2026年11月1日日曜日

2026年10月31日(土) 明治安田J2リーグ第14節 北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ 〜ボールに関与しないでの仕事の仕方〜

1.スターティングメンバー



  • 湘南は13節まで5勝7分1敗、5節で仙台に敗れて以降は3勝5分で8試合無敗。この中に富山、新潟、藤枝といった比較的好調のチームも含まれているので悪くはない印象ですが、先制されて追いついて…という試合が多いところは改善点かもしれません。
  • メンバーは、両ワイドが左に田村、右に加瀬の起用が多かったですがそれぞれ上月と石井に変えており、アルトゥールシルバが重傷で長期離脱が見込まれる中盤はひとまず深澤だとして、バックアップの選手の台頭も待たれるところでしょう。

  • コンサは5バックにして直近5戦4勝のメンバーが軸で、左シャドー(ウイングの役割)に青木ではなくスパチョークとしています。


2.スタッツ



3.試合展開

中央のキャストをどうするか:

  • 湘南のボール保持は右の鈴木が上がって1-3-2-5または1-3-3-4のような並びで、鈴木が大外に出て石井が内側に入る場合と、鈴木が内側に入る場合と両方がありましたが、基本的にはこの右サイドからなんとかしようという狙いが前半はあったと思います。
  • 前半何度か見られた形として、コンサの左WBの木實が鈴木に対して出たところで背後に石井が走って大外のスペースをを取ってから縦突破や中央にクロスボールという形。

  • ただ、この石井はおそらくこうしたサイドで縦にプレーするのは得意そうだとして、同じく鈴木もどちらかというとサイドの選手という感じで、いずれがハーフスペースに入っても湘南は中央を使うプレーがあまりうまくいってない感じがしました。

  • また中央を使うためにはまず中央に配球できないといけません。湘南はDF3枚になってコンサと同数になります。コンサは5バックにしてからここまでの試合でほぼ自陣に引いて守っていましたが、この日は湘南のDFを1v1で捕まえる場面も前半何度か見られ、この時に湘南のDFには剥がしたりするプレーも少なく、また中央でボールを引き出す動きも少なかったと思います。
  • 右サイドの選手に↑で触れましたが、他の前線の選手も、上月はワイドが得意、山田はセンターFW、西野は裏抜け系?だとするなら、コンサが5バックで中央を固めてくる状況に対し、湘南は中央でどうプレーするのかがなかなか見えにくく、中央にあまり縦パスが入らず、受け手もおらず、コンサのブロックを横断したり長いボールで一気に越えようとするプレーが多かったと思います。

ビルドアップを”見守る”浦上:

  • 対するコンサのボール保持は、青木が不在ですが直近の試合と同じ配置やメカニズムで考えていたと思います。相違点としては、スパチョークは青木ほどボールに関与しようとせず、最初から左の高い位置に張っていました。こうした初期配置でのポジショニングに、役割についての選手の解釈が表れていると思います。

  • このやり方で6試合目になり、コンサのボール保持は川原と木戸が徐々にキーマンというか存在感が増しているように感じます。 
  • というのは中盤に右から、木戸、浦上、木實と並びますが、ボールを経由する人という観点では木戸が1stチョイスで、浦上と木實は守備というか「どちらのボールでもない中立のボール」をマイボールにするような役割の比重が大きいためです。
  • その木戸が中央の右寄りでプレーするため、木戸にパスを出す役割が川原か梅津、特に川原が右から角度をつけて斜めにパスを入れていく仕事を担います。湘南はこの木戸や川原への対応がいまいちはっきりしないのもあって、コンサは木戸にボールを届けるまではそう苦労していない印象でした。
  • あとは前線で体を張って勝ちまくっている大森も欠かせない選手で、これらの経路というかリソースを使って右から左に展開するのがここのところのコンサのパターンになっています。


  • 湘南は4バックの1-4-4-2で対抗するならもう少しボールサイド、川原に展開してくる左サイドでコンサに厳しく行ってもよかった気もします。
  • おそらく上月のところが、内田を見るのか川原を見るのか決めきれなかったのが要素としてありそうですが、結果的には内村には全部左SBの松村が対応していたので、それなら上月は川原をもっと意識しても良かったかもしれません。コンサのボール保持と動かし方自体はオーソドックスなので、FWが中央方向のコースを切って、上月が縦を切るようなやり方で問題なかったと思います。

