スターティングメンバー |
北海道コンサドーレ札幌のスターティングメンバーは3-4-1-2、GK金山隼樹、DF菊地直哉、河合竜二、福森晃斗、MF荒野拓馬、宮澤裕樹、上里一将、堀米悠斗、ジュリーニョ、FW都倉賢、内村圭宏。サブメンバーはGK阿波加俊太、DF永坂勇人、櫛引一紀、MF石井謙伍、小野伸二、深井一希、FW上原慎也。
増川とマセードが出場停止。3バックの中央には6/4ジェフユナイテッド千葉戦以来となる河合が起用されている。ミッドウィークの横浜戦後の練習に19人しか参加していなかったという報道があり、この19人の内訳が分からないが、記事中では練習を休んだと書かれている福森はスタメン出場、またジュリーニョもおそらく「19人」に入っていなかったが、試合前に回復して起用できる状態になったと考えられる。内村が先発起用でFWがいないため、上原がFW登録されている。
モンテディオ山形のスターティングメンバーは4-2-3-1、GK山岸範宏 DF山田拓巳、宇佐美宏和、渡辺広大、高木利弥、MF川西翔太、アルセウ、佐藤優平、ディエゴ、伊東俊。FW林陵平。サブメンバーはGK富居大樹、DF荒堀謙次、MF梅鉢貴秀、松岡亮輔、鈴木雄斗、FW永藤歩、大黒将志。CBのレギュラー、田代を出場停止で欠く。山形は後半戦開始の22節以降勝ちなし。試合前の時点では勝ち点30、21位の金沢との勝ち点差は6と楽観できる状況ではない。前節・京都戦の試合後はNDソフトスタジアム山形でサポーターの居残りがあった。
試合と全く関係ないが、石崎信弘氏が柏レイソルを率いて1年でのJ1復帰を果たしたのが2006年、ディエゴはその時の中心選手だった。翌2007年、ディエゴは東京ヴェルディ1969に移籍し、入れ替わりで柏はアルセウを獲得。アルセウは柏を1年で退団して翌2008年に札幌に(あのノナトと同期で)入団、前年のディフェンスリーダー・ブルーノクアドロスを放出してまで札幌に迎えられるも、三浦俊哉監督(当時)の戦術に限界を感じ、グアムキャンプ開始から1週間で「アルセウの乱」を発動して退団(よって今回が札幌初上陸)。こうした出来事がもう10年近く前だという事実は時代の流れを感じさせる。
1.前半
1.1 山形の奇襲とその失敗
1)開始直後のハイプレス
試合開始後、互いに縦に長いボールを蹴り合う時間が8分ほど続いた後、両チームの形が見えてくる。
まず両チームのシステムのかみ合わせを確認すると以下の通りで、3-4-1-2と4-4-2(4-2-3-1だが守備時は4-4-2)なので各ポジションでミスマッチが生じる。山形が守備時にまず気にしていたのは、札幌の最終ライン3枚に対する山形の前線2枚が直面するミスマッチ。これを利用して札幌が菊地と福森を浮かせてから行う攻撃の組み立てについては、サイドハーフの佐藤と伊東を突っ込ませることで阻止する。
システムのかみ合わせ 札幌のDFに対してはサイドハーフが突っ込む |
<プレッシング開始位置について>
ここでプレッシングの開始位置について整理すると、松田浩氏が定義する、4-4-2のチームにおける「攻守バランスの良い(一般的な)」守備ブロックのノーマルなポジション」は、下の図のように"敵陣センターサークルの頂点"。なおプレッシングの威力=密度を高めるため、FW~DFまでの距離は25m、ライン間はそれぞれ10m程度が理想だとしている。
ノーマルな4-4-2ブロックの位置(FWのラインが敵陣センターサークルの頂点) FW~DFまで25m、ライン間は10m程度 |
一方、より守備的な(リスクを避けた)例を挙げると、例えばモウリーニョが「第3のブロック」と呼んでいるものでは、ペナルティエリアに最終ラインを重ねてブロックを築く。これによりDFライン裏のスペースを消すことができる。
ペナルティエリアに最終ラインを置き、FWも自陣に撤退する (モウリーニョ「第3のブロック」) |
そしてアグレッシブに戦うチームの場合、最終ラインをハーフウェーラインに設定する。この場合はFWの位置も図のようにかなり高い位置になる。
最終ラインをハーフウェーラインに |
上記を踏まえたうえで、立ち上がりの山形が札幌に対して行ったプレッシングを見ていく。
下の写真は9:54、札幌のゴールキックからGK金山が宮澤にショートパスを選択して始まったビルドアップの局面。札幌のCB中央の河合と、ボランチから降りてきて最終ラインに加わっている宮澤のポジションは自陣のペナルティエリアのすぐ前。この位置で持つ河合と宮澤に対し、山形は前線の林とディエゴが中を切り、サイドに誘導すると、宮澤から福森に渡った持ったところでサイドハーフの佐藤優平が猛然と出てくる。この写真で示される局面と先に挙げた3つの例…それぞれのFWのポジションを比較すると、山形のプレッシングはかなりアグレッシブだと言える。
