2026年8月30日日曜日

2026年8月29日(土) 明治安田J2リーグ第4節 ヴァンフォーレ甲府vs北海道コンサドーレ札幌 〜これが今の基準なので〜

1.スターティングメンバー



  • 水曜日に札幌で天皇杯を戦ってから中2日での、舞台を甲府に移してのリーグ戦。スカパー改めSPOOX改めスカパーに2,400円払って見ても良かったのですが、あまり興味をそそらなかったのでスルーしてコンサの天皇杯は例年通り?早々に撤退が決まりました。
  • この天皇杯ではコンサのスタメンはリーグ戦から完全にターンオーバー。サブにリーグ戦の前節を欠場した堀米が入っており、この試合からスタメン復帰となったほか、天皇杯で出場が見送られたスパチョークはリーグ戦のために温存という形になりました。
  • 甲府も札幌への遠征メンバーはほぼターンオーバーでしたが、GKは東がスタメン、74分からFW内藤やCB井上といったリーグ戦の主力が登場し、内藤のゴールもあってコンサに勝利と、勝ちに行って狙い通りの結果が得られたといえるでしょう。
  • しかしJ2リーグ戦では鳥栖、宮崎、秋田と対戦してここまで勝ちなしと、楽観はできないチーム状況にあります。

2.スタッツ



3.試合展開

天皇杯 vs甲府と聞いて興味をそそらなかった理由:

  • 相手がボールを持っている時の陣形は、甲府は1-5-4-1というより1-5-2-3、コンサは1-4-4-2に見える形でスタートしていました。
  • 5バックの1-5-4-1の形は自陣でとにかくスペースを埋めて跳ね返したい、という状況だと有効ですが、5-4で後ろに9人を置くと前でボールを奪ったり、奪った後に前に出ていくことが難しくなるので、1-5-2-3の形で前3人にするなどして前後のバランスを考える必要があります。

  • 冒頭で天皇杯について「あまり興味をそそらない」と書いたのは、対戦相手が甲府ということで、「どうせまた自陣で9人ブロックで守るような戦術的につまんないフットボールなんだろうな」という予想をしたためです(関係者の方にはすみませんが)。
  • 私の知る限り近年の甲府はだいたいこのスタイルで、自陣に人が多くてほとんど前に出てこないで相手のミスを待っているようなスタイル。直近の、百年構想リーグでの対戦もその印象はあまり変わりませんでした。

  • しかし(天皇杯は見ていないのでわかりませんが)、この試合の甲府はコンサのボール保持に対し、高い位置からプレッシングを仕掛けたいという思惑が明確に感じられ、1-5-2-3の陣形を作って序盤から前に出てくるアグレッシブな姿勢を見せていました。
  • 結果、コンサがボールを保持していて、甲府がブロックを作ったりプレッシングを仕掛けてくる局面では、甲府の陣形の中央、ボランチの「2」の周囲にスペースができることになります。そしてこのことを甲府は許容していたように思えます。

  • なお↑の図への補足で、コンサのボール保持の配置は1-3-2-5。右ハーフスペースの人が決まっていませんでしたが、内田が出てくるか、ティラパットが中に入ってくるか。左のパクが高い位置に出てくる時は内側ではなく大外を走っていました。
  • SBどちらかが残っていることが多かったですが、どちらもCBと並ぶ位置におらず木戸が下がって3枚になったりもしていました。

両チームとも「2」の周囲が明らかな焦点に:

  • 対するコンサは、立ち上がりの数分は1-4-4-2でヴィニペイショットとティラパットが自陣に下がって対応する形がみられました。
  • これは前の試合で中央の「2」の周囲を使われての失点があったから、2列目に4人が並ぶ形にして修正してきたのかな?と思いましたが、しかし試合経過と共にコンサの両翼は、これまでの試合同様に高い位置、トップの2人と並ぶようになっていました。
  • これまでの試合も含めてですが、どこまでこれを意識的にやっているのかはわからないですが、なんというか自然にこうなるな、という感想です。

  • 甲府はボール保持の際に中央の安田or武井が下がってボールを引き取ることが多かったです。
  • コンサは前に4人並んでいるにも関わらず、甲府のDFがボールを持っている時にハイプレスを仕掛けるような様子はなく静観していました。

  • というわけでこの試合は、両チームとも中央をボランチ2人だけで守り、その隣を守る選手がブロックを作っての守りにあまり参加しない構図がかなり顕著でした。ピッチの中央に2人だけというのはフットボールの常識的には控えめな枚数で、普通に考えれば中央にスペースができやすい状況だったことになります。

  • 最初にこのボランチの周辺のスペースをうまく使うことができたのはコンサ。3分にいきなり先制します。
  • 田川のゴールキックを唐山と甲府のDF小出が競って、セカンドボールをヴィニがタッチしてすぐ唐山がスルーパス、小出が出ていた左ハーフスペースにスパチョークが走って…という流れでしたが、おそらく甲府の中央の武井と安田は前で木戸と堀米とマッチアップという形になっていたので反応が遅れたのかと思われます。

