2018年1月4日木曜日

北海道コンサドーレ札幌の2017シーズン(2) ~制約が産んだゲリラ戦法の限界~

3.考え抜かれたゲリラ戦法

3.1 弱者の兵法


 リーグ戦10節を終えた5月上旬時点での順位は、札幌は3勝3分け4敗、得点11、失点15で勝ち点は12。16位と6差の15位だった。勝ち点のペースとしては、例年のJ1残留のボーダーラインとほぼ同水準だったが、これよりも下に3チームがいたことで、悲壮感を持たずに日程を消化できたのは僥倖だった。
第10節終了時の順位表

 2012シーズンは、開幕10試合で1勝1分け8敗、この間は計8得点、17失点だったが、8敗のうち6試合が1点差負けだった。そして11節~20節までの10試合で計30失点と守備が完全に決壊し、事実上、早々と残留争いから退場してしまった。
 2017シーズンの札幌は、序盤10試合で勝ち点を拾えているが、2012シーズンを比較対象とすると、数字的には劇的に守備が改善された、クオリティの高いプレーをしていた、と言うほどではない。ただ、戦術的にはロースコアゲームに持ち込むという狙いやビジョンを共有し、開幕からぶれがなくアクションを続けたことが、一定の勝ち点を積む要因になったという印象を持っている。


3.2 CBの固定化とその理由

1)迎撃のオプション化にはカバーリングの整備が必要


 ロースコアゲームに持ち込む(≒失点を抑える)ために第一に考えられていたのは、CBを極力ゴール前から動かさずに守ることだったと思う。3枚のCBをゴール前から動かさないことで、相手FWのマーキングと共にハーフスペースの封鎖を担う。
CBは極力ゴール前から動かさず相手FWのマークとスペース封鎖を担う

 2016シーズンは、CBの守備対象となる選手がサイドに流れたり、中盤のスペースで受けたりすると、その選手のマーキングを担う札幌のCBの選手もマンマーク気味に付いていく対応が多かった。例えば下の写真では、3バックの右を担う菊地がセンターサークル付近にまで降りている相手FW(エスクデロ)に付いていく形で対応しているが、CBが出ることで相手のプレーの選択肢を奪え、プレーを切れるならよいものの、CBがゴール前を離れた場合、他の最終ラインの選手が絞ることで最終ラインを組み直す必要がある。
(2016年J2 30節)2ボランチが守り切れない中盤のスペースをCBが見る

 ここで、チーム全体として人につく意識が強かったり、カバーリングが徹底されていないと、下の図のように同時に2人の選手が相手に食いついてしまって、本来5枚を確保していたはずの最終ラインにスペースができてしまうということがあった(図では、右WBの石井と右CB菊地が両方食いついたので、最終ラインに福森と増川しか残っていない)。
(2016年J2 30節)最終ラインが同時に相手に食いつくとカバーリングが間に合わない

2)最終ラインの持ち場と仕事の限定化


 こうした事態(CBがゴール前からいなくなる)を防ぐためにどうしたかというと、札幌はサイドと中盤にも常に人を確保しておくことを徹底していた。まずCBがゴール前を固められるように、サイドにも常に5バックのSBとなるWBの選手(4月からは早坂と菅の起用が多かった)を置いておく。「サイドに蓋をする」という表現があるが、18歳の菅の守備能力で完全に蓋がされていたと言い難い時もあったが、少なくとも前提条件としてこのエリアから人がいなくならないようにという約束事はあった。
 守備時のWBの振る舞いが、サイドの深いエリアを守ることを意識すると、サイドの浅いエリアを別途保護する必要がある。この役割は中盤3枚の両端に位置する選手が担っていて、下図のように相手が右サイドから攻撃してきた時は兵藤がスライドして、SBから中央のコースを切る。そしてCBが出張しなくても問題ないように、CBの前方のスペースを残り2枚で埋めることになっていた。
最終ラインの持ち場と役割を固定し、中盤はその前方をカバーする

