2026年9月6日日曜日

2026年9月6日(日) 明治安田J2リーグ第5節 北海道コンサドーレ札幌vs栃木シティ 〜ピッチを広く使う方法〜

1.スターティングメンバー



  • 百年構想リーグではEAST-Aで8位と、ザスパや相模原の後塵を拝した栃木シティ。
  • このリーグでは仙台、秋田、横浜FC、湘南との4連戦で開幕という、かなり厳しい日程でのスタートもあり出遅れましたが、試合をちらっと見た印象としては、システム1-4-1-2-3でオランダやスペインのフットボールのようにワイドに開いて広くプレーする志向を感じました。
  • ただその分ピッチをワイドに使う能力や、広いエリアを守る能力が求められますが、この点に関してはスカッド的に少々無謀な印象を受けました。開幕後の3月にアンカーのペドロアウグスト、夏のマーケットでCBの照山、GKキムジンヒョン、前線のトクマック グェンといったスタメンクラスの選手を集めているのでそうした問題意識はクラブとしてもあったのではないでしょうか。
  • J2ではここまで4試合で2勝2敗。百年構想リーグでダブルを喰らわせた山形に敗れるスタートとなったものの、八戸と鳥栖に連勝、前節は雨の中ボールを捨ててきた磐田の速攻を止められず1-3での黒星となりました。メンバーは開幕戦で退場処分を受けた右SBのシモンズエイデンが復帰。ポジションを争う奥井も前節失点に関与していたりもするので難しいチョイスかもしれません。

  • コンサは1週間前のリーグ戦からCBに西野→野瀬、中盤センターの2人を木戸・堀米→宮澤・真田に変えてきました。ティラパットと野瀬が水曜日のカップ戦から中3日の連戦となります。


2.スタッツ



3.試合展開

やり方はともかく強度や程度は想定内のはずだったが…:

  • 栃木シティは前節、1-4-2-3-1または1-4-4-2の磐田に対し、非保持は1-4-3-3の形で中央に吉田1人、磐田のCBどちらかがフリーになる形でセットしていたと思います。
  • しかしこの試合はコンサのCB2人を吉田とグェンの2人で見ていて、グェンは左ウイングというか2トップ、システムとしては西谷が左MF、小池が右MFでそれぞれコンサのSBの内田とパクをマークする1-4-4-2の形で非保持を用意していました。

  • 栃木シティはコンサがボールを持っている時に、下がってくるボランチの真田に対して本来アンカーのペドロアウグストが出てくるので、狙いとしては純度の高めなマンツーマンの対応で、ある程度高い位置からプレッシングを仕掛けてコンサの選手に楽にボールを持たせたくない、ということは容易に想像ができます。
  • しかしどんな対応だろうと、どこでボールを回収するかという設定は必要なはずですが、栃木シティの対応はそれが不明瞭に感じました。
  • コンサは↓のようにトップのスパチョークや唐山が下がってくることが多く、この2人を栃木シティのCBは静観なのか捕まえに行かないで待っていることがしばしばあり、コンサはこの2人にボールを渡せば比較的簡単に前線でボールを収めて栃木陣内に入ることができました。

  • ここからコンサは左のヴィニに渡して、シモンズエイデンとの(見た感じ、選手のクオリティ的に有利な)1v1の局面を簡単に作ることができますし、栃木シティはこの1v1になる前にシモンズが頑張って潰す…とかも無理そうなので、普通に考えたら栃木シティはスパチョークや唐山にボールが入る前なのか、ボールが入ったところを潰すような対応があっても良いかと思いましたが、コンサのCBやSBがボールを持った時にそこまでの激しさや寄せは見られませんでした。

質的優位はあったが…:

  • なのでコンサが前半の立ち上がりからボールを保持して、かつ敵陣に入ることもできる、という状況でした。
  • コンサの問題はその先で、やはり左のヴィニの突破で終わることが多く、かつヴィニが左でボールを持った時に味方と連動しているというかは単独の仕掛けでしかないことが大半だったと思います。
  • 例えばセオリーとしては、大外で持ったら所謂ポケットが空きますし、突破を警戒してDFが距離をとったらクロスボールを上げやすくなる。ただ有効なクロスボールも、ターゲットの中央での駆け引きもほとんどなかったし、宮澤や真田の走力だとポケットに走る感じもなく、1人でヴィニが突っ込むだけと言えばそれは間違っていなかったと思います。ただ所謂質的優位性から、それなりにシュート機会には繋がっていましたが。

縦に急ぐ必要はない時間:

  • 栃木シティがボールを持っている時はほぼ↓の配置で、誰かがボールを引き取ろうとして下がったりポジションチェンジはかなり少なかったと思います。一つ言えるとしたらグェンが右に出てくることが結構あり、こうなると完全に3トップに擬態とかでもなく普通に2トップの一角の振る舞いをしていました。
  • 左右非対称になっており、右は小池が開いてウイングの役割をします。左は基本的に空けていて、流れの中で西谷が左に出てきて仕掛けるという、元々得意なプレーを前半1度だけ見せましたが、基本的には西谷は中央の選手として振る舞っていたと思います。

  • コンサがマンツーマン気味に前からマッチアップを合わせてくる中で、前半、栃木シティは何回もバックパスをしてフリーの選手を作る…みたいなアプローチは殆どせず、自陣でボールを失ってショートカウンターになることを避けるようにプレーしていたと思います。
  • 加えてコンサはGK田川が前に出てくるので、背後に蹴るだけだとコンサボールになりやすいということで、背後に蹴るだけではなくてトップの吉田が身体を張って中央の選手がセカンドボールを拾うことも意識していたと思います。この点に関しては、西谷やグェンが中央寄りにいることもあって、拾う選手は明確になっていました。

栃木シティがフットボールのレッスンを開始:

  • コンサがボールを保持するも、ヴィニの仕掛け以外に突破口がない中で時間が経過します。
  • 28分にコンサがハイプレスを仕掛けて前に出ていたところ、栃木シティは縦にチャレンジした真田から照山がボールを回収して、ペドロアウグストが反対サイドへの長いパス。これはおそらくキックミスだったのでしょうけど、厚別の風もあったのか?パクミンギュが処理を誤って、小池が自慢の左足で豪快に叩き込んで先制します。これが1本目のシュートだったか、少なくとも決定機としては初めてのものでした。

  • 30分過ぎになるとコンサのハイプレスの強度も落ち着いて、多少栃木シティがボールを持てるようになります。
  • 38分、直前に栃木シティの右、コンサの左サイドで2回アウェイチームボールになるスローインが続いて、栃木シティがGKキムジンヒョンまで戻します。
  • このバックパスを見て、コンサはセオリー通り押し上げますがそんなに大胆に上げる感じでもなく、逆に栃木シティはジンヒョンが前に蹴る体勢をとった瞬間に右SBのシモンズが一気にスピードアップして小池の内側を走る。小池がそのシモンズを使って、クロスボールに反対サイドから西谷が走ってくる、見事な相互理解を見せたゴールでスコア0-2とします。

  • 1点目に関してはパクのミスでいいでしょう。
  • 2点目はなんというか根深いな…と感じさせるもので、ジンヒョンの彼らしい、見事なロングパスから始まっていますが、今度はコンサがどこでボールを奪う想定なのかが全くわからないような対応になってしまいました。
  • ただ、前から行くならもっと押し上げの意識があるべきですが、少なくともこのスカッドや選手器用で、後ろでタフに守れる感じはしない(後ろはほぼ全部田川の守備範囲が頼み)ので、少なくとも奪いどころが後ろにあるチームではない気はします。目指しているところを考えると、その状態が許されるとは到底思えませんが…。

腕の見せ所がたくさん:

  • 後半頭からコンサはスパチョーク・ティラパット→長谷川・白井で長谷川が中央でフリーマン、白井が右に張る形とします。

  • コンサは放り込みで敵陣に押し込んで、栃木シティが下がったところで長谷川が低い位置に降りてきてボールを引き取り、また最終的には長谷川なのか、高い位置を取る右の内田なのか…が中央に放り込む形を見せます。
  • 52分にその内田が右でファウルを受けてFK。長谷川のクロスボールを野瀬が折り返して、中央で白井が触って1点を返します。

  • 畳み掛けたい?コンサは元々、唐山、ヴィニ、白井が前線に張ってあまり下がってこない中で、手数をかけずに放り込んでから、内田も高い位置に出て行くなどしてオープンで間延びした状態になっていきます。
  • 象徴的だったのは53分、田川がボールを持った時に栃木シティのFW吉田が田川に寄せて、田川が長いボールを蹴りますが、この時コンサは自陣ボックス付近に内田以外の3人のDFと宮澤、真田が全員寄っていて5人が集まっている。田川は右の内田へのフィードを選択して、これがつながって白井を経由から内田が飛び出して栃木シティのDFと3v2、という絶好期が生まれますが、内田をヨニッチがうまく守ってシュートブロック…という場面になります。

