A.
- 前の2回で書ききれなかった話を書き留めておく回です。
Q.
- 例によって、一定は試合に出ていた選手が言及対象ね。
5.選手個人について
5.1 GK
Q.
- じゃあGKから。まず菅野。
A.
- 先に書いたように、シュートストップはさすがですし、高さ不足もそこまで問題になっていません。あの身長ならもっと狙われてもいいですけど、少なくとも札幌のDFの高さとミックスして守っている限り、裏取られたりする方が多くないですかね?
- 集合写真とかで、他の選手と並ぶと菅野選手って公称175センチよりも小さく見えるんですよね。多分顔の大きさとか手足の短さとかで。中野小次郎選手は逆に、あのサイズで手足も長いですが、菅野選手はその関係で数字以上に小さく見える。けどそれがウィークポイントにそこまでならない。
Q.
- 露骨に処理ミスったのは1回くらいあったけど、クロス放り込まれまくったりって印象はそこまでないね。序盤戦無敗だったころは菅野のセーブで守備持ってたようなもんだったし。
A.
- 高さよりも、足元がそんなにうまくないのが難しいところです。GKにバックパスをしても蹴るしかないなら、前線にターゲットを確保するか、セカンドボールを拾えるようにする必要があります。
- 今まではジェイ選手がいましたが、ちょうどソンユン選手が抜けたタイミングでジェイ選手に頼らないスタイルに転換しようとしていたのはアンマッチ、菅野選手にはアンラッキーだったと思います。
- ただそれでも、今オフ一番抜けられるときつい選手ですね。恐らく残留でしょうけど。菅野選手以外はJ1で実績のある選手がいないので。彼を獲ってきて、ソンユン選手が抜けるタイミングまでキープしていたのはフロントの地味な好プレーだと思います。
Q.
- カウィン。
A.
- あんまり出てないからよくわからないけど、ルヴァンカップ見る限りでは、菅野選手を変える理由がなさそうに見えました。
- 特に足元が、カウィン選手もそんなにうまくないし、ボールに関与したくなさそうに見えました。ベルギー二部ってどんなレベルなんでしょうか…私のフットサル仲間はこんなこと言ってましたが。
フットサルにタイ人が来てて、カウィンってどう?って聞いたら顔はカッコいいけどプレーは大したことないって言ってて草 pic.twitter.com/ZP4ZPy1N5s
— アジアンベコム (@british_yakan) August 30, 2020
Q.
- 小次郎。
A.
- とにかくフィードが上手いのと、その自分のフィードがどれだけチームを助けるかをわかっているので、イージーな選択を殆どしない、賢い選手だなとの印象を受けました。
- ボールが回っている最中、必ず相手の1列目を突破するようなパスの受け手を常に探しているんだと思います。札幌の場合、GKにバックパス=相手のプレッシャーがあればボールは五分五分になる、が長年続いていましたけど、彼はその点で一線を画す存在です。
- 2021シーズン、恐らく一定のチャンスを得ると思いますが、多分ミスもいくつか犯すと思います。でも彼は革命的な存在になれるのでサポーターは長い目で見るべきです。
Q.
- セービングはどう?
A.
- まず、私はGK出身ではないですし、素人の技術論ほど無意味なものはないと思うんですけど、結局一個一個プレーを抽出してプロの選手の技術的なミスを拾っていってもキリがなくないですかね?ミスなんてサッカーの試合で無数にありますよね。
- それでも言及するなら、小次郎選手は思ったよりも遥かに動けるし飛べますよね。2m級であんなに動ける選手は見たことないです。FC東京の林選手くらいでしょうか。
- キャッチングはまだ100%信頼できる感じはないですけど、そこが向上したら無敵ですよね。
5.2 DF
Q.
- 次はDF。進藤。
A.
- 正念場だな、と思っていたらあっさりセレッソに移籍してしまいましたね。
Q.
- 残ってたら厳しい立場だった?
A.