しかしプレッシングの開始位置がこれだけ高い位置だと、周りの選手も相当押し上げて、またボールサイドに寄せて全体を圧縮しないと札幌の選手をハメることはできない。結果この時は、福森から左サイドに降りてきた内村に川西が寄せていくが、内村が堀米に落とし、堀米から内村へのリターンのパスで山形のプレッシングは突破されている。この時ボール周辺では札幌の内村&堀米と、山形の川西&山田で2vs2。ボールを奪うには1人の選手を複数でサンドするような状況を作りたいところだが、数的同数では十分とは言えない。結果として、佐藤がスイッチを入れた山形の配プレスは"奇襲"に終わっている。
そして札幌がこのプレッシングを剥がしてボールを山形ゴール前に運んでから、一度スローダウンさせ陣形を整えたのち、上里が右サイドに流れてきた内村に縦パス。内村は渡辺広大を背負った状態からボールを懐に置き、仕掛けると、渡辺は内村に足を出してペナルティエリア内でファウル。このPKを都倉が決めて札幌が先制する。試合後の内村のコメントで「それまでのプレーでDFがボールに足を出してくるのが分かった」と報じられている通り、うまくファウルを誘ったプレーだった。
開始12分で先行した札幌は、FWを自陣に撤退させ、山形にボールを持たせる展開を選択する。ホームチームがボールポゼッションに拘らない姿勢を見せたことで、札幌の先制以降は山形がボールを持つ時間が多くなる。
山形のビルドアップは、ボランチのアルセウを最終ラインに落として3バック化してから行われる。通常、最終ラインに中盤の選手を落とす場合、最終ラインの選手が横に広がり、その横幅を利用してボールを前進させることが多いが、山形のアルセウを加えたビルドアップ部隊の3バックは横には広がらない。横に広がらないことで対峙する札幌のFW3人を中央に寄せ、サイドのパスコースを作った上で狙っているのは、下の図のように札幌ボランチの脇にポジショニングするサイドハーフへのパス。
図のように右サイドでの展開の場合、右CBの宇佐美は山田と佐藤、2つの選択肢があるが、札幌はこのサイドの選手を見ているのは、FWの左を担当している内村が中央に寄せられているので、堀米1人しかいない。そのため山形は必ず山田と佐藤、いずれかが空くが、ここで札幌はサイドの守備において、5バックの外側、ウイングバックを突撃させて残りの4枚でスライドし、4バック化して守るやり方を積極的に採用しているため、堀米は山田に突撃、佐藤が空くことが多い。空いた佐藤には福森が迎撃に出てくるが、佐藤は一瞬時間を得ることができるので、佐藤が潰される前にディエゴや川西がサポートし、前を向いた状態でボールを持つ局面を作ろうとする。
上記の図はサイドハーフにパスを通した場合の図だが、サイドバックに通した場合は下の写真のようになる。いずれにせよ、堀米がサイドバック(山田)に出ていくには距離と時間があるので山田はルックアップした状態でパスを出す時間がある。また堀米が空けた背後のスペースに佐藤が抜け、佐藤が空けたボランチ脇にはディエゴが顔を出し、サイドを崩している。
山形は序盤こそ前からのプレッシングで、ボールを奪いに行く姿勢をチームとして見せることができていたが、先述の通りプレッシングの開始位置が高すぎてイマイチ機能しない。そして1列目の守備を突破された山形は、迅速な帰陣によりゴール前に4-4ブロックを築くスタイルにシフトしていく。もしかすると、チーム状態が悪いため、リスク覚悟で前から行くよりもリトリートして守りたいという考え方がチーム内にあるのかもしれない。下の写真の局面も、サイドハーフの伊東はタスクに忠実で札幌の菊地に高い位置から当たっていくが、後方の選手が全く連動しないため、菊地→荒野のパスで簡単に無力化され、伊東の寄せは無駄走りになってしまっている。
札幌の立場からすると、山形の最前線の2枚+サイドハーフの1枚の突撃さえかわせば敵陣まで難なくボールを運ぶことができる状況。そして菊地や福森であればこのミッションをクリアすることは苦にならない(この点で菊地の復帰と、練習を休んでいた福森の腰痛が大事に至らなかったことは大きい)。
そしてこの試合を通じて一つのポイントになっていたのが、山形のサイドハーフが出た背後のスペースに降りてくる内村の動き。最初のプレーこそ山形はサイドハーフのプレッシングに後方の選手が連動してポジションを上げ、札幌の選手からスペースを奪っていたが、先述のように次第に後方からの押し上げがなくなり、サイドハーフ単騎の動きでしかなくなっている。
すると下の図のように、たとえば福森に対して右サイドハーフの佐藤が出ると、佐藤の背後にはスペースが生じる。ここに非常に頻繁に降りてきたのが内村で、佐藤は体力のある限り福森にアグレッシブに寄せてくるが、福森はわずかでもフリーになれれば臆せず繋ぐことができるので、佐藤がゼロ距離まで詰めてくる直前にパスを出せる。福森から内村に渡ると、山形右サイドではサイドバックの山田が内村と堀米の両方を見なくてはならなくなる。この問題は序盤こそ川西がボールサイドに押し寄せることで解決しようとしていたが、この動きもなくなると、内村と堀米に対して山形の右サイドは無抵抗。全くボールを奪うことができず、札幌はここで時間を作ることができる。
