2022年11月7日月曜日

北海道コンサドーレ札幌の2022シーズン

前段

  • コンサドーレのここ4シーズンほどを簡単におさらいします。
  • ミシャ監督就任1年目の2018シーズンは、おそらく何人かの中堅〜ベテラン選手が複数年契約中で選手の大幅な入れ替えができない過渡期的なシーズン。そこでリーグ戦4位に躍進したのは、望外の結果でした。

2022年11月6日日曜日

2022年11月5日(土)明治安田生命J1リーグ第34節 北海道コンサドーレ札幌vs清水エスパルス 〜明日は我が身〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌は金子、清水は乾が出場停止。清水はここ3試合は同じメンバーでしたが、北川が負傷で、トップに白崎を上げ、中盤にホナウドを入れてきました。北川不在のゲームではカルリーニョスがトップに入る時期があったようですが、今は左でカウンターのキーマンになっているので動かしたくないのもあったでしょうか。
  • 札幌はこの週に計8人の”関係者”(コーチ通訳スタッフやソンユンも入るのか?)がコロナ陽性との報道があって、試合後のセレモニーの様子を見ても、該当者は高嶺、スパチョーク、興梠、トゥチッチ、大谷、松原といったところでしょう。GKは何度目かの正直が期待される小次郎と、U18のベンマムンアミン君で乗り切ります。

2022年11月1日火曜日

2022年10月29日(土)明治安田生命J1リーグ第33節 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌 〜依然要観察〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • リーグ戦が2週間空いた期間に2大会のカップファイナルが開催され、そのいずれもに残り1つのタイトルを手にした広島。
  • 先に開催された甲府との天皇杯決勝では、FWにドウグラスヴィエイラ、右に茶島、左に柏でしたがセレッソとのルヴァンカップではそれぞれベンカリファ、野上、松本(川村を左に移動。ヴィエイラは負傷による)。アウトサイドは対戦相手によって使い分けていくのかもしれません。
  • 札幌は(おそらく)小柏と荒野が負傷で、宮澤が8試合ぶりにスタメン。相手がウイングないしはサイドハーフを置くチーム相手だと4バックを採用して福森はベンチスタートが多かったですが、3バックで1トップ+2シャドーの広島相手でも同じ選択でした。

2022年10月16日日曜日

2022年10月12日(水)明治安田生命J1リーグ第27節 浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌 〜こんなはずでは〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:
スターティングメンバー&試合結果

  • 浦和は1週間前の鳥栖戦(2ー1で勝利)と全く同じメンバー。普通に考えると、札幌対策というよりは自らの事情でこの選択を取ったとみるでしょう。
  • 札幌は、高嶺と荒野が復帰しましたが駒井がシーズンアウトの負傷。ここ最近の傾向通り、相手が3バックや1-3-4-2-1ではない(=札幌もSB的な選手起用が必要になる)相手ということで福森はベンチスタート。

2022年10月9日日曜日

2022年10月8日(土)明治安田生命J1リーグ第32節 北海道コンサドーレ札幌vsアビスパ福岡 〜願望こそが戦術〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 福岡の前線は概ね、山岸、ファンマ、クルークス、ルキアン、金森から3〜4人をチョイスしていていましたが、ファンマ、クルークス、金森がベンチスタートとなった点がまず注意を引きます。夏加入のジョンマリが2試合目のスタメン。
  • 前線から3人チョイスならDFを1枚増やした3バック(5バック)採用で、この日は心ないサッカーファンに苦しめられた奈良が3試合ぶりに復帰。
  • 札幌は高嶺が出場停止、荒野と深井が負傷、宮澤も戻らずで、中盤センターの人選がポイント。青木を下げて、前線に他の選手(菅が試されていたようです)もオプションとしてはあったけど、無難に?西としたのは、福岡のパワフルなセンターラインとの攻防に備える意味あいもあったでしょうか。

2022年10月2日日曜日

2022年10月1日(土)明治安田生命J1リーグ第31節 北海道コンサドーレ札幌vs川崎フロンターレ 〜約束の時間だよ〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 代表帰りの山根と谷口はベンチスタート。レアンドロダミアン、大島、チャナティップが負傷離脱中。
  • 深井、宮澤のほか、福森、菅も何らか問題があったようで不在。

2022年9月21日水曜日

2022年9月18日(日)明治安田生命J1リーグ第30節 横浜F・マリノスvs北海道コンサドーレ札幌 〜unspoken agreement〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • マリノスは西村が負傷で、すっかり序列が下がっていたマルコスジュニオールがトップ下で先発。傾向としては、マスカット監督のサッカーは割とダイレクト志向だと思っていて、西村の重用は運動量だけでなくセカンドトップとしてのフィニッシュを買っていたのでしょうし、よく言えば速い、悪く言えばやや直線的なサッカーに変貌しているように思えます。
  • 札幌は試合前練習で深井が重傷を負って、おそらく中村桐耶がその枠でベンチ入りしたのでしょう。菅のDF起用は、ウインガーのいるマリノス相手ならあるよな、と思っていたのですが、福森、高嶺、中村が健在の時にやるとは言い切れなかったので驚きでした。

2022年9月13日火曜日

2022年9月11日(日)明治安田生命J1リーグ第29節 北海道コンサドーレ札幌vsジュビロ磐田 〜ある意味での”らしさ”〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 18節からリーグ戦10試合で1勝1分けと出口が見えない磐田。3バックは維持したままメンバーを入れ替えて試行錯誤しているようです。ここ数試合は、最終ラインに小川や鈴木雄斗といったCBではない選手を入れたり、前線に金子翔太が入ったりといった変化がみられます。遠藤は伊藤前監督の末期はベンチスタートも多かったですが、渋谷新監督となってからはまた頼りにされているようです。
  • 前節劇的勝利でガラッと空気が変わった札幌。金子が右シャドーでスタメンに復帰した以外は、ほぼ同じメンバー。プロの選手や監督でも勝つと自信が芽生えるのでしょう、遠藤と同様に一時期序列が下がっていた福森は、しれっと3試合連続で先発しています。

2022年9月4日日曜日

2022年9月2日(金)明治安田生命J1リーグ第28節 北海道コンサドーレ札幌vsセレッソ大阪 〜意義なき賭けの末に〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • セレッソは不動の右SB松田が出場停止で、毎熊を一列下げ、左に入ることが多い為田を右に回します。左には途中出場が多いパトリッキがスタートから。セレッソの2列目は中原以外は右利きが多く、右サイドに順足、左サイドに逆足のバランスは変わらないのは特徴かもしれません。最終ラインの中央は、鳥海が西尾に劣らないくらいの評価を得ているようで、21歳の副キャプテンをベンチに追いやる形でヨニッチと組みます。
  • 前線は、スタメン起用の多い順に加藤、山田、ブルーノメンデス、タガート、上門ですが、ここまで出場機会の少ない2人を選んできました。原川の離脱で、中盤センターは手薄になっています。

  • 試合間隔が1週間空いた札幌は、小柏が(またまた)離脱でシャビエルが右。宮澤も不在で、荒野が入りますが、セレッソ相手だと4バック+4MFにしないと枚数が合わないので、3アタッカー(興梠、小柏、シャビエル)から1枚削ることになったのは、バランス的にはむしろ好都合だったでしょう。同数で守るなら、普段からこうした部分はケアしてほしいところではありますが。

