2022年7月3日日曜日

2022年7月2日(土)明治安田生命J1リーグ第19節 京都サンガF.C.vs北海道コンサドーレ札幌 〜祈りを捧ぐ資格〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 曹貴裁監督式のポジションの定義を再掲します。
  1. 「リードアクセル」:4バックのSB。上下動によってチームのアクセルとブレーキになる
  2. 「ホールディング7」:アンカー。自身とCB以外の7選手をコントロールする
  3. 「BB」:インサイドハーフ。アップダウンによって両方ペナルティエリアでで攻守に絡む
  4. 「コマンド」:センターバック。主に最終ラインの高さを指示する
  5. 「シャトルカバー」:GK。最終ライン裏のスペースをカバーする
  6. 「スイッチ」:サイドのFW。攻撃の起点だけでなく、守備の先陣も切るスイッチ役
  7. 「クリエーター」:センターFW。攻撃のアイデアを出す役割
  • リーグ戦再開後の京都は、鹿島、湘南に2試合続けて0ー1の黒星。リーグ序盤戦は「コマンド」のベストなユニットを探していたような印象でしたが、そこはアピアタウィアと麻田に落ち着いて、寧ろ今はウタカ以外の中盤から前を試行錯誤しているでしょうか。
  • 鹿島、湘南戦で「ホールディング7」には井上。その前の「BB」には武富と金子、川﨑を起用しており、この日メンバー外の金子は特に怪我とかではないようです。そして「スイッチ」は2試合とも荒木と豊川でしたが、山田と大前に入れ替えており、大前はこの位置では初めての出場のようです。

  • 札幌は、負傷者が何人かいたこともあって、京都ほどはメンバーが入れ替わっていないでしょうか。ここ数試合で一番の変化は、前回対戦時にウタカをシャットアウトした岡村がCB中央で出場機会を増やしています。開幕時はまだ危なっかしくて宮澤を脅かすには至らないかと見ていたのですが、プロ4年目の選手の成長の速さに驚かされます。
  • あとは、5/14の鹿島戦で負傷した高嶺がこの試合から復帰。しばらく音信不通だったトゥチッチは5/22磐田戦以来のメンバー入りです。

攻撃は最大の…:

  • カップ戦2試合を含めるとこのカードは今年4試合目。そのルヴァンカップでは、京都は札幌の横幅を使った攻撃に苦戦し、最終ラインを5枚にするなど対策を迫られていました。
  • そして3試合目となった前回5/7のリーグ戦では、頼みの「クリエーター」、ピーター ウタカを岡村が完封。ウタカは最後には左サイドに追いやられてしまいます。
  • 京都はこの2点…①札幌の横幅を使った攻撃への対応と、②ゴール前でのフィニッシュの局面がポイントでしたが、①については、今回は最終ラインの枚数を増やすとか、札幌の右WB・金子に対しマンマークをつけるとか、そうした特段の対策はとらなかったように思えます。
  • 但し黙って殴られるのではなくて、そもそも札幌陣内でプレーするように仕向けることで、札幌に満足に攻撃をさせない、とする。攻撃は最大の防御というか、局所だけに目を向けるではなく試合全体をコントロールすることで解決しよう、との考え方だったのでしょう。
  • 試合後のコメントで、監督が前節ホームで敗れていることに言及していますが、そうしたメンタル的な意味合いと、戦術的な意味合いの両方があり、京都はとにかくホームゲームで先手を取りに来てたかと思います。

2人目のクリエーター:

  • ②の相手ゴール前でどうプレーするか?については、京都は明確な準備をしてゲームに臨んできました。この点を整理していきます。

  • 京都ボールの際の、基本的なマッチアップはこうなります。
  • 京都は右の「リードアクセル」白井が高い位置で常に攻撃に参加できる態勢で、左の荻原がやや下がりめでバランスをとる(最終ラインのカバーもできるようにする)ポジショニングでした。明白に右サイドから仕掛ける意図が見えました。