しかし山形はゴール前までボールを運ばせることは許しても、簡単にゴールを割らせない。ゴール前で4-4のブロックを築いてリトリートする山形に対し、札幌はサイドに張りだした両ウイングバック、荒野と堀米にボールを届けることで山形の4-4ブロックにスライドを強いるとともにニアゾーンからの崩しを狙うが、山形はサイドバックが釣りだされてできたスペースに、サイドハーフの選手をプレスバックさせて5バック化し、ニアゾーンを封鎖する。
では札幌はサイドがダメなら中央突破はできないのか、というと、当然サイドに振ってからの中央というパターンは札幌の選手も狙っている。下の写真、31:21の局面からサイドで数回パス交換、山形のブロックをサイドに寄せて、中央の福森に浮き球のパス。
福森の高速インサイドキックで中央突破を図るが、都倉へのパスは合わず山形のCB宇佐美にインターセプトされている。この時、福森のパスもボール1~2個分ほど合わなかったが、注目したいのは都倉とジュリーニョの位置関係。福森が縦パスを出す瞬間、都倉は山形のブロックの間にポジショニング、所謂"間受け"を狙っている。一方ジュリーニョは最前線に張り付いてDFを背負っている。これは両選手の特性を考えると逆が望ましい。
上記に関連し、前半のジュリーニョの中央でのプレーについて2つ見ていく。
33:30頃、札幌は菊地が右サイドから中央にドリブルでパスコースを作り、中盤に降りてきた内村に縦パス。内村がフリックして都倉へ、都倉が上里に落とすという流れるような展開から、上里は逆サイドでフリーのジュリーニョへパス。
ジュリーニョはフリーで持つと、この位置からすかさずミドルシュート。抑えが効かず、枠を大きく外れる。コースが空くと積極的にシュートを撃っていく傾向にある。
36:40頃、またしても菊地のドリブルから縦パス。この時ジュリーニョは山形のライン間で間受けを狙うが、山形のCB宇佐美の迎撃で潰されてボールを失ってしまう。これは結果的にターンオーバーとなったが、もしジュリーニョの受けが成功し、図の青線のように都倉にボールを繋げていれば、都倉はバイタルで前を向いた状態で持つことができ、青線のように内村へのスルーパス等が狙える。結果的に失敗した攻撃だが、狙いとしては非常に良い。ただジュリーニョにこの、相手を背負って狭いスペースで受ける役割は正直ミスマッチである。
余談だがこの2つのプレーを見てもわかるように、菊地の縦パスを通す能力は、間違いなく歴代の札幌の選手の中でも屈指である。また菊地がこれだけマークされ、コースが厳しくても縦パスを狙う理由は、中央に通せればそれだけでビッグチャンスになりやすいことを理解しているから。以前の記事でも書いたが、受け手として優秀なヘイスを際立たせているのは、パスの出し手としての菊地の存在が大きい。
寧ろこの試合で中央からの崩しが実践できていたのは札幌よりも山形の方であった。4-2-3-1の山形は攻撃時、両サイドバックを上げて2列目の3人…佐藤・ディエゴ・伊東を中央に絞らせ、バイタルエリア中央で受ける選手を3人確保することができる。この3人に序盤はなかなか縦パスが入らなかったが、30分過ぎ頃、石崎監督がディエゴに「降りてボールに触れ」と指示を飛ばす。
そしてそのディエゴが低い位置で基点となった中央突破を見せたのが下の写真、37:01~の局面で、ディエゴが札幌のFWの前で持つと縦の川西にパス。
ディエゴは川西からのリターンを受けるたとき、伊東はちょうど札幌のダブルボランチとCBの菊地、河合の4選手で作る四角形の中央にポジショニングしている。伊東にディエゴから縦パスが入ると、札幌は河合と菊地が迎撃に出るが、伊東はキープして中央の佐藤へ。佐藤から最後は林がシュート。
このように山形はフィジカルと技術を併せ持ち、出し手にも受け手にもなれるディエゴと、狭いところで受けられる伊東がいる。特にCB田代を欠くこの試合は、後方からの供給、組み立てに課題を抱えていたが、ディエゴが出し手の役割を担うことで解決、中央突破というオプションを可能にする。この両者と比較すると、佐藤は狭いスペースでの動きはあまり得意ではないが、走力が売りで林やディエゴ、伊東に入ると的確なタイミングでサポートしてくる。いずれにせよ、山形の攻撃は後方から2列目に縦パスが入ることがスイッチで、前半の終盤になりようやくスイッチが入るようになっている。
後半頭から山形は伊東→鈴木に交代。伊東は足を痛めていたようである。鈴木は伊東とはタイプが異なり、ここまであまり出場時間を得られていないが、足元の技術があり仕掛けられる選手。
後半立ち上がり、山形はこの鈴木が入った左サイドを起点に何度かいい形を作る。この時のメカニズムは、まずサイドバックにボールが入ると、近い位置にディエゴが降りてくる。前半途中に石崎監督がディエゴに降りて触れ、と指示を出したことは記述したが、恐らくハーフタイムにこのアクションの狙いを再確認し、徹底してきたと思われる。