  • その後、コンサのボール保持の際に効果的だったのは、中央の堀米にボールが入った時に左のハーフスペースにいる選手への斜めのパスでした。
  • コンサは前線に唐山、スパチョーク、ヴィニと右利きで仕掛ける選手が3人いて、唐山は気を遣って右にいることもありましたが基本的には左ハーフスペースに誰か必ずいるというキャストと役割になっています。
  • この左ハースペースの選手にボールを届ける手段として、甲府が1-5-2-3の形で前からボールを奪いにきている状況だと、左利きの堀米が持った時に左方向に斜めのパスを出せて、必ず受け手がいるという状況になりやすく、堀米もこの構図はよく理解して味方を意識していたと思います。

天皇杯で予習(履修?)済みのはずでは?:

  • しかしは甲府も徐々に狙っている形を見せてきます。
  • この試合、甲府のボール保持は異様に右に偏っていました。甲府のシステムは基本形が1-3-4-2-1なのでしょうけど、シャドーは左の藤井がFW、右の佐藤が本来ボランチの選手であり左右非対称な選手起用となっています。
  • 甲府がボールを保持してコンサ陣内に入ると、毎回佐藤がコンサの堀米の隣に降りてきて、藤井は中央に絞ってくる、右サイドに人が寄った形になります。以前の対戦の際は左利きの荒木にボールを集める傾向がありましたが、荒木の左サイドから前進することは、この試合ほぼありませんでした。

  • 甲府は堀米の隣に落ちてくる佐藤を頻繁に経由します。右DFの小出からの前方向のパスもありましたが、ボランチの安田や武井から斜めにパスが出てきて、佐藤が右足でコントロールして右に展開という形も整理されていて、この斜めのパスはコンサの堀米がやっていたことと非常に似た構図でした。



  • 右サイドで前進に成功したら、甲府は大外の村上を使うことと、藤井がポケットというかパクミンギュの背後まで走る、つまり左シャドーから右サイドに更に移動してくることが多かったですが、ともかく何らか右から崩したいという様子でした。
  • 前半はこのポケットに走る藤井の走行距離が長くて、出し手と呼吸が合わないのと、そうなると大外からのクロスしかなくてコンサが跳ね返すことができた、という展開でした。

空中戦ではCBとFWのパワーバランスは酷似していたが:

  • この試合、明暗を分けた要素の一つに両チームのCBのパフォーマンスがあったと思います。
  • 互いにビルドアップは序盤からロングボールが多く、コンサも田川が長いボールを蹴る場面が多くなっていました。
  • 田川が蹴って、コンサは(前線のキャスト的にも)必然と唐山が競ることになりますが、甲府のDFは小出が180cm、井上と遠藤が178cmで、このサイズからくるイメージを覆せるほどの強さは感じられませんでした。唐山もジャンプはしなくても、井上に体を当ててブロックするだけで井上は面倒そうで、甲府のDFは田川が放り込んだボールを頭でパスするというより、とりあえず前方向に跳ね返すだけで精一杯な様子で、3人揃って空中戦というか跳ね返すプレーが得意なようには見えませんでした。これをコンサのは、堀米が前半よく拾っていました。

  • 対する甲府のFW内藤は179cmで、西野と梅津の方が身長的には大きいようですが、この内藤が梅津に対し、唐山と同様に体を寄せてジャンプさせないような競り方をすると、梅津も甲府のDFと似た状態に陥り、甲府が放り込んだボールを安全に跳ね返すことができないのはコンサのDFも同じで、こうした放り込むプレーは互いにどちらのボールになるかわからず不安定なところがあったと思います。

  • ただ、コンサのヴィニや唐山がスピードを活かして抜け出す場面が前後半で何度かあり、甲府のDFやGK東が晒されることになりますが、この際の甲府のDF井上の対応は非常に落ち着いていて、迅速なカバーリングでパスコースを消して味方の戻りを待ってから、ボールホルダーにアタックするという対応は安定していました。
  • コンサはヴィニが前半に2回抜け出してボックス内に到達するビッグチャンス。しかし(撃てそうでしたが)シュートではなくパスを選択してチャンスを潰してしまいます。後半にも1度ありましたが、ボックスに入る前に井上が対応して見事な火消しを見せました。

これが現状の基準ということ:

  • 後半に入って55分、甲府が内藤のヘッドで追いつきます。

  • 映像で見切れていますが、甲府の左サイドのスローインから武井が右WBの村上にサイドチェンジ。まずこの時に佐藤がポケットに走ってそのまま左サイドに抜けて、コンサの堀米を引っ張ります。
  • そこから甲府は右サイドでやり直して、この試合、あまり前に出てくる機会がなかった小出の攻撃参加から村上に縦パスが入り、その間に小出が大外を追い越してクロス、という流れでした。
  • 中央では最終的に西野が内藤を見失ってドフリー、ではありましたが、その前に梅津がポケットのスペースが気になって中央の持ち場を離れて自分がポケットに出ていくという判断をしたことで、西野もポジショニングの基準が変わってしまったことは考慮する必要があります。

