2026年8月23日日曜日

2026年8月22日(土) 明治安田J2リーグ第3節 北海道コンサドーレ札幌vs大宮アルディージャ 〜特効薬の副作用〜

1.スターティングメンバー



  • 大宮は新潟、今治に開幕2連勝の好スタート。「バイタルエリアで前方向にボールを送り込む」とする旨の話をしていたナルシス ペラッチ ナダル監督のシステム1-4-1-2-3では、インサイドハーフに豊川、山本といった選手を起用しており、ボールを送るだけではなくてそこから前方向にプレーできる選手を起用しているのかもしれません。
  • ただその山本と、ガブリエウが2節に続いて欠場。インサイドハーフは3試合とも違う選手の組み合わせとなりました。
  • コンサは髙尾→内田、堀米→木戸とスタメン2人が入れ替わっています。


2.スタッツ


3.試合展開

やるやんヴィニ:

  • 開始4分の仕掛けでCKを獲得したプレーに始まり、序盤からコンサの左サイド、ヴィニ ペイショットが大宮の対面の関口や、その隣を守る西尾に対し、縦に仕掛けるプレーで脅威を与えていました。
  • ヴィニのやり方はシンプルで、関口に対しひたすら縦にスピードで仕掛けて体を使って有利な体勢を取る…という脳筋っぽいものでしたが、毎回関口が1歩目から遅れる速さを見せておりそれだけで優位を取れていました。
  • 関口はそんなに速くない選手なのか?と思って試合後に調べたら結構速い選手のようです。ここまでプレシーズンマッチを含めて4試合、評価するにはまだ時期尚早かもしれませんが、ヴィニはこれまで毎試合違った部分から評価できる点を見せており(縦のアップダウン、運動量、前線守備、ゴール前での関与…)、この試合もまたボールを持っての縦への仕掛けも見せてくれたので今後も期待してもいいかもしれません。コンサの選手ではありませんが。

  • 前節のvs新潟では、コンサはボール保持の機会において毎回右から運んでいましたが、この試合は特に大宮が誘導していたわけでもなさそうですが、一転してほぼ左からでした。
  • これは大宮のSBだけでなく、2列目のキャスト(カプリーニと泉)も含めて考えた結果なのか、コンサ側のキャスト…上記のヴィニの仕掛けが目立ったわけですが、ヴィニに序盤から突っ込んでもらいたいからなのか、よくわかりませんが少なくとも大宮がコンサの左に誘導している感じはそこまでなかったように思えます。
  • コンサからすると、前節は右の髙尾やティラパットに渡った先で苦労していたので、攻撃のサイドを変えてきたというのはあったかと思います。

結果を出すことと、うまくいっているということは別:

  • 大宮の前線守備は、トップのカルリーニョスが中央で梅津と西野の間に立って攻撃のサイドを決めさせる(≒CB間の横パスを遮断)。両ワイドがコンサのSB、インサイドハーフがコンサの中盤2人を最初は捕まえていますが、コンサのCBがカルリーニョスの脇から持ち運ぼうとするとインサイドハーフ、主に豊川が梅津の前に出てきて簡単に縦パスを入れさせないようにします。

  • 豊川が前に出てコンサの中盤の選手へのマークが外れた場合は、アンカーの加藤玄が前方向にスライドというかジャンプ?して捕まえている状態を保つ。加藤玄は唐山を見るのかと思いましたが役割は固定的ではなく都度入れ替わっていました。

  • 一方で大宮のボール保持に対するコンサの前線守備は、白井を起用していながら思ったほどハイプレスで厳しく行く感じはしませんでした。
  • おそらくこれは、中盤の木戸と木實が大宮のインサイドハーフ2人を見るので、コンサの2トップになっている唐山と白井が大宮のCB2人に対して出た時に、何も工夫しないと、アンカーの加藤玄が空いてしまうので、そこに何らか解決策を用意するというよりは序盤はリスクを冒さず様子見でいくということだったのかと思います。
  • ただ前線に白井、唐山という2人を起用していて、かつ両ワイドがブロックを作って1-4-4-2でスペースを消すというよりは高い位置を取っているので、基本形としてこの陣形ならもっとハイプレスに積極的でも良かったように思えます。この点はコンサとしては中途半端に感じました。