2022年8月21日日曜日

2020年8月20日(土)明治安田生命J1リーグ第26節 北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖 〜垣田の裏抜けはなぜオフサイドにならないか〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 鳥栖は22節(vs横浜F・マリノス)から4バックの1-4-4-2または1-4-2-3-1の布陣を採用していて、これについては川井監督は、相手に合わせるためというよりは自らの指向性によるものだと説明しています。
  • ただこの試合は3バックの1-3-1-4-2に回帰していて、かつジエゴを左WBとしたのは前回札幌を5-0で葬ったホームゲームと同じ。
  • インタビューでは、「相手というより自分たちが目指すスタイルを目指した結果」とのことですが、5バックで守る形も含め、ある程度は札幌を意識した形でゲームに入ってきました。

  • 札幌は、今週のトレーニングでは、週後半にはほぼメンバーが揃った状況で、興梠をトップから外して、小柏やキム ゴンヒのトップ起用のトップ起用を試してもいました。おそらくは前線の守備を考えてだと思います。またシャビエルが右、小柏が左の逆足配置で試していましたが、この試合ではやはり小柏の選手特性を考えて順足配置でした。
  • 水曜日の時点では別メニューが多く、宮澤、菅、高嶺といったメンバーはまだベストではないのかもしれません。ただ、福森の起用は、高嶺のコンディションというよりは、ボールを持った時のプレーを期待してでしょう。

2022年8月14日日曜日

2022年8月13日(土)明治安田生命J1リーグ第25節 北海道コンサドーレ札幌vsヴィッセル神戸 〜ご先祖様にお参りを〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • リーグ戦、天皇杯、ルヴァンカップ、そしてACLと4つのコンペティションを並行して消化するヴィッセル神戸。ルヴァンカップのベスト8で敗退したのは後々より重要な意味を持つかもしれません。
  • リーグ戦では、橋本拳人が先発した5/29(vs札幌)-7/16の7試合で13ポイントを稼ぎましたが、その橋本のバイト期間が終了して以降の2試合は連敗。空いたポジションには大崎や、夏のマーケットで加入した小林祐希(元ジュビロの4番)が試されていました。
  • 戦力を底上げしそうなのは、前節のセレッソ戦でデビューしたCB・マテウス トゥーレル。GKのミスとセットプレーで2点を失いましたが、個人としてはいきなり最終ラインのリーダーとしての風格を感じさせていました。負傷中の菊池を補ってあまりあるクオリティがありそうです。
  • 飯野は右SBまたは3バックにしてWBかと思っていましたが、山川をステイさせて1列前での起用。大迫と武藤がいるトップには長身FWのムゴシャが加わり、今夏もっとも精力的に動いたチームでしょう。

  • 前節、湘南相手にかなり久々に会心の勝利をおさめた札幌は、いい流れを継続すべく?ほぼ同じメンバー。菅が出場停止から復帰しましたが、青木はメンバー外となっています。

2022年8月8日月曜日

2022年8月7日(日)明治安田生命J1リーグ第24節 湘南ベルマーレvs北海道コンサドーレ札幌 〜伝え方で決まる〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 湘南は前節は磐田に屈したものの、リーグ戦では神戸、川崎、FC東京、京都、名古屋、ガンバ、広島、福岡相手に8戦負けなしで一気に順位を上げてきました。
  • メンバーはアンカーの田中聡のところに米本、その前のインサイドハーフに茨田がベンチスタートで瀬川を入れ、阿部を2トップの一角に、日本代表に選出された町野と組ませています。
  • 報道ではミシャの長い演説など、危機感を醸し出していた札幌。高嶺が復帰して、左のDFに入れて、ここ最近存在感が低下?な福森がベンチスタート。そしてダイナマイト小柏が初夏を通り越して4/29以来、スタメンだと3/12以来の復帰。これで駒井が右シャドー以外で使えて、青木も菅が出場停止の左WBに回すことができました。

2022年7月31日日曜日

2022年7月30日(土)明治安田生命J1リーグ第23節 北海道コンサドーレ札幌vs名古屋グランパス 〜ののさんの言う通り〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 前回札幌に敗れてから名古屋は3バックに切り替えたようで、中谷&丸山に、本格化の兆しを見せる藤井を併用できるのはメリット。一方でトップに適任者がいない(酒井や金崎は怪我ですかね)中で、マテウス(3バックだとはまる役割がなさそう)をトップで起用しなくてはならないのは厳しいところです。代表で活躍した(私はあまり見てなかったですけど)相馬も、本来はウイングバックよりも前線でプレーできる役割の方がいいでしょう。
  • 札幌は岡村と西、金子が負傷との報道で、特に情報がない高嶺はcovid-19関連でしょうか。スパチョークは本来シャドーなのでしょうけど、ウイングバックや中盤センターでも試されているようで、チーム事情もあれば本人のクオリティも考慮して、だと思われます。

2022年7月17日日曜日

2022年7月16日(土)明治安田生命J1リーグ第22節 柏レイソルvs北海道コンサドーレ札幌 〜親の心 息子知らず〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 最近この本▼を読んでますが、結構いろいろなことに言及されていて面白いです。ターンオーバーについても戦術/戦略的なアクションだとされていて、以外にもビッグサムがパイオニアだったりとか書かれてます。
  • なんでそんな話から始まるかというと、ネルシーニョはあまりターンオーバーしない監督ですよね。この試合も水曜日の天皇杯から中2日で全く同じ11人。札幌もスタメンは前の試合と変わらないですが、こちらは天皇杯を譲ったので調整期間があります。
  • メンバーを見ておや?と思ったのは、日本代表に初選出された大南がベンチスタート。ただ、リーグ戦前節も外れていたようなので、何らか負傷や体調不良から回復したば仮なのかもしれません。あとは、左のインサイドハーフは他の位置に比べてやや流動的でしょうか。戸嶋の起用が多いようですが、開幕当初に起用されていた山田がまたスタメンに返り咲いたようです。
  • 札幌は、一見すると前節鹿島相手に悪くなかったやり方を継続でしょうか。ただ、蓋を開けてみるとこれまでとは違ったアプローチもありました。

2022年7月10日日曜日

2022年7月10日(日)明治安田生命J1リーグ第21節 北海道コンサドーレ札幌vs鹿島アントラーズ 〜可もなく不可もなし〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 鹿島は2位につけますが、26失点は札幌、清水、磐田、ガンバ、神戸の下位グループに次いで上位では最多。3失点以上が12、15、16節と前節の20節(セレッソに3-3)ということで、このところはやや下り坂かもしれません。
  • 海外移籍が決まった上田のところには、序列的には土居が繰り上がって、その次にエヴェラウドのようですが、この試合は鈴木も欠場で土居とエヴェラウドのユニット。前節は和泉がトップに入ってもいましたが、また右に戻してきました。
  • あとは、ここ3試合は樋口がスタメンを外れて三竿が上がり、ミンテが最終ラインで出場機会が増えているようです。これは連戦も考慮したコンディションの問題か、それとも樋口がアンカーはちょっと厳しいということでのバランス調整なのでしょうか。ただこの試合は2トップ以外は序盤戦の好調時のメンバーにほぼ戻しています。
  • 札幌は前日練習で深井と、復帰早々の小柏に負傷があったようでいずれもメンバー外。スタメンは、前節の後半頭からの布陣同様、高嶺がDFの左に入って宮澤がスタメン復帰。福森がベンチスタートとなりましたが、鹿島のスピードあるオフェンスを警戒しての措置もあったと思います。
  • 駒井と荒野の配置はここ数試合の傾向だと逆だと予想していましたが、荒野が前、駒井は後ろで明確なミッションを担っていたと思います。

