2018年5月7日月曜日

2018年5月5日(土)14:00 明治安田生命J1リーグ第13節 北海道コンサドーレ札幌vsガンバ大阪 ~厚別仕様の高速クロス~

0.プレビュー

スターティングメンバー

 北海道コンサドーレ札幌のスターティングメンバーは3-4-2-1、GKク ソンユン、DF進藤亮佑、キム ミンテ、福森晃斗、MF駒井善成、深井一希、宮澤裕樹、菅大輝、三好康児、チャナティップ、FW都倉賢。サブメンバーはGK菅野孝憲、DF石川直樹、MF兵藤慎剛、ジュリーニョ、早坂良太、荒野拓馬、FW宮吉拓実。前節出場停止処分で欠場したキム ミンテと、前節休養させた前線3選手ががスタメンに復帰している。
 ガンバ大阪のスターティングメンバーは4-2-1-3、GK林瑞輝、DF米倉恒貴、三浦弦太、ファビオ、藤春廣輝、MF今野泰幸、マテウス、遠藤保仁、FW藤本淳吾、倉田秋、ファン ウィジョ。サブメンバーはGK谷晃生、DF初瀬亮、菅沼駿哉、オ ジェソク、MF食野亮太郎、FW長沢駿、中村敬斗。第4節以降欠場が続いていた今野は前節途中出場し、この試合からスタメンに復帰。やはりクルピのチームはターンオーバーに消極的で、負傷者が出ない限りリーグ戦ではほぼ同じメンバーを使い続けており、4/21の第9節からこの試合に至るまで、今野と米倉以外は5試合連続で同じメンバーが送り込まれている。ここ2節は2列目中央に藤本、右に米倉という布陣で鳥栖、仙台に2連勝と復調傾向だったが、今野が復帰した影響で遠藤がトップ下、藤本が右MFにスライドし、米倉とオ ジェソクとの択一で前者が選択された。

1.ガンバ守備の基本構造


 試合後のペトロヴィッチのコメントにある通り、前半、札幌はガンバがボールを保持すると高い位置から守備を仕掛けてボールを回収することを試みていた。
--ホームゲームだから前からプレスを仕掛けたのか?
毎試合、状況は異なります。相手も異なります。(前節・)鳥栖戦とガンバ戦はやはり内容は違います。われわれの状況も違います。今日は相手が後ろからビルドアップをしてきますから、自分たちのゴールから遠ざけていくことを考えてプレーをしました。今日に関してはそういう戦い方を選択しました。
一方でこのやり取り(監督の試合後インタビュー)では触れられていないが、ガンバも札幌に対して前線からの守備を意識してゲームに臨んできていた。恐らく札幌のこれまでの試合運びを見ていて、後方からボールを繋ぐことに挑戦しているがその精度はまだ改善の余地があること、前節鳥栖戦の失点のように高い位置でプレッシャーを与えればミスを誘発してビッグチャンスを得られる期待もできると分析したのだと考えられる。
 高い位置から守備を行うことについて、ミシャのコメントは「自陣ゴールから遠ざける」という表現になっていて、ガンバはクルピが特に言及していないが、「自陣ゴールに近い位置で5トップの相手をするよりも、札幌ゴールに近い位置で札幌4バックに仕掛けていく方がローリスク・ハイリターン」といった考え方だったと思われる。

1.1 ガンバ守備 vs 札幌4バック

1.1.1 ハイプレスのための準備と役割


 札幌が自陣深くからのリスタート(ゴールキック等)や、最終ラインにバックパスをして攻撃を再構築しようとすると、ガンバは4-4-2、最前列に遠藤とファン ウィジョを配した形で守備をセットする。初期配置は下図の通りだが、遠藤とファン ウィジョの役割は異なっており、
ガンバ守備の初期配置

 遠藤はアンカーポジションに入る宮澤か深井をマーク。ファン ウィジョは札幌最終ラインの選手にボールが入ると守備のスイッチを入れる。が、この2人の横並び関係(ファン ウィジョは左寄りを定位置としていた)もあって、ファン ウィジョは多くの場合、キム ミンテを実質的な守備対象と見ていることが多かった。そのため、反対側のCBの位置に入る選手(図では深井)に対してはあらかじめ藤本がポジションを上げて備えさせる。しかし藤本が高い位置を取ることは"ポーズ"である(次項1.1.2参照)。
遠藤がアンカーを見て、ファン ウィジョは基本的に札幌の右DF