  • 札幌はいつも通り、マッチアップを合わせてマンマークを基本として解決しようとしますが、まず京都は前線3人のポジショニングに工夫があります。

  • 右の「スイッチ」、山田は開いた位置からスタート。本来はあまり開いた位置をとると、白井と被って効果的ではない時がありますが、今回は山田(白井)がどうプレーする?という前に、まず福森を動かしてスペースを作ることが重要なため、この懸念は一定は無視されます。
  • 中央のウタカは山田とは反対側、攻撃方向に向かって左サイドに移動し、対面のCB岡村の背後をとるポジショニング。背後をとるとか「視界から消える」とか、風間さん風に言うと「背中をアタックする」とか色々表現がありますが、視界の外は基本的に守れない、そしてボールと人を同時に視野に入れにくくなるので、DFからすると非常に嫌なポジショニング。この時、岡村も一緒に下がってマンマークを維持するやり方もあるのですが、札幌はこの時だけは1対1の形を崩して、「背中を隣のDF(田中)に任せる」一般的な守り方をする
  • そして田中が岡村の背後のウタカを見るようになると、田中がサポートに回るので、必ず大前はフリーになれる。この「必ず」のことを再現性とか言います。再現性100%だと何をするのかバレて守りやすくなりますが、それを回避するために最後のフィニッシュはある程度は即興性を持たせて、途中までのプロセスで形を作ることを明確にするチームが最近は多いと思います。曹貴裁監督がウタカ(フィニッシュの時に必ずボールを経由させる)の役割を「クリエーター」としているのは非常にわかりやすい表現でしょう。
ウタカが岡村の背後をとって大前がクリエーターに変貌

  • そしてこの日はウタカではなくて、フリーになった大前が左から中央に入ってくる。札幌のマーク関係が崩れているので簡単に前を向けるし、大前なら前を走る選手にパスを配球できる。まさに大前が「クリエーター」に変貌し、ウタカはファーサイド(岡村の死角)に置いてフィニッシュに専念させる。この形を作って攻撃することが京都の狙いの一つだったと思います。

ハイラインの申し子:

  • ウタカに適当におまかせするのではなくて、形を作ることが京都にとって重要な理由として、ゴールを奪うこと以外にも、冒頭で書きましたが、札幌の攻撃機会を奪いたかったから、というのがあります。そのためには、札幌の攻撃で重要な役割を担う選手が、札幌陣内に下がる(京都ゴールから遠ざかる)状態にすることが望ましい。
  • 菅は白井を見ているので白井が高い位置をとるだけで下がる。金子は、荻原を見ていますが、最終ラインがアタックされると5バックの右として下がることになっているので、この条件も満たします。
  • あとは、前線の興梠とシャビエル(と、駒井も)。この2人はゴール前では脅威になりますが、ロングカウンターができるほどの走力がない。ですのでアピアタウィアと麻田のラインコントロールによって、京都ゴールから一番遠ざかる位置(ハーフウェーライン)まで押し込みます。

  • 特に、アピアタウィアは横や斜めからのボールにはまだ難があるのですが、正面からくるボール(例えば、興梠を走らせようとシンプルに放り込んだもの)への対処には、長いリーチとサイズを活かしてかなり強気に出ることができる(跳躍力があってもサイズがないと、ジャンプが間に合わない時がある)。またスピードも一定以上あるので、スペース(CBの横と背後)での競争になっても、ペナルティエリア内や付近でなければ対処がしやすい。
  • ハイラインにはリスクもありますが、興梠のような選手をゴールから60m先に追いやるだけで、「コマンド」としてのタスクを戦術的に遂行できており、このチームのキープレイヤーの一人といえます。札幌の岡村は物理的にウタカをマークするのが仕事ですが、アピはFWをマークするというよりラインを高くして二次元、三次元的に空間を守ることが仕事です。

2.試合展開

インスイングクロスの有効性:

  • 序盤から京都が狙い通りの形で、札幌陣内でプレーします。札幌も一応、得意の形はあるのですが、そこに至るアプローチは、高嶺からシンプルに金子に蹴る、といったもので、あまり緻密さはありませんでした。
  • そして開始9分で待望の先制ゴールが京都に転がりこみます。岡村が見るはずのウタカがドフリーだった構造は特に説明不要でしょう。
  • ここで一ついうとしたら、アシストした右サイドの山田。左利きの選手を所謂「逆足配置」で採用する理由として、中央付近に入ってのシュートがよく言われますが、もう一つ、このゴールのようなインスイングでゴールに近づいてくるボールを蹴れるから、という点があります。
  • アウトスイング(この場合は、右サイドから右足でクロス)だと、まずGKの近くをボールが通過してからターゲットに落ちるので、クロス処理が得意なGKだとキャッチされたり弾かれたりしてしまう。札幌のDFはまずまずサイズがあるので、曲がって落ちるボールを配球したいところでしたが、であればDFとGKが処理しづらい逆足配置の方が良い、との理由もあっての山田の起用だったかもしれません。

10人の札幌は何をしたのか ①:

  • 体感的には、スコアが動いてから殆ど間がないタイミングでした。公式記録では15分、菅野がウタカへのファウルで1発退場。
  • 菅野の行為がどうか?と論じる前に、形としては京都の白井がボールを持った時(直前は、駒井のスルーパスが失敗してGK上福元がキャッチ→スロー)に、札幌のピッチ左側(京都から見て右)はガバガバでしたね。
  • ただ、これはセットされたシチュエーションというより、トランジション(札幌の攻撃失敗)の際に、前に出てもどうしようもないのに出てしまった福森の戦術的なエラー(出るなら、ボールを奪うまでいかなくてもボールホルダーに制限をかけてほしい。無理なら全速力で帰陣だが、ただ福森にはこれが一番難しい)でしょう。

  • 菅野と、キャプテンマークを巻いた荒野の猛抗議が始まります。バックスタンド、私の隣で見ていた京都のご婦人は荒野の情報を調べていたっぽいですが、その周囲の紳士淑女も「北から来た野蛮な奴らが騒いでいるぞ」みたいな雰囲気を醸し出し始めました。

  • ただこの荒野や菅野の抗議の最中に、私たちの200勝監督・ミシャを始めとする札幌のスタッフは残り75分のプランを考えていたようです。
  • 最終的には、テクニカルエリアに一番近いところでプレーする福森を呼んで指示を伝えていましたが、先日の柏戦で同じような時間帯に福森が退場してから、惨めな姿を地上波で晒したチームが見違えるような戦いぶりを見せたのは、この”狡猾な時間稼ぎ”も一つの要因だったでしょう。

  • シャビエルを下げた札幌(興梠は自分だと思ってベンチに一度向かった)は、そのままシャビエルの位置を空けた1-3-4-1-1、もしくは駒井が前に出る1-3-4-(0)-2みたいな陣形をとります。
  • プラン通りに先制し意気揚々とするホームチームに2点目を許すと、柏戦同様に崩壊ルートまっしぐらなので、まずはディフェンスを整えて、コンサドーレというトロッコの軌道を滑落から立て直さなくてはなりません。

  • 試合後のインタビューで、札幌の選手が「サイドを捨てた」と表現していたらしいですが、金子と菅は捨てた、というよりは、最初から低い位置にいてCBの横のスペースを埋めるところからスタートしていたと思います。この最終ラインは数的不利の影響はありません。
  • 数的不利なのは札幌の前の4人と、京都の5人+GK上福元+α(荻原がたまに下がっていた)のところ。京都が5〜6人でプレーしていれば必ず誰か1〜2人はフリーになりますので、ここで札幌がボールを奪うのは少し難しい。
  • ですので、札幌は無理をしないで、人に寄せるよりも中央にいる(スペースを守りつつ、京都の選手誰にでも出ていける中間ポジションをとる)ことを優先しながら、フリーで運んできそうな選手が出てくると誰かが寄せて制限する、地味な仕事を開始します。
中間ポジションを守る

  • 書くのは簡単なのですが、何度も追い直さないといけないのでかなり辛い仕事になります。ただ、興梠もそうですが、特に、地元で燃えていたであろう駒井が脅威的な運動量で京都のビルドアップを微妙にずらさせます。
  • たまに、福森が流れの中で前に出てきて、「追いかけて戻る」作業をやるのですが、福森は寄せが甘いというか、体の置き方(体の向き)が、相手に対して誘導的ではないので、京都は福森が来てもノープレッシャー。駒井や興梠は、足が速い遅いではなくて、京都が展開したい方向(基本的には縦方向)に蹴らせないような方向から体を寄せてくるので、この2人の守備貢献が非常に大きかったです。

  • そして、京都の前線にボールが渡って、「クリエーター」なり「スイッチ」なりがゴール前でアイディアを発揮しようとしても、両サイドが絞った札幌は完全に5バックで引いた状態になっていて、ゴール前で使えるスペースがそれ以前よりも狭まっている。
  • 曹貴裁監督のスタイルは、フィニッシュではとにかく前方のスペースをどうアタックするか?が生命線なので、スペースを狭められると違ったアプローチが求められるのですが、札幌の変化に、1人多い(≒本来プランを変える必要がない)京都が変化を求められるようになったのは面白いところですし、珍しく札幌が巧く戦ったと言えるでしょう。

10人の札幌は何をしたのか ②:

  • 札幌が守備(≒京都ボールのシチュエーション)で軌道に乗ってくると、攻撃も少しずつ形が見え始めます。
  • 札幌ボールの際、普段は左に張り出す福森が中央からスタート。普段は、高嶺が落ちてくるところに福森がいて、高嶺は落ちてこないで中盤に残り、福森が本来いる左は誰もいない形を作ります。先述の、ミシャが福森に直接指示していたのはこの点もあったのでしょう。
1人少なくても普段と似た形を作る(田中駿汰の攻撃参加)