ディエゴが半端な位置で受けると、札幌の対応は荒野。荒野が釣りだされる格好になると札幌の最終ラインは4枚になり、それぞれボールサイドにスライドして4バック状態になる。この時、札幌の"4バック"は山形の前線の選手3人に対してまだ人数的には余裕がある。しかし、ボールに一番近いところでは、①中に絞る鈴木に対し、菊地がポジションを外にスライドさせたため、菊地と河合のどちらが担当すべきか曖昧になっている。また②後方からサイドバックの高木が上がってくるため、菊地は高木も見なくてはならない、という問題が生じている。そのため、結果的に鈴木に対するマークが甘くなりやすく、前を向いた状態でプレッシャーが緩いため、鈴木の足元の技術が発揮できる状況になりやすくなっている。
攻撃のリズムを掴めている山形は更に55分、佐藤→永藤。永藤はそのまま右サイドに入る。ベンチからは札幌最終ラインの裏を狙え、との指示が出ていたとのことで、指示通り永藤は積極的に裏を狙っていく。
しかし次の1点が入ったのは札幌。永藤投入直後の58分、上里の右コーナーキックに突っ込んできた都倉がブラインドになり、宇佐美の頭に当たって山形ゴールに入ってしまう。札幌としてはラッキーなオウンゴールで追加点。
更に62分、自陣でのゆったりとしたボール回しから福森が逆サイドを駆けあがる荒野にロングフィード。荒野がキープし、右サイドに上がってきた内村に渡る。内村が山形の鈴木と高木を振り切り速いクロスを上げると、後方から突っ込んできた都倉が山田を弾き飛ばしながらヘディングシュート。ジャストミートしなかったがGK山岸が触れないループ気味のシュートとなり、札幌が3-0とする。
3-0とされた直後の63分、山形が1点を返す。キックオフから手数をかけずにゴール前に放り込まれたボールは、鈴木が一度潰れかけるがペナルティエリアすぐ外でキープ。この時札幌は下の写真のように人数は揃っているが、鈴木の左から右に横切るドリブルに全員が食いついている。鈴木がドリブルで時間を作ると、大外を駆けあがってきた永藤にスルーパス。永藤のグラウンダークロスに林が中央で合わせてゴール。鈴木に供給されたボールはあまり優しいものではなかったが、巧く中央でキープし、最後は外を使う。やはり一度中を使う、外→中→外という展開が有効であることが分かる。
5分間で計3ゴールが生まれた後の64分、山形は林に代えて大黒を投入。早々とすべての交代枠を使い切る。そしてこの動きを見て、札幌は67分、札幌はジュリーニョに代えて深井。宮澤がトップ下に上がり、3-4-1-2は維持する。
大黒の仕事は、裏への動き出して札幌の最終ラインを下げさせること。これにより、ライン間でディエゴが活動するスぺースを作ることができる。ただ、大黒投入とともにディエゴもトップ下に戻った(大黒に得意なプレーをさせるために潰れ役となる)ことで、再び山形は前線へのボールの供給源が減ってしまう。供給源が減り、札幌はパスが読みやすくなったことで、これまで中盤のスペースで受けてターンできていた鈴木が潰されやすくなってしまい、中央で起点を作れる選手がディエゴだけという状態に陥ってしまう。
大黒投入後の山形の問題点を一つ上げると、これは大黒の投入とどこまで関係があるかわからない面もあるが、3-1とリードし試合をクローズしにかかる(=後方でボールを回し始める)札幌に対してボールをどこで回収するかが明確ではない。山形は大黒を最前線に置いた4-4-1-1で守備をしているが、この形では札幌の最終ラインに対してファーストディフェンダーとなる選手はトップの大黒、サイドの永藤、鈴木の計3人。いずれも途中投入の選手で、体力的にはまだ余力がありそうだが、この3選手があまり札幌の最終ラインに対するフォアチェックに積極的ではないため、山形は札幌に対して効果的なぷレッシングを仕掛けることができない。恐らく攻撃面で特徴のあるこの3選手は、こうした守備面で問題がありスタメンで出る機会が少ないということが考えられるが、この状況では札幌が安定して後方でボールを回すことができる。
2トップに加え、佐藤優平が非常に高い位置から当たっていく |
2)押し上げの不足
しかしプレッシングの開始位置がこれだけ高い位置だと、周りの選手も相当押し上げて、またボールサイドに寄せて全体を圧縮しないと札幌の選手をハメることはできない。結果この時は、福森から左サイドに降りてきた内村に川西が寄せていくが、内村が堀米に落とし、堀米から内村へのリターンのパスで山形のプレッシングは突破されている。この時ボール周辺では札幌の内村&堀米と、山形の川西&山田で2vs2。ボールを奪うには1人の選手を複数でサンドするような状況を作りたいところだが、数的同数では十分とは言えない。結果として、佐藤がスイッチを入れた山形の配プレスは"奇襲"に終わっている。
ボランチ川西と山田がボールサイドに寄せるが、内村にプレーする余地を与えてしまう |
そして札幌がこのプレッシングを剥がしてボールを山形ゴール前に運んでから、一度スローダウンさせ陣形を整えたのち、上里が右サイドに流れてきた内村に縦パス。内村は渡辺広大を背負った状態からボールを懐に置き、仕掛けると、渡辺は内村に足を出してペナルティエリア内でファウル。このPKを都倉が決めて札幌が先制する。試合後の内村のコメントで「それまでのプレーでDFがボールに足を出してくるのが分かった」と報じられている通り、うまくファウルを誘ったプレーだった。
