2022年11月1日火曜日

2022年10月29日(土)明治安田生命J1リーグ第33節 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌 〜依然要観察〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果

  • リーグ戦が2週間空いた期間に2大会のカップファイナルが開催され、そのいずれもに残り1つのタイトルを手にした広島。
  • 先に開催された甲府との天皇杯決勝では、FWにドウグラスヴィエイラ、右に茶島、左に柏でしたがセレッソとのルヴァンカップではそれぞれベンカリファ、野上、松本(川村を左に移動。ヴィエイラは負傷による)。アウトサイドは対戦相手によって使い分けていくのかもしれません。
  • 札幌は(おそらく)小柏と荒野が負傷で、宮澤が8試合ぶりにスタメン。相手がウイングないしはサイドハーフを置くチーム相手だと4バックを採用して福森はベンチスタートが多かったですが、3バックで1トップ+2シャドーの広島相手でも同じ選択でした。

2.試合展開

中途半端な圧力:

  • 前半は思ったよりも広島が前に出てきます。
  • 予想では、札幌相手には、ボールを持たせて広島はスペースを消す。手詰まりになったところで札幌が前がかりに(例えばDFがオーバーラップするなど)なって、スペースができたところで広島は速攻を狙うのかな、と思っていましたが、広島が狙っていた攻撃は、速いか遅いかでいうと速いから速攻と言えるのでしょうけど、その開始位置は私が予想したよりも高めでした。
  • つまり、自陣ないしはハーフウェーラインくらいでボールを奪って速攻、ではなく、札幌がGKからボール保持を開始したところで広島は奪いに出てきました。

  • トップのベンカリファがまず札幌のCB:岡村と宮澤の間に立ってサイドを決めさせる。だいたいは札幌は右(岡村)に渡すことが多く、岡村から田中駿汰に渡ったところで広島は縦を切って寄せてきます。
  • 縦を切られると、田中駿汰が対面の選手(だいたいは満田)を剥がさない限りは、高嶺かシャビエルに預けることになるのですが、この試合はまず高嶺(普段はCBだがこの日は宮澤とポジションを入れ替えてアンカーにいる)が野津田や川村になかなか捕まらなくて、広島は思ったほどカウンターにならなかったと思います。
  • シャビエルに対しても同じで、下がったりサイドに流れたりするシャビエルについている佐々木が捕まえきれないというか、シャビエルに渡ると撤退に切り替える判断が早かったと思います。
  • シャビエルにボールが入り、かつ簡単に前を向ける、広島は前から奪いに出て剥がされたばかりの状態、とするなら、左利きの右シャドー・シャビエルがゴール方向にプレーすることを妨げるものはほとんどない。この試合では、特にシャビエルが左のルーカスを見ていて、ルーカスがかなり余裕を持ってボールを受けるシチュエーションが何度か作られました。

トランジションでも互角〜やや優位に:

  • 広島がボールを持っているときは、札幌以上にボールをまず捨てるというか、GK大迫が蹴って前線の選手が競ってからの展開を考えていたと思います。
  • 何らかボールゲインに成功したら、広島は札幌陣内でマンマークの守備を攻略しにかかる。札幌の3バックのサイドの選手をシャドーが引きつけて、背後やその脇のスペースにウイングバックや中盤センターの選手が飛び出す形は何度か見られました。
  • もっとも、序盤に川村が2度ほど飛び出していきましたが、中盤センターの選手が長い距離を移動するのは結構な負荷で、これは何度も続かないかな、と見ていました。その意味では川村よりも森島が飛び出す形がもっとあってもよかったかもしれません。

  • 狙いとは別にして、競り合い→トランジションからの展開でも札幌は広島に後手をとることはなくて、見事な速攻から興梠のゴールで先制します。
  • 先に挙げた高嶺とルーカスが関与しての速攻でしたが、改めて、この2人からボールをあまり回収できなかった広島でした。
  • あとは、岡村がいることもあって制空権も札幌にあったとするなら、これはボール回収にある程度寄与したと言えるでしょう。

  • 高嶺を消せなかった広島の中盤ですが、一瞬の飛び出しから帳尻っぽい仕事をします。
  • 中央に侵入されてから視線を操られて、最後、守備がそんなに得意ではない金子のところを突かれた形でした。枚数をかけて勝負に出ていた広島に対して、田中駿汰のポジションの修正がちょっとのんびりしていたかもしれません。

  • 試合が決まったのは後半の10分を経過したところ。札幌のポジトラっぽいシチュエーションで、広島のWBの戻りが遅れていました。シャビエルが頭でダイレクトで落とす判断が良かったのですが、全般に、前に出てくる(が、奪いきれないので最終ラインがやや準備不足になりがちの)広島に対して斜めのパスがこの試合は効果的だったと思います。

雑感

  • マリノス、川崎、広島と上位相手に勝ち点7を奪うこととなりました。(セレッソ戦の85分までの酷すぎる試合を思い返してみれば)この3試合だけで何か断定的な話はできかねるのですが、川崎相手にもそうでしたが、数的不利(札幌のビルドアップを純粋なマンマーク以外で嵌めようとする)で前に出てくるチーム相手の方がやりやすいのでしょう。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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