  • これによって、後ろは1人削るけど、その分、前は削らない形にしたかったのが札幌のベンチの思惑でした。

  • 2017年、9人のミシャレッズが札幌ドームで四方田札幌を圧倒したゲーム。この時も、ミシャは9人になっても、ウイングバックは削らず11人の時と同等の役割を維持することで、攻撃の横幅を確保して札幌がコンパクトに守ることを許さなかった、とするゲームがあったのですが(札幌にもかなりの問題があった)、サッカーというゲームの性質上、ボールを握れば少ない人数でもポジショニングと個人能力で相手に脅威を与えることができる。
  • 今回、札幌は荒野をシャドー(シャビエルの役割)に上げて、枚数でも劣らないようにしたかったのでしょうけど、この1枚がなくとも京都が守勢に回る機会が生じていたでしょう。

右サイドの支配者:

  • 誤算だったのは、その荒野があまり高い位置をとらなくて、少しずつ下がってプレーするようになったこと。荒野はボールに触るのが好きなので、予想ができた話ではありますが、ベンチの思惑とはずれていきます。
  • しかし結果これがプラスに作用します。荒野が下がると、京都は誰がついていくか不明瞭で、荒野が関与してボールを運ぶ。その分、田中駿汰が右サイドの大外またはシャドーの位置まで上がったりして、荒野に担わせようとしたタスクを金子と相互補完しながら遂行して京都の最終ラインに負荷をかけていきます
  • 田中駿汰は、相手DFに対してダンプカーのような突破ができるわけでもない。駿汰はDFが攻撃参加しても良いシチュエーション(味方がボールを失わないにくい状況や、失っても後ろを誰かが守ってくれるとき)を見極める能力に長けており、駿汰の攻撃参加自体が札幌にとっては(ほぼ)ノーリスクで何らかリターンを望める状況。
  • 特に、対面が大前ということで、その大前の動き(切り替えがいまいち。前残りする際はサイドよりも中央でプレーするので、高嶺らに任せられる)を見極めた後は、このサイドは駿汰が支配します。

  • 40分過ぎ、駿汰のドリブルから中央で引いた興梠への斜めのパス。興梠は中央で引きつけてから斜め左にスルーパス。長い距離を走った菅のシュートは上福元が何とかセーブしますが、札幌の選手の特徴が現れながらも、そのクオリティに頼り切っているわけではなくシステムで京都を追い詰めた見事な攻撃でした。

(試合に負けるけど)勝負に勝った:

  • ハーフタイムに札幌は興梠→青木。札幌は徐々にいい形を作り始めてはいましたが、あくまで1人少ない状態なので、興梠や駒井の頑張りで維持していたバランスを崩してはならない。まず青木の仕事はこれになります。

  • 青木はそれに加えて2つの仕事を与えられていました。1つは、京都のリスタート(ゴールキック)の際に前線高い位置から制限をかけること。
  • 京都はアピ、麻田に川﨑でボールを運ぼうとしますが、青木と駒井で川﨑への中央のルートを絶ってから、アピと麻田に出たらすぐ寄せるよ!とする姿勢を取ります。
上福元をビビらせてボール回収
  • 京都のGK上福元は2人のアプローチにビビって、後半冒頭のゴールキック(3回程度)は全てロングフィードを選択。2017四方田札幌と同じように、数的優位(圧倒的に有利なはずの)を放棄する暴挙に出ます。
  • 跳ね返すのは札幌DFの得意分野なので回収ができるのもそうですが、ホームで一人多い、しかもリードしている京都にこうした消極的な選択をさせた時点で、戦術的には、もう何かの勝負に勝ったと言ってもいい状況でした。

  • 青木のもう一つの仕事は、アピアタウィアの側面を突くことです。
  • 京都が右サイドから攻撃しているシチュエーションとします。▼
”FW”青木が左から京都陣内へ

  • 興梠はセンターFWとしての役割がありましたが、青木は基本的に左に寄ったポジショニングが多く、必要以上に中央に入らずにプレーします。
  • 札幌はボールを奪った時に前に青木しかいないので、まず青木を探して預けるますが、青木はアピアタウィアの監視から外れるポジショニングからスタート。ボールを運ぶルートも、簡単に中央に入らずサイドから侵入していくことで味方の時間を作ります。

  • 加えて、青木はトップにいてもあまり意味がないので、左サイドだけでなく中央にいるときもかなり低めの、京都の「ホールディング7」の川﨑のほぼ傍くらいまで下がってくる。
  • アピがそこまで出ていくと、最終ラインが麻田だけになってしまって、札幌の選手(といっても駒井くらいしかいないですが)が飛び出してくる状況が気になるためか、京都のDFは青木にアタックできないし、シャビエルや興梠もいないので、オフライドラインを操作して彼らを押し込み札幌に圧力をかけることの意味がなくなってしまった、という構図になって、どう守っていいかわからなくなっていたのが興味深い現象でした。

  • という具合に、後半開始からも札幌のいい流れが続いて、そういう時に得点が決まってもおかしくないよね、と考えていた58分に菅。札幌のGK小次郎が何度か悩まされている、ブラインドの状態から抜けてくるシュートに上福元も反応できませんでした。

万事を尽くして…:

  • 完全に札幌ペースの中で、京都は65分に大前→武田。
  • 時間経過とともにスペースが拡がると、右の金子のドリブル突破が京都ベンチの眼前で何度か繰り広げられます。武富が左に回って、まず金子の個人技をどうにかしたい、という意図があったのかもしれません。
  • 札幌は攻勢ではありましたが、1人少ないことは常に頭に入れなくてはならない。67分の高嶺→深井の交代は、復帰初戦の高嶺のリミットがあったのでしょうけど、試合展開的にもリスク管理ができる深井の起用は妥当なところでした。

  • 試合展開を大きく左右したカードが、69分の山田→メンデス。1人多い状態でDFを増やすことは殆ど想定外だったのでしょうけど、札幌の金子の突破などアタッキングな姿勢がこのカードを切らせたのでしょうか。
  • 京都も最終ラインを5枚で守れるようになったのも影響は小さくないですが、それ以上に、ボールを運ぶ際の枚数がメンデス1人分増えて、駒井と青木だけでは札幌は守りきれなくなります。深井が牽制を試みてはいたものの抜本的な解決策にはならず、これで京都はボールを運べるようになって落ち着きを取り戻し、札幌陣内でのプレーが増え、札幌にはきつい展開になっていきます。
メンデス投入で京都は落ち着きを得る

  • 82分に京都が残り3枚の交替カードを切って、札幌も85分にトゥチッチと西。
  • もう外国人FWと、経験の浅いGKが槍玉に上がるのはしょうがないんだろうなと思いながらも、日々、地道にコメント返しをしているのですが、中島は1人で2人や3人を守ったり、空いたスペースを埋めたりする守備能力がおそらく心もとないので、こうしたタフなゲームでは使いにくい(寄せ集めでセッションする代表で、出場機会が極めて少なかったのも、こうしたプレイヤーとしての基礎的な部分が課題なのでしょう)。トゥチッチは守備は割と計算できるので、ここは彼しかいない。

  • やれることはやり切った札幌(セットプレーのクリアは全般にちょっと弱かったな)ですが、最後に主役となったのは宮吉。足元に入ってから、最小の振りでGKが反応できないコースに冷静に流し込みました。

雑感

  • 途中にも書きましたが、2017年の9人のミシャレッズを思い出しました。当時の札幌よりは、この京都の方がディシプリンも戦術もあるチームで、10人でも京都相手に互角以上に渡り合った選手たちにこれ以上を求めるのは厳しいでしょう。普段は「あとは決めるだけ」などと言う資格はないコンサドーレですが、この日はやるだけやって、あとは神頼み、というところまで頑張ってたと思います。
  • というか、10人でこれなら、普段11人でやっているプレーにいかに改善余地があるか、という感じもしますけども。
  • 試合と関係ないですが、
  • とにかく見易いですね。1階席でもいいかな、と思える数少ない施設かもしれません。全体的にもっとこじんまりとしたものだと思っていましたが、行ってみるとそこそこでかいですね。更に収容人員を増やすと、付帯施設やコンコースなど更にスペース必要になるので、それこそ川崎(等々力の改修)なんかは大丈夫なのでしょうかね。狭いコンコースにうんざりしたくないものです。
  • あとは、
  • キックオフの18:30にちょうど陽が落ちるくらいでしたが、日中はクレイジーな気候で、遂に日傘を買ってしまいました。
  • これまで豪雪地帯の視点で大半、考えていたのですが、日本のサッカー人口とマーケットの分布と、少なくとも中期的に気温が下がる要素がないことを考えると、とにかく夏にサッカーとかその他屋外スポーツをしなくても良い国にしていくことを何らか考えた方がいいのでしょうね。
  • それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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