  • 確かに梅津としては自分の目の前のスペースががっつり空いているので気になったのでしょうけど、基本的にCBの選手が真ん中を離れてまでそこにいる意味合いは薄い。
  • 特にコンサの場合CBと他の役割の選手でサイズ差もあるので、梅津が出る際に木戸に何かコミュニケーションをとっていますが木戸に真ん中を頼む、ということなら、木戸に中央を任せる判断は違うかなと思います。
  • あとはすごく一般論として、こうした大外からクロスボールを狙ってくる場面でCBがボールに寄りすぎて、その上をボールが通過して結局CBが無意味なポジショニングになってしまう…というのは非常に典型的なポジショニングのミスでもある。CBとしての経験の浅さなのか、我慢できなかったことで大きな痛手を負うこととなりました。

  • スコア1-1となって互いに交代カードを切ります。59分にコンサは堀米・スパチョーク→真田・白井。62分に甲府は佐藤→大島で、前線によりシャドーっぽい選手を並べてきました。
  • そして64分、甲府の武井が梅津のミスを誘って甲府が勝ち越し。

  • 梅津の縦パス→木戸が戻して梅津、という流れで、猛然と突っ込んできた武井は元々、梅津の前に木戸がパスを受けるところを狙っていたので、まずこの武井に狙われる状況というか、木戸が前を向けないパスを出した梅津の判断はどうだったのか、という部分はあると思います。
  • ただそもそもそれ以前に、堀米が下がってコンサの中央は木戸と真田のユニットになっていましたが、この2人は前でボールを受けるというより、妙にコンサDFの近くに下がってボールに触ったりしていて、要は前方向に運びたいCBの選手に対してパスの受け手として選択を提供する意識があまり感じられない。梅津としても、なんで木戸にパスしたんだ?というとそもそも木戸も真田もあまりいいポジショニングじゃないけどボールを欲しがってるし出すしかない、みたいなところはあったかもしれません。

  • コンサは65分にティラパット→長谷川でそのまま右ウイングに入ります。
  • が、長谷川は次第にDFのところに落ちてきて、内田と役割をシャッフルような感じになって、ボール保持の際は右の高い位置に内田、梅津の隣の右DFに長谷川が入って前に運ぼうとしていました。ただ長谷川も甲府の対面の選手に寄せられると、浮き球を右に放り込むだけみたいな様子であまり効果的ではありませんでした。
  • 勝ち越してからの甲府は、1-5-2-3の形から右シャドーが下がってコンサの左のスペースなのか、甲府のボランチの隣を早めにカバーできる形にしていました。

  • 甲府は73分に村上→和田。コンサは75分に木戸・パク→宮澤・バカヨコで、常時1-3-2-5で押し切るような形になります。
  • しかしバカヨコを飛び道具として使うのはATに入ってからで、甲府のブロックの外で横に動かすだけで時間を浪費していました。
  • 甲府は79分に井上・内藤・藤井→山本・福元・ミケーレで完全に1-5-4-1の形にして、あとは跳ね返すだけで(コンサが飛び道具を活かせず)甲府が逃げ切りました。

雑感

  • 「今のコンサってこれでスタメンなんだな」というチームの基準みたいなのが随所に現れており、ゴール付近での決定的なミスもそうですが、それ以外にも何度か書いていますが、チームの強さを測る指標として中央の選手の強度みたいな観点があるとして、ちょっと中央の選手のクオリティがとてもJ2上位のチームには見えませんでした。

  • CBもそうですがボランチもかなり厳しいと思っており、現状のキャストの中では堀米が一番パフォーマンスが安定しているように思えます。この試合でも中央のスペースを使うのが一番うまくできていましたし、互いに蹴り合う展開で予測が冴えていてボールも拾っていました。
  • その堀米が下がってから甲府のボランチ周辺でボールを持てなくなり、また木戸が下がって堀米が真ん中、というバランスも崩れます。SB、特にパク ミンギュは味方にボールを預けて前に出ていきたいタイプで、後ろに残る選手としては信用できないだけに、堀米が下がって真田、木戸といった選手での役割が不明瞭になったことのマイナス面は感じました。

  • あとは天皇杯を全く見てないのでなんとも言えないのですが、この記事を書き終わってからハイライトだけ見ると、明らかに甲府の右サイドは(メンバーが異なっても)ストロングなので、そこは最低限の対応は確認しておけないものか…と思いました。

  • ただ私自身、冒頭に書いたようにちょっと甲府をなめていたところがあり、早々に失点したもののそれ以降の甲府はいくつかの顔を使い分けてプレーしていましたし、特に終盤1-5-4-1になってからは、ここ10年ほどの甲府にないインテンシティというか集中や強度を感じました。
  • これまでの試合のように最初から引いて守るだけではなかったですし、1-5-4-1になってからは誰かがボールにで出て、そのスペースを別の選手がカバーリング…という関係性が非常に良く、この試合を見る限りでは、コンサよりも甲府の方が厳しい”基準”でやっていそうにも見えました。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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