  • 大宮は13分に、上記のコンサの木戸と木實と大宮の中央の選手との数的に2v3っぽい関係性を突く形で、CB尾崎→インサイドハーフ小島→アンカー加藤玄と繋いで、トップのカルリーニョスを経由して右に展開…とコンサの前線守備を突破することに成功します。
  • これはコンサが開幕戦で徳島から先制した場面に少し似ていて、開幕戦ではサイドから中央のアンカーに入ったボールにFWがプレスバックすることで回収に成功しました。
  • 大宮もそれはみていたと思いますが、コンサの非保持でのセットの仕方を見るとやはりティラパットとヴィニの両ワイドが高めで、中央の木戸と木實との間にあまり繋がりがないというかスペースができやすくなっている。「徳島はこの形でやられてはいるけど、コンサのこの構造はウィークポイントだろう」と考えたのかわかりませんが、大宮のやっていたことはロジカルに思えました。
  • 似た話では、大宮のCBがボールを持っている状態の時に、コンサはサイドハーフ、というかヴィニがCBに突っ込んでくることが結構ありました(開幕戦と前節もそうでしたね)。
  • これで大宮のCBのミスやボールロストを誘発できれば当然アドバンテージは大きいですがし、CB(西尾)としても何回もこれをやられると嫌ではあるのでしょうけど、大宮としてはこれを落ち着いて剥がせれば、簡単に1人フリーの選手(右SB関口)ができてそこから前進が可能になります。

  • なので構図的には、コンサ側がやっているアクション、ズレを作ってボールを運びたい大宮が何も努力しなくてもコンサが勝手にズレてくれるみたいな話だとも言えるでしょう。
  • あくまで局面的には、ヴィニが西尾に寄せてきてDFとしては緊迫感があるのでしょうけど、コンサが勝手にズレてくれるという点ではチャンスが向こうからチャンスがテクテク歩いてくるようなものでもあって、大宮はロングボールを使いながらもこの構図や重要性は理解していたように見えました。


狙い通り若いDFのミスを誘発:
  • そして9分に大宮がハイプレス成功からショートカウンターで、カルリーニョスの得点で先制し試合が動きます。
  • この後の12分にもほぼ同じ形から大宮のインターセプトでチャンス…があったのですが、コンサは梅津が持った時に、木戸、木實、パクミンギュの3人が消されているかマークされいる状態で、唐山が落ちてきて梅津を助けようとします。が、唐山を加藤玄が前方向にジャンプして捕まえてインターセプト。
  • まず相手に捕まっていてかつ半身にもなれていない、視界確保ができていない選手にまっすぐ縦パスを当てた梅津の選択が、唐山にイニエスタのようなボールを受けるスキルがない限りは非常に軽率でした。

  • 細かく見ると、直前のプレー(8分25秒頃〜)で梅津が持った時に、木實が豊川とカルリーニョスの背後を取ってパスを受けられそうなポジションを確保できましたが、梅津がそこに出さず、次のシチュエーション(失点の場面)で木實がボールを欲しがって、梅津に寄りすぎてしまって余計にパスを出しにくい状態になってしまった、という風にも見えます。

前を向かせる能力の差:

  • 一方コンサのDF(梅津)からすると、前も左右もパスコースを切られているので厳しい局面でした。
  • ただフットボールにおいてこういうシチュエーションはあるので何か解決策が欲しいところですが、手っ取り早いのはバックパスするか前線に浮き球を放り込む事になります。
  • ただ前線に張るというより下がってくるタイプの唐山がいて実際に下がって受けようとしていますし、白井もそうしたプレーが得意ではないため、梅津からすると放り込むという選択肢が薄くなってしまったと思うので、これはコンサがチームとして準備が欠けていたとも言えるでしょう。

  • 対する大宮は、序盤からGKグローバーがロングボールを放り込むことが多かったですが、これを何度かカルリーニョスがマイボールにして、カプリーニや豊川に渡って二次攻撃に繋がる場面があったと思います。
  • カルリーニョスは本来、自分が前を向いて仕掛けるとかDF背後に飛び出すようなプレーが得意だと思いますが、この試合では自分が前を向くよりも、味方に前を向かせるように、コンサのDF(主に梅津)をブロックしてカプリーニや豊川を助けるプレーからまずスタートしていました。

  • あとは、コンサは木戸と木實が大宮のインサイドハーフにマンツーマン気味になると、前方向に動いてハイプレスというか、前線の選手と連動して前でボールを奪うような意識になるのでしょうけど、それによって梅津とカルリーニョスが競ってこぼれたボールを拾うとか、大宮の前線の選手にボールが入った時のプレスバックといった働きが物足りなくなるのはあったと思います。

いかに普段から頼っているか:

  • コンサは前残り気味のヴィニにボールを集めて左サイドを狙います。大宮は引き続きカルリーニョスや豊川が「前を向かせるプレー」で中央を使えていました。
  • 30分過ぎにその中央突破からのFKを、大宮は右サイドに変化をつける形として、関口のクロスから豊川がらしさを見せてスコア0-2。