1.1.2 福森は簡単に使わせない


 ク ソンユンのゴールキック等で深井かキム ミンテにボールが供給されると、下のように動く。先述のように藤本が高い位置をとっているのは深井に対するポーズで、実際の役割は福森を見ている。遠藤は宮澤を見ているので、深井が反対サイドに展開する(①)。
 ここでキム ミンテに渡ったところでファン ウィジョがスイッチを入れ(②)、ミンテから見た中央~左のコースを切りながら寄せていく。
札幌右サイドに展開を誘導

 ミンテはファン ウィジョが寄せる前に中央にシンプルに蹴るか、大外で待っている進藤に出すか、という二択を迫られる。ここでいう中央に蹴るというのは、都倉を走らせたアバウトな放り込みか、受け手(基本的には三好が想定される)と呼吸が合えば三好の足元への楔のパスも入れられる。ただ後者の場合、三好はマテウスや倉田、そしてファビオが寄せてくる中でボールを扱うことになる。

1.2 ガンバ守備 vs 5トップ

1.2.1 ガンバの準備(4バック+今野 vs 5トップ)


 ガンバがキム ミンテに圧力をかけ、ミンテにボールを手放すことを強いた時、ミンテもしくはミンテから預けられた進藤が前方へのパスを選択すると、局面は札幌の5トップvsガンバ最終ライン+αの攻防に移行する。基本的にガンバは前3~4枚でのプレスが突破されると、4-4のブロックを作ってリトリートに切り替える。

 この時、4バックのガンバはマッチアップを以下のように考えている。
マッチアップの考え方(今野を加えて5 on 5)

 両SBは札幌のWBを見る。ボールサイドのシャドーはCBが見て、もう1枚のCBが都倉を見る。問題はボールと反対サイドのシャドーだが、ボールと反対サイドのボランチ…ボールサイドが札幌右サイドの場合、今野がマテウスに比べて低い位置をとって、チャナティップを視界に収めておく。
 このやり方を考えたときに、恐らくマテウスがあまり最終ラインに吸収されるたり、シャドーの三好に付いていく展開をガンバは好ましく思っておらず、より守備的な今野がチャナティップをケアし、マテウスは"余りやすい"ようにしたいとの考えもあって、札幌の右サイドに攻撃を誘導していたのだと思われる(勿論、福森に持たせたくないというのもある)。

1.2.2 逆サイドで生じていたギャップ


 実際の試合展開を見ると、進藤が持ち上がった時にまずガンバにとって問題となったのが、中央の今野とマテウスの前方にできるスペース。これはハイプレスを仕掛ける際に、遠藤が高い位置をとっているが、札幌がプレスを回避(無理やり前に放り込んだり、オープンな進藤に預けたり)した時に遠藤があまり精力的にプレスバックしないため、札幌のアンカー(図では宮澤)がポジションを上げるとこの位置でフリーになりやすい。
 ここで中央で宮澤をフリーにさせたくないということで、今野がポジションを上げれば、チャナティップが前線に張り付いたり、裏に抜ける動きをした時にを視界内に収めることが難しくなり、チャナティップが中央でフリーになりやすい。米倉はこの今野とチャナティップの関係性をフォローする必要があるため、あまり菅に寄り過ぎたポジションをとれない。
 よって必然と大外で菅はオープンになりやすい…というのが4バックのチームに対するミシャサッカーのお約束であって、進藤はボールを持った時にサイドチェンジが蹴れる状況であれば最初に菅を意識する。
大外のWBが余りやすい

序盤から今野は進藤にボールが入る前後で首を振ってチャナティップの位置を頻繁に確認していたが、今野が前方のスペースをケアするために前目のポジションを取った時、チャナティップはその背後を狙う動きをすると、今野はそれに付いていかないことも多かった。これを見る限り、恐らく米倉に受け渡すことは想定内だったと思うが、それは菅がオープンになることを許容していることを意味する。

2.サイド攻撃の深度がフィニッシュの質に

2.1 健太式で5トップに対抗するガンバ

2.1.1 4バックはペナ幅、大外はSHに任せる


 9分、ゴール前でクロスに飛び込んだ都倉とガンバのGK林が交錯し、林が頭を切ったため試合は17分過ぎまでの約8分間中断する。この数分間、札幌の選手は体が冷えないように体を動かしていたが、ガンバは4バックとマテウス、今野が集まって入念に話し合いをして何かを確認する。クルピのトレーニングは紅白戦が中心で、守備練習は殆ど行わないと聞く。バックスタンドから見ている限り、この試合を通じても選手がベンチからの指示を受けることは殆どなかったが、恐らくこの選手間の話し合いで決められた結果、ガンバは札幌の5トップに対して以下のように対処する。