3)2トップの圧力による時間捻出


 札幌は後方に枚数を集めて人を捕まえているので、相手としてはこの状態でシンプルに縦パスを出してもギャップを作ることが難しい。よって横パスやバックパスを使い、札幌の選手を動かしながらギャップが生じたところを突いていくのがセオリーになる。特に、最終ラインは5枚で守っているのでスライドに強いが、中盤は3枚しかなく、またその性質上、3枚で中央だけを守っていればよいのではなく、サイドを保護するために結構な距離の横移動によるスライドを強いられるので、基本的には中盤のスライドが甘くなるところが狙いどころとなる。
 当然札幌もこのことはわかっているので、相手が最終ラインを使った横パスで攻撃をやり直すタイミングがキーポイントの一つであった。相手のSBの選手からCBの選手へと横パスが渡ると、札幌は相手CBに対して2トップが必ずプレッシャーをかけることになっていて、ここでの守備の強度も都倉とジュリーニョがファーストチョイス、金園がバックアップという序列に関係していた。
バックパスに必ず2トップが圧力をかけて陣形を整える時間を作る

 CBは相手もセーフティにプレーするので、ここで札幌2トップだけでボールを奪うことは難しいが、CBに対してプレス回避の仕組みを用意できていないチームはGKへのバックパスを余儀なくされることが多かった。バックパスの間に札幌は陣形の整えと、最終ラインの押し上げが可能となるので、ジュリーニョと都倉の働きは非常に重要だった。ただ、ジュリーニョはこのタイミングでボールを奪いたいという態度が伝わってくることも幾度かあり、都倉と2枚で圧力をかけたタイミングで後方の選手ももっと押し上げろよ!というリアクションをたびたびとっていた(特に、第2節の横浜F・マリノス戦はその傾向が顕著だった)。

3.3 徹底したリスタートの有効活用(札幌は「堅守速攻」なのか?)

1)リスタートの重視を示すデータ


 もう一つ触れておきたいのが、攻撃面での徹底したリスタートの有効活用である。シーズン終盤にスーパージェイが突如現れてから、前線への放り込みが非常に効果的になっていたが、シーズン序盤にまず目についたのが、攻撃面でのウィークポイントをカバーすべくリスタートを活用して前進を図るやり方だった。
 Jリーグの公式サイトに、+Qualityプロジェクトというページがある。反則ポイントとアクチュアルプレーイングタイムのデータがメインコンテンツだが、注目したいのは「リスタートにかかった時間」というコンテンツ。ゴールキック、コーナーキック時のリスタートにかかる時間がチーム別に示されているが、札幌はゴールキックの所要時間がリーグ平均の24.5秒に対し、29.1秒とリーグトップ。特に、「同点の時」「負けている時」でリーグ平均をそれぞれ6.8秒、4.3秒上回っているのが特徴で、試合展開に関わらず、ゴールキックの際に非常に時間をかけている。ク ソンユンは19節までに遅延行為で4枚警告を受けたが、これも遅延行為というより、ゴールキックを重視しているがゆえの結果だった。
 なお、コーナーキックの所要時間も札幌はリーグトップで、この数値もリーグ平均を大きく上回っているが、これはキッカーがDFの福森で、最終ラインからポイントまで移動する時間がかかることも影響していると思われる。
GKを蹴るまでの時間(出所:Jリーグ公式サイト)
CKを蹴るまでの時間(出所:Jリーグ公式サイト)