2022年7月7日木曜日

2022年7月6日(水)明治安田生命J1リーグ第20節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌 〜君なしじゃいられない〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • FC東京は、青木、安部、中村帆高、エンリケトレヴィザンといった選手を負傷で欠き、小川が移籍した左に入っていた長友を右に回し、左にはバングーナガンデ佳史扶(以下、カシフ)。中盤3枚の右にはリーグ戦初先発の梶浦。前線は前節から永井、ディエゴがベンチスタートで、左にアダイウトン、トップにレアンドロ。
  • 札幌は、中3日の日程も考慮して興梠はベンチスタートでしょうか。ここ数試合、前線を牽引する駒井がトップで、青木をトップ下としています。

2022年7月3日日曜日

2022年7月2日(土)明治安田生命J1リーグ第19節 京都サンガF.C.vs北海道コンサドーレ札幌 〜祈りを捧ぐ資格〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 曹貴裁監督式のポジションの定義を再掲します。
  1. 「リードアクセル」:4バックのSB。上下動によってチームのアクセルとブレーキになる
  2. 「ホールディング7」:アンカー。自身とCB以外の7選手をコントロールする
  3. 「BB」:インサイドハーフ。アップダウンによって両方ペナルティエリアでで攻守に絡む
  4. 「コマンド」:センターバック。主に最終ラインの高さを指示する
  5. 「シャトルカバー」:GK。最終ライン裏のスペースをカバーする
  6. 「スイッチ」:サイドのFW。攻撃の起点だけでなく、守備の先陣も切るスイッチ役
  7. 「クリエーター」:センターFW。攻撃のアイデアを出す役割
  • リーグ戦再開後の京都は、鹿島、湘南に2試合続けて0ー1の黒星。リーグ序盤戦は「コマンド」のベストなユニットを探していたような印象でしたが、そこはアピアタウィアと麻田に落ち着いて、寧ろ今はウタカ以外の中盤から前を試行錯誤しているでしょうか。
  • 鹿島、湘南戦で「ホールディング7」には井上。その前の「BB」には武富と金子、川﨑を起用しており、この日メンバー外の金子は特に怪我とかではないようです。そして「スイッチ」は2試合とも荒木と豊川でしたが、山田と大前に入れ替えており、大前はこの位置では初めての出場のようです。

  • 札幌は、負傷者が何人かいたこともあって、京都ほどはメンバーが入れ替わっていないでしょうか。ここ数試合で一番の変化は、前回対戦時にウタカをシャットアウトした岡村がCB中央で出場機会を増やしています。開幕時はまだ危なっかしくて宮澤を脅かすには至らないかと見ていたのですが、プロ4年目の選手の成長の速さに驚かされます。
  • あとは、5/14の鹿島戦で負傷した高嶺がこの試合から復帰。しばらく音信不通だったトゥチッチは5/22磐田戦以来のメンバー入りです。

2022年6月27日月曜日

2022年6月26日(日)明治安田生命J1リーグ第18節 北海道コンサドーレ札幌vsガンバ大阪 〜完成度の差〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • ガンバは水曜日の天皇杯(大分に3−1○)では倉田、齊藤、ウェリントンシウバ、山見、中村、昌子らが先発出場。大分相手に先行を許しましたが、リードを奪って昌子以外はある程度は休ませることができました。
  • システムは、前回札幌と対戦した5月頭あたりからは一貫して4バックのようです。ここ数試合、最終ラインの軸になっていた左利きのクォンギョンウォンが出場停止で、三浦と昌子の組み合わせ。小野瀬と黒川の不在はよくわかりません。前線はまだ組み合わせが見つかっていない模様で、パトリックと山見の出場機会が多めかもしれません。

  • 札幌は天皇杯で(甲府に1−2●)は岡村、菅、金子、宮澤、深井がフル出場。宮澤と深井はベンチスタートですが、体調不良によって前半でピッチを退いたシャビエルは5/14(vs鹿島)以来のスタメン起用。興梠とシャビエルの併用となると2/26の第2節(vs広島)まで遡ります。
  • 明るい材料はGK菅野の復帰。毎試合2〜3回のビッグセーブという最大の武器を失ったチームは、公式戦9試合で2勝(磐田と桐蔭横浜大)2分5敗でした。復帰したからもう大丈夫、と言っていいのでしょうか。もう一人、高嶺も練習に完全合流していたようですが、復帰は見送られています。そしてルーカスは試合前に手術のリリースがあり、数試合の離脱となるのでしょう。

2022年6月19日日曜日

2022年6月18日(土)明治安田生命J1リーグ第18節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 〜覚悟なきものに哲学なし〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 川崎は、直近リーグ戦では鳥栖、湘南、京都相手に3試合連続で無得点の1分2敗。一方、ルヴァンカップにはまだ登場しないこともあって、この中断期間(代表ウィーク)の公式戦は6/1の天皇杯が最後。札幌大学相手に主力を休ませた上で順当に勝ち上がっており、調整する時間は十分に確保できたことでしょう。
  • メンバーは、シーズン序盤の負傷で休んでいた大島が復帰してHolding MF(アンカー)に。開幕時はこの構想があったけど頓挫しかけていたものでもあるし、札幌相手ならここにサイズのあるシミッチのようなタイプでなくても良い、との考えもあったでしょう。
  • その大島不在時に中盤センターで存在感を発揮していた橘田が左SBに。ここが一番のサプライズで、更にその前にはチャナティップが3トップの左。左サイドには、本来中央の選手を2人並べてマルシーニョはベンチスタート。

  • 札幌は、中断期間にルヴァンカップと天皇杯があり、リーグ戦再開まで殆どオフらしいオフはなかったと思います。誰がどう見てもカウンターしか狙ってない広島にボコボコにされたり、桐蔭横浜大学に負け寸前まで追い詰められたりとスペクタクルな3週間でしたが、田中駿汰と興梠の復帰は明るい材料だと言えます。
  • 想定外だったのは、岡村とDF中央、宮澤を一つ前にスライドさせたこと。以前書きましたが、岡村と宮澤はいずれも中央しかできないので、併用が難しいのですが▼
  • 昨年4/24の仙台戦以来となる禁じ手…宮澤の中盤起用で解決されます。高嶺の不在と、駒井の前線起用で中央も手薄になっているので、そこまでセンセーショナルな話でもないのですが。

2022年6月12日日曜日

2022年6月11日(土)JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフステージ第2節 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌 〜錆びつく看板〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 1戦目からの変更は、広島が、東が左に回って中央に青山。左シャドーに森島、右WBに茶島。右DFに野上。柏、藤井、ベンカリファ、塩谷と、割と重用されてきた選手を外した格好になりました。
  • 戦術的にはディフェンスで妙にまったりしていたベンカリファを外したことと、タイプの違う藤井→茶島の変更が大きいように思えますが、監督コメントを読むと茶島、森島、青山といった選手はターンオーバーの観点があったことを説明しています
  • 札幌は、中央に深井を入れて西を前線に、金子を右WBに。ルーカスは負傷なのかよくわからないですね。なお20分くらいで西が右、金子がシャドーに入れ替わっていました。
  • 2日前の天皇杯で120分出場したシャビエルはベンチスタート。コンディション以外には、おそらく、シャビエルは金子やチャナティップみたいに低い位置から長い距離を一人で突進できない(=ゴール前で待っていて、味方がボールを届けてくれる必要がある)ので、かつコンサはビルドアップに難があるので、シャビエルは後半両チーム足が止まってスペースができてからジョーカーとして使う、という考え方でしょうか。