1.2 札幌の撤退守備に対する山形のビルドアップ
開始12分で先行した札幌は、FWを自陣に撤退させ、山形にボールを持たせる展開を選択する。ホームチームがボールポゼッションに拘らない姿勢を見せたことで、札幌の先制以降は山形がボールを持つ時間が多くなる。
山形のビルドアップは、ボランチのアルセウを最終ラインに落として3バック化してから行われる。通常、最終ラインに中盤の選手を落とす場合、最終ラインの選手が横に広がり、その横幅を利用してボールを前進させることが多いが、山形のアルセウを加えたビルドアップ部隊の3バックは横には広がらない。横に広がらないことで対峙する札幌のFW3人を中央に寄せ、サイドのパスコースを作った上で狙っているのは、下の図のように札幌ボランチの脇にポジショニングするサイドハーフへのパス。
図のように右サイドでの展開の場合、右CBの宇佐美は山田と佐藤、2つの選択肢があるが、札幌はこのサイドの選手を見ているのは、FWの左を担当している内村が中央に寄せられているので、堀米1人しかいない。そのため山形は必ず山田と佐藤、いずれかが空くが、ここで札幌はサイドの守備において、5バックの外側、ウイングバックを突撃させて残りの4枚でスライドし、4バック化して守るやり方を積極的に採用しているため、堀米は山田に突撃、佐藤が空くことが多い。空いた佐藤には福森が迎撃に出てくるが、佐藤は一瞬時間を得ることができるので、佐藤が潰される前にディエゴや川西がサポートし、前を向いた状態でボールを持つ局面を作ろうとする。
札幌の前3枚の守備を中央に寄せたうえで、DFからSBもしくはSHへ展開 札幌はウイングバックの1人しか対応できないので必ずどちらかが空く |
上記の図はサイドハーフにパスを通した場合の図だが、サイドバックに通した場合は下の写真のようになる。いずれにせよ、堀米がサイドバック(山田)に出ていくには距離と時間があるので山田はルックアップした状態でパスを出す時間がある。また堀米が空けた背後のスペースに佐藤が抜け、佐藤が空けたボランチ脇にはディエゴが顔を出し、サイドを崩している。
サイドバックに付けた場合 堀米が山田に出ていくには距離があるので山田は余裕をもってパスを出せる |
1.3 機能しない山形の前プレ
1)連動できない中盤
山形は序盤こそ前からのプレッシングで、ボールを奪いに行く姿勢をチームとして見せることができていたが、先述の通りプレッシングの開始位置が高すぎてイマイチ機能しない。そして1列目の守備を突破された山形は、迅速な帰陣によりゴール前に4-4ブロックを築くスタイルにシフトしていく。もしかすると、チーム状態が悪いため、リスク覚悟で前から行くよりもリトリートして守りたいという考え方がチーム内にあるのかもしれない。下の写真の局面も、サイドハーフの伊東はタスクに忠実で札幌の菊地に高い位置から当たっていくが、後方の選手が全く連動しないため、菊地→荒野のパスで簡単に無力化され、伊東の寄せは無駄走りになってしまっている。
菊地に伊東が寄せる |
伊東に連動して動く選手がいないので菊地→荒野で簡単に逃げられる |
札幌の立場からすると、山形の最前線の2枚+サイドハーフの1枚の突撃さえかわせば敵陣まで難なくボールを運ぶことができる状況。そして菊地や福森であればこのミッションをクリアすることは苦にならない(この点で菊地の復帰と、練習を休んでいた福森の腰痛が大事に至らなかったことは大きい)。
2)内村を捕まえられない山形
そしてこの試合を通じて一つのポイントになっていたのが、山形のサイドハーフが出た背後のスペースに降りてくる内村の動き。最初のプレーこそ山形はサイドハーフのプレッシングに後方の選手が連動してポジションを上げ、札幌の選手からスペースを奪っていたが、先述のように次第に後方からの押し上げがなくなり、サイドハーフ単騎の動きでしかなくなっている。
すると下の図のように、たとえば福森に対して右サイドハーフの佐藤が出ると、佐藤の背後にはスペースが生じる。ここに非常に頻繁に降りてきたのが内村で、佐藤は体力のある限り福森にアグレッシブに寄せてくるが、福森はわずかでもフリーになれれば臆せず繋ぐことができるので、佐藤がゼロ距離まで詰めてくる直前にパスを出せる。福森から内村に渡ると、山形右サイドではサイドバックの山田が内村と堀米の両方を見なくてはならなくなる。この問題は序盤こそ川西がボールサイドに押し寄せることで解決しようとしていたが、この動きもなくなると、内村と堀米に対して山形の右サイドは無抵抗。全くボールを奪うことができず、札幌はここで時間を作ることができる。
山形のプレスをはまらなくしていた内村の落ちる動き 山田に対して2vs1を強いる |
1.4 粘強(ねっづぐ)
