2021年5月19日水曜日

2021年5月19日(水)YBCルヴァンカップ グループステージ第6節 北海道コンサドーレ札幌vs鹿島アントラーズ ~忠実な若者~

1.スターティングメンバー

スターティングメンバー&試合結果
  • 札幌は、菅が遂にDFでスタメン出場。4バック相手だとCBというよりSBの役割だと考えるとわからなくもないですが、岡村が右、柳が右WB、ルーカスが左WBと聞くと非常にチグハグ感…何度も書いてますが普通に4バック(右から柳、岡村、ミンテ、菅で、ルーカスが右MF)じゃダメなんか?との感想です。それでも駒井は勝手に降りてくるんでしょうけど。
  • 鹿島はGKと最終ラインは前回のルヴァンカップでの対戦と同じ。一方で新型コロナウイルスの影響か?で休んでいたアラーノが戻ってきていたり、アルトゥール カイキが初出場だったりと力のある選手が並んでもいます。

2.試合展開

いつものアレ:

  • 鹿島についての印象も前回書いたので、ポイントだけサクッと振り返ります。
  • 札幌はこのメンバー…中盤センターに駒井と荒野、シャドーにドウグラスオリヴェイラだと、どうしてもボール保持時に中央に人がいなくなる。
  • この理由は選手特性の問題が8割、と言って問題ないと思います。2人は札幌のMFの中では特に「下がるタイプ」ですし、ドドちゃんはMFではないし、狭いスペースで何かができるタイプでもない。
  • 必然とこの11人が並ぶと▼のようなポジショニングからスタートするので、ピッチ中央に鹿島の選手が密集する一方、札幌は誰も中央にいない状態が頻発します。札幌ドームにトラブルがあったとかでいつもよりも傾斜のあるアングルのカメラからの映像だと非常に目立ちました。
  • あとは、セカンドボールをどっちが拾うか?みたいな話は説明が難しいのですが、普通こうやってポジションをとっていれば人が多い方、かつ重要なポジションを押さえている方が有利でしょう。
いつもの空洞化
  • 「ビルドアップ」には目的があります。「シュートの手前の場面を作る」ことです。ですので、「シュートの手前の場面」を作れそうな選手がビルドアップの目的地だと言えます。札幌でそれは誰かというと、中島ではない、柳でもない、ドドちゃんは鹿島のDFとの相撲に勝てばチャンスになる時もありますが、それはあまりロジカルなものではないので除外(相撲に毎回勝てるならロジカルですけどそうではないから)。
  • 青木はクオリティがありますが、シャドーは常に相手選手に挟まれ、ボールを受けてそこで反転できる能力があるかとかそういった観点が入ります。おそらく鹿島にもう少しスペースができると話は変わってきますが、試合開始時点でまだ鹿島のディフェンスが荒らされていない状況では除外とします。
  • となると、札幌のビルドアップの目的地は常に一つしかない。抜群の突破力を誇るスーパークラック・ルーカスフェルナンデスです
  • じゃあルーカスにどうやってボールを届けるの?というと、普通は中央に誰かつなぎ役がいてそこを経由したほうが短くて確実なパスで済みます。でも中央に誰もいないから、この日の最終ラインで一番ボールを持てそうなミンテが、中央をすっ飛ばしてルーカスにサイドチェンジするとか、そういう展開からたまにうまくいってルーカスが仕掛けたときだけ、「お、なんかサッカーしてるな」って感じの展開になる。
  • 青木も近くにルーカスがいてボールが入ってようやくコンビネーションが発揮される。そんなところだったでしょうか。

  • 試合中にこんな質問▼いただきましたが、図を見ていただければわかると思いますが、ドドちゃんは誰にはたけばいいんでしょうか?中島?この2人は非常に被るポジションをとっていたので、ドドちゃんに入った時にドドちゃんだけ見て中島は見てない、鹿島のDFがそんなしょぼい対応じゃなかったので、「はたいた」ところで中島が潰されて終わりでしょう。

ミシャの要求に(多分、唯一)忠実な中島:

  • 先日の川崎戦を見ての私の仮説は「ディフェンスでのミシャの要求よりも、選手たちが意識的に強度を落としている」。2021シーズンだけで見ても、開幕戦がピークで徐々にプレスの強度が落ちていると指摘してきました。
  • ここでの「強度」とは相手に寄せる速さ、最終的にとる距離、そしてそれを何度繰り返すか、といった意味合いなのですが、恐らく川崎戦を例にしても、ミシャが選手の名前を何度も読んでいたのは「もっと強度を上げろ」(=強度を上げて川崎に混乱を与えろ!)という意図だったと思います。
  • 選手がそれに応えない(ように見えた)のは、ボールをあまり持てない状況で、マンマークでずっとそれをやっていると体力的に滅茶苦茶きついから。
  • ミシャの言うとおりにして勝てるならいいんですけど、常にそういうわけでもないのでピッチ上の選手の判断でカスタマイズ、試行錯誤した結果が、今の守備のやり方…みんなでマンマークしてるけどプレスってほどの圧力はなくなっている、この状況を招いていると私は推察します。選手が自分で考えるのはどこのチームにもあるし重要なことですが、監督があまりコントロールできなくなると、何がしたいんだかわからない中途半端な何かに変貌します。

  • この試合、中島のディフェンスを見て感じたのは、もちろん試合に飢えているとか色々あるとは思いますが、中島くらい二度追いをして相手に圧力をかけるのが、ミシャが本来要求している水準なんじゃないかと思います。
  • マンマークだろうとそうでなかろうと、ディフェンスは組織プレーの賜物です。最終的にある選手をマークしてボールにアタックするのが1人だとして、ボールのハンティングが成立するには、パスコースを限定させたうえで読んでアプローチしなくてはならない。そしてパスコースを限定させるには1人じゃ足りない。タッチライン際でプレーする選手には1人で行ける場合もありますが、360°のアングルでプレーしている場合は、身体の向きを変えればいくらでもパスコースが見つけられるからです。
  • 中島は鹿島のCB林を見ながら、バックパスを誘導してクォンスンテを二度追いしたり、林→広瀬に渡った時にも追って行ったりと非常に精力的に動きます。この時、広瀬に対してルーカスだけじゃなくて中島も追撃して、横からアプローチすると▼、広瀬のパスコースは限定的になる。これがあると、永木や遠藤のところでボール回収しやすくなります。
本来は1人で追うとか正対するだけではプレスにならない
  • 最近小柏やアンロペ、駒井がそこまでこれをやらなくなっていると感じますが、本来ミシャの掲げるやり方(全員で1on1で捕まえながら広く守ってプレス)だと、これぐらいの運動量がないと相手が困るようなディフェンスにはならないと思います。中島はまだ頭が柔軟というか、その意味ではミシャの指示に忠実なのかもしれません。

3.雑感

  • 試合については、鹿島は恐らく引き分けでも1位通過ということで、そんなにハイラインで勝負するとかプレッシングで襲い掛かるとか、よりはセーフティにゲームを勧めようとしていたのでしょう。
  • なので、札幌の出来がどうだろうと、そこまでせわしない展開にはなりませんでしたが、札幌としてはゴール前で殆どデザインされてないだけに0-0で御の字でしょう。ルーカスが突破したところで「これ誰にあわせんだよ」みたいな感じでクロスを蹴っていたのが印象的でした。もっともそれはリーグ戦でもそうですが。
  • なお解説・吉原さんは「札幌はもっとサイドをえぐるべきだった」と試合後に言ってましたが、それならルーカスを左に置いておくのは全く整合しないですね。そもそも、全部ルーカスに長いボールを蹴ってくるのが見え見えなので、鹿島はそっちにスライドしてスペースを消せばいいし、それで再度アタッカーに仕事しろというのは難しい話でしょう。今年もルヴァンカップ6試合を消化しましたが、「福森のロングフィード抜きでどうやってビルドアップするのか」は全く答えが見えなかったです。
  • ガブリエルは一言で言うと↓。
  • それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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