2022年6月6日月曜日

2022年6月4日(土)JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフステージ第1節 北海道コンサドーレ札幌vsサンフレッチェ広島 〜やさしさが邪魔をする〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 広島はベン カリファがスタメンで起用されるようになったリーグ戦12節からは、塩谷を最終ライン右にスライドさせ、中盤を野津田アンカーの3枚とするシステムにしています。森島&満田がインサイドハーフ、野津田がアンカーと、スキッベ新体制のスタンスを徐々に示しながらも悪くない戦績に感じます。
  • この試合は、森島が直近のリーグ戦に続いて欠場で、中盤の右に東。そしてベンカリファを「右シャドーと2トップの中間」くらいの運用とした、ただ全体として見ると1-5-4-1で守ることが多い1-3-4-2-1っぽいシステムを採用してきました。なおGK川浪はカップ戦で優先起用されているわけでもなく、林と大迫で出場機会をシェアしているようです。
  • 依然として興梠、小柏(復帰間近)、高嶺、田中駿汰、菅野、大谷らを欠く札幌は、トゥチッチと深井が詳細不明の欠場で中盤センターに西。
  • 駒井のFW起用を割と気に入っている(おそらく「ダメなところを直接指摘しない外国人マネージャー」タイプだと思うので、編成上の不満も多分に含んでいるのでしょう)ようで、彼を前線に回すと頭数は揃っていたはずの中盤センターも心もとなくなります。

2022年5月30日月曜日

2022年5月29日(日)明治安田生命J1リーグ第16節 ヴィッセル神戸vs北海道コンサドーレ札幌 〜空虚なキャッチフレーズ〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌は、岡村と宮澤がスタメンに復帰でそれぞれ最終ラインの右と中央。深井は怪我などではなく、ミッドウィークの試合を(神戸のマッチアップする選手を考慮して)おそらく意図的にスキップしたのでしょう。
  • それ以外だと、不在のトゥチッチはこの序列(ドウグラスオリヴェイラと檀崎より優先度下)なのか、単に怪我等なのかが少し気になるところです。
  • 神戸はGKと4人のDF、それにアンカーの大崎はコアなメンバーとなりつつあるようです。山口がおそらく休養で、似たタイプということもあってか?あまり出番のなかった橋本が山口に代わって入って、前線は左が多かった汰木が右。
  • 郷家はコンディションに不安がありベンチスタートとのこと(神戸新聞運動部のTwitterアカウントより)。小田は同じくコンディション不良を理由に代表を辞退したものの、2日で超人的な回復をしたようで元気にピッチを駆け回ります。

  • 試合後に、ダビド君▼ と三宮の地下の店(物理的な意味)で多少話していたのですが、
  • 神戸の左右のサイドにおける組み合わせは、私の予想では、まだプロとしてこれから、といったところである小田の背後を酒井がサポートするユニットで考えていたんじゃないかと思います。前が汰木なら、山川も専守防衛でいけるでしょう。

2022年5月26日木曜日

2022年5月25日(水)明治安田生命J1リーグ第15節 北海道コンサドーレ札幌vs柏レイソル 〜封印されしフクゾディア〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:


スターティングメンバー&試合結果

  • 柏はやや失速気味ですが、序盤の貯金が効いていて、試合開始時点で勝ち点21の6位。といっても、札幌が勝ち点20で8位だったりでまだまだ混戦のリーグではありますが。
  • メンバーは、GKキムスンギュが離脱中?で、他はここ最近はだいたいこの日のメンバーのようです。後は、トップにアンジェロッティ、中盤に中村やドッジといった選手が入ったりもあるようです。試合はあんまり見てないけど、マテウスサヴィオのカウンターが生命線な印象です。
  • 札幌は、GK菅野がDAZN中継で明確に負傷と紹介されて、別メニューで調整中の選手も入れると他に離脱者が小柏、興梠、高嶺。明言されていないのが本日欠場の田中駿汰と岡村、大谷。深井は休養でしょうか。
  • GKには3rdの扱いである中野小次郎、そして高嶺の役割を福森で、福森の役割を中村桐耶。田中駿汰のところに西。このあたりの”強度”は気になるところです。そして前節チームを牽引した駒井をFWで継続してきました。

封印されしフクゾディア:

  • 札幌は、オフィシャルのスタメン発表では中村がDFで、福森がMFの表記。菅もいるので、福森が高嶺の役割(中盤センターと最終ラインを行ったり来たりで、相手のFWまたは攻撃的MFをマンマーク)になるのは予想できました。

  • しかし過去に1回だけ福森がこの役割を任されたことが4シーズン前にあって、この時は前半に先制ゴールを挙げてはいるのですが、福森だと攻守の切り替えが遅すぎて、ピッチ中央で要求される多様なタスクに迅速に対応できなかった、とこの時は記しています。

2022年5月23日月曜日

2022年5月22日(日)明治安田生命J1リーグ第14節 ジュビロ磐田vs北海道コンサドーレ札幌 〜暴露はないです〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 磐田はここまで5ゴール4アシストと絶好調のラルフこと鈴木雄斗が欠場。後は、開幕時は前線に大津と大森が並んで機動力重視だったのが、前節は右シャドーに上原、杉本健勇を左シャドーに回してトップにファビアン、と幾分か試行錯誤しているようです。
  • 13試合で3勝、勝った相手はGKが退場した京都と、ホームでの名古屋とFC東京で予想通りですが結構苦戦してますね。札幌対策でもあれば、前節東京に勝った前線のセットを意識しているのかもしれません。
  • 札幌は宮澤が出場停止、高嶺が負傷で暫く離脱の見込み。この日は菅野、福森、中島がコンディション不良とのことで欠場。中村桐耶が遠州の地に凱旋のリーグ戦初スタメンで期待がかかります。外国籍選手のうち誰かを前線に入れて、青木を左、菅を最終ラインとかも考えたのでしょうけど、カップ戦の様子も見て中村のスタメンに踏み切ったのでしょうか。

2022年5月14日土曜日

2022年5月14日(土)明治安田生命J1リーグ第13節 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌 〜実体なきスケープゴート〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • レネ ヴァイラー新体制で復権の兆しを見せる鹿島。荒木、エヴェラウド、ブエノといったメンバーが離脱ながらも暫定首位に立っています。
  • 最終ラインと中央の樋口、2トップはほぼ不動で、中盤残り3つの椅子は、開幕時はピトゥカ、土居、荒木。ここ数試合は和泉とカイキの存在感が高まっていて、「おじさんらしくない振る舞い」で謹慎中だったピトゥカはこの試合からスタメンに戻ってきました。
  • システムが若干変則的で、敵陣でpressingをする時は中盤センターの2人が縦並びでダイヤモンドシステムのようになります。自陣でブロックを作るときは、この2人が横並びで1-4-4-2。

  • 札幌は前節欠場の宮澤が戻ってきて、荒野は依然として行方不明なこと以外は特筆点なし。

2022年5月8日日曜日

2022年5月7日(土)明治安田生命J1リーグ第12節 北海道コンサドーレ札幌vs京都サンガF.C. 〜クリエーターを排除したファイター〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • リリースがなく憶測ですが、京都は左SB荻原、アンカー川崎、前線の両ワイドを務める武富といった選手が負傷か何かで起用できない状態のようです。
  • 荻原不在により、CBが不安定なこともあって中央に回っていた麻田が左。数試合スタメンを外れていたメンデスとアピアタウィアのユニットが中央。またCBだった井上がアンカーに入っていますが、これは前節この役割だった福岡の不在によるようです。
  • 札幌は荒野と宮澤がメンバー外。宮澤は試合後ピッチに姿を現したようで、深刻ではないでしょう。またトレーニングでは岡村が主力組に入っていたのは、少なくとも連休の前半では見ましたし、現場レベルではそこまで混乱はないかもしれません。