しかし山形はゴール前までボールを運ばせることは許しても、簡単にゴールを割らせない。ゴール前で4-4のブロックを築いてリトリートする山形に対し、札幌はサイドに張りだした両ウイングバック、荒野と堀米にボールを届けることで山形の4-4ブロックにスライドを強いるとともにニアゾーンからの崩しを狙うが、山形はサイドバックが釣りだされてできたスペースに、サイドハーフの選手をプレスバックさせて5バック化し、ニアゾーンを封鎖する。
サイドハーフが加わり5バック化してニアゾーンを封鎖する |
1.5 札幌が中央を崩せない理由
1)間受けができないトリデンテ
では札幌はサイドがダメなら中央突破はできないのか、というと、当然サイドに振ってからの中央というパターンは札幌の選手も狙っている。下の写真、31:21の局面からサイドで数回パス交換、山形のブロックをサイドに寄せて、中央の福森に浮き球のパス。
右サイドに振って山形のブロックをサイドに寄せる 山形は伊東がニアゾーンを埋めて5バック化している |
福森の高速インサイドキックで中央突破を図るが、都倉へのパスは合わず山形のCB宇佐美にインターセプトされている。この時、福森のパスもボール1~2個分ほど合わなかったが、注目したいのは都倉とジュリーニョの位置関係。福森が縦パスを出す瞬間、都倉は山形のブロックの間にポジショニング、所謂"間受け"を狙っている。一方ジュリーニョは最前線に張り付いてDFを背負っている。これは両選手の特性を考えると逆が望ましい。
というのは、都倉にこの速さのパスが出ても足元で収まらないのでは…というと選手に失礼だが、体の向きを見ても、都倉は半身の状態であり、おそらくトラップ→反転シュートという、より強引なプレーをイメージしている。結果(福森のパスがずれたものあるが)、キープすることもできていない。
福森から間受けポジションの都倉への縦パスは合わずインターセプトされる |
これがヘイスであれば、DFに背中を向けてブロックした上で確実にトラップし、ボールをキープ→周囲の味方を使うという選択をしていたはず。要するにこの福森の縦パスを受けて、周囲の味方を使って山形の守備を崩す…というプレーはストライカーの都倉ではなく、(この日欠場しているが)ヘイスや、ジュリーニョもそうした役割を期待してトップ下に起用されているはず。このシチュエーションにおいて都倉が間、ジュリーニョが前というポジショニングでは山形のブロックを崩せる期待値は低くなる。
ジュリーニョは巧い選手というイメージはあるが、実はあまりブロックの中でプレーしない選手のように思える。ジュリーニョの特長はブロックの外やオープンな速攻等、前を向いて仕掛けられる状況での打開力にある。よってヘイスを欠く札幌は、都倉-内村-ジュリーニョというトリオでは山形の撤退守備ブロックの間でプレーできないため、中央から打開することが難しくなっている。
2)トップ下の役割を遂行できないジュリーニョ
上記に関連し、前半のジュリーニョの中央でのプレーについて2つ見ていく。
33:30頃、札幌は菊地が右サイドから中央にドリブルでパスコースを作り、中盤に降りてきた内村に縦パス。内村がフリックして都倉へ、都倉が上里に落とすという流れるような展開から、上里は逆サイドでフリーのジュリーニョへパス。
菊地の縦パスを内村がフリックして都倉へ |
ジュリーニョはフリーで持つと、この位置からすかさずミドルシュート。抑えが効かず、枠を大きく外れる。コースが空くと積極的にシュートを撃っていく傾向にある。
前が空いているとみてミドルを狙う |
36:40頃、またしても菊地のドリブルから縦パス。この時ジュリーニョは山形のライン間で間受けを狙うが、山形のCB宇佐美の迎撃で潰されてボールを失ってしまう。これは結果的にターンオーバーとなったが、もしジュリーニョの受けが成功し、図の青線のように都倉にボールを繋げていれば、都倉はバイタルで前を向いた状態で持つことができ、青線のように内村へのスルーパス等が狙える。結果的に失敗した攻撃だが、狙いとしては非常に良い。ただジュリーニョにこの、相手を背負って狭いスペースで受ける役割は正直ミスマッチである。
菊地の縦パスをジュリーニョが受けるが潰される (青線は受けが成功していた時の攻撃の仮定) |
余談だがこの2つのプレーを見てもわかるように、菊地の縦パスを通す能力は、間違いなく歴代の札幌の選手の中でも屈指である。また菊地がこれだけマークされ、コースが厳しくても縦パスを狙う理由は、中央に通せればそれだけでビッグチャンスになりやすいことを理解しているから。以前の記事でも書いたが、受け手として優秀なヘイスを際立たせているのは、パスの出し手としての菊地の存在が大きい。
1.6 中央突破ができるタレントの存在
寧ろこの試合で中央からの崩しが実践できていたのは札幌よりも山形の方であった。4-2-3-1の山形は攻撃時、両サイドバックを上げて2列目の3人…佐藤・ディエゴ・伊東を中央に絞らせ、バイタルエリア中央で受ける選手を3人確保することができる。この3人に序盤はなかなか縦パスが入らなかったが、30分過ぎ頃、石崎監督がディエゴに「降りてボールに触れ」と指示を飛ばす。
