2024年11月10日日曜日

2024年11月9日(土)明治安田J1リーグ第36節 湘南ベルマーレvs北海道コンサドーレ札幌 〜変貌するには十分な時間〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:


  • 11月の平塚というと13年前、古田と宮澤のゴールで逆転昇格へ望みを繋いだ2011シーズンを思わせるシチュエーション。あの時は勇退が決まった反町監督と、アジエルのホームラストゲームで、それについて湘南サポーターのご夫婦となんとなくお喋りした記憶がありますが、記録を見ると18歳の遠藤航もCBとして出場していたようです。

  • 湘南はそんな時代を経ていつしか、終盤戦に強いチームとして認知されるようになっていましたが、このシーズンも21節までは3勝6分12敗で19位、要するにコンサよりちょっとだけ上の位置にいながら、22節から35節までで9勝1分4敗。計44ポイントの勝ち点を積んで残留争いからは抜け出しています。
  • 選手起用では後半戦からいくつか変わったところはありますが、最も注目するのが、あ変わらずパワー不足が否めなかった最終ライン、左に鈴木淳之介が起用されたのが17節以降、ここ数試合欠場していますが右DFに高橋が入ったのが22節以降。この日は鈴木淳之介ではなく松村が起用されていますが、懸念の最終ラインにこうした若手の起用で突き上げがされた上での安定化が図れたのは非常に好循環でしょう。
  • 夏には杉岡が首位・町田に移籍するという栄転がありましたが、左サイドの畑も好調を維持しており、23節以降の8試合に出場して3ゴール5アシスト。
  • 前線は見るからにポテンシャルがありそうな鈴木章斗が直近11試合で6ゴール。開幕直後に鮮烈な印象を残してから尻すぼみになってしまうかと思っていましたが、ルキアンの不在を埋めて余りあるパフォーマンスで前線を牽引します。

  • コンサは17位の柏と勝ち点差6。今節敗れ、かつ柏が1ポイントでも積んで差が7以上になるとJ2降格が決まるシチュエーション。今週半ばから札幌市内でも積雪がありトレーニングが満足に行えないという情報もありました。メンバーは髙尾が欠場で、右DF、というか「湘南のインサイドハーフとマッチアップする役割」に馬場が入ります。

2024年11月4日月曜日

2024年11月3日(日)明治安田J1リーグ第35節 北海道コンサドーレ札幌vsセレッソ大阪 〜重戦車カピシャーバ〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



(この項目のみ試合前に書いています)
  • 5月の連休にヨドコウスタジアムで行われた前回の対戦は、首位を走るセレッソと最下位に沈むコンサという状況でしたが、7月からセレッソは2ヶ月半もの期間リーグ戦で勝ちなしと失速。ただしここ5試合は湘南、ガンバ、浦和に3勝、柏に引き分け、前節は不調の磐田に敗れたものの最悪の時期は脱したと言えるかもしれません。
  • システムは、国立でマリノスに0-4と敗れた次の30節(vs神戸)を機に3バックの1-3-4-2-1の採用が増えており、その神戸戦では右から鳥海、西尾、舩木の並び。続く湘南戦(1-2で勝利)は4バックでスタートしたものの、後半途中から進藤を投入して、右から西尾、進藤、鳥海の並び。この際は北野を下げて進藤なので、シンプルにに4バックにDFを1人追加したという形でした。
  • その次のガンバとの大阪ダービーから、右から進藤、田中駿汰、西尾の並びが3試合続けて採用されており、鳥海は起用できる状態のようですが、舩木はおそらく何らか故障等があるようです。駿汰がスライドした中盤には喜田。30周年ということで期待を集めたシーズンですが、前線に比べるとセンターラインの後ろ側の選手の確保が物足りなかったという印象を受けます。
  • また今夏には毎熊のAZアルクマールへの移籍があり、空いた右サイドには4バックの際は大卒1年目の奥田、3バックになってからは右WBにどちらかというと前目の選手と思われる阪田が起用されており、ルーカスでいいじゃんという印象しかないのですがルーカスは左シャドーをやっていて、ここもおそらく適任者が少ない、そんな編成にもかかわらず1-3-4-2-1を採用しているのはシンプルに5バックで守った方が横スライドが楽だから、と見ています。

