1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
スターティングメンバー&試合結果 |
- 最近この本▼を読んでますが、結構いろいろなことに言及されていて面白いです。ターンオーバーについても戦術/戦略的なアクションだとされていて、以外にもビッグサムがパイオニアだったりとか書かれてます。
「プレミアリーグ サッカー戦術進化論」
— アジアンベコム (@british_yakan) July 5, 2022
例によってまだ1/3しか読んでないけど、戦術というかフットボールカルチャーの理解において色々示唆に富む。 pic.twitter.com/kZjFumGnKl
- なんでそんな話から始まるかというと、ネルシーニョはあまりターンオーバーしない監督ですよね。この試合も水曜日の天皇杯から中2日で全く同じ11人。札幌もスタメンは前の試合と変わらないですが、こちらは天皇杯を譲ったので調整期間があります。
- メンバーを見ておや?と思ったのは、日本代表に初選出された大南がベンチスタート。ただ、リーグ戦前節も外れていたようなので、何らか負傷や体調不良から回復したば仮なのかもしれません。あとは、左のインサイドハーフは他の位置に比べてやや流動的でしょうか。戸嶋の起用が多いようですが、開幕当初に起用されていた山田がまたスタメンに返り咲いたようです。
- 札幌は、一見すると前節鹿島相手に悪くなかったやり方を継続でしょうか。ただ、蓋を開けてみるとこれまでとは違ったアプローチもありました。
札幌の柏対策①:
- この試合、まず驚きだったのが、札幌が普段とやり方を変えてきた点でした。
- 先述の本でも、「ベンゲルは自分の哲学があって、自分達のサッカーからトレーニングなど作り込んでいくタイプ」で、ビッグサムなり、その後登場したモウリーニョなんかは完全に相手を対策することに重点を置いて、自分達のサッカーというものにこだわりがないタイプ、とあったのですが、ミシャは極端なベンゲルタイプで相手に合わせた対策をほとんどしない。
- マリノス、川崎とかつてのレッズは例外でしたが、フクゾディアのレッドカードがあったとはいえ大量失点で敗れた柏もこのラインナップに加わるのか、それとも16位以下のラインが近づくと、愛する札幌を守るために、そうなるのでしょうか。
- 柏は、ネルシーニョのチームらしく、マテウス サヴィオや小屋松の個人能力を活かした速攻が持ち味のチーム。特にサヴィオがインサイドハーフというか、下がり目のシャドーみたいな最適な役割を見つけて、その特徴がより活きていると感じます。前にスペースがある状態でドリブルが始まると脅威なので、前線よりも下がり目の方が使いやすいのでしょう。
- 配置と併せて確認するとこうなります。
サヴィオを筆頭にマークをずらさない |
- 札幌は、サヴィオのサイドに福森を外して高嶺。サヴィオをマークするのは荒野。
- ですので荒野は必ず左にいるようにして、宮澤と左右を入れ替えたり、前や後ろに移動したりといった攻撃時によくある自由なポジショニングは、この試合前半途中まではほぼ全く見られませんでした。
- 札幌は極端なマンマーク(スペースを守る要素が極めて薄い)を敷いているので、サヴィオのようにスペースを高速で突く能力がある選手が相手にいると、マークが外れただけで致命傷になります。ですので攻撃の局面でも常にこのバランスを考えてプレーできる選手は重宝されますが、宮澤だとスピードのある選手には対応できないので、荒野を左に置いていたのでしょう。
- 他のポジション・選手も、たとえば駒井が下がってくるとか、DFが高い位置をとってWBが絞るとか、そうした「自由で流動的なサッカー」は前半途中まではほぼ封印していました。これをやると、ボールを失った時に相手を捕まえて守備に切り替えるのがスムーズにできなくなるからです。
札幌の柏対策②:
- 先に書いたように、札幌は柏の速攻に対処するため、なるべくポジションを動かさない状態でプレーしたいところです。