2)時間の捻出とロングキックでの前進


 リスタート、特にゴールキックに時間をかける理由は、ビルドアップがあまり得意でない札幌にとって、ゴールキックを蹴ることが陣地回復とボールの前進の手段となるから。守備時5バックで守る札幌にとって、守備から攻撃への移行時は最終ラインの押し上げや、WBの高い位置に張らせるなど陣形を変化させる必要がある。可変系システム(それこそ、ペトロビッチのチームのような)の場合、ボールポゼッションで可変する時間を捻出しているが、シーズン序盤の札幌はボールの保持が難しく、陣形を変え切る前に再びボールを奪い返されてしまうこともすくなくなかった。
 マイボールのゴールキックやフリーキックでプレーが止まっている時は、安全に陣形を変えることができる。またボールが止まった状態から、前線の都倉にボールを当てることで、オープンプレーで都倉に当てるよりも前進しやすくなる。近年、ゴールキックをハーフウェーラインまで蹴って空中戦で競らせるよりも、ショートパスでリスタートして着実に前進させようとするチームがJリーグでも増えているが、札幌のリスタートは大半が放り込みを選択しており、自陣からのゴールキックやフリーキックでの放り込みを恐らくリーグで最も有効に活用していたチームの一つだったと思う。

3)堅守速攻と危機回避


 「堅守速攻」という抽象的な言葉があるが、「堅守」はどちらかというとアプローチやアクションというよりも、そのチームの状態を示すもので、例えばハイプレス型でも籠城跳ね返し型でも、スーパーなGKのおかげで失点が少ないようなチームでも「堅守」と言えば堅守ではある。
 一方で、「速攻」は明確にアプローチやアクションをイメージできる。多くの場合、速攻型のチームは攻守の切り替え(トランジション)を重視していて、トランジションを起こすことのコントロールや、トランジション発生後のアクションの整備、また身体的な速さのあるアタッカーの起用等によって「速攻」を実現しているが、札幌は奪った後にすぐ都倉やジュリーニョに放り込むことは多かったものの、その目的は「速攻」というよりも危機回避の側面も小さくなかった。
 むしろ、四方田監督にとって重要だったのは、相手が守備陣形を整えていないうちに素早く相手ゴールに迫ることよりも、時間をかけられる時にできるかぎり時間を使う(一種の遅攻である)ことで、自陣ゴールが危険に晒される時間を少しでも減らすことだったのではないかというのが、このスタッツを見たうえでの感想でもある。

4.必然の先鋭化

4.1 ゲリラ戦の盲点


 ロースコアゲームに持ち込むための基本的な準備として、上記のような決まり事・約束事があったが、特に5バックと2トップの仕事は属人的な仕組みになっている。言い換えれば、自分のいるべきポジションに明確に守備対象となる選手がいる状態だと対応が安定するが、守備対象が明確にならない場合は対応に迷いが生じやすくなる。
 例えば2トップの役割は、相手のCBを見ることだが、相手が4バックでCB2枚のチームであれば圧力をかける局面やタイミングがわかりやすくなる。しかし相手が最後方に3枚を置いていると、シンプルに人を見るという対応では、FW2枚では十分な圧力とならないため、ギャップが生じ、目的の達成(CBのところで圧力をかけてビルドアップを阻害する)も難しくなる。
 開幕10試合のうち、3バックのチームは開幕戦の仙台と第4節の広島、第8節の浦和、第9節の磐田の4チームだった。このうち広島と浦和には基本布陣の3-1-4-2ではなく、各ポジションで枚数を合わせた3-4-2-1でほぼ完全なるマンマークで対抗した。磐田は柳下ヤンツー正明氏の言うところのリアクションサッカーで、中村俊輔がいないこと、また札幌が早い時間に先行する展開でもあったことから、後方に枚数を確保しておけばそう問題が起きる展開ではなかった(少なくとも60分近くまでは)。

 第11節以降、札幌はシーズン最長となる6連敗を喫することになるが、この時期は札幌のサッカーがそこまで大きく変わっているという印象はなかった。札幌側の最大の相違点は、6連敗の3敗目、第13節鳥栖戦の後半から荒野がアンカー、宮澤が右のインサイドハーフに配置転換がされたことだったが、これは選手特性(荒野の”対人の強さ”についてたびたび言及している)を考慮した四方田監督の判断によるもので、この2人を入れ替えたことで、荒野のスペース管理能力に疑問を感じることはあったものの、チームコンセプトがそう大きく変わるほどの出来事ではなかった。

