2020年9月25日金曜日

2020年9月23日(水)明治安田生命J1リーグ第18節 北海道コンサドーレ札幌vs柏レイソル ~Best Effort~

0.スターティングメンバー 

スターティングメンバー&試合結果
  • 柏はDFの染谷、高橋祐治、前線では最近招集外が続いている瀬川とクリスティアーノが離脱中と見られます。それでもジュニオール サントスを貸す余裕があるあたりは謎です(人件費圧縮?)。大南、山下(前節から)も負傷中でしたが戻ってきています。
  • システムは、4バックを予想していましたが実際は戸嶋が左ワイドに入る1-3-4-2-1。前節の広島戦と同様ですが、呉屋はベンチスタートでした。
  • 札幌はチャナティップが今節もメンバー外で、こちらも近況が心配されます。柏が4バックで来ることも予想できたので、ルーカス&白井に加えて(WBかシャドーしかできない)金子のスタメン起用は意外でした(必然的にシャドーのいる1-3-4-2-1しか選択に入らなくなる)。ネルシーニョはマッチアップを合わせてくることが多いことを、長年の対戦経験からミシャ陣営もわかっており、相手に合わせるというよりこちらから動くことにしたのかもしれません。
  • そして最終ラインでは、ここ3シーズンで負傷以外で初めて福森がスタメンを外れました。これは言うまでもなく、怪物マイケル・オルンガ対策だと考えられます。

1.基本構造

1.1 情報の非対称性

  • お互いが選択するシステム…特に、純粋マンマーク基調で守備を展開する札幌に対し、柏の選択が重要だと思っていましたが、蓋を開けてみると、柏が「札幌に合わせる」選択をしてきたので、札幌が「柏に合わせる」必要はなくなりました。

  • 上記のように柏が数試合使っている1-4-3-1-2のようなシステムだと、3バック系のシステムでマッチアップを合わせようとすると、どこかに歪みが生じます。ですので札幌としてはボール非保持時のマッチアップを合わせることを考える、手間が省けた格好になりました。
  • 柏としても、札幌相手にはミスマッチを作る形の方がいいのはわかっていたはず。が、そうしなかったのは、ネルシーニョの考え方として相手の良さを消したうえでゲームに臨みたかったのだと思います。ゴール前のスペースを消してしまえば、札幌の攻撃パターンと言えそうな形は、ルーカスフェルナンデスの突破から中央へのクロスにほぼ限定され、あとは確度の低い放り込みや中長距離シュートになるので、5バックでルーカスの対面に守備で計算できる選手を置く形がベストだと判断したのでしょう。
  • ミシャはネルシーニョのやり方をある程度はわかっていたのではないかと思います。ただ、「情報の非対称性」という言葉がありますが、オルンガが2トップの一角として出てくるのか、1トップ2シャドーで出てくるのかは、2つオプションがある形でどちらかは蓋を開けてみないとわからない。
  • なので、札幌の3バックの誰とマッチアップするかわからない。3バックのいずれかに、極端にボトルネックになってしまう選手を置くと、マッチアップした時に事故が起きやすいので、進藤・ミンテ・田中と、比較的、選手間の差が小さいユニットを起用したのだと思います。

1.2 「強いDF」の意義

  • 柏はかなり割り切った選択というか、ほぼ純粋なマンマークでフィールドプレイヤー全員を捕まえてくる札幌に対してそれ以上無駄な抵抗は避けていたようでした。GKキムスンギュは元々あまり足元が得意ではなく、それで神戸でも出番を失った選手ですが、スンギュの受け手は山下か古賀。古賀は比較的、ボールを運ぶ能力に長けた選手ですが、金子がマークしているのでリスクは避けて、さっさとトップのオルンガへ放り込む選択を取っていました。

同数で守れるミンテの存在
  • 札幌のマンマーク守備の中間目標の一つとして、「相手に長いフィードを蹴らせて長身のDFが空中戦で処理する」というものがありますが、相手がオルンガだと話は変わってきます。ここで負けてしまっては、寧ろ蹴らせる選択をしたことがマイナスに働いてしまうのです。
  • が、札幌随一の高さと強さを持ち木下遥さんの熱い視線を浴びるDFキムミンテがオルンガに対して互角以上に渡り合います。「映像を見て研究した」とのことですが、恐らくオルンガは背負った状態で跳ぶことよりも、ブロックして相手を跳ばせない選択をするので、これをわかった上でミンテは早めに跳ぶことでうまく対処できていました。
  • 「基本構造」と言いますが、構造として重要なのは、ミンテがオルンガにうまく対処していたこともそうですが、もう一つは、ミンテ1人で対処できているということです。当たり前ですが、オルンガに2人、3人で立ち向かうと、その分、他のポジションが数的不利になります。だから3人でオルンガに勝っても、その数的不利性を突かれてあっさりやられて終了、では本末転倒です。その意味で、相手のすんごいFWを1人で対処できるDFには非常に大きな価値がありますし、本来カバーリングに割いていた人数を他に割くことができます。
  • が、ミンテが跳ね返した後の展開がそこまで設計されていなかったので、というかこれもトランジションに分類されると思うのですが、奪った(跳ね返した)後に早く攻めるような設計になっていなかったこともあり、この同数で対処したことでのアドバンテージは札幌にはあまり発揮されなかったと思います。例えばシャドーの1人が中央に入って3on2の人数関係になっていれば、跳ね返したセカンドボールを拾って速い攻撃に転じたりもできたかと思いますが、そのようにはなっておらず、じゃあミンテが同数対応で作った分の”貯金”はそもそも必要だったか?という気もします。