- 堂安のこの記事で言われていることが興味深いですが、
『日本のサッカーは野球みたいだ』堂安律が明かす、欧州サッカーとの違い「ボールを奪ったらゆっくり1回裏の攻撃に…」 | サッカーダイジェストWeb https://t.co/Sel8Yh7NGn
— アジアンベコム (@british_yakan) July 17, 2022
- 要するにサッカーは攻防一体、札幌とマテウスサヴィオの関係なんかが典型で、札幌がボールを持って(いつものように自由に)攻撃しているように見えても、マテウスサヴィオのような選手、もしくはネルシーニョのような監督からすると、福森のような選手がボールを持ってスルスルっと上がっていった段階で既に柏の”攻撃”は始まっているというか、少なくとも柏がゴールを奪ったりシュートを撃つための起点はできているともみれる、ということです。
- 一方で、
ハリルが2016年くらいに会見で「Jリーグのサッカーは大半がミスマッチを作ることだけに執心してるミスマッチサッカー」って言ってたけどその典型がミシャ。コンサも同数の状態から相手といかに駆け引きするか知らないままだから、後半みたいなポジションレス無秩序スタイルの方が活き活きしとる。
— アジアンベコム (@british_yakan) July 16, 2022
- Jリーグを席巻したミシャの攻撃的なサッカーとは、簡単にいうと相手が2人で対処しているところにミシャは4人、相手が4人に増やしてきたら5人まで枚数を増やして絶対に数的優位を作って、そこから前線5人にロングボールで配球して…という感じで、局所での数的優位を作ることが大前提のサッカー。
- この「局所での数的優位」を作るためにミシャチームは頻繁にポジションチェンジをします。
- それによって、局所での数的優位が得られますが、対価としてたとえば中盤の選手が中盤と選手として振る舞う(セカンドボールを拾うとか相手のカウンターに備えるとか)ことは放棄されるし、上記の堂安がコーチに言われたという、攻守交代で休んでいるかのようなサッカーになる。
- いわゆる攻守の切り替えは、ボールを奪った側には速攻のチャンスになりますが、普段のコンサは切り替えの直後に数的優位を作るために人を動かしているので、速攻のチャンスを捨てているし、ボールを失った時には人が動き過ぎているので、相手に絶好のカウンターチャンスを与えているとも見れます。
- さて話が長くなりましたが、改めてこの試合のミッションにフォーカスすると、「なるべく動かないで柏に対してボールをキープしながら攻撃し、守備の準備も同時にする」になります。
- いつもなら、札幌はボールを持った時に中盤のどちらか(宮澤か荒野、通常は左なので、この日なら荒野が担当)が落ちてきて、左のDF(福森だが、今日は高嶺)が左サイドにスライドする。
- この左にスライドしたDFが、▼の図でいうと赤い丸のエリアに出てくる。ここはどのチームも1-4-4-2だろうと1-5-3-2だろうと、守備の上で優先度が低いエリアなのでまずは何らかフリーになりやすい。福森の定位置がここで、ここから長いボールを放り込むとこから札幌の”攻撃”は始まることが多い。
左サイドからの放り込みを捨てて中央からプレーするという新たなミッション |
- しかし今日は、こうしたポジションチェンジをしないので、赤丸には誰もいない状態、赤丸を使わないで何らかプレーする必要があります。
- 序盤、荒野と宮澤が中央から動かなかったのは、ミシャチームを長年見てきた中では非常に画期的なことでした。
- おそらくこれは、柏の守備の性質も考慮した上で、荒野と宮澤で柏の2トップ背後でボールを受けてから攻撃する形をしたかったのだと思います。
- 9分くらい?に宮澤がこの形でボールを受けてターンしたら主審にブロックされてプレーが止まりましたが、宮澤は元々こうした狭いスペースでのプレーが割と好きで、2017年に深井が負傷したときもアンカーの位置で無双したりもありました。