- 足の怪我が結構長引いているみたいで、それが完治したらまた序列が変わったかもしれませんが、田中駿汰選手の方が戦術的に重要な役割をしていたと思います。
- 2019シーズンまで、進藤選手が躍動していたのは、ボール保持の際にそんなに重要な役割が与えられていなかったからなんです。本来DFが持ち場を離れてゴール前に突っ込んでいくのは、守備だけでなくボール保持の観点でもありえないというか、後ろからいなくなったらその分誰かがその仕事を引き受けないといけないので非効率です。DFなのにフリーマンみたいなってましたが。
- んで、なんでフリーマンでいられたかというと、本来DFが担うようなビルドアップとかのタスクをチャナティップ選手や深井選手が担っていたからです。2019シーズンまでは。
- それが2020シーズン初夏に”トータルフットボール革命”が起こって、それによる変化として、①個別の選手と役割が紐づかなくなった(これはそこまで意図してないとしても)、②ボールを収められる選手を起用しなくなったので、縦に速く攻撃するようになり、DFが悠長に40mオーバーラップして攻撃参加する時間がなくなった。
- だから「何故ここに~」みたいな意外性よりも確実性のあるプレーが求められるようになって、その点で進藤選手は相対的に弱いので、プレースタイルを変えないといけないかもしれないなと思ってました。
Q.
- こういう本来のDFが担うタスクを当たり前のようにこなせることは、代表チームとかで生き残ってく上でも当然必要になるね。まさかのクルピだけど。セレッソ。
ビルドアップで役割がないから果敢に攻撃参加できるとも言える |
Q.
- 福森。
A.
- 進藤選手と共通しているのは、彼もフリーマンみたいな役割ですよね。元々かなりユニークな選手でしたが、ミシャとの邂逅によって更に先鋭化して。
- けど進藤選手と違うのは、誰が監督でもあの左足は欲しい。だから結局今シーズンも、ジェイ選手まわりの序列のリセットには成功しましたが、最終ラインは常に福森選手の起用が前提になっていて、それが一種の”基準”化してますよね。本当はもっと広くアグレッシブに守りたいけど、福森選手がいるからその程度は限られる、みたいな。
Q.
- いっそ最終ライン以外で起用するとか。
A.
- ポジションって言えるかわからないですけど、福森選手の役割って、「相手の1列目を突破する」ってよりは、「ピッチを漂いつつ、たまに決定的なパスやシュートをぶっぱする役割」に見えるんですよね。ミラン時代のピルロみたいな。
- ピルロはそのために周りの選手でバランスとってましたが。もっと雑に言うと、彼の仕事ってクロスボールとサイドチェンジですよね。たまに縦パス。じゃあベッカムみたいな役割が一番いいのか?ベッカムはめっちゃ守備したと思いますが、、、
Q.
- 別の見方をするなら、攻撃面は全部やろうとしている時がある。お前の役割はこれだよ、ってもっと整理してあげる監督がいるとまた変わるかも。最終ラインの球出し役に徹するとか。
Q.
- キム ミンテ。
A.
- 3時間くらい語る時間ありますっけ?
Q.
- ねえよ。3秒でまとめろ。
A.
- はい。冷めた言い方をすると、結局ミンテがいないと、このチームはどうしようもないことが”またも”証明されたなって感じです。1年前のまとめ記事読み直してください。なんぼミシャが大袈裟に「最先端の戦術トレンド」だとか「トータルフットボール」とか言っても、これは私が前から言っている通り変わりません。大前提です。チームで一番速くて強いDFをベンチに置いて勝てるレベルのチームではないし、あと数年はそうだと思います。
Q.
- ただ、それはミシャもスタッフも選手もみんなわかっていると思う。それでも宮澤のCBを試したい理由がある。
A.
- それもわかります。スタンドの応援が聞こえなくなって、ミシャが選手を呼ぶ声がよく聞こえるようになって改めて確認したんですけど、主に判断の部分ですよね。まだボール持てるだろ、ってところや、さあこれから始めるぞ、それこそクリエイト、ビルドアップしていくぞ!ってところでイージーにボールを手放してしまう、縦に急ぎ過ぎるところはありますね。ミシャはそれが不満なのか、毎回ミンテの名前を呼んでます。
Q.
- ミシャは荒野とか、言いやすい選手を選んで言ってる気もする。
A.
- もちろんそれもあるでしょう。
- その意味で、高嶺選手と組むと、一見、左利きでボールを運べる彼がミンテを助けられるようにも思えるんですけど、高嶺選手も割と縦に出せる選手なので、展開が速くなってしまうのはあるかもしれません。もっとも札幌の場合、先に書いた通りゴール前のスペーシングが課題なので、ゆっくり動かしてもあまり成果に結びついてない気もしますが。
- いずれにせよ、このチームがまたタイトルに近づくとしたら、その時は必ずミンテが中央にいると思います。
Q.
- 駿汰。
A.