2.みんなの期待と負担を背負う

  • シャビ先生に言わせれば、この日フットボールをしようとしていたのは、(少なくとも50分までは)まだ札幌の方だったかなと思います。とりあえずいつものMF→DFの列移動からまずはボールを保持しよう、との姿勢は柏よりはありました。
  • 一方で試みを始めてみると、ロングキック1発で前線に運べる福森の不在によるマイナス面が浮き彫りになったと思います。磐田でのジェイは、ゴール前の決定力とそのポストプレーでジェイ依存症を指摘する声があったかと思いますが、福森も似たようなもので、ピッチに立っていればその左足だけでウイングのルーカスにボールを届けて、仕掛けの局面まで強引に持って行ったり、前線の選手がタイミングが合えば裏抜け1発でゴール近くまで前進させることができます。
  • そしてその福森の代替として、左に田中が入ると、本来このポジションに期待している役割の遂行はかなり難しくなる。右もナーバスなミンテと進藤、と考えると、必然と、荒野か高嶺のどちらか最終ラインに落ちている選手が運ぶしかなくなります。2018シーズン終盤にMF2人が下がっての1-5-0-5を多用していた理由が今更になってわかります。

高嶺が下がって1人で運ぼうとするが…
  • 特に唯一の左利きの高嶺に大きな期待がかかっていましたが、本来2~3人程度でシェアしていた役割を高嶺1人で担うのは負担がかなり大きかったように感じますし、福森とは選手特性が異なるので、長いボールでの組み立ては難しい。となると荒野や駒井、金子を経由した展開が欲しいですが、これも仕込まれていないので殆ど発動せず、散発的にルーカスへのサイドチェンジが”誰か”から繰り出される程度の攻撃に終始していたと感じます。

3.No Idea?

  • 決め手がないまま後半の52分、柏はセットプレーから大谷の見事なバックヘッドで先制します。
  • 札幌のゲームプランはガンバ戦と同じく、なるべく0-0で持ちこたえてアンストラクチャーな展開で力を発揮しそうなFW…アンデルソンロペスとドウグラスオリベイラを投入、だったと思います(オルンガにミンテがどれだけやれるか、はその意味でもキーでした)。
  • 柏の先制点でゲームプランが難しくなったところで、先に55分に金子→アンデルソンロペス。61分にドウグラスオリベイラと、福森も併せて投入されます。これで、アンストラクチャーな、カオスな攻防からトランジションで殴る、というより、柏がスペースを消して守るので、空中戦ならそれを無視できるというプランBに方針を変更したと考えられます。
  • が、空中戦だろうと足元でのプレーだろうと共通しているのは、クオリティの発揮にはスペースが必要です。手当たり次第の放り込みでは、柏はゴール前で5枚のDFと、4人のMFでスペースを消していればいい。ジェイがかつて白井に「クロスは頭を狙うんじゃなくてスペースに蹴れ(そうすれば俺がスピードをつけて走り込んで合わせられる)」と言っていましたが、スペースがないと文字通りピンポイントのパスを合わせるしかない。福森からジェイの頭に合う場面が2~3度ほどありましたが、ヘッドはいずれも枠外でした。
  • ゴール前にスペースを作るには、最終ラインでの”貯金”…すなわち、まず最終ラインで簡単にボールを蹴らずにドリブルとパスで動かして、相手の1列目を引きつけて中盤にスペースを作る。次にその中盤のスペースを使って、簡単に言うと中盤で同じことをする。この繰り返しで前線にスペースができるのですが、札幌の場合、福森や大型FWの存在もあって、すぐに蹴って採算を確保しようとするプレーが染みついています。DFとGKがもっとリスクを負えばいい、というのは一種の机上論に近く、現状のメンバーではこれが限界なのかもしれません。

雑感

  • 「これが限界なのかもしれません」。その先の話はTwitterに書いたのですが

  • 一人の天才監督に任せて全て解決できる部分は、現状ここまでなんだろうなと思います。無限に時間やトレーニングの機会があれば別かもしれませんが、それも現実味のない話であり、根本的には選手のセレクションによって解決する話かと思います。今出ていないメンバーでは、チャナティップが本調子ならその使い方は議論の余地があるとは思いますが。
  • 以前も書いた通り、「ロングカウンターのオプションがなくなったので、極端なハイプレスとクロスボールの放り込み、トランジション合戦に活路を見出します」という戦略は振り切りすぎな感は未だにあるのですが、今から別のサッカーをしろ、と言われても、色々と解決しなくてはならないボトルネックがあるよな、という現実を日々実感しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