- あとは、ミシャは今のスタイル(相手にシステムを合わせてマンマーク)になる前、その時は相手にシステムを合わせることは基本的にはなかったのですが、神戸(サンペール)や浦和(エヴェルトン)のようなアンカーがいるチームには必ずマンマークをつけて警戒していたんですよね。
- ですので、本来はミシャもピッチ中央をどう制すか?は当然重要性を認識していて、コンサの今の独特な(奇妙な)サッカーは福森をはじめ選手の特性にかなり寄せたもの、だとも言えるでしょう。そこを指導していくのが監督やスタッフの仕事だとも思いますけどもね。
柏の札幌対策:
- 柏は、札幌のこうした方針転換はどれくらい頭に入っていたでしょうか。
- 前節の鹿島戦(既に、福森抜きでプレーしていたので似た傾向はあった)の映像は目を通しているとして、その情報は、鹿島相手に一時的なものだったとみるか、またはマイナーチェンジがあったとしても、ミシャコンサはかならずどこかでオープンになる、というのは共通認識レベルであったとは思います。
- ですので柏としては、①札幌陣内ではボールは持たせてカウンターのチャンスを誘導する、②柏陣内では札幌の得意なプレーを封じる(weaknessが露見されるように誘導する)が基本的な戦略になる。この裏の関係でもありますが、柏にweaknessがあるとしたら、それを隠すような選択をとることもいえます。
- 具体的には、柏はまず1列目のライン設定はそこまで高くない。高い位置でpressingを仕掛けてボールを奪うよりも、札幌のDFを前に引き出してスペースを作るために、ハーフウェーライン付近で待機します。
札幌陣内に押し込まれる |
- 細谷は「小屋松と連携してアンカーをケアした」と言ってましたが、中央を2人で塞いでいたのはその通り。あとは、この2トップは札幌のボールホルダーを最初にケアする役割も持っていて、主に岡村と高嶺に2人で出ていくことが多かったです。
- 札幌は右に田中駿汰がいて、左は誰もいない配置になっていますが、田中にはインサイドハーフの山田が出てきたり、横パスでスライドが間に合わなくなると高嶺にサヴィオが出てきたりする。
- 札幌はこの瞬間をおそらく狙っているのでしょうけど、柏はスライドが間に合わない時にカバーする選手の出足が早く、また2トップも棒立ちするのではなくてコースを切るようにしていて、札幌は簡単に中央を割れなかったと思います。
- そして札幌が中央などから縦にボールを運ぶことに苦労して、横や後ろ方向にパスをすると、柏の最終ラインは上島が一気にハーフウェーライン手前まで押し上げる。
- これは、小柏不在の札幌は、高い最終ラインの背後を強襲する(柏の先制ゴールのように)攻撃が難しい、もしくはしてきても対処できるから。むしろ興梠や青木をゴール前、シュートレンジになるエリアから遠ざけておいた方がリスクを回避できるからです。
- 解説の負けないよ福田正博さんが、柏のGK佐々木がペナルティエリアから飛び出してクリアをした時に「若さがいい方向に出た」と言ってましたが、佐々木がこうした積極的な守備をしたのは若いからじゃなくて、札幌相手にはハイラインで守った方が戦術的には正解だからです。
- 柏のDF(3人のCBとウイングバック)は、ラインを押し上げる。トップはそんなに高くない。必然と柏はコンパクトな陣形を保って、札幌は中盤にスペースがなくなります。宮澤や荒野がそこでプレーしたいとしても、次第に下がったりサイドに流れたりして、スペースのあるところに”逃げる”形になり、戦略的には札幌は目標達成に失敗します。
- 中盤で札幌が誰もプレーしなくなると、興梠にパスが出なくなるので、柏は更に失点のリスクが減ることになります。
- そして、札幌は野々村社長やミシャが2年間「あとは決めるだけ」と嘘を重ねた末に獲得したフィニッシャーの興梠は、上島が常に背後からラインを上げて、縦パスも全部潰してくるのですが、誰もボールを収めてくれないし攻撃の構築にもならないので、シュートを撃つ遥か手前の段階でまず組み立てに関与しなくてはならなくなる。