- 「最終ラインが務まるほど守備力のあるMF」っていうより「組み立てができるDF」なんでしょうか。ターンはそんなにうまくない気がします。
- けどパス出しが抜群にうまい。だから本来は中盤や、サイドのDFよりも中央でも使いたいんだと思います。言い過ぎかもしれませんけど、ボヌッチみたいなパスを出すときがあります。
Q.
- あと読みがいいイメージがある。
A.
- 予測がいいというかスイッチがオフになってるような時間が少ないので、スライディングで無理に止めにいったりする機会が少ないですしファウルも少ないです。アウェイの清水戦みたいなのは珍しい。
- あと彼はギリギリまでボールを持って、相手を引き付けてからパスしようとする。彼がプレーするサイドにそのパスを受けられる選手がいると面白くなるんですけど、現状は蹴っ飛ばす攻撃やオープン展開で突っ込む攻撃が多いのであまり活きていない印象があります。
5.3 MF
Q.
- 菅。
A.
- 新型コロナウイルスに感染するまでは、どんどん市場価値が上がっていくな、という印象でした。唯一どんな監督、どんなスタイルでもレギュラー当確な選手かなと。無風すぎるのもよくないので、金子選手の台頭で競争関係が勃発したのはgoodトピックですね。
Q.
- ゴールもアシストも少ないけど何がいいの?
A.
- とにかく戦えるし、戦術的なミスが少ないので計算が立つ選手ですよね。彼はただガムシャラに走りまくっているような印象があるかもしれません。実際走りまくってはいますけど、彼は無謀な(ハイリスクな、無責任な)選択は殆どしないです。確実性のある、計算が立つ、選択によってチームが好転する選択ができている。
Q.
- 所謂「巧い」選手じゃないと思ってたからそのコメントは意外かも。
A.
- いや、彼めちゃくちゃ巧くないですか?ダッシュしている最中に適当なパス出されても足の甲で引っ掛けるようにして勢い殺してトラップしたりしますし。静止して1on1で仕掛ける際にそんなにフェイントの種類は多くないんで、派手さはないかもしれないですけど。
Q.
- ルーカス。
A.
- ”トータルフットボール革命”の2試合目で、私は「これはルーカスフェルナンデスシステムだな」って書いた記憶があります。結局これ何のために戦術的な”器”が用意されているんだ?って考えると、その当時のチームはとにかくルーカスにオープンな形で渡して何とかしてもらうって感じでした。ペップバルサでいうメッシの役割ですね。その後、負けまくるのが実証しているように、完成度めちゃくちゃ低かったんですけど、ルーカスのクオリティが補っていた印象でした。
Q.
- 2019シーズンはより頑張れる白井がスタメンを奪ったけど、ルーカスもまた戦える選手にアップデートされたと思う。
A.
- そこはミシャが凄いですよね。
Q.
- 終盤は金子の台頭によって左に移ったけど、ぶっちゃけ右じゃない?
A.
- それはこれからですね。結局そこは効き足だけでは決まらない。ジェイ選手は順足ウイングからクロスを配給してもらう方が好きらしいですが、設計次第であの両サイドも更に脅威になると思いますし、ルーカスのクオリティなら全然いけると思います。
- ただ、このシステムのウイングバックだと、カットインする役割はシャドーの選手と被りやすいので、そこは整理が必要かもしれません。そもそもドリブラーというか、ボール持って仕掛けるタイプの選手がちょっと多めな気もしますが。
Q.
- 深井。しばらく欠場が続いていたけど、コンディションの問題だったみたいね。
A.
- 最後、コンディションが戻って2試合出てきた時は流石でしたね。
- ただ、戦術的な意味合いもあったんじゃないかと思います。広く守るサッカーだと膝に不安があるので負荷をマックスでかけられない。アンカーが相手のFWをマークするタスクになっていたのもあって、かなりの距離をスプリントしないといけないので、そこは選手特性とアンマッチだなという感じはしました。
Q.
- 結果的には深井のコンディションが戻ったタイミングと、戦術的な方向性が”軟着陸”したタイミングが一致した。
A.
- そんな印象でした。まだちょっと、3バックの前を1人で守る役割は膝の問題もあって不安ですね。
Q.
- 宮澤。
A.
- 2008年入団なのでもう31歳ですね。年齢だけじゃなくて元々の選手特性もあって、そんなに速く動ける選手じゃない。けど、監督の要求に一番応えてきた選手かもしれません。15年前、若手を育てるんだと言って柳下監督を招聘しましたが、実は一番伸びたのは砂川選手だったんじゃないかって話とかぶりますね。
Q.