4.2 6連敗を振り返ろう

1)アンカーどうするの問題


 苦戦の要因は、各チームが札幌のやり方を把握して対策を最低限、用意してきたことにある。
 先述のように、札幌は守備からゲームに入ることでロースコアに持ち込みたいが、この時の対応は属人的な要素が強く、”想定外の位置”に人を置かれると対応が難しくなる。
 具体的には、第11節から中断期間前最後の第18節までに対戦した8チームは、全て4バックのチームだったが、その大半のチームはCB2枚をサポートする位置にアンカーを常に置くことで、札幌の2トップによるプレス回避の安定化を図っていた。
 下の図は6/4の第14節神戸戦のものだが、札幌は2トップが相手CB2枚に対して固定的に対応するので、神戸のセントラルMFに対応できるのは札幌の中盤の選手だけで、都倉やジュリーニョのプレスバックによる守備もほとんどなかった。この試合、神戸は田中や小川の裏抜けによって札幌の最終ラインを下げさせ、中盤にスペースを作ることでボランチの三原やニウトンの周囲にスペースを作る。中盤は札幌が明確に人を用意していないポジションなので、スペースを作らせれば対応が極めて曖昧になる。よって下の図のように、SB→ボランチ→逆サイドのSB、という具合に、ボランチ経由でのサイドチェンジが成功しやすくなるので、相手にボールを渡すと札幌はボールの回収がかなり難しくなり、すなわち中盤の選手が非常に長い距離と時間を走らされることになっていた。
(第14節神戸戦)相手セントラルMFへの対応が不明瞭

 この「相手のアンカーどうやって見るの問題」が最も顕著だったのは、中断期間前の最後の試合だった第18節の大宮戦。福森のスーパーなフリーキック2発で追いついたが、前半開始15分間、15~30分間のボール保持率(Football Labによる)は大宮が73.4%、65.3%と、最終的にシーズン最下位に沈むことになる相手に対して一方的にボールを支配されることになるが、この試合もメカニズムは全く同じだった。
(第18節大宮戦)相手アンカーが空くのでサイドを変えられ放題に

 繰り返しになるが、札幌の守備において相手のアンカーが非常に空きやすいのは、FWの役割を相手のCBを見ることとして固定的に設定しているため。相手のCBにはプレッシャーがかかるが、札幌のFW~MF間でサポートしようとするアンカーをどう見るのかは、シーズン前半戦の大半で不透明だった。
 さらに掘り下げると、例えば下の5/14新潟戦の一局面のように、中盤の選手がポジションを上げてアンカーを見ようとする動きもあったが、この時に荒野は相手の左SB(堀米)も見る役割も担っている。ゾーナルな守り方であれば、写真ん右上にいる、右WBの早坂が前に出て堀米を見るという対応も考えられるが、札幌においてはそれはイレギュラーという位置づけであるので、このような形では、なかなか相手のアンカーやセントラルMFに圧力がかかりにくくなっている。
(第12節新潟戦)荒野はアンカーに付きたいが本来の仕事を放棄できない

2)隠し通せなくなる最終ラインの弱み


 上記1)に示した、中央のアンカーを使われることで生じる問題の一つに、最短距離でサイドチェンジをされることで中盤3枚のスライドが間に合わなくなることがある。6/17の第15節で対戦し、前半だけで札幌から3得点を奪った鹿島は、シーズンで最も札幌に対する準備や対策を備えたチームの一つだったが、この試合でシーズン前半の札幌の守備における限界が突きつけられることとなった。
 開始早々の鹿島の1点目は、アンカー経由ではないが、最終ラインを使ったサイドチェンジから。この時、札幌は中盤のスライドが間に合わないので、鹿島の左サイドから右SBの西に渡った時、対応したのは早坂だった。
(第15節鹿島戦)4バックのSBに強く当たりすぎると逆側でスライドが困難に