- コンサドーレが消滅する日まで私は言い続けますが、「あとは決めるだけ」とするシュートを撃つには、FWがフリーかそれに近い状態を作って、かつ前を向いた状態でパスしないといけない。札幌は、誰も上島を興梠から剥がすようなプレーをしないし、青木と高橋に対しても同様なので、柏がマンマークで札幌5枚に背後からガツガツマークされ続けて興梠も青木もその対応で疲弊します。
- あとは、先述の、柏の”weakness”に言及するとしたら、ATに上島が興梠をエリア内で倒してノーファウル、という場面がありましたが、上島は対人には強いけど、たまに寝てしまう時がある。このあたりは、後半にも興梠が一瞬のdesmarque(マークを外す動き)で左足ボレーに持ち込みましたが、90分で見ると興梠の駆け引きが勝る時がある。
- この場合も、ゴールから遠ざけて守るのは柏にとっては有効で、仮にどうしようもない時に興梠や駒井にファウルしたとしても、それが柏のゴールから遠ければ札幌の得点の期待値は下がる。
- こんな感じで、柏としてはラインを上げて守ることにメリットしかない状態で、札幌はその背後を有効に使えるといいのですが、そうはならなかったと思います。
2.試合展開
看板の形骸化:
- 唯一の得点は前半早々に決まります。
イメージ通りの低くて速いフィード😎
— 上島拓巳 (@takumikamijima) July 16, 2022
決め切ってくれたミツくんに感謝🥹 https://t.co/vb2PRv3DnN
- 柏ユースは性格のいい選手が多いと思うので、「コンサの穴を突く狙い通り😁」みたいな露骨なことは書かないけど、上島がイメージ通りって言ってるのと、あとは前半のこの時間帯のプレーだと、マンマークで人しか見てない札幌DFの背後を取るプレーは、狙ってはいたんじゃないかと思います。多分キックにバックスピンがかかっていて、バウンドで減速して非常にいいフィードでした。
- 札幌は、背後を取られた金子の対応は結構難しく、この角度から三丸が動き出すと金子が捕まえるのはかなり難しい。そして菅野も背後をケアする役割があるので、判断は難しいけど基本的には出て守るのは間違ってない。
- 一番気になるのは、ボールに全然制限がかかってないことで、これも何度も言ってますが、興梠には相手のDFに制限をかける仕事が実質的には無理なんですよね。
- となると、この時、興梠は柏のアンカーの椎橋を守っていますが、札幌のpressingはここまで開始位置が下がる。「高い位置からpressingを開始して、最終ラインも押し上げて敵陣に押し込んでプレーする」みたいなスタイルは実質的に無理だとまたも示された格好でした。
- ボールホルダーに圧力がかからないと、DF背後、ゴール前に広大なスペースを開けた、全裸で立ち尽くす人みたいな無防備な状態なのですが、札幌が一時期随分とご執心だった高い位置からの守備は完全に形骸化してしまったな、という感想です。
ミッションスタート:
- 柏が先制したこともあって、完全に札幌がボールを持つ(持たされる)展開でしばらく進行します。
- 札幌としては、なるべく定位置から配置を大きく変えない状態で柏を攻略するミッションがスタート。
- しかし、柏が中央をうまく守っていて(札幌の配置がいつもと違うことは頭に入ってなかったと思いますが)、宮澤や荒野が中央で受けて前を向いたことはごくわずか。トップへのパスはほとんどなかったでしょう。
- 次第に宮澤は中央から離れていきます。多かったのは、トップに近い位置を取ったり、右サイドのスペースに飛び出したりしてボールを引き出したり、田中と入れ替わるように右サイドの低い位置でプレーしたり。
- トップに近い位置をとるのは普段あまりないものだし、右奥に飛び出すのも同様ですが、重要なのは後ろ3人でボールを動かして、宮澤と荒野は下がらないでプレーすること。中央が使えないなりにも20分くらいまでは、下がらずに試行錯誤していました。
中央にボールが入らず飛び出して活路を探る |
親の心 子知らず:
- しかし20分過ぎくらいから、荒野が少しずつ下がってプレーするようになり、宮澤も徐々に同じ傾向が現れます。
- 要するに、コンサは20分で「いつものサッカー」に選手が自主的に(≠意識的に)戻すこととなりました。
- 私はこの変化はあまりポジティブに見ていません。理由は、柏相手には何度も言ってますが、ポジションを変えてプレーするよりもなるべく動かずにプレーする方が攻守トータルで見た時に重要だからです。
- そして冒頭でも書きましたが、ミシャのサッカーはとにかく数的優位やミスマッチで攻撃のあらゆる課題を解決するスタイル。ピッチ上には11人しかいないので、どこかで数的優位なら、どこかで数的不利になるのですが、数的同数とか数的不利な状況でいかにプレーするかを考えていないコンサは、いつも通り、
- 後ろで数的優位⇨余った選手が長いボールを蹴る⇨受けた選手が長いボールを蹴る、前線になだれ込む、な確実性もインテリジェンスもないサッカーに傾倒していきます。
柏との戦術戦に負けて? 徐々にいつものサッカーになる |
- もちろん宮澤や高嶺が上がった背後にはスペースがあるし、マテウスサヴィオを見ていた荒野の役割も曖昧になる。
- このロングボールと数的優位に頼り切ったサッカーはやらないはずだっったのですが、20分で元の形に戻したというのは、戦術戦的には、コンサの方がピッチ上で、先に駆け引きや戦術的なアプローチを放棄して、柏に完敗した感がありました。
- 監督としては降格圏が近づいて、ポイントを取るために普段とやり方を変えたのでしょうけど、それを選手が放棄したとしたら辛いところです。
- ただ、5年間でコンサをこういうチームに変えたのは監督とスタッフであるはずなので、その点は同情の余地はないかもしれませんが。コンサは戦術的、その前段階の戦略的なビジョンに乏しい、本能でやりやすいようにプレーするだけのチームになってしまったな、と、冒頭20分間の期待は徐々に萎んでいきました。
- こうしたプロセスはどうでもいい、という方も少なくないと思うので、一応触れておきますと、前半ATに興梠が上島に倒された場面はこの試合最大のチャンスだったでしょうか。
- これも、コンサ得意の長いボールの放り込みに、後ろから走って上がっていった(DFのオーバーラップ。背後は誰がどう守ってるのか知りません)高嶺が触ったところで生じたもの。
- 大半の熱心なコンサドーレサポーターは、柏の狙っている形やカウンターの威力なんかは日々考えていないと思いますので、それなら確かに、この形にした方が有効で、この試合の札幌の試合の入りは間違っていた、と言えるでしょう。
完全にいつものスタイルに:
- 会見などでオフィシャルに言及されないのでわからないですが、私の予想では、前半途中は選手の判断でいつもの形に近づいて、後半はチームとして完全に割り振ったのだと思います。
- その根拠は、駒井が後ろ、荒野が前の配置にシャッフルして、駒井が常に後ろでプレーするようになったから。この位置に何らか意味合いがなければポジションを変えることはなかったでしょう。
- ともかく完全に、後半頭からは、札幌は後ろで数的優位を作る、人がどんどん後ろに降りてくる、DFのオーバーラップや飛び出しで頻繁に人がシャッフルされて柏の選手をマークしたり予防的なポジショニングをする意識が薄くなる、そんないつものスタイルに回帰していました。
ポジションチェンジ解禁 |
読んでいたネルシーニョ:
- ▲だと高嶺がオーバーラップしますが、そこにパスが通ればとりあえずサイドのある程度のところまでは侵入できます。
- あとは、前半に金子の負傷でピッチに入った西。アバウトなロングパスも西は収めたり、相手にボールを隠しながらボールを持てるので、右の西のところに何らかボールが入ると、ゴールまで40m距離がありますが、一応、札幌がゴール前に枚数4〜5枚、誰かが前を向いてサイドでボール持ってる(放り込みできる)という状況にはなります。