- 元々タスクが多かったけど、極端なマンマークになって更に増えた。
A.
- 常に状況によって、最終ラインにいたり中盤にいたり判断しないといけない役割でした。チームとして見た時に、そこまで複雑なことをやらせてプラマイどうなってるか?ってのは疑問ですけど、成長しようとする姿勢は凄いなと思いますし、それ自体が選手からのミシャへの信頼を物語っているとも言えると思います。
Q.
- 駒井。
A.
- 完全復活してくれたのは明るいニュースでしたし、かなりフィジカルに寄った2020シーズンのチームでも中心でやれたので、寧ろパワーアップして帰ってきた感はありますね。以前から、ビルドアップの際にボールに寄りすぎるのが気になりますが。
Q.
- 特に何がいい?
A.
- スペースを見つけて必ずドリブルをするので、ボールがよく動くし、相手を動かすことで攻撃が循環します。あと、前線で起用された時に、味方の状況を見て守備のサポートの判断…マークを捨てていくべき時といかなくていい時の判断とか警戒の仕方が流石だなと思います。
- ただチャナティップ同様、あまり得点力はないので、前線で使うなら、その分をカバーできる選手がいた方がじり貧にならないと思います。
Q.
- シャドーだとフィニッシュの部分での要求ハードルは上がるよね。もっともチャナティップが復帰したら左シャドーでは起用されないと思うけど。右のインサイドハーフが一番適している。
A.
- 右のウイングバックの選手が持った時に、駒井選手が近くにいるとそれだけでパターンが増える。アウェイのガンバ戦のドドちゃんの1点目がそうでしたが、他の試合でも常に駒井選手が狙っていた形でした。ただ、相手のシステムによっては、1-3-4-2-1だとインサイドハーフってポジションがないのが問題ですね。
Q.
- 檀崎。試合で見れたのは数十分くらいだけど。
A.
- シャドーだと外国人選手との競争にもなるってこともあって、ウイングバックで練習していたみたいですけど、ルヴァンカップ見た感じだとフィジカル的な強度がまだ厳しいなって感じでした。いつも白井選手とかを見ていたので比較しやすいんですけど、最終ラインで下がって守って、そっから攻撃の際に一気に前に走っていくのは今の檀崎選手では無理だなって印象でした。
Q.
- 菅とか白井の走力が凄すぎて、そもそも他の選手には無理な仕事なんじゃないかとも思うけど。
A.
- それもありますね。ただ、若手選手みんなに言えますけど、ある程度フィジカル的に要求水準に達してないとめちゃくちゃ使いづらいですし、期限付き移籍とかしても使ってもらえない。それは檀崎選手の場合、他のチームで4バックのサイドハーフとかやっても、フィジカル的&戦術的にまず守備ができるか?ってのが運命を分けると思います。
- その意味では、オーストラリアに移籍して、最初の試合はトップ下で出たみたいですけど、トップ下でエキストラプレイヤーっぽくなるのはどうなのか、って感じもします。試合に出るのが何よりも重要だと思いますが。
Q.
- チャナティップ。
A.
- まず、彼はFWじゃない。トップの1枚裏でプレーする選手です。だからトップの選手がいなくなるトータルフットボール路線だと消えます。本人はやってて、なまら悩んでたと思います。四方田体制でも、左シャドーと言いつつサイドハーフみたいな役割だったので、確か「左サイドは難しい」みたいなことをタイのメディアに言ってたみたいですし。その意味では駒井選手、荒野選手と組んで前線で先発していたのは、ちょっとクレイジーでした。今シーズンだからこそできるやつだなって思って。
- サッカーの方向性が変わってもチャナは必要?というと絶対必要だと思います。札幌にはシュートの手前のプレーができる選手がチャナとかルーカスしかいない。だいたいどこのチームでも、下部組織から天才的な少年が数年に一度は輩出されて、その少年は中盤の攻撃的なポジションをやってることが日本では多いけ、ど札幌はそういうタイプがなかなか出てこない。そのタイプを他所から買うと高い。だからチャナは重要で、あとOff the pitchの面でも必要なのは言うまでもないです。
Q.
- 白井。京都サンガへの期限付き移籍が決まった。
A.
