1.スターティングメンバー
- 松本が勝利した5節の対戦時から比較すると、松本のスタメンは安永→松村のみの変更。6節以降の直近5試合はいわきにPK負けを喫したものの、長野とのダービーで5ゴールを奪って粉砕したほか大宮、福島、好調の岐阜をPKで下しており4位につけます。
- コンサは5節との比較ではトップ下に堀米(前米)→荒野、中盤センターに福森→堀米(左米)、CBが浦上→西野、右MFに白井→ティラパット、FWに青木→バカヨコと、前回は諸事情により起用できなかった選手が複数いた形ですが5人が入れ替わっています。
- 厚別での開催は3年ぶりとのことですが、スタメンのうちティラパット、バカヨコ、パクミンギュ、田川といった選手がおそらく厚別初経験になるのでしょう(髙尾はガンバ時代に経験あり)。
2.試合展開
予想通りと髙尾の奮闘:
- 風上はアウェイ側の松本。前半、松本はマイボールの機会ほぼ全てにおいて前線に長いボールを蹴って前線の選手が競る、予想通りの展開に持ち込みます。
- ターゲットは大型FWの加藤…かと思いきや、左インサイドハーフの崎が前線に走り込んで放り込まれたボールを競るというか、何らか関与しようとする動きを繰り返していました。
- おそらく加藤はコンサのCBを引き受ける役割で、松本はコンサのSBを狙いたかったのだと思います。
- ただコンサはこの試合、90分を通じて髙尾がこうした放り込まれたプレーへの対処が安定しており、なかなか松本は澤崎が突っ込むだけでは簡単にコンサ陣内で起点を作ることはできませんでした。コンサの視点では、松本は髙尾よりもパクを狙った方が良さそうに思えますが、ほぼ毎回髙尾と澤崎のところでの競り合いになっていました。
- そして松本のフットボールにおいては、この長いボールを放り込むプレーが「攻撃」と定義できるのですが、この際に前線に入っていく選手がWBとインサイドハーフとFWで計6人。
- 後方には3バックとアンカーの深澤で計4人しか残していないため、やはりコンサとしては前回対戦同様に、松本が放り込んでからの一連のプレーで前がかりになった背後が狙い目であり、まさしくカウンターを繰り出せるかがポイントではありました。
- 特に、放り込むプレーでうまく起点を作れなかった際も、松本はFWの加藤がコンサのGK田川までバックパスを追いかけてきたりと、前がかりな状態をしばらく維持する傾向がみられたので、やや攻→守の切り替えに無頓着気味というか、優先度が低い印象を受けました。
聖地という免罪符:
- ただこの試合のコンサも松本と同様にボールを捨てることを序盤から徹底しており、松本のスペースを突くようなビルドアップはほぼ全く見られませんでした。
- 前半風下となったコンサは、おそらくバカヨコを狙っていたと思いますがロングボールは風で押し戻されます。それを考慮しても松本のハイプレスとやり合いたくない、厚別の環境でパスを繋ぐよりもボールを捨ててとにかくリスク回避する展開に持ち込みたいという思惑だったのでしょう。
- 互いに放り込んでいる展開からコンサが得たCKで、17分に家泉が頭で合わせて先制します。
- 松本は高さ的にはコンサと同じくらいか、バカヨコが戻ったコンサの方がやや優勢くらいで、CKの際にゴール前に4人ほど人を置くゾーンとマンマークのミックス。そのゾーンを守っていた白井のクリアミスで、ファーの家泉(松村が密着マークしていた)に絶好のボールが流れてしまった格好でした。
試合を変える戦術的交代:
- 後半に入り58分に松本が加藤・松村→井上・藤枝に交代で、村越がFWから松村のいたインサイドハーフの位置にシフトします。
- この試合でピッチに立った30人(両チーム交代含む)のうち、この村越がDFとMFの間のスペースでプレーする意識や感覚、技術を備えている選手でした。彼が1列下がったことで松本は放り込み一辺倒から中央のスペースを使うプレーを見せてきます。