  • コンサは真田と宮澤が、前を向いてボールを持った時には前方向にプレーできるとして、問題はこのボランチが簡単に前を向けるような(ある種、相手の守備がザルな)状況以外の時に誰にどうやって前を向かせて前進するか、というのが監督の腕の見せどころのはずですが、GK田川が蹴るしかない、田川の負荷が大きい状況でした。
  • かつ前に蹴って、セカンドボールを拾うという仕事もあるのでしょうけど、見た感じ真田はそういう走って拾う役割というよりは足元で受けてからプレーを始めるタイプに見え、ボールを引き取ろうと味方に寄ってくることが多く、↓のように2人で下がってくるけど、結局選択はロングボール…中央がぽっかり空いている…みたいな局面になりがちな試合だったと思います。

  • そして56分に、↑の図解に割と近い形から、今度は田川のキックがやや短くなったところを森が回収して、真田がチャレンジしたところを剥がして、角度のないところから小池のこの日2回目のキャノンが炸裂してスコア1-3。
  • ここもコンサはまず田川にバックパスした後のリスタートの形(これも監督の腕の見せ所では?)がない中で、GKのキック任せになっている状況から。
  • そして真田や野瀬の判断はどうか?とも思いますが、それ以上に5人が前にずっと張っている、名古屋の名将が好むあの陣形のようなアンバランスさの方がより気になります。

  • 直後の58分、真田が前に出たところをペドロアウグスト?がつついて回収し、栃木シティのカウンター。西谷がゆっくり攻撃参加して、その西谷が左で仕掛ける形になります。
  • この(本来は)J2屈指のドリブラーに対し、内田が戻ってこないので真田が1v1の形になって、白井が頑張ってスプリントして戻ってきますが、コンサは結果的にこの西谷に真田、白井、野瀬、宮澤の4人が引きつけられて、中央をグェンへのパスで割られ、バランスを戻せないまま西谷の力が抜けたシュートが決まってスコア1-4。

  • あとはコンサは中央の選手を削って、前線にマリオ、バカヨコを並べますが、何がしたいのかわからず(さすがにターゲットが多すぎてゴール前に放り込んでも被っていました)、照山が2枚目の警告で退場した栃木シティ相手に何もできず、厚別でブーイングを浴びる結末となりました。

4.雑感

  • よく「スコアほどの差はない」とか言いますが、4点分くらいのザルさは十分に感じられる妥当な試合内容でした。
  • まず時間経過とともに、コンサは前線の5人と後ろの5人が全くリンクしなくなって到底プロのチームとは思えないような杜撰さを露呈します。栃木シティはコンサがそこまでひどいとわかっていたわけではないと思いますが、序盤はリスクを回避して、コンサが勝手に崩れてからボールを繋ぐようになって、栃木シティの方が大人のフットボールというか試合を読む力は明らかにあると感じました。

  • 選手起用に関しては、西野のベンチスタートというサプライズもありましたが、コンサは中盤の2人を変えてきた点がポイントでした。
  • 見た感じ、真田はトップ下の選手が中央をやっているという感じで、まだプロで中央ができるような強度や力強さを感じないのですが、そこに宮澤という同じく強度を失っている選手を並べたのはどういう意図なのだろうか?と試合前から気になるところでした。
  • 予想としては、栃木シティがもっとオープンというかスペースがある状態なら、真田が前を向ける余地があって、背後は宮澤がカバーするみたいなイメージだったのかもしれません。ただ今のコンサの場合、中央をほぼ2人で守るスカスカ状態(すでにかなりザルさを露呈していますが改善なし)なので、真田と宮澤のユニットをそのまま使っていくには難しい状況だったかなと思います。

  • 自陣ゴール前に関しては、前節の甲府はゴール前のFWの枚数が少ないのでCBの対応がキーでしたが、栃木シティはもっと複層的に攻撃してくるチームですので、DFだけでは対処できず守備組織が問われるところだったと思います。
  • このゴール前の部分に関しては、誰が関与したというよりは、そもそも到底守れる形になっていない、まるで自陣ゴール前でこういうシチュエーションが生じることを想定していないのでは?と思わせる準備のなさを感じます。
  • 正直なところ、百年構想リーグでは相手に長いボールを蹴らせて田川が背後を全部守る…という形で田川に頼っていただけに、そこが通用しなくなるとここまでザルなのかとびっくりしています。もっとも百年構想リーグはあまり参考にならないというのは予想通りではありますが…。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