- 故障もあって出場機会が減りましたが、本来はもっと出られる選手ですよね。抜かれたのは痛いけどそりゃオファーあるよな~って感じがします。戦術的にも、広く守るスタイルに合いそうなのでもっと見たかったのはありますが、金子選手の台頭もあって仕方ない気がします。
Q.
- 中野。
A.
- よしくんですね。どんどん、よしくんにフィットしない方向にチームが変わっていくので、なんで獲ったんだ感じもします。白井選手が抜けてしまったのもあって残ってほしいんですけど、働き盛りの選手としては色々考えているでしょう。
Q.
- 確かキャンプ期間中に「俺本当はシャドーっすから」ってミシャにアピールしたらしいよね。
A.
- トータルフットボール革命初戦ではシャドーってか左のインサイドハーフみたいな役割で、その後も中盤センターとかで出てましたよね。その意味では本人の希望と言うかコミュニケーションはとってるのかも。
Q.
- 荒野。札幌ドームMVPだから、実質サポーターが選ぶシーズンMVPみたいなもんだ。
A.
- 私はルーカス選手だったと思いますが、荒野選手も同じくらい良かったと思います。2019シーズンの開幕に「荒野のシーズンになるのか?」って書いて、そのシーズンは多少浮き沈みがあったんですけど滅茶苦茶よくなったなって印象でした。それがトータルフットボール革命によって不可欠な選手になった。
Q.
- 動的なゲームだと運動能力が活きるよね。
- あと、2015年?くらいに小野や稲本が「お前は攻撃的なポジションじゃなくて後ろの方が向いている」って言ってたけど荒野は当初聞かなかった、みたいな話があったけど、結果的に2020シーズンは前線でも躍動していた。
A.
- 力強さもあって速さも耐久性もあるので、中央でプレーしても簡単に潰されないのが滅茶苦茶チームを助けていたと思います。これも駒井選手とチャナティップ選手だと、その辺がかなり足りなくなるんですけど、荒野選手がいたから川崎相手に速攻も成立したところもあって。シーズンを通じてこのスタイルの核だったのは間違いないですね。
Q.
- 金子。
A.
- このチームはずっと左利きの右シャドーを探している、というのが私の仮説なので、その意味では大誤算ですね。彼はサイドアタッカーで、中央で仕事をする選手ではないのがわかった。
- けどサイドでタッチラインを背にして得意な形で持つと滅茶苦茶強い。自信に満ち溢れてますよね。だいたい左足でフィニッシュするとわかってても止められない。シーズン終盤になると90分アップダウンできるようにもなったし、ウイングバックとしては計算が立つ選手になったと思います。もう少しボールを持つ時間が長くなるとより脅威になると思います。逆足のウイングバックは。
Q.
- 高嶺。
A.
- 一言で言うと、狂ってもないし犬でもない。非常にスキルフルで賢い印象を受けます。近くの相手選手との駆け引きが巧い。色々な選択肢を見せているので、パスとか反転で裏を取ってビルドアップができます。加えて遠くを見れる。ターンできるタイミングを常に狙ってますね。たまに急ぎ過ぎて引っ掛けてしまうこともありましたが。
- ただ、福森選手の代役でCBでも起用されましたが、ボールを運べるのでいけるやん!って感じでしたけど、本質的には守備負担が大きいポジションで起用するには向いていないように感じます。その役割からは解放した方がいい。最終ラインは中村桐耶選手が復帰するみたいですが、起用法がどうなるか注目ですね。
5.4 FW
Q.
- 最後にFW。ウーゴヴィエイラから。
A.
- 評判通りのボックスストライカーでしたね。それは分かった上で、「思ってたんと違う」ってことで非更新になったんでしょう。
- ベンチで喧嘩しない限りは頼りになるFWは何人いても困らないので、お試しをしたフロントの判断は間違ってないと思いますね。コストを払わないと良質な情報は得られないという意味ではいいシミュレーションだったと思います。
Q.
- 武蔵。
A.
- フリーキックも決まるようになって、もう国内でやることなくなってきたタイミングで引き抜かれましたね。野々村社長の言う「選手の成長にクラブが追いつかなくなったら~」ってタイミングだったと思います。武蔵選手は国内トップのFWだとして、コンサドーレはトップクラブではないので。
- 常々言ってますけど、武蔵選手が札幌に来たのは、都倉選手が移籍してポジションが空いてチャンスがあると感じたからで、その意味では、チームのサイクルを回していくために選手の入れ替えは不可欠です。ルヴァンカップはもう過去の話なので、地に足をつけていくべきだと思います。
Q.
