2019年4月9日火曜日

2019年4月6日(土)明治安田生命J1リーグ第6節 北海道コンサドーレ札幌vs大分トリニータ ~開始1分のインテンシティ~

0.スターティングメンバー

スターティングメンバー

 札幌(1-3-4-2-1):GKク ソンユン、DF進藤亮佑、宮澤裕樹、福森晃斗、MF中野嘉大、荒野拓馬、深井一希、菅大輝、チャナティップ、アンデルソン ロペス、FW鈴木武蔵。サブメンバーはGK菅野孝憲、DFキム ミンテ、MFルーカス フェルナンデス、檀崎竜孔、白井康介、早坂良太、FW岩崎悠人。ジェイの復帰は叶わず。他にも、檀崎がベンチ入りしている状況から察すると、リリースがあった駒井と中原以外にも負傷者が何人かいる状況が予想できる。
 大分(1-3-4-2-1):GK高木駿、DF岩田智輝、鈴木義宜、福森直也、MF松本怜、ティティパン、前田凌佑、星雄次、FW三平和司、小塚和季、藤本憲明。サブメンバーはGK小島亨介、DF三竿雄斗、MF丸谷拓也、高山薫、FW後藤優介、オナイウ阿道、伊藤涼太郎。右シャドーはこれまでに先発起用された3人から選ばれると思っていたが、”4人目”負傷から復帰した三平だった。他にも左WBは高山ではなく、前のシーズンのレギュラーだった星が初スタメンを飾っている。


1.ゲームモデルと基本構造

1.1 互いのゲームモデル


・札幌
 普段通りなので割愛。まずボールを握って押し込む。
・大分
 スペースがなくても、なんとかできるスーパーな選手(ジョーとかジェイとか)は大分にはいない。代わりに与えられている選手は藤本であり小塚、後藤、オナイウ。なので、彼らが力を発揮できるためのスペースを前線に創出し、そのスペースが消滅してしまう前に使ってシュートまで持ち込む。
 より具体的に言うと、大分から見た「ゾーン3」(または別の言葉で言うとアタッキングサード)に運んでから、時間や手数をかけずにシュートに持ち込む。時間をかけると、札幌の選手が陣形を整え、大分が使えるスペースと、スペースにより享受する時間が消滅してしまうため。

1.2 基本構造~鏡に映った実像と虚像


 所謂ミラーゲーム。だが、プレビューの3.に図示した通り、札幌と大分のボール保持時のピッチ上の状況は異なる。
 札幌はボール保持時に人の配置が「1-3-4-2-1」でなくなる。守備側から見ると、5バック化している最終ラインでは枚数が同じで、「1on1のマッチアップ関係」が作られやすい。逆に言えば、各所で1on1なので、対面の選手に簡単に負ける選手が1人でもいると厳しい。一方、大分から見た前線では、藤本と宮澤の関係性はともかく、小塚と三平は、札幌の特定の選手1人を「自分がマークする選手」として定義しづらい。さまざまなタスク・シチュエーションに対応が求められる。なので通常この場合、少なくとも、人数が揃っていないエリアではマッチアップを決めてマンマークで守る選択はとられない。
札幌のボール保持時の人の配置と、大分が意識するマッチアップの関係

 一方で大分がボールを保持している時の選手配置は、大分は札幌のような大胆な変形をあまりしない。よって札幌は、大分のボール保持に対する対応を、単純な1on1関係で処理することが、少なくとも「誰が誰をマークすればいいかわからない」という状況には陥りにくい。このこともあるのと、元々(20年ほど遡って考えても)札幌はマンマークで人を見る守り方を得意としていること、今の監督やコーチ陣の志向等もあって、この日の大分に対しても1on1の関係性を強く意識した守り方で処理する札幌であった。
大分のボール保持時の人の配置と、札幌が意識するマッチアップの関係