  • コンサは浅野が26節(8/10 vs福岡)以来のメンバー入り。前節からの変更点は、馬場がスタメンに復帰して白井がベンチスタートとなった点のみ。

2024年10月20日日曜日

2024年10月19日(土)明治安田J1リーグ第34節 名古屋グランパスvs北海道コンサドーレ札幌 〜リトリートという社内用語〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:





  • 名古屋はリーグ戦はここ5試合で3勝2敗。前節は福岡に敗れたものの、その前の3試合はいずれもホームで新潟、川崎、磐田という中位以下のチームにしっかり勝って9位をキープしている状況にあります。
  • また先週はルヴァンカップ準決勝、F・マリノスとのH&Aを戦っており、アウェイでの1戦目で1-3とリードを奪って逃げ切る形で決勝進出を決めています。長谷川健太監督はガンバ、FC東京に続いて3クラブ目のタイトル獲得となるでしょうか。

  • メンバーは、7/20の24節からCB中央に三國が入って、ハチャンレがサブとなることが多くなりましたが、前節福岡戦では久々にハチャンレがスタメンでした。
  • この他、後半戦に入って出場機会が増えているのが、FC東京から加入の左WB徳元、シャドーの山岸といった選手。徳元はカップ戦で1試合3アシストと存在感が高まっています。
  • システムは1トップ2シャドーが基本だと思いますが、この日はコンサ対策なのか森島がトップ下の2トップでした。

  • 気づけば3人の代表選手を抱えていたコンサ。中断期間にそのうちの一人であるスパチョークと、宮澤といった故障中の選手が復帰しています。
  • バカヨコはコートジボワールとの国際Aマッチ2連戦にいずれも先発して、21時間かけて札幌に戻ってきたようでメンバー外。パクミンギュは韓国代表で2試合出場なしで、コンサにとっては助かる形だったかもしれません。
  • こちらもシステムは普段と変えていて、2トップに武蔵と前節ガンバからゴールを奪った白井。青木を左インサイドハーフとする3センターの1-3-1-4-2でした。

2024年10月6日日曜日

2024年10月5日(土)明治安田J1リーグ第33節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 〜「集大成」の意味を噛み締める〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • 前半戦で2勝のコンサに勝ち点3を恵んでくれたうちの一つがガンバでした。改めてこの時のメンバーを振り返ると、トップにジェバリ、その下に坂本、ウイングに食野と倉田、左SBに中野伸哉、右に福岡と、CBと中盤センター以外はターンオーバー。60分を過ぎてからウェルトンや宇佐美を投入しますが、コンサが宮澤のゴールを守り切ってシーズン初勝利を挙げています。
  • 舞台はパナソニックスタジアムへと移りますが、今回もガンバは中2日(前回はコンサもそうでしたがホーム連戦で移動なしでした)。コンディション的にはまたもコンサが有利でしょう。
  • ただガンバは水曜日の試合が大阪ダービーだったので移動はなし。そしてリーグ戦は24節から9試合勝ちなしという状況でメンバーをどこまで変えてくるかがまず焦点でしたが、ジェバリが不在の前線は坂本くらいしか代役がいない。同様に三浦が長期離脱中の最終ラインも中谷と福岡のユニットに頼らざるをえない。
  • ですのでこれらのポジションでは最小限の入れ替え(トップに宇佐美→坂本、右SB半田→岸本)にとどめています。ポヤトス政権2年目は、昨年の積み残しである宇佐美をどう使うか?という点には一定の答えを出せましたが、結果メンバーの固定化を招いたもしくは底上げが課題といえるかもしれません。

