2020年9月13日日曜日

プレビュー:2020年9月13日(日)明治安田生命J1リーグ第16節 北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ ~アグレッシブとナーバス~

 1.予想スターティングメンバー

予想スターティングメンバー
  • 浦和は柴戸の相方がエヴェルトンか青木の二択といったところですが、他は恐らくこのメンバーじゃないかと思います。
  • 札幌は日に日にメンバーが読めなくなっていますが、前節出場停止の菅、休養のチャナティップと駒井のスタメン復帰を予想すると、荒野はアンカー起用でしょうか。となると右DFが田中か進藤、トップがドウグラスオリベイラかジェイか、アンデルソンロペスの三択、右WBはルーカスフェルナンデスか白井、あたりまで保険をかけておきます。個人的にはミシャからの評価が高そうな田中と高嶺、ドウグラスオリベイラ、前節ベンチスタートのルーカスが起用されるとみています。

2.浦和レッズに対する印象

  • 浦和は作文。札幌はラジオ。これは何を示すでしょうか。
  • 正解は、それぞれのトップの考え方を知る方法です。浦和はwebサイト上で定期的にチーム強化方針等に関する情報を公開しています。現在2020シーズンに関しては、2019シーズンオフに掲げた「3年計画」の1年目であるとして、また3年間で目指すコンセプトとして以下が示されています。

https://www.urawa-reds.co.jp/static/ttt/162829.html

  1. 個の能力を最大限に発揮する
  2. 前向き、積極的、情熱的なプレーをすること
  3. 攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること

  • 札幌の、野々村社長が毎週複数回ラジオ番組に登場して「今のチーム状況は~だから」と語るスタイルは世界的に見ても稀です。というか本来、社長は経営に専念する人材でありピッチ上やトレーニングで取り組んでいること、起こっていることを正確に把握し、言語化しているとは言い難いと思うのですが、それでも何らかの考え方を知る情報源ではあります。あんまり私はラジオというメディアに親しみがないので、情報を毎週フォローしてはいないのですが、最近はこんなことを言っていたみたいです。

  • 脱線しましたが、 印象を一言で言うと「敵陣ではポジティブだが自陣ではナーバス」。先述の3つのコンセプトに照らし合わせると、2つ目の「前向き、積極的~」は敵陣の相手ゴールから30m(ゾーン3)では発揮されているように思えます。このゾーンではマンマーク基調の守備で人を捕まえてボール奪取を狙う。奪った後はすぐにトップの興梠とレオナルドを使ってシュートチャンスを創出します。
  • 札幌も似たようなプレーのイメージを持っているのだと思いますが、浦和との違いはこの2トップのクオリティで、プレー強度が必要とされる(例えばスプリントを繰り返したり、守備→攻撃に切り替えてから短い時間でシュートまで完結したり)時に、興梠とレオナルドのリーグ随一のユニットは仕事(枠内にシュートを飛ばす)ができる。
  • 札幌はチャナティップ、アンデルソンロペス、ドウグラスオリベイラといった選手で似たようなことを試行していますが、この形からはここまで1点も取っていません。ポジティブトランジションでは一瞬の判断とアクションが求められ、それこそ野々村社長の言う「クオリティ」が重要になります。浦和にはそれがあって札幌には(浦和ほどは)ない。敵陣ではこの強みが活きています。
  • 一方で自陣でプレーしている時は脆さが見られます。典型的なパターンは、ハイプレスから自陣での対応に移行して4-4ブロックをゴール前に引くのですが、恐らくゴール前に運ばれるまではある程度ゾーナルに守りたい。コンパクトな陣形を敷いて大外は(潔く)捨てているのですが、その大外に振られるとスライドも甘くて、簡単にクロスボールが供給され中央で人を捕まえる対応もできていなくて失点。サイドを捨てているので必ずどのチームも使ってくるのですが、上げさせて中央ではね返す態勢をとっているわけでもなく、強さは感じられません。どっちかというとサイドに展開される前に、縦に入るボールをまずケアする意識が強いのだとは思います。
  • ボール保持は右がSBの橋岡、左がSHの関根か汰木が幅を取る非対称の形でスタートします。頼りになる選手は、攻撃のスタートでは右CBのトーマスデン。デンが運んで、下がり目の興梠への縦パスを狙う。収めきれなければ中盤のエヴェルトン、柴戸、そして中央に絞る長澤でリカバリーしてどちらかのサイドへ、という形がメインでしょうか。
  • 飛び道具を持っている山中は、それこそ福森的なフリーマンとしての振る舞いが目立ちます。あまりビルドアップに関与せず、崩しの局面で中央のスペースに現れてミドルシュート、を狙っているように見えます。
デンから興梠へ