  • コンサに話を戻すと、だいたい中盤が3人だと中央のアンカーの選手がボールに一番触る、守る側としてはアンカーをケアするのがセオリーではありますが、コンサはアンカーの浦上が積極的にボールに触ろうとせず、木戸を”見守る”というか相手ボールになった時の仕事に備えています。
  • これがアンカー大﨑だともっとボールに早い段階で触ろうとするので、浦上のボールへの関与の仕方の方が現状はバランスが良いとは言えそうです。少なくとも今のところはこのやり方で持ち直しているので、よくこの木實も含めた3人のバランスは見出したな、という感じはします。

  • 木實はいつも通り左サイドと、浦上の隣のスペースを埋めつつ、スパチョークにボールが入ったらポケットに走るという役割。16分にはCKから直接狙ったシュートがDFをすり抜けるラッキーな形で先制点を挙げます。

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  • 25分頃から湘南は西野と石井がそれぞれ右と中央の役割を入れ替えます。そして石井が1stDFとして積極的に出ていくようになって、コンサの木戸-川原のラインも簡単にボールを持てなくなり、湘南としては前線からの守備に連動性が出てくる、コンサは大森にボールを押し付けることが多くなって徐々に湘南がボールを保持します。
  • ボール保持の際はその西野と石井のポジションチェンジに加え、武田がやや高めの位置を取るようになり深澤との役割を整理します。これでコンサのブロックの中央でボールを受ける役割が武田と石井(中央でフリーマン気味)になって、その狙いがうまくいくかはともかくとして役割としては用意された格好となりました。

  • ここから前半終了までの時間帯で、湘南は何度か決定機というかコンサのゴールを脅かしますが、多くはトランジションだったりでコンサのブロックが揃っていないところと、前半に右サイドから多く獲得していたセットプレー絡みの展開が多かったと思います。
  • 形としてはスルーパスに抜け出した山田が右の角度のないところからシュート(田川のセーブ)、中央でトランジションから石井がドリブルを試みて倒されFK(武田が狙いますが田川がトップコーナーを左手1本でビッグセーブ)、松村の左クロスを武田がヘッドで合わせてネットを揺らしますがオフサイドの判定、というもの。コンサはこうした局面をほぼ作れなかったので、スコアが動いて以降は湘南が押していたと言って良いでしょう。

終始不安定だった湘南:

  • 後半開始から湘南は石井→奧埜でやはり中央の選手を変えてきます。
  • 湘南がコンサのやり方だったり圧力に慣れたのもあってか、後半立ち上がりからは湘南がボールを持つ展開が続いて、コンサは5-4のブロックで最初から引いている時間帯が多くなります。
  • ここから湘南は、1トップの大森の周辺でCB袴田や堂鼻がドリブルで運ぶプレーが多くなりますが、CBからいきなりというかダイレクトに1列目に並ぶ5人ほどの選手を狙ったようなパス、スルーパスが多く、もう1クッションというか間に受ける選手を用意してもいい印象でした。
  • おそらく奧埜はそうした役割ができるはずですけど、コンサが5-4のブロックで引いていると思った以上にスペースがなくて、間で受けるというよりはクロスボールなども意識して最前線に張る判断をしたのかと思います。

  • 60分近くまでは湘南の時間が続いて、コンサはカウンターからスパチョークが堂鼻を剥がして中央の唐山にラストパス、GKが弾いたところをスパチョークが押し込みますがオフサイド、というのが60分。
  • 以後は徐々に湘南が単調というかコンサの5バックに対し解を見出せず、コンサは自陣で跳ね返せば前に出るチャンスが得られるという展開でそのまま逃げきります。

雑感

  • 直近の数試合全てに言える話ですが、このクオリティで勝ち点3が貰えるのはラッキーだといえるでしょう。
  • 湘南は非保持の際にボールを持っているコンサの選手に組織的なプレッシングを仕掛けるアクションが90分を通じて不安定で、静的にコンサが自陣ゴールキックなどで始める時は湘南もセットした状態から割と役割が決まって動けるのですが、例えばトランジションでコンサボールになった時に、ボールを回収するために何人が必要か整理されていない印象でした。
  • 特に後半は一度コンサボールになるとそこからコンサの選手のロンドを止められず、コンサが自陣でボールを持つという局面をうまく利用できなかったと思います。
  • あとはサイドがそこまで強力な感じもしないので、コンサとしては中央に人を並べておけば勝手に雑に縦パスをしてトランジションになることも多かったですが、例えば左の上月のところで縦突破以外に、カットインからのインスイングクロスのような選択肢もあれば面白かったかもしれません。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう、