1.予想スターティングメンバー
予想スターティングメンバー |
- お互いにルヴァンカップから中2日での試合です。清水はリーグ戦前節で先発したメンバーをカップ戦では休ませたので、メンバーの予想は容易ですが、GKは復帰のネト ヴォルピに代わる可能性はあります。
- 札幌は前線の構成が焦点です。武蔵は今節から復帰との情報がありますが、まずはベンチスタートでしょうか。2試合連続で結果を残している荒野はミッドウィークで休ませました。アンデルソン ロペスも45分の起用にとどめています。予想が難しいですが、ロペスはまだ絶対的な存在だとは思われていないので、リーグ戦ここ2試合と同様の形を予想します。
- ディフェンスで穴にならず、唯一無二の速攻能力がある武蔵が完全復活したら、また変わってくるのではないでしょうか。ここのところフル稼働中のルーカス、もはや当然のように酷使されている菅と進藤の状況も気がかりではあります。
2.清水エスパルスに対する印象
- クラモフスキー監督が思い描く理想形は、やはり2019シーズンのJリーグチャンピオンに近いんだろうなという印象を抱いています。スピードのある選手をウイングに配し幅をとる。最終ラインが相手を引き付けて時間とスペースを中盤の選手に提供する。そのスペースを前線までシフトさせ、最後は金子やカルリーニョス ジュニオが仕留める。マリノスで仲川やエリキが、相手に警戒されながらも最後はDFの背後を取っているのとイメージは近いでしょう。
- ここまで1勝2分5敗と波に乗り切れていない理由は、スペースを創出して効果的な攻撃を仕掛けられていないためだと見ます。
- なぜGKやDFがボールを保持するスタイルがここ数年流行っているのかというと、相手が前に出てきてスペースが生じるためです。サッカーの原則の一つに、「相手がボールを下げる(バックパスする)なら、最終ラインを押し上げ、それに伴い全体の重心を前に」というものがあります。
- サッカーは得点を奪い失点を防ぐスポーツです。ゴールは敵陣の最深部と自陣の最深部にあるので、自陣ゴール近くに人を置いておかないことはこの目的に照らすと非効率的ですが、一方サッカーにはオフサイドルールがあるので、「最終ラインの押し上げ」によって、味方だけでなく相手選手もゴールから遠ざけることができます。
- なので、「陣形の押し上げ」はゴールを守る上では非効率な要素と効率的・効果的な要素を両方含みますが、「押し上げ」には副次的な要素として、選手が稼働する範囲を狭めて体力を温存したり効率的にプレーすることや、敵陣ゴールに近づいてプレーするという意味合いもあります。これらを踏まえると、「押し上げられるときに押し上げる」はメリットの方が大きいと今日では考えられています。
例)バックパスには押し上げがセオリー |
- 話を戻しますと、「GKやDFの組み立て参加」はこのセオリーを逆手にとったものです。バックパスに合わせて相手は前に出てきます。ボール保持者は圧力を感じることになりますが、相手がどれだけ前に出てきても、ボール保持側は自陣のGKを使えれば、常に1人多い人数で「鳥かご」ができますし、スペースを消されても自陣ゴール前までのスペースを使って切り抜けることができます(もちろん奪われないことが前提絵ですが)。
- そして相手のDFライン背後に広大なスペースができた状態になります。まずこの時に相手に脅威を与えられるかが重要で、その意味では「DFやGKのボール保持」と、「相手のDFライン背後を強襲できるスピードや速攻能力のあるDF」はセットで用意されるべきです。清水の場合は、金子や、毎試合スプリントランキングの上位に名を連ねるカルリーニョス ジュニオは必要スペックを満たしていると思います。
札幌を例に)相手が押し上げたらDF背後にスペースができる |
- 加えて最終ライン~中盤の選手の「プレス耐性」と組み立て能力もポイントです。
- 速いFWがいるなら相手は全裸で突っ込んでくるというより、その裏抜けを警戒してある程度、ラインを下げる…バランスを取った対応になります。この「半端なラインの高さ」は中盤にスペースのある状況を生じさせます。このスペースでまずボールを保持する(スペースがある限りは簡単にリリースしない)。
- そして相手が寄せてきたら、セーフティにボールをリリースして、次にスペースのある選手(フリーな選手)にボールを渡す。この繰り返しで、相手を動かしながら徐々に危険な位置にスペースのある状況を作ることができます。これが「スペーシング」で、2019シーズンのJリーグではマリノスが一番洗練されていたと感じます。仲川にしろマルコス ジュニオールにしろ、スペースがある状態とない状態では発揮できるクオリティに差が生じます。
例)押し上げが半端だと中盤にスペースができる |
- 清水の場合は、まだ中盤~最終ラインでボールを保持することを信じられていないので、相手を引き付ける前に別の意味でセーフティにボールをリリースしてしまうので、前線の選手がスペースを得られる状況になっていない。
- もう一つ気になっているのが、ウイングの選手が中に入るのが早すぎるので、フィニッシュの際に相手を広げた状態から仕掛けられていないことがあります。これについては、答えは一つではないので、今後最適解を見つけられるでしょうか。
例)スペースがあればDFもなるべくドリブルして相手を引き付けることが重要 |
3.試合展開の予想
- 前節神戸には敗れましたが、札幌としては今回もここ2戦と同じスタイル…奪ってからまず裏か、右のルーカスに展開してそのままシュートへ…を継続してくるでしょう。
- 「ゼロトップ」は単なるパッケージ、包装にすぎません。その商品の中身はどのような選手がいるかによって決まってきます。
- 札幌がリーグ戦ここ2試合で奪った得点は、いずれも相手のDFが揃う前にシュートまで持ち込んだもので、このやり方ですと現状は相手のDFの枚数が揃う前に仕掛けることが大前提です。幸い、清水はそうしたスタイルではないので、それなりに与しやすい相手だとは思います。
- 今年は別のカテゴリなので関係ないですが、某メガネの監督が率いるチームのように5バックで自陣ゴール前を徹底して消してくると、荒野は屈強なDFに競り勝ってクロスを押し込めるようなFWではないので、現状厳しいだろうと予想します(あ、今はJFAに行かれたんでしたっけ)。
- 札幌の右に対して、清水はファン ソッコの先発が予想されますが、これはミスマッチの予感がします。清水のこのポジションは泣き所になっており、左利きでボールを保持できる、そしてルーカスのような選手がいるチーム相手には平面の守備力も欲しいところですが、ファン ソッコも奥井も決め手に欠けます。隣を守る立田も、駒井やルーカスの相手はできるでしょうか。ここはもしかすると、よりモビリティのある選手をチョイスするかもしれません。
「持たせて、奪って、まず右へ」 |
- 札幌が3バックで清水の3トップに対応するとしたら、清水は3トップがなるべく我慢して、互いに1on1の状況を維持しながら崩していきたいところです。3トップが中央に入って(寄って)プレーするとスペースがなくなりますし、札幌の3バックがカバーリングポジションを取りやすくなります。この意味では、清水も速攻や個人技で形を作れるか、そもそもその選択を取るきがあるか?が重要でしょうか。
- まだ清水は実はリーグ戦で、カウンターかセットプレー絡みでしか得点していません。あまり優秀なキッカーがいる印象はないのですが、前線がこの3人で、セットプレー時のストーンが低くなる札幌相手に、速いクロスを入れると得点が期待できるかもしれません。(GKが菅野であることも意識してくるでしょう)
0 件のコメント:
コメントを投稿