そしてそのディエゴが低い位置で基点となった中央突破を見せたのが下の写真、37:01~の局面で、ディエゴが札幌のFWの前で持つと縦の川西にパス。
ディエゴが下がってパスの出し手になる 佐藤と伊東は中央に絞ってくる |
ディエゴは川西からのリターンを受けるたとき、伊東はちょうど札幌のダブルボランチとCBの菊地、河合の4選手で作る四角形の中央にポジショニングしている。伊東にディエゴから縦パスが入ると、札幌は河合と菊地が迎撃に出るが、伊東はキープして中央の佐藤へ。佐藤から最後は林がシュート。
ディエゴの縦パスから伊東の間受け、佐藤→林と渡って中央で決定機 |
このように山形はフィジカルと技術を併せ持ち、出し手にも受け手にもなれるディエゴと、狭いところで受けられる伊東がいる。特にCB田代を欠くこの試合は、後方からの供給、組み立てに課題を抱えていたが、ディエゴが出し手の役割を担うことで解決、中央突破というオプションを可能にする。この両者と比較すると、佐藤は狭いスペースでの動きはあまり得意ではないが、走力が売りで林やディエゴ、伊東に入ると的確なタイミングでサポートしてくる。いずれにせよ、山形の攻撃は後方から2列目に縦パスが入ることがスイッチで、前半の終盤になりようやくスイッチが入るようになっている。
2.後半
2.1 山形の良い流れが続く
後半頭から山形は伊東→鈴木に交代。伊東は足を痛めていたようである。鈴木は伊東とはタイプが異なり、ここまであまり出場時間を得られていないが、足元の技術があり仕掛けられる選手。
46分~ 伊東→鈴木 |
後半立ち上がり、山形はこの鈴木が入った左サイドを起点に何度かいい形を作る。この時のメカニズムは、まずサイドバックにボールが入ると、近い位置にディエゴが降りてくる。前半途中に石崎監督がディエゴに降りて触れ、と指示を出したことは記述したが、恐らくハーフタイムにこのアクションの狙いを再確認し、徹底してきたと思われる。
ディエゴが半端な位置で受けると、札幌の対応は荒野。荒野が釣りだされる格好になると札幌の最終ラインは4枚になり、それぞれボールサイドにスライドして4バック状態になる。この時、札幌の"4バック"は山形の前線の選手3人に対してまだ人数的には余裕がある。しかし、ボールに一番近いところでは、①中に絞る鈴木に対し、菊地がポジションを外にスライドさせたため、菊地と河合のどちらが担当すべきか曖昧になっている。また②後方からサイドバックの高木が上がってくるため、菊地は高木も見なくてはならない、という問題が生じている。そのため、結果的に鈴木に対するマークが甘くなりやすく、前を向いた状態でプレッシャーが緩いため、鈴木の足元の技術が発揮できる状況になりやすくなっている。
5バックで守っているときはマンマーク気味に 菊地→鈴木、河合→林、福森→佐藤、とマークが決まるが スライドして4バック化すると鈴木は菊地が見るか、受け渡すか曖昧になる また大外を高木が駆け上がってくる |
2.2 永藤の投入
攻撃のリズムを掴めている山形は更に55分、佐藤→永藤。永藤はそのまま右サイドに入る。ベンチからは札幌最終ラインの裏を狙え、との指示が出ていたとのことで、指示通り永藤は積極的に裏を狙っていく。
裏を狙うといっても、リードしている札幌は引き気味に構えるのでスペースがないじゃん、と思うかもしれないが、永藤が狙っていたのは5バック化している札幌のウイングバック、堀米を釣りだした裏のスペース。上で説明した右サイドでの展開に荒野が釣りだされるのと同様、左の堀米も降りてくるディエゴや引き気味の山田に対してボールが出そうな状況では突っ込んでくるので、そのたびに必ず裏が空く。恐らく山形は札幌のこうした守り方(ウイングバックを前に出す)が変わっていないことを確認し、永藤が走るスペースを作れると確認してからタイミングを計って投入してきたと思われる。
堀米を釣りだして裏を狙う |
2.3 ゴールは偶然の産物
しかし次の1点が入ったのは札幌。永藤投入直後の58分、上里の右コーナーキックに突っ込んできた都倉がブラインドになり、宇佐美の頭に当たって山形ゴールに入ってしまう。札幌としてはラッキーなオウンゴールで追加点。
更に62分、自陣でのゆったりとしたボール回しから福森が逆サイドを駆けあがる荒野にロングフィード。荒野がキープし、右サイドに上がってきた内村に渡る。内村が山形の鈴木と高木を振り切り速いクロスを上げると、後方から突っ込んできた都倉が山田を弾き飛ばしながらヘディングシュート。ジャストミートしなかったがGK山岸が触れないループ気味のシュートとなり、札幌が3-0とする。
2.4 外→中→外
3-0とされた直後の63分、山形が1点を返す。キックオフから手数をかけずにゴール前に放り込まれたボールは、鈴木が一度潰れかけるがペナルティエリアすぐ外でキープ。この時札幌は下の写真のように人数は揃っているが、鈴木の左から右に横切るドリブルに全員が食いついている。鈴木がドリブルで時間を作ると、大外を駆けあがってきた永藤にスルーパス。永藤のグラウンダークロスに林が中央で合わせてゴール。鈴木に供給されたボールはあまり優しいものではなかったが、巧く中央でキープし、最後は外を使う。やはり一度中を使う、外→中→外という展開が有効であることが分かる。
