しねー。名古屋が今までと違って更にパワーアップしてて、もう1,2年前のとりあえず選手集めてきました状態とは別次元な感じ。
こんな時はあれだ。仕事から帰ってきたら、いつの間にか勝ってました作戦www全然作戦じゃないけどホント頼むわ。
しばらくリーグ戦ライブで観れないけど、応援してるから頑張ってね。こっちだって新戦力が頑張って新たな形がドンドン出てきてるし、成長しながら勝っていこうぜ。
あとは、スパイの櫛引ガンバレwww相手の調子乱しといてwwwホント頼むわ。
姑息星人のにゃんむるでした。またのー('ω')ノ