- ただ、柏のDFを剥がす作業を全くしないので、札幌が5枚いても、柏も5枚+MFが中央に揃っていることになる。この状態からはとにかく札幌は放り込みしかしない(できない)。
- 結局それしかないでしょ?というのは、ネルシーニョは当然わかっていたはずで、後半の柏は、札幌がポジションを崩して、バランスを捨ててでも柏陣内に入ってくるなら、じゃあDFを下げてゴール前でクロスを撃ち返しますよ、とする守り方に変えて対応していました。
誤認されしメッセージ:
- 今、流行りの得点期待値「xG」というのを引き合いにして、札幌はチャンスは作れている、と主張する人がいるのですが、そもそもxGの算出ロジックにもあるのですが、クロスボールを頭でシュートするというのは得点の期待値が非常に低い攻撃なんですよね。頭よりも足のほうが正確で強いシュートが撃てますから。
- しかもそれが、柏のCBのような対人に強いDFが、空中戦が得意ではない札幌の選手とマッチアップした状態なら尚更で、40mの位置からどんだけ放り込んでも、それは有効な攻撃なのか?ということになります。札幌のクロスボールはパスというより、相手にボールを投げ捨てているようなもので、そこからシュートにつながったものがいくつあったでしょうか。
- 78分に柏はマテウスサヴィオと山田が下がります。札幌はトゥチッチとドウグラスオリヴェイラを入れて、その後83分に福森。対面にサヴィオがいなくなってから福森登場、というのは、まぁそうだろうな、という感じでした。
- それ以前から放り込みは多かったのですが、ドド・チッチのコンビが前線に並び、福森が入ると札幌は(おそらく自主的に)パワープレー気味の展開に切り替えます。
- ただ、これは多分ベンチとしてパワープレーをしたくてカードを切っているわけではないと私は予想していて、なぜならドドちゃんが空中戦に強くないことはみんな知っている。それなら中島でいいはずですから。
- 「大きい外国人FW」と、福森と、あと普段やってるサッカーと、その時の雰囲気が入り混じるとコンサはパワープレー!という風にメッセージを読むのは、まぁそうだろうな、って感じですけど、柏相手にそれでやれそうな雰囲気はないですよね。そんな感じで、最後は見せ場なく柏が逃げ切りました。
雑感
- 試合の入りは、戦術戦としては興味深かったですしポジティブでした。しかし、その後は、札幌は柏よりもそうした戦術的・戦略的インテリジェンスが乏しいことが露見される悲しい試合になりました。
- 詳しく書かなかったのですが、札幌がなぜ柏の2トップの背後でボールを受けられない(縦を割れない)かというと、一ついうならGKにバックパスをして柏のFWを引きつけるようなプレーをしないから。
- 俺たちの岩崎キュンを貸してやっている鳥栖がこんな得点を決めていましたが▼
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) July 16, 2022
🏆 明治安田生命J1リーグ 第22節
🆚 鳥栖vs横浜FM
🔢 1-1
⌚️ 24分
⚽️ 宮代 大聖(鳥栖)#Jリーグ#鳥栖横浜FM pic.twitter.com/0mcuNMPqER
- こんな風に(これはバックパスしてるのかわからないけど)、相手のFWが前から追いかける状況を作って、FWがセンターサークル付近にとどまらない状態を作れば、守る範囲が広くなって中央をずっと閉じているのは難しくなる。
- そのためには、岡村と高嶺が横パスを交換するだけでなくて、菅野もボールに触って柏のFWが追いかけるように餌を撒いたり、もしくは菅野が中央、岡村が右、高嶺が左の配置になって、柏のFWが左右に広がった状態で菅野が縦パスをするとか、そうした形を持っておく必要があるのですが、そこまでの完成度は残念ながらない模様です。
- それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
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