1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- 両チームとも現段階のほぼベストメンバーを送り込んできました。コンサはスパチョークが代表招集中のため、長谷川を前線起用。私も把握してなかったのですが21歳以下の選手のスタメン起用義務は無くなったのですね。が、西野を1戦目で休ませて2戦目に起用するというのはちょっと謎ではありますが。
2.試合展開
わずかな変化といつも通りの脳筋展開:
- 1戦目同様、富山がコンサのボール保持での局面を警戒するような展開で試合はスタート。
- 一方でお互いに振る舞いは少し変わっていました。富山は1戦目よりもpressingの開始位置は高めで、サイドハーフは1戦目のタスク(プレスバックしてコンサのWBの内側をケア)よりも、FWと連動してコンサのSBのパスコースを切るタスクを遂行することを第一に考えていたと思います。
- 対するコンサは、最終ラインに荒野も馬場も下がらず、ボールを持っている時の配置は1-3-2-5のような配置でスタート。
- しかし岡村としては、荒野と馬場が下がらず、しかも前方にパスコースを作れるポジショニングになっていない状況で、富山の2トップ、マテウスレイリアと高橋が自身に迫ってくるという非常に困る関係でした。
- ボールを逃したいけど逃がせる選手は…と現実的に探すと中村桐耶しかいない状態(西野のことは最初から信用していないのか?見ていなかったです)。
- なので岡村→中村桐耶へのパスからスタートすることが多かったコンサですが、中村のポジショニングがいまいちなこともあり、そこからクリーンに前進することは稀で、少なくとも富山に対して配置の優位性を活かすようなプレーは皆無でした。
- 例えば25分頃?に岡村が中村桐耶に対して「ポジションが前すぎる!」というようなジェスチャーをしていましたが、ボールを受けるDFはセオリーとしては対面の選手と距離をとるためにある程度後方からすたーとすることが望ましい。が、この時の中村桐耶は(おそらくあまり考えずに)前目にいたので、そこに出すと相手に引っ掛かるだろ!という岡村の忠告だったのでしょう。
- これに近いプレーから富山の得点は後半に生まれています。この時は田中克幸→家泉のバックパスからコントロールミスが生じましたが、家泉としては横方向に誰もサポートがいない状態でした。
- それは家泉のポジショニングだけでなく、コンサの場合は誰がどこで受けるという基本的な形なのか原則なのかもおそらく共有していないので、行ってしまえば岡村のポジショニング、その他の選手のポジショニング、全てを包括的に見て問題があるのですが、おそらく家泉のミス、として片付けておしまいでしょう。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) June 9, 2024
🏆 JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフラウンド 第2戦
🆚 富山vs札幌
🔢 1-2
⌚️ 89分
⚽️ 碓井 聖生(富山)#ルヴァンカップ pic.twitter.com/iNZukPMHv8
- しかしそれでも強引に前にボールを運ぶというか、一応富山陣内でコンサがプレーする機会があったのは事実でした。
- 一つは、上記のような後方でクリーンな状態じゃなくても武蔵や駒井、近藤といったフィジカル的に優位な選手に放り込むことで、彼らが体を張ってマイボールにしてセカンドボールを拾っていたこと。
- セカンドボールを拾うにあたっては、荒野と馬場のポジションがいつもと違ったこととはおそらく関係があったのでしょう。以前2018シーズンもこうした、宮澤と深井が横並びになって長身FW(ジェイや都倉)に蹴ってセカンドボールを拾う、という話を選手がしていたので、おそらくそのイメージだったのだと思います(J3相手にそうしないと勝てないと見ていたのならいろいろ難しいな、とは思いますが…)。
2018年5月13日(日)16:00 明治安田生命J1リーグ第14節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌 ~備えあっての放り込み~https://t.co/BEDt6ZAnGm pic.twitter.com/5tMtpxxFOU