  • コンサはヴィニが前残りの時はスペースにロングフィードでいいとして、大宮が自陣で1-4-4-2(1列目が豊川とカルリーニョス)のブロックを作っている時は、大宮のように中央を使うことができず時間経過と共に停滞していったと思います。
  • 35分には木實が左のパクから左サイドに流れて引き取って、縦のヴィニにスルーパス、ヴィニのグラウンダーのクロスに白井が飛び込みますが合わず。木實はこの試合、アンカーポジションにいて木戸を前に出す形でしたが、この場面のように前を向けたら持ち味を出せるとして、なかなかそれ以前にアンカーポジションで前を向けないことが多かったと思います(これは出し手と受け手の両方に課題があったでしょうか)。

  • 後半最初のプレーでコンサは白井が左サイドを突破しクロスも成功しますが決めきれず。
  • 直後、大宮が最初の決定機で、泉のスルーパスにカプリーニが抜け出し、田川の判断ミスもありましたが最後はカルリーニョスが詰めて0-3。ただ田川のミスがなくとも、コンサはパクがカプリーニを追っていないなど集中が切れている感があり失点は避けられなかったかもしれません。もしくはDFが追わないのも含めていかに普段から田川に頼っているか、という話かもしれません。

得意のオープン展開で応戦するも:

  • 51分にコンサはティラパット・白井→キング・大森。両翼がキングとヴィニだとそれまで以上に1-4-2-4というか前線にアタッカーが並んで、中央は2人しかいないような配置になります。
  • この4人に何らかスペースがある状態でボールが渡るといいけど…というのは、普通に守っているチームだとなかなかそうしたイージーな形にはしてくれませんが、57分に大宮の隙をついて木實のパスに唐山が抜け出します。が、シュートは枠外でここは決めなくてはならない場面でした。
  • 59分に大宮はカルリーニョス・豊川→マギー・スファナット。
  • 61分にコンサは左でヴィニが浮き球をキープして唐山にスルーパス。唐山が中央の大森に流してGKと1v1になるもシュートをGKグローバーに当ててしまいこれも痛恨のミスでした。

  • 大宮は試合を寝かせる時間に入って、交代カードが10代のFWとJリーグデビューのFWとなると、どうなるか?と思っていましたが小島を下げて1-4-4-1っぽくすることでバランスを取るのと、交代で入った2人もしっかり役割を遂行できていたのとで杞憂でした。

  • 給水を挟んで74分にコンサは木戸・唐山→宮澤・バカヨコ。大宮はカプリーニ・小島→杉本・中山でスファナットが右に。

  • コンサは前線に人を並べて頑張って追いかけて、(それまで以上に)雑に放り込んで…といういかにもな振る舞いから、大宮が中央を割って78分にスファナットのクロスを泉が詰めて0-4。


雑感

  • 試合前の印象としてはお互いにスカッドが前線偏重気味で、大宮もインサイドハーフに本来FWの選手を起用していたりもするので撃ち合いなのか、オープンな展開になる時間帯はありそうだなと思っていましたが、蓋を開けてみれば大宮が終始コントロールして、コンサはボールは持って入るけど雑、というかボールを持つほど雑になるという印象でした(今に始まった話ではないですが)。

  • 大宮は小島の起用が非常に当たっていたのと、前のシーズンでは交代で入ってくるジョーカーとして運用もされていたカプリーニがスタメンで出てきて、かつ彼の能力を活かせるチームになっていたと思います。
  • ただ、両チームに決める選手…カプリーニと唐山?、仕掛ける選手…泉とヴィニ、と揃っていますが、決定的だったのは起点を作る選手、カルリーニョスの役割がコンサには不在なので、ボールを持ちたがる割には雑に前に蹴って手放す場面が結構目立ちました。特に左は最後にヴィニに展開、というのが見えていたとして、右は西野が守った時点でどうするのかが全然見えておらず、西野が雑にボールを捨てる場面が多くありました。
  • これに関しては、コンサも前線で起点というか潰れる選手…バカヨコのような選手を起用するのが一種の特効薬かと思いますが、そうすると前線守備がどうかというのと、川井監督や他のスタッフにバカヨコを操縦できるのか?という問題もありますし、バカヨコ起用の際の前線守備などを考えて、白井を起用しているというのがある意味で別の特効薬だったのかと思うと簡単にこうしろと言えないのかもしれません、

  • あとはDFに関しては、西野と梅津で浮き球の処理能力にかなり差があり、カルリーニョスが梅津の側に寄ってくるとかなり厳しかったので、梅津のところは今後のキーマンなのかもしれません。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。余談ですがChatGPTに課金してスタッツの自動読み込みの仕方を習ったので時間がかかりました。

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