0.スターティングメンバー |
スターティングメンバー |
長崎(1-4-4-2):GK富澤雅也、DF米田隼也、イ サンミン、鹿山拓真、香川勇気、MF大竹洋平、中村北斗、磯村亮太、吉岡雅和、FW畑潤基、名倉巧。サブメンバーはGK徳重健太、DFチェ キュベック、亀川諒史、MF新里涼、翁長聖、大本祐槻、FWハイロ モリージャス。
1.1 省エネだじぇい
スタメン11人は、両チームとも4日前のリーグ戦から完全に入れ替わっている。J2は追ってないので、今の長崎の実情はよくわからないが、この試合の前半の長崎は非常にシンプルな手段で札幌陣内に侵入を試みてきた。一方の札幌は自陣でボールを保持してからの遅攻といういつものパターン。結果的には両チームとも自陣→敵陣への侵入手段は30メートル程度のロングフィードが主だったが、そのコンセプトは異なっていた。
長崎がボールを保持している時のマッチアップは下図。札幌はシャドーが長崎のCBの目の前、通称”ハーフスペースの入口”に立ち、この縦のレーンのパスコースを封鎖するとともに、WBが長崎のSBにマッチアップを合わせる。トップのジェイは中央のスペースを埋めているとも言えるが、特に守備の時に何か仕事があるわけでもない、とも言える状況だった。
基本的な配置 |
ここ2シーズンを見ての感想だが、ジェイをしっかり守備に組み入れるには、相手の「中央であまり動かずにタスクをこなす選手」にマンマーク気味で守備をさせるのがベター。要するにアンカーや3バックの中央の選手である。それ以外をやらせたり、4バックのチームのCB2枚を見させるような役割にするとたちまちタスクオーバー。スタメンでは使いどころが難しいが、それでも本人はスタートから出たいだろう。
1.2 変わらぬ問題
マッチアップのかみ合わせは1週間前のマリノスとのルヴァンカップ第1節に近い。長崎のボール保持攻撃はマリノスほどオートマティックではないが、それでも同じ問題が発生していた。
それは札幌WBと相手SBの距離が遠すぎること。長崎の左SB香川にボールが入ると、中野が一気に距離を詰めるが、最終ライン5バックに加わっている中野が相手の3列目の選手に時間を与えない守備をするのは流石に無理がある。ボルトが20代のうちにサッカーに転向したとしても無理だろう。
長崎はこの「SBが享受する時間」を使って前線にボールを送り込む。一つはWB(図では中野)が出た裏にSH(吉岡)が走る。もう一つはその更に裏、中野をカバーしたCB早坂の裏に2トップの選手が走る。今度はCB中央キム ミンテがサイドに引っ張られる。
SBに圧力がかからず前進を許す |
前後分断気味のサッカーだったJ2時代に非常によく見た形。前線があまり守備貢献できない(必要な状況で相手に圧力を与えられない)と、どうしてもそのひずみが後方に回ってくる。
長崎はこのサイドを狙う形以外にも長いボール主体で札幌陣内侵入を図ってきた。例えばGKからのフィード(ゴールキックや流れの中でのボール保持)は素直にトップの畑に当ててくる。畑とキム ミンテや石川の競り合いは五部~札幌やや優勢といったところ。しかしセカンドボールを拾うのが札幌の小野と中原、長崎は磯村と中村、となると話は変わってくる。序盤は、共にボールプレイヤーである小野と中原が、セカンドボールを回収するために攻撃方向に背を向けて守備をしなくてはならない時間が多くなる。
裏に放り込まれると陣地回復が難しく押し込まれる |
2.相手を動かすことの重要性
2.1 それゆけアン○ン○ン
長崎のセット守備は4-4-2。初期配置では2トップが中切り、後方の4-4ブロックは中央を圧縮しているが、両SBは札幌の大外WBへの警戒が強く、ボールが入るとケアできるポジションで準備する。
札幌は前線はお馴染み5トップ、後方は形は明確には決まっていない。図では小野がアンカーポジションにいるが、小野と中原が入れ替わったり、両方ともアンカーポジションにおらず5-0-5の配置になる時間もあった。
が、時間経過と共に後方のキーマンが中原であると明らかになる。この試合、先発した後方5選手の中で、中原が唯一、長崎の2トップ脇に運ぶドリブルをしていた。下の図で言うと白い円形で示したエリア。
長崎の守備の配置と札幌が狙いたいエリア |
ここに札幌の選手がボールを持って侵入すると、長崎は中盤が1枚出てくる。すると中央に密集していたブロックの選手間が開いてくる。一例として12:20頃、中原が右から持ち上がり、大外の中野を一度経由すると、長崎は吉岡と香川がオリジナルポジションから動かされ、そこに走り込む檀崎にスペースができる(この時は呼吸が合わずボールロスト)。
中原が吉岡を引き付け、中野が大外で香川を引っ張るとシャドーが前を向くスペースができる |
2.2 固定砲台からの単調な放り込み
が、キム ミンテや石川はこの中原のような”運ぶドリブル”を殆ど試みない。対面の相手選手を引き付けないままボールをリリースするので、ミンテや石川が度々試みていた対角へのフィードは長崎のブロックが殆ど崩れていない状況で蹴られていた。これでは白井や中野はSBの監視を受け続けた状態なので、有効にプレーするための時間を殆ど獲得できない。