 通常の5バックのチームなら、中盤のスライドが間に合わないならWBが一列前に出てスライドする、というのはセオリー通りではあるが、札幌がこれを行うと、早坂の背後を隣り合う選手(福森)がケアするため釣り出されることになる。こうなると、やはり5枚いたはずの最終ラインが2人減って3枚となり、またCBの選手に対して与えられている役割は属人的・固定的なものなので、3枚でスペースを管理することが難しくなる。
 この時の失点は、最終的に大外から突っ込んできたSBの山本のマークがはっきりしていなかったのも問題だったが、その前の段階として、早坂と福森が釣り出された時に、元々属人的な役割を与えられている河合はマーカー(FW)を捨てられないのでハーフスペースに侵入してくる中村を完全にフリーにしてしまった。
(第15節鹿島戦)WB早坂が釣り出されると一気に仕事が不明瞭に

 札幌の守備は後方の選手が守備対象を明確に定義していることが前提だが、この時の早坂のように、本来守るべきエリアや選手を捨ててボールホルダーに当たる(フットサルで言うジャンプ)と、後方の選手が守備対象を再定義できず、ギャップを突かれてしまうのは、恐らく四方田監督が開幕時からずっと隠してきたウィークポイントだったのだと思う。

3)辿り着いた結論(人海戦術の徹底)


 この鹿島戦を踏まえ、1週間後の6/25に行われた第16節柏戦で採られた策は、四方田監督の守備に対する考え方が非常に如実に表れた試合だったと思う。SBが攻撃参加してくる柏に対し、この試合は最終ラインに加えて中盤の選手もマークを固定することで、ゴール前で絶対にギャップを作らないという姿勢がみられた。下の写真のように、柏は両サイドハーフが絞ってSBがポジションを上げる形を持っているが、右SBの小池がどれだけ攻撃参加しようとも、その対応は左インサイドハーフの宮澤に任されていて、宮澤がどこまでも小池についていくことで左WBの菅は対面の選手(伊東)への対応だけに集中することができた。
(第16節柏戦)最終ラインだけでなく中盤もマンマーク気味に(宮澤⇒小池)

 ただその代償として、相手SBの監視と中央のスペース管理を任された兵藤と宮澤は前半の40分頃には完全に疲弊していて、中盤2枚が明らかにタスクオーバーであった札幌は後半からやり方を変えざるを得なかった。
(第16節柏戦)中盤の負担が大きく前半で守り切れなくなる

 大宮戦の福森の活躍によって何とか15位をキープして中断期間に突入したが、戦力以上にチーム戦術的にかなりギリギリの(破綻寸前の)所での戦いが続いていた。

 札幌のFWが相手のCBに固定的に対応している要因の一つに、攻撃に転じた際の展開も考慮されていたと思う。前線の選択肢が事実上、都倉とジュリーニョのコンビしかない札幌は、ボールを回収した後に相手の最終ラインの裏、もしくはCBの脇にあるスペースにボールを展開して、都倉とジュリーニョがスペースに走る形が最も確度が高く、スペースに走り込むためになるべく2トップを高い位置に置いておきたいという考えがあったのだと思う。
 アンカーに宮澤が入るようになってからは、札幌の攻撃はそこまで速攻に”全振り”している印象はなかったが、アンカーを使った展開が警戒されるようになってからは、やはり都倉とジュリーニョの突進に頼らざるを得ない部分は大きかった。
(第14節神戸戦)2トップがスペースを突くのがファーストチョイス

 5月中旬からの6連敗~中断期間前最後の大宮戦までは、毎試合同じ要因に起因する問題が生じていて、それが容易に解決できないのは、攻守両面にわたる札幌の持ち駒の問題にもあった。守備面で攻略される試合が続いていたが、そもそもそうしたやり方をしなくてはならない要因として、攻撃面でオプションが少ないがゆえの問題でもあった。例えばボールを回収した直後、中盤でボールを1人で運べるスーパーなセントラルハーフがいれば、ジュリーニョと都倉を相手CBに張り付けておく必要はなかったかもしれない。
 開幕から離脱が続いていたヘイスの復帰と、チャナティップとジェイの加入はそうしたタイミングだった。

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