 札幌のWBにボールが渡ると、ガンバはボールサイドのSHがプレスバックしてWBに対峙する。札幌右サイドであれば、駒井に対して左SHの倉田。4バックはペナルティエリア幅から動かない。
札幌WBにボールが入るとSHが下がって5バック化する守備に切り替える

 これは反対サイドでも同じだった。また下の33:10頃のように福森が攻撃参加した場合、この試合を通じて福森をケアする役割を担う藤本はそのまま福森を見る。となるとこの場合は大外の菅を米倉が見るのかと思うが、そうではなく福森からチャナティップ経由で菅に渡った時、菅は放置される。米倉はペナルティエリア幅から動かない原則を守っているので大外はフリー、簡単にクロスを上げられる体勢が整う。
多少のマークずれが発生してもDFは基本ペナ幅で動く

2.1.2 サイドハーフを押し込むことに成功


 この対応(最終ラインをSHがサポート)をする意識が高まると、ガンバのSHは高い位置をとりづらくなる。前線からの守備については、林のアクシデントを挟んだ後も一定期間続いていたが、30分過ぎころにになると基本的には4-4ブロックを作ってリトリート。遠藤とファン ウィジョは前目に残して、元々の役割をほぼそのまま続けていたが、藤本と倉田は今野とマテウスのラインに近づいていく。よって札幌は、オープンな進藤や福森がボールを運び、簡単にハーフウェーラインを超えることができる。

2.2 高速クロスを許した守備基準のズレ

2.2.1 途中から守備基準が変わる


 ガンバの対応について問題を1つ挙げると、「最初にSHを落とすサイド」を決めた後、札幌が攻撃サイドを変えた後もこの対応が継続され、5バック状態が維持されることで、本来ゾーン守備で考えられていたものが途中からスペースを守っているのか、人を守っているのか曖昧になってしまっている点。
 先制点に繋がる↓の38:06は右サイドの引いた位置で駒井がボールを受けた時。ガンバは4-4でブロックを構えているが、倉田はこの時点で駒井を意識したポジション取りを開始する。ウイング的なプレーのイメージが強い駒井だが、札幌では頻繁にこのような低めの位置に下がってボールを受けることでビルドアップを助けることもよくしている。この時も駒井のバックパスで札幌は攻撃を作り直すが、札幌がやり直しを選択したにもかかわらず、倉田はこの後、駒井にずっとついていく。
※キャプチャ画像で図解していましたが削除しました。

 ク ソンユンを経由して反対サイドから札幌が作り直す。↓の38:15は深井がドリブルでボールを運ぶところだが、先述のようにSHの役割に最終ラインのケアが加わったガンバはこの位置の守備をファン ウィジョ1人に任せている。そして画面手前で、倉田は頻繁に駒井を確認しながら5バックのポジションを維持するので、ガンバの中盤は3枚で対応する状況になっている。
※キャプチャ画像で図解していましたが削除しました。

 深井がファン ウィジョを振り切ってハーフウェーラインを超える。3枚で対応しているガンバはマテウスの左、本来倉田が守っていたスペースが空いていて、ここに三好が落ちてくる。この時、藤春は大外(駒井)を倉田に預けているので、藤春のマッチアップは三好と考えればスムーズに整理されるはずだが、この位置(マテウスのすぐ横)まで出ていくことは想定されていないので対応が一瞬遅れる。要するにゾーンで守る原則で考えるとこの位置の三好は藤春の担当ではないのだが、倉田のポジションによってその原則が崩れている。
 同じ問題は右サイドの米倉と藤本のところでも起こっていて、本来米倉はペナルティエリア幅、大外(札幌の菅)は藤本が見るはず。しかし倉田が下がった5バック状態が維持されているので、米倉は大外の菅を意識したポジション取りをする。一方でCBの三浦とファビオはゾーン守備で考えていて、2人で都倉を挟むように位置取りをしているので、チャナティップへの対応が曖昧になる。藤本は、米倉が菅を見るなら自身は2列目のMFとしてそのまま振る舞ってよい。しかしここでボールホルダーにアタックできないのは、最終ラインをケアする役割は放棄していいのか迷いが生じているからで、結果的に殆ど守備に関与できないまま深井の侵入を許している。
※キャプチャ画像で図解していましたが削除しました。