2022年5月5日木曜日

2022年5月4日(水)明治安田生命J1リーグ第11節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 〜あくまでトレーニング〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • ガンバはボール非保持の形を意識して、4バックの1-4-4-2と表記します。ただ中村がボール保持の際に中盤右寄りのインサイドハーフっぽく落ちてきて、1-4-1-2-3にも見えました。
  • シーズンでは3バックの1-3-4-2-1も併用しているようですが、宇佐美が長期離脱した現状は採用理由に乏しいでしょうか。福田がシャドーというのはもう少しパンチ力が欲しい印象です。あとは3バックなら昌子、三浦、クォン ギョンウォンを並べられますが、新監督の体制に代わってこの重厚なユニットのビルドアップ能力がボトルネックとして顕在化している印象があります。
  • 最終ラインは高尾と福岡が負傷で、左利きの黒川が右でスタート。小野瀬が下がる場合もあるようですが、黒川を”あえて”使った理由はガンバのオフィシャルで片野坂監督が丁寧に言及してくれています。
https://www.gamba-osaka.net/report/index/no/832/
Q 左利きの黒川選手を右SBで起用したのは、札幌対策だったのか、それともこちらが何か仕掛けたいという意図があったのでしょうか。 
 まずはチャレンジですね。黒川が右でどれだけ出来るかというところをチャレンジしてみました。
 何故かというと、右利きで右サイドというのも一つあるのと、これまでは柳澤亘が出ることが多かったんですけど、札幌さんの守備が非常に人にタイトに来るので、ああいったサイドのところから左足で潜ったり、左足で展開するとか、中を覗ける選手でもあるので、そういうところから前に対しての攻撃のフィードであるとか、逆サイドに左足で振るとかそういったところを右SBに入ったとしても(黒川)圭介の良さが出るかなというところのチャレンジです。
 彼自身も、右でも左でも出られるならどこでもやりますという選手なので、そういった思いがある選手というのも使いたいと思いますし、そういったチャレンジの中で彼のプレーの幅を広げる、成長に繋がることというのも、右も左も出来るようになれば非常に戦力としてもまた大きくなると思うので、そういうチャレンジを含めてトライさせました。

  • 札幌は、前節復帰した小柏が再度離脱で、前線はシャビエルがトップに入ります。
  • たまたまこの週、私は帰省していて練習を1日だけ観たのですが、(この程度は書いて全く問題ないと思うんですが)その際は紅白戦でルーカスが右サイドを蹂躙し、シャビエルが中央で合わせる形で主力組が圧倒しており、「あ〜シャビエルを真ん中で使ってるのはこのイメージなんだな」と納得しました。
  • なお宮澤が控え組、岡村が主力組で、シャビエルは宮澤のマークの背後を何度もとっていて、これはルーカスの対面(井川とか田中宏武)がイマイチで宮澤はそっちに気を取られていたのもありますが、シャビエルは「シュートがうまい人枠」で中央で考えられているのだなと感じました。

2022年5月1日日曜日

2022年4月29日(金)明治安田生命J1リーグ第10節 北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ 〜薄氷下の6points〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 湘南ベルマーレは前節、初勝利を挙げたものの、9試合で勝ち点6の17位。この試合で採用された1-3-1-4-2が基本布陣で、GKの谷、最終ラインの大岩と山本、前線の瀬川以外は、メンバーを入れ替えながらまだ試行錯誤している感があります。
  • 一人挙げるなら、タリクのインサイドハーフでの起用が目を引きます。これはcarry the ballの能力に期待していたのだと予想します。

  • 札幌は小柏が第4節以来のベンチ入りで、前節欠場の福森も戻ってきて、興梠以外はほぼ現状のベストメンバー。
  • 前線は中島の台頭がありましたが、ルヴァンカップやトレーニングの情報(報道)によると、興梠、小柏が使えない状況でミシャはシャビエルのトップでの起用に積極的なように思えます。この試合では、スタート時点では荒野がトップの位置にいましたが、試合中に何度か入れ替わっているようにも見え、明確に決めていなかったのかもしれません。

監督・選手コメント(湘南側):


スタッツ:

  • 画像は使用できないので上記のリンクから参照してください。
  • いくつかコメントしますと、
  1. シュート数:13-11も、枠内シュート数は7-9で湘南優勢
  2. しかしxGは札幌の方が高め:というか湘南が低い → xGはシュート地点の”座標”を示す性質が強い(菅のペナルティエリア外からのゴールでは加算がごくわずか)ので、湘南はゴール付近にあまり侵入できていないことがわかる(札幌も決して良かったわけではないが、札幌以上に湘南に課題あり)
  3. エリア間パス図:互いにペナルティエリア内にパスでの到達回数が少ない。湘南はビルドアップは中央を避けてサイドから。

2022年4月16日土曜日

2022年4月16日(土)明治安田生命J1リーグ第9節 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 〜持たない日々の始まり〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • FC東京は、リーグ戦7試合で4勝とまずまずのスタート。選手起用を見ると、センターラインは18歳の松木を含め、割と固まりつつある印象で、どちらかというとアウトサイドはまだいくつかのオプションを試しているように見えます。渡邊は開幕から全て右SBでの起用でしたが、この日は1列上がって左ウイング。アダイウトンがベンチスタートで永井が右に回ります。
  • 興梠、小柏、金子を欠く札幌は、ミッドウイークのカップ戦で先発したルーカス、荒野、トゥチッチ、青木を起用。福森はコンディション不良で、まずはこの試合スポット的な離脱みたいです。

2022年4月14日木曜日

2022年4月13日(水)JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第3節 京都サンガF.C.vs北海道コンサドーレ札幌 〜うまい話はない〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • 曹貴裁監督が新型コロナウィルスの陽性判定で、杉山コーチが代理監督を務める京都は、中盤センターの福岡と金子以外は、リーグ戦でここ最近出場機会がないメンバーが中心のようです。
  • リーグ戦では1-4-2-1-3の布陣ですが、この日は前線には大前がトップ下。これは特に札幌対策という感じはしなくて、選手のやりくり上そうなったのだと思います。
  • 札幌はまぁ順当にというか、リーグ戦で出場機会がないメンバーが主体。後述しますが西と荒野の役割は、西が常に真ん中で、荒野が最終ラインと中盤を行き来する役割でした。

2022年4月10日日曜日

2022年4月10日(日)明治安田生命J1リーグ第8節 名古屋グランパスvs北海道コンサドーレ札幌 〜彗星の軌道〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 長谷川健太新監督を迎えた名古屋は、リーグ戦ではここまで2勝2分2敗。ただ2勝はここまで不調の神戸と湘南相手で、まだ調子が上がっていないのかもしれません。
  • 前線はいまだにシュヴィルツォクが使えず、金崎もおそらく負傷でメンバー外のため酒井がフル稼働。試合を動かすならサブの相馬か、18歳の甲田になるでしょうか。
  • 札幌は、興梠が右膝内側半月板損傷で手術及び離脱とのレポートがありました。浦和戦に続いてトップにはシャビエル。そして名古屋サポーターが強力プッシュの青木とのユニットがスタートから実現しますが、果たして機能性はどうか、といったところです。

2022年4月7日木曜日

2022年4月6日(水)明治安田生命J1リーグ第7節 サガン鳥栖vs北海道コンサドーレ札幌 〜Dead end〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 開幕から鳥栖は3バックの1-3-4-2-1で落ち着いたようですが、この日はルヴァンカップと同様に1-3-1-4-2(というか札幌をマンマークで対処するのが目的なので1-5-3-2と言った方がいいか?)に形を変えてきました。
  • これまでリーグ戦ではFWと、左CBジエゴを除く最終ライン2枚は同じ選手が出場していましたが、契約条項により岩崎を使えない左CBに中野伸哉、シャドーの2枚:菊池と堀米を外してアンカーの藤田と2トップの一角に本田風智。ジエゴがCBではなくWBなのがポイントですね。DFの島川とファンソッコは負傷中らしいです。
  • 札幌は興梠がスタメン復帰で、金子がシャドー、シャビエルがベンチスタート。配置は実態に則した形にしています。お互いにほぼ純粋なマンマーク志向なのもあって、攻守でほぼ変わらず、この配置でプレーしていました。