— AB (@british_yakan) May 17, 2018
- もう一つは、それこそ中村桐耶が得意なプレーですが、対面の相手がコースを切りに出ていても動員にドリブル突破を図って、これもクリーンではないけどセカンドボールをコンサの選手が拾うとかして前方向にボールを運ぶことになっていたのもありました。
- 中村桐耶は改めて、DFとしては独特すぎる間合いというか、ボールを受ける前から目の前の選手をドリブルで抜き去ってやろうというような感じで、DFとしては怖すぎるのですが岡村は前半、彼にボールを預けるしかできないということで、あとはどうにでもなれ、ではないけども中村桐耶が突撃する機会は何度かあったと思いますし、それで相手ボールにあまりならないのが彼の凄さではあります。
- もっともそうして富山陣内に何度か侵入していたコンサですが、最後のところではゴール前で武蔵、長谷川、駒井といった選手が相手を外してラストパスを受けるような仕組みもなく、その前段階では右の近藤は何度かサイドチェンジから1v1の場面になり、得意の盾突破を仕掛けていましたが、縦にスピードで突破→右足クロス、という非常にシンプルなプレーに終始し、富山もそのパターンオンリーでは守り切ることができていて、コンサは枠内シュートは打てずにいました。
- 30分ころからは荒野が最終ラインに下がって、コンサのボール保持はいつもの形になりますが、中央ではパスコースがない、サイドから中村桐耶が放り込んだりドリブルで突撃、というプレーはほぼ変わりませんでした。
- それでもJ1の選手のプレースピードについていくのは富山は厳しそうで、40分に近藤の突破、というかサイドチェンジを受けて富山のDFがズレているところでボックス内に侵入し、西矢のファウルを誘ってPK。武蔵が決めてコンサが先制します。
言い訳をしていい水準を示す富山:
- ボールを保持した際によりデザインされたプレーを繰り返していたのは富山の方でした。
- 富山は、GK田川とCB2人が開いて武蔵と長谷川の2トップの回避を狙います。ここはコンサの2トップが予想通りついてくるし、他の選手もマンツーマンで捕まえてくるので、富山はロングフィードで前線のよりスペースがある選手を狙います。
- この形で富山は左の吉平、中央のマテウスレイリア(左に流れてプレーすることが多かった)が抜け出してフリー、ないしは1v1でコンサのDFと勝負する形は前半から何度か作れていました。
- しかし吉平やマテウスレイリアが1v1でコンサのDFに勝つ能力はなく(そもそも仕掛けられず)、富山はそこからシュートに持ち込めず、味方の上がり(とコンサのプレスバック)を待ってからなんとかフィニッシュに持ち込もうとしますが、人数をかけても特に効果的な策を持っていなかったため、枠内にシュートを撃てないまま時間が経過します。
- ただチームとしては狙いは出せていたとはいえ、よくどこかの監督なのかフロントスタッフなのかが言いますが「最後に点を決めるのは個人のクオリティが必要」…富山はこういう言い訳をしても許されるプレーができていたと言えるでしょう。
雑感
- 我らが200勝監督ミシャは「J3と札幌の選手に大きな差はない」と嘯きますが、誰が見てもわかるように差は明らかでした。
- 武蔵、駒井、近藤、中村桐耶といった選手のフィジカルを押し出したプレーは富山の選手には止められず、対人ではほぼコンサが全勝という圧倒的なアドバンテージでしたが、前半は武蔵のPK以外は枠内シュートゼロ、後半もセットプレー以外はほとんど枠内シュートゼロ、といういつものコンサでした。タイトルの2.4と17.2というのは、両チームの前のシーズンのトップチーム人件費なのですが、これは相手をリスペクトしていないわけではないですがフラットに見て、勝って当然のゲームでした。だから特に思うことはありません。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
試合序盤に岡村が右に預けるシーンがあったような。それを右が何の工夫もなく岡村に返してしまったので、信頼を失ったと感じました。あれ、西野じゃなかったかな?
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