 また上記で触れている構造的な問題と別に、ガンバの中盤の選手は中央でジョギングしている遠藤を筆頭に、個々の守備強度が高いとは言えない。

 「得点に至る二手前」、三好が菅に展開する局面では、下のようにガンバの守備はいつの間にかマンマークに切り替わっていて、画面手前側、ピッチ中央でがっつりスペースが空いている。そしてマンマークに切り替わっているらしきものの、大外の菅はフリーにしているため、結果的に米倉の対応が遅れ、菅⇒福森のバックパスから得点に繋がるクロスを許している。

2.2.2 高速クロスが先制点を生む


 先制点の場面では、こうしたガンバ守備の曖昧さを札幌が突いてサイド深くに侵入し、ガンバの選手をゴール前に押し込んでからの、福森からの低く速いクロスが先制点を生むこととなった。
 前半、札幌は左サイドから何度か低く速いクロスを狙っていた。2017シーズンから、札幌のサイドアタックのフィニッシュは基本的に左から、ファーサイドの都倉またはジェイを狙う高いクロスが主体で、相手のCBを超えて背の低いSBを狙い撃ちするパターンが大半だったが、この試合、菅は明らかに意図して低く速いクロスを狙っていた。低いクロスはDFが揃っている状況では相手に当たりやすく、DFとGKの間を狙うなど工夫が必要だが、そのメリットはクリアが難しいことと共に、風等の影響を受けにくいこもある。恐らく厚別の風を意識し、サイドでギャップを作った上での高速クロス、というパターンは石井されていたのだと思われる。バックスタンドで見ていて菅が立て続けに供給していたクロスの鋭さには少し驚いたが、先制点の福森のボールは更に高速で鋭く曲がるものだった。

3.後半の変化


 後半、ガンバは守備を見直し、札幌からボールを取り上げるとともに攻勢に出る。結果的に、ボール支配率は前半の各時間帯では札幌、後半は各時間帯でガンバが上回るという前後半で対照的な数値が示された。

3.1 長澤の投入と前線守備のテコ入れ


 ガンバは後半開始から、今野→長澤に交代。
46分~

 長澤を入れて2トップにした目的は攻守両面であり、まず守備面では遠藤よりも守備強度のある長澤をファン ウィジョと並べることで、札幌の組み立てに対して完全に数的同数で対抗すること。後半から追い風となることも活かし、札幌に蹴らせることでボール回収を図る。
2トップにして前線守備の枚数を増やす

3.2 札幌の守備に生じたギャップ

3.2.1 前半の対応


 前半、ガンバのボール保持に対する札幌の守備対応は以下のようになっていた。ここ数試合と同じように、チャナティップと三好のスタート位置及び役割は異なっていて、都倉と三好の立ち位置によって基本的に札幌から見て左、相手から見て右サイドに一つ目の展開を誘導する。そして相手の右SBに対し、対人守備が得意なチャナティップが寄せていくところで長いボールを蹴らせるなどしてボールを回収する。
(前半)基本的に米倉に誘導してチャナティップをぶつける

3.2.2 ガンバ後半の変化


 ガンバは後半、攻撃時に下図のように形を変える。ポイントとなるのは、SBが最初から高い位置を取ることで札幌の1列目3枚に対する配置的優位性…初めから札幌の1列目を超えられるポジションを確保する。
 ミシャの言葉通り、札幌がガンバからボールを取り上げたい。そのためには高い位置から圧力をかけていくことが必要で、都倉だけでなくチャナティップと三好を1列目に置いた5-2-3の守備陣形を維持したい。一方で5バックの札幌は、相手のSBをチャナティップと三好が見ない場合、最終ラインで5バック化しているWBの駒井と菅がSBを見ることになるが、WBがポジションを上げると最終ラインでCBとの距離が開くか、それを嫌ってCBがボールサイドにスライドした場合マークずれが起きやすい。
SBが最初から高い位置をとるので守備基準がずれる

