2026年10月18日日曜日

2026年10月17日(土) 明治安田J2リーグ第11節 北海道コンサドーレ札幌vsブラウブリッツ秋田 〜しばらく「シンプル」って言わなくなるかな?〜

1.スターティングメンバー




  • 秋田はここまでの10節で既にJ1経験組の磐田、大宮、湘南、新潟、徳島、鳥栖、甲府、そしてこのシーズン好調の富山との対戦を消化しており、徳島、鳥栖、甲府を叩いて3勝4分3敗の勝ち点11で9位。八戸に勝ち点3を献上したりもしていますが、まずまずの滑り出しでしょう。
  • 夏のマーケットではエース格に成長した佐藤が移籍(前節磐田のFWとしてコンサ相手に活躍しましたね)、開幕後の9/17にはキャプテンの諸岡の京都への移籍が発表され、inは左MFでここまでエース級の活躍である中野嘉大が目立つ状況です。

  • コンサは左WBに木實、前線は長谷川を外して唐山をシャドーのスタメンで、大森との併用は初めてとなります。


2.スタッツ



3.試合展開

「シンプル」って何?:

  • コンサが勝てなかったり成績が悪いとサポーターは好き勝手なことを言い始めます。まさに今はその真っ只中であり、いろいろな意見を眺めていると「もっとシンプルにプレーすべきだ」とする言説をしばしば目にします。
  • フットボールにおけるシンプルとは何なのでしょうか。まず明確な定義がありませんし、人によって何がシンプルなのか共通理解があるとは思えません。厄介なのは解説者や現役選手も時に「シンプルにプレー」という表現を使うので、まるでシンプルにプレーという概念が何らか明確に体系化されているかのように扱われます。

  • 私だったら例えば「守備は常にマンツーマンで決まった選手だけを見ていろ」と言われたらすごくシンプルだな、と思います。一方でサポーターが好き勝手に言っている内容を読んでいると、DFがボールを持った時にすぐに縦方向にロングボールを蹴るようなプレーを「シンプル」と考えているように思えます。
  • であればこの日の対戦相手の秋田はかなりシンプルな攻撃をしてくるチームで、ボールを持ったら基本的にはFWに浮き球を蹴るところから始まります。
  • ただ一つ言えるのは、秋田は縦に蹴るだけを攻撃としているわけではないですし、例えばこの「シンプル」をコンサが(部分的にでも)模倣するなら秋田のようなハードワークが必要でしょう。そして走り回ってるだけでは攻撃にならないしボールも拾えないので、ポジショニングや味方との意思疎通なども軽視できない。
  • となると何がシンプルなんだ、という感じもしますが、どこかで教えて欲しいものです。シンプルにプレーするとは何を指しているのか。なおコンサの田中克幸が先日言っていた「シンプル」とは、インタビューを読むとおそらく「プレーの選択肢が複数ある中で、各々が得意なプレーを発揮すること」くらいのことを言っているように感じました。

中野の左サイド:

  • さて秋田のボール保持ですが、2トップにまず当てるとして、このボールが丁寧で、背後に蹴るというよりは必ず頭で競る高さのボールを蹴ってコンサのGK田川が処理できないような、ボールが落ち着かない連続した局面を作るように意識しています。
  • セカンドボールを拾ったら、秋田は左MFの中野に渡せる時は渡す、渡せなければまた前線に浮き球を蹴ってコンサのDFを押し込みセカンドボールを拾って連続した攻撃を狙う…という様子でした。
  • 現在の秋田では中野が非常にキーマンとして信頼されているように見えます。この選手の足元に入ると簡単に奪われないという想定で、左SBの長井や追い越したり、2トップの一角の選手が背後に飛び出します。
  • そして中野にボールが入った後の左サイドでのプレーを活かすためだったり、もしくはなるべく左サイドにボールを集めて、失ってもすぐまた密集状態からリカバリーを試みるというプレーが連続して設計されているので、秋田はニュートラルな状態からは毎回左サイドに展開することを意識していました。
  • ペナルティエリア付近に到達すると、秋田は中央に枚数確保して浮き球を蹴るか、左からはこの中野の単独突破か、といったところ。浮き玉はここでも直接頭で合わせてゴールを狙うというかは、ファーサイドに蹴ってCBの死角で一度触って、コンサのDFが視界をリセットしたところを再び狙うようなプレーを多用します。

  • 序盤の15分くらいまでは、秋田のこの放り込みから左サイドへの展開が何度か機能していて、その後コンサが秋田のプレッシングに対抗できるようにもなって秋田が押し上げられなくなる時間が続きます。
  • 時間が飛びますが後半に入って53分という早い時間に、秋田は中野と大石の両サイドのMFを長谷川と吉岡に交代します。疲労や動きの量の観点が当然あるのでしょうけど、中野を交代させるとやはり秋田は左サイドで同様のプレーができなくなります。
  • 結局試合のラスト10分くらいになって、ようやく秋田は再び「シンプル」なビルドアップからコンサのゴール付近でプレーする機会ができますが、この時は左右入れ替わって右の吉岡にボールを集めていました。おそらくスタートの中野、途中交代の吉岡をセットで運用するというか、どちらかをピッチに立たせておくことが戦術上、必要なのではないかと思います。

秋田のプレッシングへの対処:

  • 秋田は①ボール保持の際のFWへのロングボールというか浮き球のパス+押し上げてのセカンドボール回収と、②ボール非保持の際の高い位置からのプレッシング、により、秋田自身は長い時間ボールを持つことはないながらも、相手を敵陣に押し込んだ状態での試合運びを志向します。
  • コンサはほぼ毎回、川原がズレてSBになる右でボールを動かすのですが、川原がこのSBのポジションにいると秋田は中野と長井ではめていけるので守りやすく、
  • ただ川原と内田のポジショニングが変わると秋田は誰が捕まえるのかが曖昧になって、ここは秋田としては対応力に欠いた印象があります(というかマンツーマンベースなのでこういうマーク対象を入れ替える必要があるポジションチェンジに弱いのでしょう)。

  • もう一つコンサで効果的だったのはCBからの中央を割る縦パス。これは右利きの選手を左のCBに置いている利点でもありますし、もっと狙ってもよいプレーなのでしょうけど、秋田はどちらかのサイドに誘導して、人を捕まえて…という形から毎回スタートするので、まず真ん中を縦パスで”割る”と捕まえる形に入るのが遅れ、コンサとしては秋田を自陣に撤退させることができます。

カットインのお手本:

  • 9節、函館でのvsいわきでは、コンサが自陣でボールを持っている時に左シャドーの青木が開いてWBになる形でしたが、この日は自陣では木實がそのままWBの位置にいて、敵陣に入ってから青木がワイドに開いてウイングになる形としていました。おそらく最初から自陣にいると秋田がサイドに追い込んだ時に捕まってしまうとか、守備負担を考えてこの形にしたのかと思います。
  • 圧縮してくる秋田相手にサイドチェンジが有効なのはいうまでもなく、青木を受け手として使うか、出し手として使うか。2025シーズンもそこが中途半端でボランチにしたりもありましたが、この場面では秋田の対応のまずさ(人に釣られすぎ)もあるにせよ、余裕のある状況で見事なコース取りからシュートに余力を残したお手本のような流れで、受け手としての仕事を果たしました。

4.雑感

  • ”シンプル”(あえてこの言葉を使います)というか比較的、やってくることが決まっていてわかりやすいであろう秋田に対し、ボール保持では一定のアンサーを示せたのではないかと思います。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。