鈴木のドリブルに全員が食いついてしまう |
2.5 "持ち場"に帰ったことによる逆効果
1)生粋の点取り屋・大黒の投入と、中央に戻るディエゴ
5分間で計3ゴールが生まれた後の64分、山形は林に代えて大黒を投入。早々とすべての交代枠を使い切る。そしてこの動きを見て、札幌は67分、札幌はジュリーニョに代えて深井。宮澤がトップ下に上がり、3-4-1-2は維持する。
67分~ |
大黒の仕事は、裏への動き出して札幌の最終ラインを下げさせること。これにより、ライン間でディエゴが活動するスぺースを作ることができる。ただ、大黒投入とともにディエゴもトップ下に戻った(大黒に得意なプレーをさせるために潰れ役となる)ことで、再び山形は前線へのボールの供給源が減ってしまう。供給源が減り、札幌はパスが読みやすくなったことで、これまで中盤のスペースで受けてターンできていた鈴木が潰されやすくなってしまい、中央で起点を作れる選手がディエゴだけという状態に陥ってしまう。
大黒投入に伴いディエゴも中央に移動するが、 パスの出し手がサイドバック等に限定され読まれやすくなる 鈴木が起点になれない |
2)守備力の低下
大黒投入後の山形の問題点を一つ上げると、これは大黒の投入とどこまで関係があるかわからない面もあるが、3-1とリードし試合をクローズしにかかる(=後方でボールを回し始める)札幌に対してボールをどこで回収するかが明確ではない。山形は大黒を最前線に置いた4-4-1-1で守備をしているが、この形では札幌の最終ラインに対してファーストディフェンダーとなる選手はトップの大黒、サイドの永藤、鈴木の計3人。いずれも途中投入の選手で、体力的にはまだ余力がありそうだが、この3選手があまり札幌の最終ラインに対するフォアチェックに積極的ではないため、山形は札幌に対して効果的なぷレッシングを仕掛けることができない。恐らく攻撃面で特徴のあるこの3選手は、こうした守備面で問題がありスタメンで出る機会が少ないということが考えられるが、この状況では札幌が安定して後方でボールを回すことができる。
大黒や両サイドハーフからのフォアチェックがない |
2.6 試合をクローズ
札幌は79分に足を攣った内村に代えて小野を投入。小野と都倉の2トップ、宮澤が右インサイドに入る3-5-2にシフトする。
80分~ |
この交代および3-5-2へのシフトにより、札幌はサイドの守備に2人を避けるようになる。よって山形の2列目の選手がボランチの脇や、低い位置で中途半端なポジションをとる現象に対しても問題なく対処できるようになり、ラスト10分間を平穏に過ごす。結果このまま3-1で試合終了、札幌は前節の敗戦を払拭し、山形は依然として後半戦価値なしという結果になった。
北海道コンサドーレ札幌 3-1 モンテディオ山形
・13' 都倉 賢
・58' オウンゴール
・62' 都倉 賢
・63' 林 陵平
マッチデータ
山形というか石崎監督の印象は、ハリルホジッチ日本代表監督が言うところの"ミスマッチサッカー"がベースで、ところどころの怪しさは運動量で補うというもの。序盤はミスマッチを利用してうまく山形が攻撃に繋げる局面もあったが、選手を変えるごとに連動性が失われ、手詰まりになっていった印象を受ける。
札幌については、やはりヘイスの中央で起点になる能力がないと崩しのバリエーションが少なくなり、またジュリーニョや都倉はロストも多くポゼッションの時間が減ることを再確認した。3得点は運が占める要素が大きい。ポジティブなトピックとしては、久々にスタメン出場した河合だが、繋ぐ意識や、ラインコントロール等、明らかにこれまでの試合よりも冴えていた。増川というライバルの存在や、適切な競争環境を作ることは大事だなと感じた。
・58' オウンゴール
・62' 都倉 賢
・63' 林 陵平
マッチデータ
3.雑感
山形というか石崎監督の印象は、ハリルホジッチ日本代表監督が言うところの"ミスマッチサッカー"がベースで、ところどころの怪しさは運動量で補うというもの。序盤はミスマッチを利用してうまく山形が攻撃に繋げる局面もあったが、選手を変えるごとに連動性が失われ、手詰まりになっていった印象を受ける。
札幌については、やはりヘイスの中央で起点になる能力がないと崩しのバリエーションが少なくなり、またジュリーニョや都倉はロストも多くポゼッションの時間が減ることを再確認した。3得点は運が占める要素が大きい。ポジティブなトピックとしては、久々にスタメン出場した河合だが、繋ぐ意識や、ラインコントロール等、明らかにこれまでの試合よりも冴えていた。増川というライバルの存在や、適切な競争環境を作ることは大事だなと感じた。
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