  • コンサはガンバから期限付き移籍中の武蔵が欠場で、シャドーも浅野とスパチョーク不在のため駒井のFW起用もないとして、地元紙ではジョルディの先発が予想されていましたが、古巣対決となる白井がリーグ戦初スタメン。
  • 白井はカップ戦でもシャドーやウイングバックでの起用が多かったため、どれだけやれるかギャンブル的にも感じますが、ジョルディを検討していたというのも含め、とにかくガンバがボールを持つ展開にしたかったのかもしれません。
  • 他、引き続き髙尾、宮澤が故障で離脱中。公式のメンバー表記では前節途中から右に回った大﨑が右DFで予想されていましたが、ここはいつも通り馬場が右、大﨑が中央でアンカーでした。


2024年9月28日土曜日

2024年9月28日(土)明治安田J1リーグ第32節 北海道コンサドーレ札幌vs京都サンガF.C. 〜運を引き寄せるための"何か"〜

ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:


  • 前回サンガスタジアム by Kyoseraで対戦した18節時点では、2勝5分10敗で勝ち点11という状況だった京都。18節から31節は8勝3分2敗(29節のvs鹿島は順延)と脅威の巻き返しで残留争いでは他よりも1歩前に出た感があります。
  • 直近もセレッソ、FC東京、F・マリノスを下して3連勝を飾ったのち、5位ガンバには終了間際に追いつかれての引き分けと好調を維持していますが、いずれもボール支配率は35、40、49、40%と低水準であり(Football LAB参照)、ボールを捨てる戦い方に適した選手の補強、及びその組み合わせを見つけたことが浮上の要因と見てよいでしょう。
  • 選手では、原動力となっているのは前線ではいうまでもなく、ここまで508分出場で9ゴールのラファエルエリアスであり、21節から右サイドに回って6アシストのマルコトゥーリオ、左に回ってワイドストライカーかシャドーのような動きからゴール前に飛び出してくる原とのユニットは、マンツーマンでカバーリング役のいないコンサには特に脅威になるはずです。
  • また夏にDFの補強がありながらも、最終ライン中央では以前として宮本が奮闘しており、サイズ不足という明確な懸念がありながら前線のアタッカーが勝負できるまでチームを持ち堪えさせているのはGKクソンユンと彼の働きが大きいと見ています。
  • メンバーは左SBに佐藤響か三竿で後者としたのは、近藤のサイドに蓋をするという狙いでしょうか。アンカーは福岡、米本と選択肢がある中で金子がリーグ戦5試合ぶりのスタメン出場。

  • コンサは前節試合中に負傷交代した選手のうち、菅野はスタメンに名を連ねましたが、宮澤は第5肋骨骨折と外傷性気胸で離脱が発表されました。また試合にはフル出場していたスパチョークも右ハムストリング肉離れの怪我を負っていたとのことで1ヶ月程度は起用できないでしょう。
  • すでに離脱している髙尾や田中克幸、浅野も欠く中で、駒井と青木を前線に上げ、中央に出場停止明けの荒野と大﨑が復帰、左には菅という、このシーズンの定番的なメンバー構成となりました。


2024年9月22日日曜日

2024年9月21日(土)明治安田J1リーグ第31節 FC町田ゼルビアvs北海道コンサドーレ札幌 〜配置だけで崩せるほど甘くはない〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • 外国籍選手のオセフン、デュークも含め、今や国際Aマッチデーウィークの影響を最も受けるクラブになった町田。9月1週の日本代表招集にもGK谷、DF中山と望月ヘンリーを送り出し、この1年で「クラブステータス」(by四方田監督)が爆上げされた印象です。
  • リーグ戦では直近5試合で2勝2分1敗と、7連勝で勝ち点が並んだ広島に比べるとペースは劣りますが依然として首位を維持。こちらも持ち直しているとはいえ降格圏のコンサは軽く叩いて、次節のアウェイでの広島との直接対決をいかに戦うか、少なからず意識はしているかもしれません。
  • 気づけばここ1年で獲得した選手が各ポジションにほぼ2人控えるスカッドですが、メンバーは右SBに望月、CBに昌子と夏加入の中山、左SBも夏加入の杉岡。中盤から前も相馬と白崎の加入がありましたが、平河が去ったワイドは相馬よりも藤本とエリキ、ナサンホの起用が増えており、前線のオセフンと藤尾の好調が全体にポジティブに波及していると言えそうです。
  • 前節は中山と昌子が負傷交代しましたが、歯を折ったという昌子はこの試合に間に合わせてきました。前線では中島がカップ戦に続いてスタメン起用されているのは、ややパフォーマンスを落とし気味の藤尾に刺激を与える狙いもあるでしょうか。