 CBがボールサイドにスライドすると、開幕当初頻発していた、中央にCB(キム ミンテら)がいなくなる問題が発生する。これが失点の一番の原因となっていたので、その後はCBを中央からあまり動かさない、そのためにもWBもあまり動かさない、というやり方に変えて失点を減らすことに成功した札幌だったが、後半ガンバが形を変えると、守備対象のSBが消えた前線3枚は以下のように動く。するとSB(図では藤春)がフリーで、駒井がポジションを上げて対応すると、駒井の背後はCBがスライドしない限りオープンになる。CBはガンバが2トップに変わったことで、後半立ち上がりは様子見もあって中央を動きたくない。この仕組みによって札幌のサイドは手薄になり、藤春の一番得意な形(かつ、ウイングがいないガンバのサイドアタックの生命線)であるサイドでのオーバーラップが少しずつ増えていく。
5-2-3のまま前方の選手に守備をするとSBがフリーになり、WBが釣り出される→サイドから侵入される

4.落ち着かせたい札幌

4.1 荒野の投入と攻守の意図


 57分、札幌は三好→荒野に交代。
57分~

  ガンバのSBが高い位置を取るので、前線3枚の5-2-3よりも、中盤に3枚を置く5-3-2の方がSBを捕まえることと後方の枚数確保を両立しやすい。
「3」を低い位置に設定してSBをケアできるようにしたい

 もう一つの狙いは、攻撃時に都倉をサイドで起点にさせること。中央でファビオ&三浦を相手にするよりも、サイドに流れれば主な相手は米倉、ボールが流れれば藤本や遠藤となって(三浦もいるが)ポイントを作りやすい。一方でこの時間帯になると、札幌は後方からのショートパスによる組み立てをほぼ放棄し、大半の攻撃機会を都倉への放り込みに費やすこととなる。
都倉を左のFWに配して米倉にぶつける
 65分、米倉は接触プレーで痛みオ ジェソクと交代。ただ上記も要因の一つだったと思われる。

4.2 それでもガンバペースだったが…


 札幌がシステム変更で中盤を厚くしてもガンバペースが続く。札幌が2トップとなったことで、ガンバはCBが札幌2トップ脇から運ぶドリブルを切り口として前進していく。運ぶドリブルによって札幌の1列目が剥がされると、2列目から荒野または深井が対応するが、この両者はガンバのサイドアタックに備えておきたかった駒。右サイドで荒野が剥がされて、サイドの倉田や藤春に展開されると、駒井1人でディレイさせてヘルプを待たなくてはならない。
CBの運ぶドリブルからずらされていく

 札幌は押し込まれる展開が続くが、72分、札幌はロングボールから右サイドでチャンスを作り、駒井のクロスに都倉のオーバーヘッドが決まって2-0。結果的にはこれもサイド深くに侵入してのクロスからの得点だった。
 その後は札幌が石川、兵藤を投入して守備固め。ガンバは中村敬斗を投入するが得点は奪えず、2-0で札幌が勝利。

5.雑感


 気温11度の肌寒さの割には、そこまで風の影響は感じなかった。それでも、ウインガーがおらずサイド深くに侵入が難しいガンバのクロスはゴールから遠い位置からのアーリークロス主体で、ことごとく味方に合わない様子は確かに風の影響を感じさせた。対する札幌は、前半はサイド深くに侵入して風の影響を受けにくい低いクロスで先制するところまでは狙い通りだったが、後半は相手の前線守備に加えて都倉へのロングボールも機能せず苦しい戦いを強いられた。三好を57分で下げて5トップの看板を下ろす采配は慎重すぎるとも感じたが、この状況では他に代案がなかったとも言える。

2 件のコメント:

  1. 深井が頼りになりつつも無理遣いできないということで3枚の交代カードは実質深井さんで1枚使うことになっているミシャコンサ。ガンバにとっての今野はそれ以上に依存度が高いようですね。運動量が少なく守備もあまりやらない遠藤や藤本はかなりな叩かれようですが、最初から後半開始時のようなメンツだったら話は変わっていたかも知れません。

    四方田式は基本5バックでスペース空けない、ズレも起こさない(起こさせない)撤退守備なので必然的に前のメンツが足りなくなる。荒野を入れて3ボラにしたのがミシャ自身のアイディアなのか、四方田さんの進言がどれくらい入っているのかは興味深いところですね。

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    1. 今のミシャは使えるものは色々試そう的なスタンスは感じますね。5-3-2で守るのは浦和戦でやってみて、(去年からそうですが)見ていて正直微妙だと思ったのですが、オプションとして持っておくのは悪くないので、中断期間まではなんとか現状のリソースでやりくりする感じでしょうかね。

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