2022年4月3日日曜日

2022年4月2日(土)明治安田生命J1リーグ第6節 北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ 〜選ばれるコンテンツか?〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • キャスパー ユンカーは昨シーズンの後半から出場機会が減少しており、その傾向は2022シーズンに入っても続いていて依然として様々な憶測が存在します。江坂でスペーシングしたいのかと思えば明本が出たりとまだ考えがよく見えません。ただこの試合ではトップにユンカー、その下に江坂、両脇にモーベルグと明本と、関根はベンチスタートですが割とオーソドックスな起用できた印象を受けます。
  • 札幌は小柏の負傷離脱が続き、興梠は契約条項により出場不可。素直にトゥチッチをスタートから使うのではなく登録上はシャビエルがFW扱いで、アンカーの高嶺と深井を併用と、普段と比べるとちょっと”捻った”感じのメンバーを選んできました。なぜだか知りませんが、浦和、川崎、マリノス相手だと過剰に意識していてやり方を変えてくる監督ミシャの性質を踏まえると、とりあえずスタメンを見て「はーそうきたか」と感じました。
  • 一つ言えるのは、中央にストライカーがいないからルーカスはベンチスタート、割とフィニッシュに単独で関与できる金子と菅なのかな、と感じました。あとは福森(一応病み上がり)の周囲をどう防衛するか、の観点もあったでしょうか。

2022年3月20日日曜日

2022年3月19日(土)明治安田生命J 1リーグ第5節 セレッソ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 〜ゴールは雄弁なり〜

1.スターティングメンバーとスタッツ

スターティングメンバー&試合結果
  • セレッソは左SBを丸橋と山中で競争していて、前節アシストの後者が2試合連続出場。ただ、その試合で清武が負傷により離脱。前線は清武トップ下+1トップと、サイドに回してFW2枚を起用する形があるようですが必然と後者しか選択肢がなくなります。ヨニッチが来日を果たした最終ラインでは、進藤はまず鳥海との競争になっているようです。
  • 札幌はミッドウィークに「9人のトップチーム関係者が新型コロナウイルス感染」のニュースが駆け巡りました。水曜日にカップ戦がなかったのはラッキーと言えるでしょう。そんなにおおっぴらに会食とかはしてないとは思うのですが、いつものメンバーからはベテラン勢を中心に外れています。地元メディアでは左DFに柳、高嶺がセンターに回るとの予想もありましたが、カップ戦でも中央で起用されていた岡村がスタメンに名を連ねました。

スタッツ:


2022年3月12日土曜日

2022年3月12日(土)明治安田生命J1リーグ第4節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜F・マリノス 〜理論非武装〜

1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果
  • マリノスはマルコスジュニオール、渡辺は戦線に復帰したものの、最終ラインはエドゥアルド、畠中を欠くスカッド。(余計なお世話ですが)ACLを狙うチームとして見ると、ウインガーが全員右利きなのはバランスが悪いように感じられますが、その中では仲川を左で、マスカット監督としては考えているようです。
  • 札幌は引き続きシャビエルがベンチスタート。前節の3アタッカー編成はバランスが悪いと感じたのか、青木がスタートから左シャドー/インサイドハーフで、小柏が右に回ります。

2022年3月7日月曜日

2022年3月6日(日)明治安田生命J1リーグ第3節 アビスパ福岡vs北海道コンサドーレ札幌 〜質実剛健〜

 1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果

  • 福岡は普段は1-4-4-2ですが、金森を外して最終ラインにCB(熊本)を1枚増やしています。2021シーズンも札幌に対してはこの形でしたので、本来望むスタイルではないにせよ、DFを増やすことでそれ以上のアドバンテージがあると見ているのでしょう。前嶋の負傷で、湯澤がスタメン起用されています。
  • 札幌はガブリエルシャビエルが左足痛で欠場。金子がシャドーに回るのは”規定事実”ですが、小柏、興梠と並ぶとやはりアタッカー3人で、中盤とリンクできる選手(青木?)が求められるところです。

2022年3月4日金曜日

2022年3月2日(水)JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第2節 柏レイソルvs北海道コンサドーレ札幌(ほぼ雑感)

※レビューというほどでもないです。


1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果

  • 柏は、上島、ドッジ、小屋松と、ん?この辺りがカップ戦に出てくるのか?と思いましたが、調べると21歳の山田、20歳の細谷といった若手がリーグ戦で出場機会を掴んでいたり、川口が3バックの右で出場したりと、競わせているところなのかもしれません。
  • もっとも、柏から見ると札幌も荒野とか深井がカップ戦なのか、と思う人もいるにはいるかもしれません。西はおそらく負傷でしょうか、岡村が公式戦初出場でCB中央を任されます。メンバーだけ見るとそんなに違和感ないのですが、前線はトップ下+2トップの、いつもと異なる形でした(静的な配置という意味でも、相手とのマッチアップ的な意味でもいつもと変えている)。

2022年2月27日日曜日

2022年2月26日(土)明治安田生命J1リーグ第2節 北海道コンサドーレ札幌vsサンフレッチェ広島 〜ジレンマの予感〜

1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果
  • 広島は前節、ホームでの開幕戦にFWの鮎川、シャドーに仙波とフレッシュな選手を起用しましたが、それぞれ永井と浅野に入れ替えてきました。また青山がベンチスタートで、カップ戦で好調だったという野津田が中盤センターでスタメンに名を連ねています。
  • 札幌はサブの西→柳以外は変更なし。

2022年2月24日木曜日

2022年2月23日(水)JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第1節 サガン鳥栖vs北海道コンサドーレ札幌(ほぼ雑感)

※レビューというほどでもないです。

1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果

  • 両チームともリーグ戦開幕節から、メンバー11人を入れ替えました。
  • 川井新監督を招聘した鳥栖は、1-3-4-2-1を基本陣形で考えているようです。広島との開幕戦では岩崎が左のWBに入ったりと、メンバー構成もサッカーのスタイルも結構変わったな、との印象でした。
  • 鳥栖の配置は多分これだったと思います。石井が左WBで中野嘉大がその前。藤原はポジションが崩れた後は毎回、右シャドーの位置に戻っていたはずなので。
  • 札幌は、キム ミンテの移籍で「カップ戦のCB中央」枠が不在となったところに西大伍。ただ欠場の岡村が戻れば、最終ラインの構成は変わるでしょう。

2.ピンポイント雑感

うまいけど軽すぎ:

  • お互いに基本システム1-3-4-2-1で、あまりポジションを変えなくても対面の選手を捕まえることができる(所謂ミラーゲーム)ので、序盤からどのポジションでもマッチアップがかみ合って、両社ともボールを保持することが難しくなります。
  • そんな中で、最初にボールを保持しようとしていたのが札幌のDF中央の西。札幌はボール保持時に、いつもの"1-4-1-5"になって、CB右に西、CB左に深井の配置になります。鳥栖は西にFW梶谷、深井が落ちると、”対面”の楢原がついていくことが多かったはずです。
  • 2分、その西がなるべく梶原を引き付けてからGK小次郎にバックパス。多分西としては「普通のプレー」だったのでしょうが…個人的には、アウトサイドでパスする意味もないし、また最近非常に多いんですけど、ボールマウスを外してパスするのは大事だな、と改めて思いました。