- アンデルソンロペス。
A.
- ファクトとして明確に覚えているのは、8月末の、ルーカス選手がPKを失敗した名古屋戦あたりから急激にスタイルが変わって。それまでは自分が好きなタイミングで前向いてドリブルを仕掛けるみたいな感じだったのが、ボールを大切にする、味方の攻撃参加を待ってプレーする選手に変わって、シャドーと言うよりFWとして計算が立つようになったなという印象です。
Q.
- ジェイと仲が悪いわけではないと思うけど、終盤戦はコミュニケーションが増えた気がする。
A.
- もしかしたら関係があるのかもしれないですね。まさにジェイ選手がやるような役割を、アンロペがトップで出た時は担おうとしてたように見えました。
- その辺関係があるのかはわからないですけど、今トータルで一番バランスがいい前線の選手で、開幕から柱になってほしいと思います。何とかして奥さんが来日できるといいですが。
Q.
- ドウグラスオリヴェイラ。
A.
- なんか応援したくなる魅力がありますよね。
- それはともかく、元々はこんなに重要な役割を期待されてなかったはずですね。4人目のFWであり6人目の外国人枠選手。それが武蔵選手の移籍と、アンロペ選手の一時帰国、ジェイ選手のいつもの離脱もあって前線はコマ不足で、ソンユン選手の退団で出場枠の問題もなくなった。チャナティップ選手が使えないタイミングもあったりで、一気に仕事が増えた。
Q.
- リーグ戦で2点、カップ戦で1点しかとってない。
A.
- そもそも、あれで10点取れたら札幌に来てくれないですよね。でかくて当たりにめっちゃ強いし、そこそこ速さもある。あと、多分彼はフットサル出身なんじゃないかと思うんですけど、足裏でコントロールしたり前を向いたらシザーズをしたり確かに化けそうな匂いはする。三上GMは昔からこの手の選手大好きですよね。
- 問題は、空中戦に激弱。まずポジション取れてないことが多いですし、合わせるタイミングもよくない。インテンシティの高い展開でゴールが期待できる選手ではないですよね。スペースに走らせる使い方はできるけど、駒井選手やチャナティップ選手がスターターで、途中からドドちゃんってのは、ぶっちゃけ武蔵選手が1人でやってた仕事を分担しているようなものでもあって、川崎相手にはそれで勝てましたけど、ゲームプラン的にも問題がある。
- そう考えると、後半オープンな展開になってからドドちゃん投入が終盤戦はお約束になってましたけど、正直ジリ貧ではありますね。
Q.
- 小柏。
A.
- うまい。速い。すごい。「すぐ使いたい」って言ってたのも頷けます。けどウイングバックで使う意味は分からない。問題は前線だとちょっとチャナティップ選手と被る。うまい具合に棲み分けできるといいですが。
- 2021シーズンもオプションとして2トップを用意しておくなら、左利きのFWが2人いるので右利きの彼は起用しやすいと思います。
Q.
- 最後に、ジェイ。
A.
- 2020シーズンは、コンサドーレが改めて「タイトル獲得が目標ではないチーム」としてリスタートすることになったシーズンだと思うんですけど、その身分で考えると、ノースロンドン生まれのライオンハート・ジェイボスロイド様はラグジュアリー品だなって感じがします。
Q.
- 面白いのは、稼働率が毎年約2/3。ここ3シーズンは24,23,22試合出場だし、2017シーズンも、磐田にいた頃も同じくらいの割合だった。必ずその期間いないって考えると…
A.
- 1発勝負のカップ戦の決勝、みたいなシチュエーションにまた立てるとしたら、ゲームを決められる選手として外国籍選手5枠のどこかに入ってほしい。けど目標がまずJ1残留、と考えるとちょっと違ってくる気がします。そういう観点でクラブもシビアに考えていたのかもしれません。
- ただ、コンサドーレだけでなくJリーグ全体、もしくは世界的に見てもゴールに背を向けてプレーする(味方に前を向かせる仕事ができる)タイプのFWって、チェルシーのジルーとかはいますけど非常にレアですよね。だいたい今のトップクラスのFWって速くて巧いので。
- 加えてジェイ様の場合は空中戦に強い。ドドちゃんなんか典型ですけど、対角に恵まれていても空中戦苦手なFWが近年多いので、これもレアな能力でチームに1人は確保しておきたい。年齢や稼働率の問題以上にジェイ様の代役は不在なのが現状だと思います。
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