2023年10月31日火曜日

2023年10月28日(土)明治安田生命J1リーグ第31節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜FC 〜8年間の景色〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー: 



  • 横浜FCは開幕10試合勝ちなしで4バックの1-4-2-3-1に見切りをつけて、3(5)バックの1-3-4-2-1にしてからは20試合で6勝5分9敗とまずまず、湘南との残留枠1を争うデッドヒートを繰り広げています。そんなに1-3-4-2-1にフィットする選手がいるわけでもない気がしますが、逆にそれでも勝ち点を拾えるのがこのシステムの特徴でもあるし、今のJリーグの、飛び抜けた選手やチームがいない現状でもあるのでしょう(大迫とかはいますけど)。
  • メンバーはシャドーでスーパーサブからスタメンに定着した山下が欠場で、他はだいたいここ数試合と同じメンバーのようです。そんなに何試合も見ていないのですが、井上とユーリララの相性が良いんだな、という印象を持っています。

  • 札幌は荒野と宮澤が帰ってきましたが、小柏がまたまた離脱で駒井がFWでスタート。キムゴンヒを予想するメディアもあったようですが、駒井自身はFWでも仕事ができてしまうのでわからなくはない起用ではあります。


2.試合展開

パスっちゃパスですね:

  • 試合展開は一言でいえば、互いにGKやDFから長いボールを前に蹴って、そこで何かが起こるか?という感じでした。実際のところ単調な展開にしては結構ゴール前の攻防のつながっていて、割と何かが起こる機会は多かったと思います。
  • 互いの相違点を挙げると、横浜FCはFWのマルセロヒアンをメインターゲットにして、もしくは彼以外でも前線の誰かに…要はスペースではなくマンマークのコンサDFとマッチアップしている人に対してボールを明確に蹴っていました
  • 対するコンサは、駒井のFW起用もあり、そうしたボールを押し付けられる選手がいないためか、人ではなくてスペースにボールを蹴っていたとも言えるし、言い換えれば横浜FCは人の頭に向かってパスしていたけど、コンサは少なくとも人にはパスしていなかったし、じゃあスペースにパスしていたかというと、パスというには随分精度が低いボールを蹴ることが多かった(そのままそのボールは流れてラインを割ったり横浜FCのGKが難なく処理したり)と思います。


横浜FCの3トップのコンビネーション:

  • 個人に言及すると、まず横浜FCのマルセロヒアンの奮闘が際立っていて、基本的に彼はソロでプレーするFWという印象でしたが、この試合は終始岡村を背負いながらも味方を活かすポストプレーやフリックに徹していて、彼のところで簡単に跳ね返されないため、シャドーの小川とカプリーニがフリックされたボールを拾って3on3や2on2でスピードに乗った状態でコンサのゴールに迫るシチュエーションが、前半から何度か見られました。
  • 横浜FCの3トップは、前を向いてスピードに乗った状態だとそれなりにコンサのDFに脅威を与えることができていた印象で(まぁコンサのDFだからそりゃそうか)、横浜FCは、ロングボール攻勢以外にも積極果敢なプレッシングからこの3トップに前を向かせることは何度かできていました。
  • プレッシングの形は↓になっていて、コンサのCB→SBのパスコースにシャドーを立たせるよくある形なのですが、コンサは最終ライン間やDFとGKの間で浮き玉を使って回避しようとします(高木はここまではそうでもなかったけど、この試合ではこれまで以上に多用していたと思います)。


  • そしたら横浜FCのシャドーは空転しかけるのですが、小川は浮き玉を必死に追いかけてなんとかついていこうとしたり、それでもダメならWBが前に出て札幌のSB(福森と田中駿汰、主に後者)を捕まえてボール回収して、3トップが前残りかつコンサのDFが前がかりになっている状態で速攻を狙っていて、先述のようにまずまずこの狙いははまっていたと思います。


シャークがギャップで躍動:

  • ただ横浜FCのWBが1列上がって最終ラインに5枚並ぶ状態が崩れると、横浜FCはピッチ横幅を3人のCBで守らないといけないのですが、コンサの得点シーンはいずれもそれらの選手の個人の対応に課題があったと思います。
  • 特に、横浜FCの左WBの林が前に出ると、そのスペースにコンサは浅野が流れてきて、浅野はこの位置・角度で前を向くと(小柏とは異なり)ゴールに向かってプレーできるので、この林とルーカス、そして実質的にトレードオフ関係になる浅野のところは、横浜FCはやや積極的すぎた感はあります。まぁ前半で得点してれば結果オーライというか評価はまったく別だったと思いますが。


  • あとは、横浜FCはあまりシャドーが戻らない設計になっていて、青木はその構造に前半から気づいていたっぽいので、青木にそこでボールを渡すと、井上とユーリララの脇から簡単にボールを持ち出してゴール付近までプレーすることはできました。左サイドは青木も菅もミドルシュートがありますし、この形からさらにスコアが動いてもおかしくもなかったですが、なんとか横浜FCが食い止めていたと思います。


雑感

  • 横浜FCはマルセロヒアンが奮闘していましたが、そこに続く選手のクオリティ不足を感じ、対するコンサは駒井が普通15センチ大きい相手を圧倒していて、そこに続く浅野がいたことが両者の差だったでしょうか。それでは皆さん、また会う日までごきげんよう。

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