 

  • お互いにマッチアップがかみ合った状態でマンマーク主体の相手に対し、簡単に蹴るプレーが多い中、この西が一番”サッカーをしようとしていた”感じはありました。
  • 初めは右CBの位置からボールを運ぶことが多かったですが、札幌は荒野も最終ラインに落ちてくると、後ろに5枚、中盤にゼロ、最前線に5枚の1-5-0-5になって、「後ろにそこまで必要???」な状況になります。福森がいると、どんな形でもロングフィード1発で前線に配球できますが、カップ戦ではあまり登場しないので、毎回まともにボールを運べないのはこのためです。
  • 西はこのあたりを”工夫”していて、荒野が下がってくるならじゃあ俺が中盤行くよ、といったポジション調整を試行錯誤していました。そして基礎技術というか、簡単にボールを失わない、イージーに蹴って鳥栖ボールにしないのは当たり前かもしれませんが、他の選手と比べると別格にうまいのは間違いなかったと思います。

  • ただCB中央としては、西の対人対応は合格ラインを遥かに下回っていて、45分での交代も納得でした。
  • 鳥栖の大卒1年目FWの梶谷(登録上は181cm・81kg)は見るからにご飯をたくさん食べそうな風貌なのですが、梶谷と西のマッチアップは、どっちが相対的に強い/弱いと判断する以前に、西はまず簡単に入れ替わられたり逆を取られたりで、そもそもDFとしてここに置いていい水準じゃないように思えました。

  • ですので、鳥栖は札幌のマンマークの守備に対してどこかで配置を変えてギャップを作るとか、そういう戦術的な工夫をしなかったのですが、単に梶谷に蹴るだけで何らか形になってしまう、みたいな状況で、前半鳥栖のシュートが多かったのはこれが決定的な要因でした。
  • 鳥栖は開幕戦のvs広島も、相手が1-3-4-2-1で時間を作りづらかったことはあるとは思いますが、恐らく樋口、仙頭、エドゥアルド、大畑といった選手を失ったことで、あまりボールを持たないキック&ラッシュスタイルにやや回帰していて、控えメンバー主体のこの試合も開幕戦同様に殆どボールを繋いでくることは、少なくとも前半はなかったのですが、この日の札幌の最終ライン相手だと、蹴って拾うだけで何らか即効のチャンスになってしまう、というところでした。

  • 札幌はGKの小次郎が気を吐きます。前半だけで4本くらいはボックス内のシュートストップをしていて、このパフォーマンスは今後に期待を抱かせるものでした。

椅子は一つ:

  • 札幌でHTに交代した選手が西のほかに、井川と檀崎。井川はちょっとよくわからないのですが、私の解釈としては、カップ戦初戦の結果を我々が思う以上にミシャは重視していて、田中駿汰にアップグレードしたかったのかなと思います。

  • 一方で檀崎は交代やむなし、な印象でした。
  • 鳥栖は札幌の選手についてきますが、カバーリングの意識はそこまでないため、そのマーカーをdesmarqueなどで剥がしさえすれば、札幌の選手にとっては比較的スペースを享受しやすい状況になります。
  • 後半、金子が中央方向に何度もドリブルで仕掛けることができていたのはそのためです。
  • ですので檀崎も中央方向に向かってプレーできるとよかったのですが、右利きの檀崎は右シャドーの位置でボールを貰うと、どうしてもピッチ中央側ではなく右側を向いてしまう。つまり中央じゃなくてアウトサイドに逃げるような動きになるので、檀崎自身がサイドに追い込まれた状態でプレーしがちなのもありますし、味方と離れて個人で打開しないといけなくなる。またトゥチッチが孤立するようにもなって、チームにはあまりメリットがなかったと思います。
  • 青木と檀崎を入れ替えるのは一案かと思いましたが、まだミシャの中ではそこまで檀崎を使う理由はなかったでしょうか。そしてオーストラリアでどうやって得点量産していたのかわからないですが、割とシンプルにボールに寄って自分で仕掛けていく、脳筋っぽいスタイルだなと個人的には思いました。


3.その他
  • 鈴木啓太氏のYouTubeで興梠が言ってましたけど、「ミシャは絶対相手に合わせない」。これは、戦術的というか対戦ゲームとして見ると、相手と対話してやり方を変えることはしないということ。
  • そして「自分たちのやりかた」は、私はもう4年間見続けているので、あまり真新しいものはないな…ということで5年目のカップ戦はどうしても書く内容が薄くなります。が、こんな感じでひとまず続けようかと思っています(何か取り上げてほしい題材があれば投げて下さい)。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

2022年2月19日土曜日

2022年2月19日(土)明治安田生命J1リーグ第1節 清水エスパルスvs北海道コンサドーレ札幌 ~Overload warning~

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • あまりちゃんと調べていないのですが、清水はカルリーニョス、ヴァウド、松岡、チアゴ サンタナ、ヘナト アウグストといったメンバーが負傷若しくは体調不良でメンバー外とのこと。
  • 主なところだと、オフの放出は中村慶太、エウシーニョ、河井、たまに見ていた奥井あたりで、inはこの日2トップの一角でスタメンの神谷、大卒新人の山原、鹿島から復帰の白崎と徳島から加入の岸本。
  • 札幌はキャンプ後半からシャビエル、興梠が主力組でプレーすることが多かったようで、その点では特段のサプライズはなし。ただ、報道では小柏が右シャドー(/FWを兼務)、シャビエルが左(/インサイドハーフの役割を兼務)なのかと思っていましたが、ミシャが好む逆足配置でスタートしました。

試合展開と雑感(前半)

基本的なスタンス:

  • まずお互いにやり方はそんなに変わっていない。それでいて幾つか共通点というか、類似項目がある。
  • 最も顕著なのは、お互いに前から人を捕まえて守るやり方を好み、その背後にスペースができるシチュエーションをそこまで気にしない。動的なゲームにおいてこのスペースを気にしない選手が多いと、それは次第に広範になっていく傾向があるのですが、両監督ともスペース管理=ゲームのコントロールだとは思っていないような節があります。
  • スタンス(姿勢)というかゲームプランの相違点は、札幌はスタメンのチョイスから特に制御せずに試合に入るので、後半失速気味。平岡監督は60分前後でサイドハーフや前線の選手を入れ替え、後半に勝負するプランは過去2年間も見て、好んでいそうだなと感じられ、この試合も64分に高橋と滝の起用でギアを更に上げてきました。

前半は予想通り押し込んだ札幌:

  • 両者が対峙した時の札幌のアドバンテージは、GKにバックパスでやり直せる(30後半でもスキルアップする菅野)ことと、福森をはじめロングフィードで敵陣に配球する形を持っているので、清水は単に札幌の後ろ4人(右から田中、宮澤、高嶺、福森)を捕まえるだけでは目的達成(高い位置で奪うか、無理にボールをリリースさせて中盤で回収するか)が難しい。
  • 清水はそうしたビルドアップ(相手の1列目守備を回避して前線のMFやFWにボールを届ける)の形らしいものを持ってない(これは外国籍選手が加わってもあまり変わらないと予想します)。後半にベンジャミン コロリがターゲットとして投入されるまでは、苦し紛れのFWへの縦パスも殆ど収まらず、札幌にとり脅威はかなり小さかったと振り返ります。