3.試合展開の予想

  • 札幌から見たポイントを整理しますと、①自陣ではシンプルにプレーしてなるべく浦和陣内でプレーするようにしたい、②左右に揺さぶってからクロスボールでフィニッシュできるよう役割を整理しておきたい、③ボール非保持時のマッチアップを明確にしたい、といったところだと思います。
  • 札幌ゴール周辺では浦和はアグレッシブ。前節福森のパスミスから失点している札幌はナーバス。なんか修行をしたいとかなら別ですが、ここで時間を過ごす理由は札幌としてはありません。逆に浦和がナーバスになる浦和陣内に早くワープしたいところです。ドウグラスオリベイラ(又はジェイ、アンロペ)は空中戦、チャナティップは足元でボールを収めて起点になる働きが求められます。菅野のボール保持は有効になっていないので個人的には放り込んでほしいのと、チャナティップの足元へは高嶺に期待がかかります。
自陣で持ちすぎずに2トップに収めてほしい
  • 札幌のアウトサイドのチョイスはやはりルーカス。駒井とのコンビは4-4ブロックで守る相手に対して今回もオプションとなりうると予想されます。
  • ただターゲットがジェイではなく、ドウグラスオリベイラとチャナティップだと恐らくシンプルな仕掛けからのクロスでは難しい。サイドを変えられるとナーバスな相手を考慮すると後方でのサポートが重要になります。
  • 田中は右DFで出場した試合ではこれまで、気の利いたプレーを続けています。ルーカスに渡ると山中と、関根の2枚で対応が予想されるので、時にボールを逃がしてサイドを変える選択も求められます。田中からリスタートするのはいいとして、もう一人サイドを変えられる選手の経由が必要でしょうか。普通に考えればアンカーですが、荒野はそうした役割を担えるでしょうか。
シンプルな仕掛けだけでなく左右の揺さぶりも重要
  • 福森はこの図だと最終ラインに示していますが、もっと高い位置を取って砲台役かもしれません(いつものミンテ1人に丸投げ路線)。ドウグラスオリベイラは徐々にフィットしつつありますが、クロスボールのターゲットとしてはまだ100%の信頼がおけない(あんまり得意そうじゃない)ので、本来はジェイが先発の方がいい。しかしスタートからの守備を考えるとドウグラスオリベイラがスタメンかなと予想しています。その場合、もう一枚ターゲットが欲しいので菅がファーサイドで橋岡の背後、福森が大外というパターンが考えられます。

  • セレッソ相手にもそうだったので、札幌は浦和のボール保持時はオールコートマンマークでのプレッシングからスタートするはずです。しっかりケアしたいのは、先述のトーマスデン。逆に左足でのプレーに不安のある槙野は狙いどころで、槙野に誘導してから右足を切るように追い込んでいくのも本来はありうるでしょう(あまりそうした狙いを見せないので期待はしていません)。
興梠がFWのプレーに切り替えると3バックでの対応は曖昧になる
  • もう一つは興梠への対応で、レオナルドとの縦関係でプレーしている時はトップ下のMFとしてアンカーが対応すればいい。が、前線に進出してFWとしてのプレーに切り替えると、アンカーがそのままついていって対応するのか、どこかで受け渡すのか、スムーズに対応したいところです。
  • 前節セレッソ戦でも、2ゴールを挙げたのはセレッソの下がり目のFWの奥埜。田中駿汰がアンカーで起用されたのは、田中はDFもMFもできるということを考慮したのではないかと思いますが、アンカーが私の予想する荒野だとしたら、前への意識が特長であるだけに、興梠番を完遂できるかは焦点になりそうです。[1-4-4-2]のチーム相手では、鹿島戦で深井がアラーノに巧く対応していましたが、本来は彼のような予測に優れた選手に興梠を任せるのがベターだと思います。

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