  • 前節ヴェルディに力の差を見せつけられたコンサ。最終盤に湘南と柏との直接対決になりそうなゲームを控えますが、ここから町田、京都、ガンバ、名古屋と続く正念場。前節はジョルディとバカヨコをお供に添えて岡村FWでのパワープレーという仰天采配を見せましたが今節はどうなるでしょうか。
  • メンバーは、前節負傷の髙尾の右DFに馬場を回して、大﨑と荒野が出場停止の中央には宮澤。最終ラインは町田のサイズを警戒してか、中村桐耶をリーグ戦5試合ぶりにスタメン起用。ベンチには深井が入りましたが、この日のベンチでは唯一の、純粋な後ろの選手ということでいきなり重要な役割を担いそうです。
  • システムは、ボールを持っていない時は青木が左ワイドの1-4-4-2。これについては試合展開の項で詳しく見ていきます。

2024年9月15日日曜日

2024年9月14日(土)明治安田J1リーグ第30節 北海道コンサドーレ札幌vs東京ヴェルディ 〜「なし」と「アカン」の狭間〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • ヴェルディは2週間ぶりの公式戦。不振の川崎がネガティブな方面でのサプライズだとしたら、このシーズンのポジティブなサプライズを提供しているのは町田とこのヴェルディでしょうか。予算的にはヴェルディの方がインパクトが大きいかもしれません。ここまで29試合で10勝11分け8敗で7位につけ、特筆すべきはリーグ戦で連敗なしという点でしょうか。
  • またヴェルディは主力に期限付き移籍の選手が多く、これはかつての価値観だとクラブの資産にならないということであまり推奨されないやり方かもしれませんが、近年J1の若手〜中堅選手の海外移籍が活発になっている中で、(仮に完全移籍で保有しても)どうせ短期でいなくなるなら期限付き移籍でも良い、とする考え方は他クラブも参考になるかもしれません。
  • 「監督や選手と長期契約することで連携や戦術が深化しチーム力の向上になる」という考え方は散見されますが、結局はその中身次第ですし、何年監督をやっても一向に向上しない事例も見受けられます。年数の問題というよりはチームづくり、フロントと監督コーチと選手とで戦術的な要求水準を合わせることのほうが余程重要なのでしょう。

  • さて、ヴェルディのシステムは序盤戦の1-4-4-2から1-3-4-2-1に切り替えて以降はこれを継続しており、ここ最近はシャドーの山見、中盤センターの齋藤功佑といった選手の重用が目につきます。特に山見は、シーズン後半になるにつれ、ボールを持たない戦い方主体にシフトしつつある中でそのスピード評価されているのでしょうか。

  • 中断期間にルヴァンカップ2試合を消化したコンサ。この2試合を回避した大﨑、近藤、カップ戦2戦目で負傷交代したスパチョークを含め、浅野以外は現状のほぼベストメンバーが名を連ねました。
  • カップ戦で2ゴールした菅ですが、右の近藤は3連勝した直近のキープレイヤーですし、スパチョークを使うなら青木も左、ということでベンチスターとは妥当でしょう。気になったのは、配信でも言及しましたが、田中克幸はベンチに入ってても良いかと思ったところでした。