 「守り方」は最終的には守る側が決める。札幌の守り方は札幌が規定している。「(相手がボールを持っている時に)どのように振る舞うか」という考え方や方針は札幌が自分たちで決めて実行する。
 しかしながら、実際の「振る舞い」となると、ボールを奪い合ってゴールに入れるゴール型競技の特性上、どうしても相手の振る舞いによって自分たちの振る舞いが規定される。大分は札幌が自分で決めた「守り方」を利用して、札幌の振る舞いを大分にとり、都合がよい状態に操ることでゲームプランの遂行を容易にしていた。

2.開始1分のインテンシティ

2.1 いきなり表れる”練度”の差


 大分ボールでキックオフ。この試合開始1発目のプレーから早速、札幌の「振る舞い」を大分が操る。
 先に見たように相手がボールを保持している時の札幌は、大分との人の配置や、チーム戦術上の特性により、「誰が誰を見る」という関係性が明確になりやすい。最初から誰が、誰に着いていくのかを決め打ちして準備している。その関係性は2.1で矢印で図示したが、下の大分キックオフからの展開に改めて戦引きすると、サイドでは大分の松本と札幌の菅、大分の三平と札幌の福森、の関係性が意識されている。

 キックオフ直後、大分はティティパン→岩田→三平→ティティパン→松本、とボールを動かす。この時、三平と松本は、一度自陣に下がってボールに触る。すると、福森と菅は「自分がマークする選手」(前節の駒井の言葉を借りれば、「責任をもって見る選手」か。)が自分の視界および守備範囲外から遠ざかるので、範囲内に捉えるため前に出ていく。
 するとこの2人が同時に前に出た札幌の左サイドは、背後に大きなスペースが空く。松本と三平はこの2人がケアしないといけない選手ではあるが、1.で書いたように、前線にスペースが欲しい大分に対し、札幌はあまりに簡単に、バックライン背後にスペースを与える。一言で言うと、プレビューで予想していた事態が早速発生する。
菅と福森が前進した背後に素早くボールと人を送り込む

 未就学児から成人まで、あらゆるカテゴリの試合で、キックオフはシンプルにボールを蹴って終わらせるチームも少なくないが、大分のそれは明確な意図をもっている。札幌の対応がイージーすぎるのもあるが、大分は福森や菅が前に出る状況を作るよう、振る舞いを操っている。

 1発目から狙い通りの形を作る大分。まんまと相手の思惑通りに操られる札幌。正直なところ札幌はこのシチュエーションでどう振る舞うか、あまり重視していないのかもしれない。そうだとしたら、緻密に設計されている大分との”練度”の差はかなりある、と言わざるを得ないだろう。

2.2 開始1分のインテンシティ


 その”練度”の差がスコアに反映されるまでの時間はわずか1分だった。
 キックオフ直後のプレーを一度大分はやり直し、自陣にボールを下げるが、1分頃に再び似たような形から札幌の左サイドを強襲する。松本と小塚が引いて菅と福森を操り、スペースに小塚が長い距離を走る。
 小塚はキックオフ直後はいつもの左サイドにいたが、これ以降は三平と左右を入れ替えている。これもやはり札幌の左サイドを突くことを意識し、用意していた策だったと思う。
(大分の1点目)福森が小塚に置き去りにされる

 福森が小塚と並走する。スタートは小塚の方が早かったが、よりゴールに近い位置からスタートしたのは福森。両者の走力差を考えても、そこまで分が悪い競争でなかったが、福森はこの40mほど走った末のデュエルで小塚の切り返し1発で置き去りにされ、決定的なクロスを供給させてしまう。デュエルで全部勝て、とは思わないが、小塚の一連のアクション(スペースへのラン、ボールコントロール、福森への仕掛けからクロス)で、福森は全くボールにアタックどころか間合いを詰めることすらできなかった。これでは何のために、中盤まで降りた小塚に付いていったのかわからない。
(大分の1点目)時間をかけずにフィニッシュに持ち込まれ札幌は枚数が足りない

 小塚がクロスを供給する際、ゴール前の人数は札幌3に大分3。人数は同じだが、枚数が少ない。それによって消しきれていないスペースがペナルティボックス内にあり、大分の選手がクオリティを発揮するためのスペースが与えられている。
 逆足でのクロスはイメージとややズレたように思えるが、中野がカバーしきれない大外に50m爆走してきた星がフォローし、藤本が蹴り込み大分が先制。スペースに走り込み、スピードに乗ってプレーすれば何かが起こる、という好例だった。

2.3 二度あることは三度ある


 札幌の左サイド、福森と菅の背後は試合を通じて大分に狙われ続ける。14:20頃にも、福森が釣り出されてから大分が右サイド突破しチャンスメイク。そして26分の2点目も、右サイド奥へのフィードに松本が快足を飛ばして菅をぶっちぎり、グラウンダーのクロスが宮澤のクリアミスを誘ってのオウンゴールだった。走る選手、出し手の選手は違うが狙われた部分は1点目と全く同じだった。
(大分の2点目)

 この2点目の局面で、菅が対峙する松本のケアが甘く裏を取られたことも責任があるが、それ以上に気になるのは、深井の小塚へのプレッシャーの緩さと、札幌最終ラインのラインコントロールの甘さ。高い最終ラインを維持するなら、深井はボールホルダーに厳しく寄せてボールが出ないようにケアしなくてはならないし、リトリートするならばもっとラインを下げて対応しなくてはならないが、チームとして、このシチュエーションでどう対応するのか全く決まっていない印象がある。
 また福森は、マーク対象の小塚が大分陣内までボールを受けに下がった時、小塚とは距離を取り最終ラインに残る選択をする。これ自体はいいとして、問題は「最終ラインにいるだけ」になっている危機察知意識の低さ。自身のマーク対象がいない時に最終ラインに残る選択をするなら、スペースをカバーリングする仕事への意識を切り替えるべきで、この時は菅や宮澤の背後を守れる準備をしておくべきだった。ましてや、序盤から続けて自身の裏を狙われているならなおさら。福森の足の速さを考えると、準備ができていても難しかったかもしれないが、いずれにせよ大分の縦パス1本で完全に無力化されてしまった。

3.大分のゲームコントロール

3.1 ミラー状態での守り方


 札幌のボール保持に対し、大分は5-4の9枚ブロックでの対抗が多くなる。リードしている限りは、必要以上に前に出てくる必要がないため、藤本のみを残して9人で撤退する。撤退している時は、まず最終ラインを低い位置に設定し、武蔵やロペスの裏抜け1本で”何かが起こる”余地を消す。次に、守備側の選手の間でボールを受けて反転することが得意なチャナティップが活動するためのスペースを狭小にするため、中盤の選手のポジションを低い位置に設定する。これはロペスが足元で受けようとするプレーに対しても有効。こうなると札幌は、前線3選手が得意なパターンを繰り出すことが難しくなる。鹿島戦に続いてまたも、ミッションの難易度を自ら跳ね上げることとなってしまった。
先制後大分はリトリートして札幌のアタッカーの活動スペースを消す

3.2 ボール非保持時のゲームコントロール


 5人のDFと4人のMFで引いて守ることの問題は、それ以外の空間に1人しか配せないので事実上そのエリアを放棄すること。3.1に示した図の状態では、大分の1トップ藤本の周囲には大分の選手が誰もいない。
 札幌は展開が詰まると、この藤本の周囲のスペースでボールを動かして、大分のブロックの間に陣取るロペスやチャナティップにボールを届けようとするが、札幌の横パスやバックパスのタイミングで大分は必ずボールホルダーに圧力をかけ、簡単に札幌が前に運べないようにする。札幌からすると、ボールを持っている時に大分の守備の圧力がいきなり高まるので、同じリズムでボールを動かし、ゲームをコントロールしつつ隙を見つけて前進、が難しくなっていた。
札幌がボールを下げて攻撃をやり直そうとすると押し上げと共にボールに圧力でリズムを乱させる

4.各駅停車の行き止まり

4.1 各駅停車 中野行き


 前半の札幌の攻撃の問題点を挙げるとしたら、一つは「ピッチの横幅」を十分に活用することで大分のブロックを拡げることができていなかったことと、もう一つはボールを動かしたときに生じる大分の守備の構造上のウィークポイントをうまく突けなかったことだった。
 一つ目について。札幌は福森から始まる攻撃が多かったが、福森のところで打開できないとみると、横パスでボールを動かして反対サイドからの打開を試みる。この時、下図のように福森⇒深井⇒荒野⇒進藤⇒中野、という具合に、ボールの終着駅である中野に届くまでに3人程度の選手を経由して、まるで各駅停車のようにパスをつけていたので、3.1で示した状態では反対サイドでフリーになっていた中野は対面の星のスライドが間に合い、仕掛けるスペースを失った状態でようやくボールが届く状況だった。
 このサイドチェンジをもっと速く実行できていれば、中野の突破力もより効果的になるのだが、チャナティップを封じられると各駅停車でしかサイドを変えられない。ルーカスに変えて先発起用された中野だが、もう少しスペースがないと難しい状況だっただろう。
サイドを変えるパスは各駅停車で中野のスペースと時間が消えてしまう

4.2 一方向にしか動けないロペス


 二つ目について。↑の図で示したが、大分は最終ラインは数的同数、人への意識が強いので、星がサイドに張る中野にスライドするとその背後のスペースは空きがちになっていた。これは大分が札幌の菅の裏を狙って何度もチャンスを作っていたのとほぼ同じ構造で、先述のように中野がスペースがなく仕掛けられない状況でも、この星の背後を突けばサイドから打開できるように思えたが、札幌はそうした狙いが全くなかった。
 星の背後のスペースに一番アクセスしやすいのはアンデルソン ロペスだが、左利きのロペスは自分の得意なプレー…ゴール正面左からハーフスペース付近で受けて、左足のドリブルで中央方向に切り込んでシュート、このパターンを執拗に狙っていて、中野と連携してサイドを打開するような意識は全く感じられなかった。
 そのため大分は、札幌のロペス、チャナティップ、武蔵が中央に自ら寄ってくることもあって、ロペスのクオリティが発動するための必要条件…ロペスの左足の周囲にスペースがある状態を作ることなく、ゴール前から懸念事項を取り除くことができていた。

5.渋滞は続く

5.1 キム ミンテの投入と5-0-5へのシフト


 後半開始から札幌は荒野→キム ミンテに交代。反撃のためには宮澤を中盤で使いたいとの考え方に基づく交代策だったのか、それとも荒野が起用できない状態だったのか、この記事を書いている時点ではわからない。ただ後半開始直後、宮澤は高い位置どりを見せていたので、そこに何らかの意図は感じた。
46分~

 更に後半開始からの展開で顕著になったのは、札幌ボール保持時の以下の陣形変化。WBが中央に絞り、シャドーが低い位置まで落ちる。大外は誰も人がいない状況になるが、ここに最終ラインの選手が駆け上がっていく。この形は厳密には前半の、大分の2点目が入る前後の時間帯から両サイドでほぼ均等に見られていたが、後半開始からは進藤のポジションを上げる狙いがより明確になる。
WBが中央に絞り大分のDFを収縮させ大外は進藤に任せる


 2018シーズンの終盤によく使われていた5-0-5に近い形(但し、宮澤が中盤にいるので人の配置は4-1-5)でもある。2018シーズン後半によくこの形が使われていた理由はかつて考察したが(この記事の3.2.2)、恐らく大外のWBによる打開が難しい場合に、ポジションチェンジにより相手の守備基準を操り、サイドでフリーな選手を作って打開しようとする狙いがある。更には中央で、シャドーが落ちると3on2の人数関係になり、浮く選手を作ることも考えられていただろう。
 ただ、そもそも、このような大移動を発動しなくてもいいように、突破力のあるサイドプレイヤー(ルーカス)を獲得したはず。

5.2 渋滞問題が前線のネックに


 そしてこの形が効果的だったかというと、ペナルティエリアの幅に札幌の5トップと大分の5バック、更に中盤センターの2枚が大集合するので、ロペスや武蔵がクオリティを発揮するためのスペースが全くない状態だった。その2人よりも活動に必要とするスペースが少ないチャナティップに期待がかかるが、チャナティップはそうした密集を解消するためか、ゴールから離れた位置に下がってくることが多くなる。この状態で菅や中野が中央に絞っても、ただでさえ稀少なスペースというリソースを浪費するだけで、まったく効果的とは言えなかった。
ゴール前の渋滞問題は解消されず

 結局札幌の選択は、59分に菅に代えて切り札のルーカス フェルナンデスを投入。大分はこれを見て、61分にルーカスのサイドに三平を下げ、オナイウを投入、小塚を右のシャドーに回す。大分としては札幌のベンチメンバーのうち、ルーカスが投入されるタイミングを特に注意していただろう。
61分~

 札幌はこの交代策によって実現する右ルーカス、左中野(+福森)の配置が、ボール保持時にやりたいことを考えると、よりバランスが良い状態だったと思う。
 ↓は62:35頃に見られた展開だが、右サイドでは1人で突破できるルーカスがタッチライン際に張る。左サイドでは中野が、スタートは大外のレーンだが宮澤からのパスが入るタイミングでハーフスペースにポジションを移動させる。中野がそのまま中央にドリブルすると、大分のブロックは中央を固めるため密集するが、これによって大外のルーカスがフリーになる。また、左ではナチュラルな左利きの福森が中野が空けたスペースに進出する。
 結果、右と左、両サイドで期待の持てるクロスボールを供給できる選手が、フリーになりやすい(=そのクオリティを発揮しやすい)状況ができる。右利きの中野を左サイドで使うなら、縦に突破させる役割ではなくこうした内側のレーンに向かっていく役割が適任で、大外に別途左利きの選手をローテーションできる仕掛けとすることが最適解だろう。
大外に仕掛けられるルーカスが張ると中央収縮が活きる

 65分過ぎころから大分は最終ラインの押し上げが難しくなり、DF~MF間が空いてくる。69分の札幌の得点も、中央でチャナティップ、ロペス、武蔵が密集している空間にルーカスも切り込み、中央に人が集まりすぎている問題は相変わらずだったが、大分のライン間が空きはじめたこともあって多少強引な形でも崩すことができた。

 76分過ぎにも中野が絡む形からチャンスが生まれる。宮澤がドリブルで小塚と前田の”門”に向かってドリブルで運ぶと、中野がDF~MFの間でレーンを移動。DF岩田の前に表れることで、岩田を自身に引きつけチャナティップをフリーにする。徹底マークに苦しんだチャナティップが恐らくこの試合唯一DF~MF間で前を向いてボールを持てた局面だった。
中野がチャナティップのマーカー(岩田)を引き付けチャナティップがフリーに

 しかしその中野が白井との交代で83分に下がると、アディショナルタイムを含めたラスト10分は大外に張った選手が仕掛けるだけの攻撃に終始する。5バックで固めた大分を崩せず、1-2で試合終了。

6.雑感


 またしても早い時間帯の失点が響いたことは間違いない。ただ、執拗に札幌の構造的な問題点を突いてくる大分相手ならば、失点は時間の問題だったかもしれない。筆者が大分の試合を3試合ほど見ただけでも大分の得意なパターンはすぐに目についたが、札幌がこれだけ無防備だったのは予想外だったし少し理解できない節もある。
 札幌はロペスにせよ福森にせよ、得意なプレーが発揮できるシチュエーションでは強いが、それ以外の局面ではチームのフレームワークに当てはまらないというか、窮屈そうにプレーする選手が何人かいる印象である。そうした選手をスカッドから排除するべきかというと、結局最後は個人のクオリティがものをいう世界なので、何らかチームに巧く組み込めるとよいのは言うまでもない。ただ、そうした選手が11人中何人もいると、リアクションが得意なチーム相手では厳しい戦いを強いられるだろう。

用語集・この記事上での用語定義

・インテンシティ:個人及び組織としてのプレーの”密度”。非常に曖昧だが、因数分解すると「ボールへの寄せの強さ」「距離を詰めて相手の時間やスペースを奪うこと」「攻守の切り替えやプレー局面の切り替えの速さ」「多様なシチュエーションに対応するための戦術的な仕掛け・準備」「味方のカバーリングやサポート等を成立させるための論理的なポジショニング」等が構成要素だと言える。大分の1点目の局面では、これらの要素全般に大分と札幌で差が見られたのでこの言葉で表現した。

・ゲームモデル:試合の基本的な進め方。「チームとしていかに戦うか」。チームの哲学や理念、選手特性等、あらゆる要素を包含して作られる。

・守備の基準:守備における振る舞いの判断基準。よくあるものは「相手の誰々選手がボールを持った時に、味方の誰々選手が○○をさせないようにボールに寄せていく」、「○○のスペースで相手選手が持った時、味方の誰々選手が最初にボールホルダーの前に立つ」など。

・(ポジションの)スイッチ:配置を入れ替えること。

・ゾーン3:ピッチを縦に3分割したとき、主語となるチームから見た、敵陣側の1/3のエリア。アタッキングサードも同じ意味。自陣側の1/3のエリアが「ゾーン1」、中間が「ゾーン2」。

・デュエル:ボール保持者とそれを守る選手との1対1の攻防。地上戦、空中戦、守備技術、スピード、駆け引きetcあらゆる要素を含む。

・ハーフスペース:ピッチを5分割した時に中央のレーンと大外のレーンの中間。

・マッチアップ:敵味方の選手同士の、対峙している組み合わせ。

・ミラーゲーム:互いに同じフォーメーション同士のチームの対戦。特に「1-4-4-2」や「1-3-4-2-1」同士の対戦なら、各ポジション(両チームのDFとFW、MFとMF、FWとDF)で人の配置が揃うので1対1の関係ができやすいとされる。

2 件のコメント:

  1.  こんばんは、にゃんむるです。
     奇跡的に試合観戦できたのに開始早々に失点。しかも毎回やられてるパターンで予想できるものだったので、思わずホントにプロかよっって口に出してしまいました。周りの人に申し訳ないです。すまんかった。その後脱力して前半終わりまで気絶www
     後半は宮沢上げて対応したけど、時すでに遅し。ドン引きしてる相手に対しての選手交代だから出てきた選手の評価もしづらいし、なんだかなーな試合。
     さすがにそろそろスタメンいじってくるでしょ。正直、対策されて機能不全な状態のメンツでのスタートは無いと思いますというか、勘弁して下さい(´-ω-`)
     ジェイさん早く帰ってきてください。あなたがいないとチームとしての深みが全く出ません。ユース組覇気無いよ。声出していこーよ。パス精度上げていこう。集中だっ!
     気落ちはしないように、サポーターとしても声上げて選手を後押ししていきましょう。シーズンはまだまだこれからです。みんなでがんばろー。最後は気持ちですよ。
     リスタートだっ。そんな感じ。にゃんむるでした。またのー(-ω-)/

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    1. 久々に開始早々スコーンとやられる昔よく見たパターンが発動しましたね。
      遅攻中心で武蔵とアンロペが並ぶと難しくて、やはりジェイがどこかで必要だと思います。

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