ミンテは相手を引き付けないままボールをリリースしてしまうのでスライドで対処される |
更に前半終了間際にはその中原が負傷により藤村と交代。更には後半開始からジェイ→濱に交代(濱は元々準備していたようなので予定通りの交代だったか)。
46分~ |
3.後半の変化
3.1 トップの早坂
後半立ち上がり、札幌は少しやり方を変える。変わってトップに入った早坂に速いタイミング、ビルドアップの形を整えない段階で放り込むことが多くなる。ハーフタイムの間に何らか話し合い等があったのだろう。
早坂がジェイよりも長いボールに競り勝てるかというと、さすがにジェイには及ばない。しかし早坂はジェイと違い、攻撃→守備の切り替えが速く、またアクションを頻繁にやり直すことができる。そのため早坂に当てて、長崎がセカンドボールを回収した後の守備ですぐ早坂が切り替えて長崎のボールホルダー(主にCB)に当たるようになると、前半と異なり札幌は長崎の最終ライン(SBにシャドーが当たることができる)に圧力をかけやすくなる。
早坂が守備のスイッチを入れる |
3.2 懐かしき間延びサッカー
長崎もそうなると更に単調に放り込むことが多くなる。すると札幌も長崎も前半に比べ、陣形がやや間延びしてくる。
その間延び状態が恒常化すると問題になるのが札幌の中盤2枚の脇。早坂に加え、シャドーの岩崎と檀崎が前残り気味になると、長崎の中盤、中村と磯村を監視できる選手が札幌はいなくなる、加えて前線のフィルターが効かなくなると、小野と藤村の脇のスペースもさらけ出され、ここに陣取る長崎のサイドハーフがフリーでボールを受けれるようになる。
前線守備の呼吸が止まると間延びした陣形が露に |
簡単に前線の選手に縦パスが入るようになり、マークが定まらない札幌の最終ラインはフリーの選手を捕まえられない。63分頃には菅野のビッグセーブで難を逃れる。
長崎の交代は66分に大本、68分に新里、78分に翁長。レギュラークラスのサイドハーフを両サイドに投入しており、札幌の最終ライン、両端の選手が攻撃参加した後をファストブレイクで突きたいとの意図を感じる交代が行われる。進藤や福森ほど大胆なポジションを取らない濱と石川だが、それでも何度かサイドを脅かされる。88分には中村がPKを献上。しかし菅野のこの試合何度目かのビッグセーブで勝ち点1を分け合うこととなった。
4.雑感
言うまでもなく、組み立てが4-1-5だろうと5-0-5だろうと中央で関与するCBの真ん中の選手の重要性は高い。キム ミンテは福森と同じく、一度何らかのアクションでプレーに関与した後は局面から消えてしまう傾向が強く、また折角モビリティに優れているのにボールのリリースが早く、一発のキックに頼った組み立てが多い。宮澤の代役で考えるのは、他の選手の方が適任だと思われる。駒井の例を見ると、中野あたりのコンバートも今後なくはないのかもしれない。
コッソリ(´-ω-`)にゃんむるです。こんばんは。
返信削除前のカップ戦では、のんびり様子見すると言ってましたが、さすがにこの試合は力抜けましたわ。ドームで観戦しましたが、後半は応援する気力が出ないほどやられました。このヤラレ方はひさびさな感じ。長崎戦は良い思い出が無いから嫌な予感はしてたんですけど、的中してしまいました。仕事後に頑張って行ってあれでは、帰りの無言の行列も納得いきます。カップ戦はもう行くのやめる人も出るんじゃないかというレベルの試合でしたね。
個人攻撃はしたくないんで、だれがダメとは言いませんが、ほぼ全員ダメでしたねwwwもちろん菅野は許します。ピッチ上のリーダーがいない感じが一番つらかったなー。根本的にポジションとか見直したり、いろいろやらないとイカンなというのが感想。2シャドーは特に頑張れ。ミンテについては、3バックのセンターは外して欲しいなというのがずっとあったんですけど、うぷ主が私のモヤモヤした気持ちを雑感で綺麗にまとめてくれてて感謝したいです。霧が晴れましたわ('◇')ゞ
とんでもない文句ばっかり書くのが怖くて、時間空けて書いたけど、やっぱり文句しか出ないので、今宵はここまでといたします。次回もマッタリ待ってます。うぷ主的希望スタメン(カップ戦用)なんて期待してませんよ。チラッと|д゚)チラッと|д゚)
んでわまたのー。
こんばんは。
削除これだけコアメンバーがごっそり抜けるとクリエイティブ性は皆無ですね。
宮澤が中央でうまくいってるのは、ソンユンがボールを出す時や、進藤や深井が戻してやり直したい時に必ず関われるポジションを取っているんですよね。
ミンテは去年日産スタでミシャがマジギレしてたのを見てたんですが、適切な位置取りをすればボールを受けらえる状況でサボってるというか、多分まだ理解してないんだと思います。福森も同じで、動き直しができず局面で1回しかボールに関与できないので、最近は組み立て要員から除外されているのだと思います。
ルヴァンメンバーはミシャ式やめて3-2-5で、ジェイに放り込み+中盤で拾うサッカーの方がいいのでは?と思いました。となると中原が後ろで、ミンテが中盤でしょうか?
それにしても、スカパーオンデマンド本当どうしようかな…