  • 加えて清水は、ウイングバックが幅を取り、中央ではミスマッチを作ってクロスボールに突っ込んでくる札幌の得意なフィニッシュの形にここ数年弱さを露見していて、後は札幌の攻撃陣がハマれば…という感じで毎年大量得点の試合になったりもしていました。ぱっと見、この試合の開始15分を見てもこうした構造は変わっていなくて、清水が前半押し込まれ、札幌がボールを握っていたのは予想通りでした。
  • 15分のルーカスの先制点も割とよく見た形というか、清水はボックス内でも人を捕まえる対応主体なのですが、サイドに揺さぶるだけですぐにバタバタする傾向があって、この時は枚数は揃っていたと思いますがDFがファーサイドで被ってしまってルーカスはどフリーでした。

先に清水が引くも、既視感のあるオープン展開:

  • 札幌が先制した、15分くらいで清水はあまり前に出てこなくなります。それでゲームが落ち着くか、というとそうではなくて、どうしても札幌の場合はボールを握った後の展開がオープンになる。それは単に前に人がいっぱい出ていくことで、枚数的に多いから前方向のパスが多いというのもあるし、何度もここで書いているように、金子、駒井、高嶺、福森といった前方向のプレーが多い選手が多いからとか、色々な要因があるでしょう。
  • オープン展開で清水も札幌ゴール、まではいかなくとも、ペナルティエリア付近に何度か2トップやサイドアタッカーが登場します。20分くらいに神谷が抜け出しかけたところは、福森のタックルで間一髪。39分にも半カウンターっぽい展開から山原が左で持ちますが、フィニッシュはクロスかシュートか中途半端なもの。スタメンにロングカウンター要員がいない清水は、札幌に押し込まれた状態だと、被弾の脅威は感じませんでした。少なくとも前半は。

4バックに対しては定員オーバー:

  • 前半のボール支配率は札幌6:清水4(もっとあるかと思っていました)。清水がプレスを途中でやめたこともあって、後ろではボールを持てていた札幌ですが、そこから前に展開する段階では色々と問題があったように思えます。
  • 最も顕著だったのは、昨年までのチャナティップの役割を小柏が担っていた点。札幌は左の福森のパスから、たまにチャナティップを経由して攻撃が循環することが多かったですが、相手の背後に抜けてフィニッシュで関与させたい小柏が、福森のパスを受けるためにチャナティップのように下がってくると、小柏はフィニッシュに関与できなくなる(または、再び前線にポジションを上げるためにまた時間を作ってあげる必要がある)。
  • これは宮澤や田中駿汰のパスを収めていた興梠にも言えることがあって、札幌はボールを保持して、ビルドアップがうまくいっているように見えるけど、実際はこうしてFWやシャドーが何度もポジションを下げて「受けに行く」状態になっているのは、ビルドアップ(≒ボールを”届ける”)という観点では実はあまりうまくいっていない。興梠が無理な体勢でもボールを収めてくれるのは、浦和がACLでどうしようもない相手の時とかには非常に有益だったと思いますが、点を取るにはこれが恒常化するとあまりメリットはないといえます。

  • そしてチャナティップの役割を小柏にさせていることのもう一つの問題点として、前線に小柏、興梠、シャビエルとアタッカー3人を並べると、このうち2人は清水のCBにプレスをする役割になりますが、1人は清水の中盤の選手を駒井と2人で守る役割を強いられる。シンプルにいうと、小柏の基本ポジションは駒井と同じ高さで、そこからゴール前での仕事を求められるし、清水の選手次第で自陣ゴール前まで戻ったりする必要がある。
  • 普通に考えれば、中盤とシャドーを兼務できるチャナティップだからこそできていた役割だし、その存在を前提として同数でマンマークする守備のやり方が成り立っていたので、そのチャナティップが居なくなった今、前線にアタッカー3人を並べるのは定員オーバー。
  • 以前から、カップ戦(降格がないしリーグ戦とは別の選手を使いたい)では同様の選手起用(ドドちゃんがMFになるとか)はありましたが、改めて開幕戦という重要なゲームで確認する限りは、このスタイルは実戦レベルではないと言えるでしょう。
3人起用で割りを食う小柏

試合展開と雑感(前半)

コロリ投入:

  • 後半頭から清水は中山→ベンジャミン コロリに交代で、神谷が中山のいた右サイドへ。コロリは中盤2列目が最も得意なユーティリティプレイヤーのようですが、負傷者続出のこの試合だと前線のターゲットしての期待が大きかったように思えます。
  • 鈴木唯人との関係性は、コロリが引いて唯人が前線で勝負する形が基本。これで、札幌は高嶺-コロリ、宮澤-唯人のマッチアップになって、高嶺はここでもパワー不足の不安が脳裏をよぎります。
  • このマッチアップのパワーバランスによるものというかは、清水のメンバー構成の変化による、相対性よりも絶対的な要素だと思うのですが、前線で体を張れる選手が入ったことで清水はFWへの縦パスが多くなる
  • 解説の松原良香氏が後半途中に「清水は後半になって中盤でボール拾えるようになりましたね」的なことを言っていましたが、前半はそもそも縦パスが少なかったと感じます。
  • 清水がFWに縦パスを入れると札幌の、中央でセカンドボールを拾う役割の駒井や小柏(!)が後ろ方向にプレーしないといけなくなる。前半はそうではなくて、札幌が前に蹴って、清水DFがクリアしたボールを駒井やシャドーが拾う形が多かったので、コロリの投入は、札幌の中盤(といっても駒井しか枚数がいないが)の仕事の性質を変える影響があったとみます。

マンマークというか各個撃破:

  • コロリ投入で清水のボール保持がよりピッチ中央、かつ札幌陣地寄りにシフトすると、マンマークが基本の札幌DFは徐々に後手に回ります。
  • これもさらっと「後手に回ります」だと説明になってないのですが、色々な要因があって、例えばマンマークと言うけど実際にはカバーリング関係が存在している。札幌右サイドから清水が攻撃してこれば、福森やルーカスが中央に絞ったりするのがそれですが、清水がピッチ中央を使える→左右のサイドにも展開する、と、それまで対面の選手を見ているだけだった札幌DFは、この福森のように時に中央に絞ったり、抜かれた選手をカバーしたりとタスクが増えているような状態になり、”対面の選手”へのアプローチに全力でいけなくなる。
  • というか、こう「各個撃破」ができなくなってしまうと、札幌の守備は単なる「枚数不足の緩い対応」みたいなもので、後半ラスト30分ほどは清水の攻勢が続いたと思います。菅野の4度ほどのビッグセーブが無ければ勝ち点1すら持ち帰ることもできなかったでしょう。

  • 最後に、68分の鈴木唯人のゴールを振り返ると、シンプルに宮澤の個人の対応の問題でしょうか。一応「ビエルサライン」(ゴールからペナルティエリアの角を斜めに結んだエリア)からは押し出すことに成功していますが、最後は鈴木の馬力に押し出される形で、フルパワーのフィニッシュの余地を残してしまいました。
  • もっとも日本人でビルドアップもできて守備もできるDFは、川崎やFC東京にもいないことは昨日の開幕戦でも皆さんわかったと思いますので、宮澤を使うならこれは仕方ないシチュエーションだと言えるでしょうか(だから、このチームは菅野がタンスに指をぶつけて出られなくなったら終わり)。

一言

  • 開幕なので色々と、試行錯誤の部分はあります。例えば2019シーズンの開幕は鈴木武蔵がベンチスタートで、ジェイの負傷でチャンスを掴んでスタメン定着、日本代表選出をキャリアを更に駆け上がりました。
  • 今日ベンチスタートだった選手、ベンチ外だった選手にはそうした可能性がある一方で、基本的には、同じ監督で5年目ということで、もう殆どのことは一通り試している、とする捉え方も事実ではあるでしょう。それでも皆さんと共に1年間、楽しみながら成長を見守れるシーズンとなることを期待します。
  • それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。