2023年8月27日日曜日

2023年8月26日(土)明治安田生命J1リーグ第25節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 〜前期高齢者vs後期高齢者〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • ガンバ、神戸、広島に3連敗中の川崎は小林が今シーズン3度目のスタメン出場。マルシーニョは故障明けなのとジョーカーとして温存で、左はこちらも3度目のスタメンの瀬川。
  • CBはジェジエウの離脱もあって18歳の高井の起用が増えていましたが、車屋の復帰もありメンバー外で、大南とのユニットが起用されています。
  • 札幌は大分から加入した、合流7日?の高木がいきなりスタメン。小柏に加え中村桐耶、青木が欠場で大学生の木戸がベンチ入り。


2.試合展開

王者の老い:

  • 2020-21シーズンにかけてJリーグ連覇を果たした当時の川崎は計11人のベストイレブンを輩出しており、そのうち谷口、旗手、守田、三笘、田中碧はご存知の通り海外移籍によるステップアップを果たしています。
  • 残りの、ジェジエウ、家長、レアンドロダミアン、山根、登里、脇坂、チョンソンリョンは今も在籍していますが、家長は37歳、ダミアンは34歳、登里は32歳。ジェジエウは29歳ですがコンディション不良に悩まされていて、ここ2シーズンで計14試合の出場にとどまっている。GKのチョンソンリョンは別として、フィールドプレイヤーでは脇坂だけがピークで、また抜けた選手やパフォーマンスが落ちている選手の穴埋めに成功したと言えるのは、左ウイングのマルシーニョのところくらいでしょうか。

  • そのリーグを席巻していた頃の川崎は、build-upはあまりクオリティがないのですが敵陣に入ってからの崩しが強力で、それは三笘とダミアンというリーグの歴史においても稀代のタレントによるところが大きいのですが、かつ若くフィジカル的に優れた選手が多かった時期は、敵陣でのpressingも強力で、総じて敵陣でプレーする能力が高いチームでした。

  • 一方で今は先述のように、若く才能ある選手に以前ほど恵まれておらず、またベテランの高齢化が顕著なこともあり、川崎は走れないチームになっている。
  • 走れないことで一番影響が大きいのは、敵陣でpressingを仕掛ける能力の低下で、特に川崎の場合は、鬼木監督のコメントでもありますが、


  • 特に相手が4バックだったら前線3枚が中間ポジションを取ってパスコースを切る。2列目のMFが受け手のところで回収…というpressingの仕方のイメージだったと思うのですが、まず小林、家長、瀬川の前線のところで全然コンサのボールを持っているDFやGK高木に対して制限をかけることができていなかったと思います。
  • マンマークじゃないから人を捕まえることはしないと言っても、コンサのようにGK付近でボールを持つチームに対しては広く守る、長い距離を走る必要性はあり、特に家長と小林だとそれはかなり難しそうだなと見えました。

  • そして、逆に川崎がボールを持っている時には、コンサがマンマークで捕まえてくるのですけど、川崎はコンサのDFを外したり引きつけたりする部分では相変わらずクオリティ不足なので、結局チョンソンリョンが誰かに蹴るだけなのですが、そのボールの処理役としても小林では厳しそうな感じでした。
  • またこれまでは、家長がフリーマンとして自由に動いてボールを引き出したりして何らかbuild-upらしきものを成立させることもありましたが、この日の家長は割と前線に張っていて、それは多分対面の福森を固定する役割があったと思うのですけど、まず川崎はウイングへのボールのdeliveryができないし、入ったとしても家長と瀬川は対面のDFをぶっちぎれるタイプではないので(福森は途中から切れてきてファウルで止めるところもありましたが)これもそこまで脅威はありませんでした。

その先はノーアイディアだとしても:

  • 川崎がpressingもbuild-upもできないチームに成り果てていた、というだけでかなりコンサにはチャンスでした。
  • コンサは、WBにボールを渡した先に何があるかというと何もないのですけど、とりあえずWBにボールを渡すことだけはできる。コンサのWBにボールが渡ると、川崎は家長と瀬川も戻って撤退するので、そこからカウンターでコンサのゴール付近に出ていくことはさらに難しくなります(マルシーニョが出てくれば別)。
  • ですのでサッカーを陣取りゲームだと考えた時に、両チームともとりあえずサイドで高い位置をとる選手にボールを渡せば、対面の、攻撃で重要な選手を向かう先のゴールからかなり遠ざけることができる構図なので、とりあえずWBにデリバリーはできるコンサの方が前半は優勢でした。

  • そしてコンサの右のルーカスと、川崎の左の佐々木のマッチアップは、この日のピッチ上で最もそのクオリティに差があるマッチアップの一つだったと思います。ルーカスは攻守両面でほぼ対人が全勝で、佐々木はルーカスに突っ込んでファウルしかできなかったです。
  • また佐々木が左サイドでボールを持った時に、ルーカスを突破することもできないので、川崎はこのサイドを佐々木に任せることはできなくなっていたし、マルシーニョというパワーバランスを大きく覆す選手が入るまでこのサイドは川崎には問題が多かったと思います。

  • ボックス内に入れないコンサでしたが、27分に福森のFKの跳ね返りをスパチョークがびっくりボレーで先制。
  • 35分には、馬場のパスをスパチョークがボックス内で受けて(このようなボックス内の侵入は本当に少なくて前半ほぼこれだけでした)、切り返しで山根を外して、クロスを駒井が詰めて0-2。川崎は前半シュート0本で終わります。

自分に矢印を向ける:

  • 後半頭から川崎はシミッチ→瀬古、瀬川→マルシーニョ。橘田がアンカーにスライドします。
  • 川崎はさっそくマルシーニョにボールを集めます。ただ彼は三笘のように止まった状態から状況を打開できるというよりは、ある程度スピードに乗ってプレーする必要がある。ですのでコンサはマルシーニョの前方のスペースを空けないように、具体的には田中駿汰は攻撃参加を自重した方が良さそうだと思いましたが、やはりコンサはコンサなのでそのような素振りはありませんでした。

  • このツケは早々に払うことになります。荒野のパスを浅野のところで拾われてマルシーニョのカウンター発動。VARで判定が覆って岡村が退場になったのがまだ53分でした。
  • コンサは浅野を下げて宮澤を投入しますが、60分過ぎくらいまではまだ川崎が数的優位を活かせず宮澤でも対処できそうな感じではありました。1人少ないけど、コンサはスペースを消す守り方ができないため、マンマークを続けたそうな感じで、逆に川崎としては数的優位を利用してコンサの守備をゴール前に釘付けにしてまず押し込みたいところでしたが、結局そうなったのはGK高木のミスでスコアが1-2になってから。
  • 佐々木の同点ゴールの局面のように、川崎が押し込んだ形になると、コンサは1-5-3-1のような布陣で耐えようとしますが、大外のWBが引っ張られて簡単にその内側にスペースができるので、そこにマルシーニョが走る形から川崎はようやく突破口を見つけます。
  • 押し込んだ後は、川崎は狭いスペースでこじ開けられるパワーのある選手が必要になる。まず宮代からで、ダミアンがATまで出てこなかったのはコンディションの観点でしょうか。ダミアンがもっと稼働できるならコンサは耐えられなかった気がしますが、川崎のクオリティ不足に終始助けられて2−2で終了。


雑感

  • 岡村のレッドカードの前も後も川崎は終始いいところがなく、その意味では等々力で勝ち点3を持ち帰る千載一遇のチャンスでした。ただ、その岡村のファウルに繋がったプレーも元を辿ると自ら蒔いた種であって、その意味では単にアンラッキーだったで終わるのではなく、自分に矢印を向けることがまだできるのではないかと思いました。
  • 総じて、川崎が賞味期限が切れて高齢者のチームだとしたら、コンサもすでにそうなっているので、後期高齢者といったところでしょうか。そんな両者の対戦でした。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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