- 74分の井上の得点も、小田の縦パスを村越が一度受けて戻してから中央に再度入れて澤崎がコントロールから井上にスルーパスという形で村越がスペースを作ったもの。
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- コンサはこの得点場面以外も含めて、この試合以外も含めてですが、全体的に1列目FWと2列目ウイングの守備タスクが曖昧な印象を受けます。
- 得点場面だと荒野と青木が両方ともボールホルダーに向かってしまったことで後方が手薄になり、パクミンギュがギャンブル的に村越に突っ込む状況を誘発しています。
- 基本的にこのシチュエーションで青木と荒野2人で前に突っ込む理由は乏しい(この2人で連動してボールを奪えるとか2人に一定の”強度”があるなら別だがそういう感じでもない)ので、1人が前に出ればもう1人は下がってスペースを埋めるべきで、こうした前線の4選手の振る舞いが安定しないため、中央は木戸と堀米悠斗(途中交代で川原)の2人でほぼ対処しなくてはならない構造になっている。
- その木戸が動けば川原や堀米も連動してボールに寄せるので、コンサは中盤4人のシステムにもかかわらず中央のスペースが簡単に空く状況が頻発しています。
- 松本の交代策が当たりスコア1-1となりましたが、直後の75分にコンサの右サイドから西野の縦パスを松本の藤枝がプレスバックしつつスライディングでカットしようとしたところ、足に当たったボールがDF背後の絶妙な位置に流れ髙尾が反応します。
- 反応が遅れた松本の左WB樋口が髙尾を倒してPK、バカヨコが決めコンサが勝ち越しに成功し、時間を使って逃げ切り勝利。
3.雑感
- 互いにボールを捨てる展開で、予想通り、バランスが崩れるのは構造的に松本の方が早かったですが、コンサはそのスペースを突けていたかというと前半の散発的なプレーのみにとどまりました。
- そして後半ボールを捨てるのをやめ、よりプレーのクオリティが高まったのは松本の方で、コンサはセットプレーで2点を取ったもののいずれも松本の明白なミスが関与したものでした。
- 試合結果とは別の話なのですが、これまでの30年間の歴史を振り返っても、やはり厚別だとこういった極端にボールを捨てるフットボールになりがちだと言えるでしょう。
- 聖地厚別という響きのエモさを活用したマーケティングを展開したいとか、経費削減の意向等は理解しますが、一応ボールを大切にするスタイルみたいなのを標榜している(一応ね。あくまで一応ね)クラブが、厚別では極端にボールを捨てる展開を自ら選択するようならば、こうした常に風の強いスタジアムでの試合開催を積極的に行うべきかどうかは再考すべきかと思います。
- こんなにボールを捨てるフットボールで勝ってもダメなんだ!とか、何の意味もないんだ!とまで言いませんが、例えばこれをアリだとすると、選手や監督、チームに対する評価軸はブレてきます。
- わかりやすく言えば、仮にこうしたスタイルでいきたいなら本来まずそれに適した選手(走れる、プレーの連続性を出せる…)を揃えるべきですし、現状のスカッドからもっと若返りも必要でしょう。
- そうした戦略的な考えを整理せず、ホームゲームを開催する権利を屋根で覆われたスタジアムで開催できる権利を有していながら、風の強い、コンディションがあまりよろしくないスタジアムでの開催に自ら積極的に振り替えて、この日のような極端にボールを捨てるスタイルを年間数回散発的に繰り出して「うまくプレーできないのは風が強いからしょうがない…」みたいなオチを迎えることは、あまりビジョナルだとは思えません。
- 主体的にどういった方向性を選択し、何にフルコミットしていくのか。何のための聖地復活なのか。この船の舵取りをしている人たちにはコンセプトは意識して欲しいところです。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。



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