2026年3月8日日曜日

2026年3月7日(土) 明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第5節 松本山雅FCvs北海道コンサドーレ札幌 〜チャレンジすらできないという現実〜

1.スターティングメンバー



  • 2025シーズンJ3で15位の松本。昨年9月にアルウィンが使用不可となる事故が生じたため5ヶ月ぶりのホームゲームとなります。
  • オフには12人の選手が新加入しており、この試合のスタメンでいうと、MF澤崎はFC大阪で主力としてプレーした大卒3年目。愛媛で中心選手だった深澤は大卒4年目。DF小田はJ1の福岡からやや驚きの新加入でしたがまだ28歳。白井は八戸でフルタイム出場した超主力でしたが石﨑監督の影響もあってか引き抜きに成功しています。金子は阪南大学から新加入。GK高麗は鳥取から新加入の大卒4年目。
  • という具合に新卒も含めて20代の働き盛り、伸び盛りの選手を数人加えることに成功しており、特にJ3のカテゴリだとやはり人を抜く側であるようです。

  • バカヨコが2試合出場停止処分中のコンサはFWに青木を起用し、トップ下には開幕戦以来の出場となる堀米勇輝(前米)。西野はベンチスタート。千葉でのキャンプ中には栃木シティとの練習試合が組まれたそうですが、そちらに出場したサブ組のリーダー格?の浦上が西野に代わって左CBで出場しキャプテンマークを巻きます。

2.試合展開

松本の優先順位:

  • 開始2分にコンサ陣内で松本が右サイドからスローイン。コンサはボールをすぐに奪取し、簡単にトップの青木に縦パス成功、右サイドで松本の左WB樋口の背後をこちらも簡単に白井が取ってピッチ中央で独走カウンターが成立しますが、GKと1v1のシュートは枠の上…という展開で幕開けします。

  • 互いに序盤はGKやDFの選手がボールを持った時に、前線の選手に長いボールを蹴る選択が多くなりました。
  • 松本は180cm84kgという体躯を誇る加藤がトップにおり、家泉と並ぶとまるで外資系生命保険会社の営業のような風貌でもありましたが、実際は松本のFWとコンサのCBの配置の関係上、加藤は浦上とのマッチアップが多かったと思います。
  • この加藤に蹴ったボールを松本の中盤3人のうちインサイドハーフの澤崎と安永が拾う仕事を担う関係で、松本はどうしても間伸びしやすい構造だったといえます。

  • コンサは青木をFW起用ということで、前線で体を張ったり潰れ役になれる選手がいないのは明らかでした。やはりコンサがロングボールを使う展開は10分ほどであまりみられなくなります。
  • コンサはボールを持った時に髙尾と堀米(前米)のポジショニングを、これまでの試合からチューニングしていたと思います。髙尾はこれまで外側、右SBとしてスタンダードなポジショニングからスタートしていましたが、この日は浦上と家泉と共に3バックを形成するような位置に。
  • そして開幕戦で前線のほぼトップに近い位置にいた(と思われる、画面にほぼ登場しなかった)堀米はこの試合は画面に頻繁に映る程度には低め、右インサイドハーフのような位置からスタートして、髙尾や福森からボールを引き取ったり、ワイドの白井に渡った時の中継役となる想定だったのでしょう。


  • 対する松本は、髙尾に対し左MFの澤崎が出ていく形で序盤から決めていたようでした。
  • コンサの後ろの選手と松本の前の選手の関係性でいうと、松本の2トップがコンサのCB2人を見て、澤崎が髙尾を見て…となると、自然と残りの選手、安永が木戸、深澤が福森を見るような関係性が決まってきます

  • 特に中央の深澤が、中央にとどまるというより誰かマークする選手を早い段階で探してその選手を捕まえに動く傾向があったので、松本はあまり中央、センターバックの前のスペースに誰か人を置いてスペースを消すようなことを、チームとしてあまり優先しない印象でした。前の5人は人を捕まえてハイプレス気味に仕掛けて、突破されたら頑張って5バックで跳ね返すというイメージでしょうか。

  • コンサは前線の中央に青木と堀米、中央に入ってくる傾向のある左MFスパチョークと、スカッド構成上、豊富な(飽和気味な)小回りはきくがパワーのないシャドータイプの選手を3人並べており、本来こうした(潰されやすい)選手が前を向いてプレーするには誰かが代わりに潰れ役になるとか、もしくは前を向けるようなスペースを作る必要がありますが、↑のように松本が積極的に動いて中央のスペースを空けてくれるので、コンサのシャドー3人はピッチ中央付近ではそこそこボールに触る機会を享受できていたと思います。

オーバーラップを封じられ:

  • 一方でコンサにとってより重要なのはラスト1/3、敵陣ペナルティリア付近でのアクションになります。
  • ↑で見たように、松本はロングボールを使ったりハイプレスを仕掛ける際にインサイドハーフが高い位置をとりますが、ボールが松本陣内に動いた際に帰陣するアクションがそこまで迅速ではないため、コンサとしては前線にボールがおさまる選手が不在でも、とりあえず雑めにボールを送って跳ね返されても、松本の中央の選手が留守のうちにセカンドボールを回収することはできていたと思います。

  • しかしラスト1/3ではこれまでの試合と同様に、相手ゴール方向に向かってプレーできるウイングの選手がいない、そしてこれまで前線で唯一の潰れ役だったバカヨコの不在もありボックス付近で縦パスを入れることもできない…ということで、あとはコンサにできることは「大外からなんとなくクロスボールを入れる」だけだったと思います。
  • なんとなく、ということで、誰がシューターでどのようなシチュエーションでシュートを撃たせるのかもよく見えませんでした。
  • 特にコンサの左サイドでは、後方からのオーバラップでこのサイドでの役割を一身に担ってきたパクミンギュのところを、5バックの松本は右WBの小田が、パクが追い越すスペースを消すように振る舞っていた(少なくとも必要なところでの帰陣は遅くなかった)ので、これまでの試合のようにパクのスピードで簡単にぶっちぎれるような場面はほとんどありませんでした。
  • 2-4節でコンサが対戦した大宮、長野、岐阜はいずれも4バックで、SBが絞っていればパクがその外側を突くことは容易でしたが、松本は5バックということでアップダウンしているだけでは左サイドで脅威を与えることは難しかったと思います。

  • 左サイドがこうした状況だったので、右の高い位置で張っている白井には比較的ボールが集まる状況でしたが、白井もウイングのプレーができるわけでもなく、距離がある状態での大外クロスで終わるしかなかったと思います。

  • そして松本がロングボールで押し込んで何度かセットプレーを得て、37分に澤崎のCKから加藤のヘッドで松本が先制します。
  • 家泉がボールを確認するために加藤から目を切ったのと、ボール方向にステップを踏んだことで距離的には近いけどマークが外れた状態になってしまいました。割と加藤の位置そのままにボールが来たので家泉は競ることができたというか、これが例えば加藤がプルアウェイして少し離れたところにボールが来ていれば完全にドフリーでシュートを撃たれていた状況だったでしょう。家泉は左手で加藤を触っておくなどしてマーク対象をよりケアすることはできたと思います。

マンツーマンで来られてポジショニングで優位を取れない時にどうするのか?:

  • 後半開始からコンサは福森→川原。
  • ボールを保持したいコンサに対し、松本はよりハイプレスで潰して前に出ていく姿勢を明確にしていたと思います。
  • コンサはSBを基本ポジションに移してビルドアップも4バックの陣形にします。ポジションが後ろめになったパクに対して松本がどう出てくるかコンサは確認しましたが、右WBの小田がそのままついてくる形で松本は対抗します。

  • 松本は末期ミシャを思わせる、FP10人でマンツーマンベースで人を決めてついてくるやり方でした。
  • 特に、前半の部分でも指摘しましたが本来中央でスペースを埋めるアンカーの深澤がコンサのアンカー(福森→川原)についてくるのと、3バックの左右の白井(達也)と宮部がスパチョークや堀米の”下がって受ける動き”についてきて、松本のDF(3バックとも4バックとも見れる)はラインを形成して守るということをほとんどしない。
  • なので、本来サッカーではあまりスペースがないはずの場所(中央のCBの隣や、CBのすぐ前)にスペースができてそこにコンサの選手が1v1の状況を制して頑張って走って、ボールを拾えれば、オープンな状況で松本ゴール方向にプレーすることができる状況でしたが、さながら選手のフィジカル能力と頑張り次第というところでした。

  • この構図から後半の立ち上がりに続けて、スパチョークのミドルシュート(松本のハンドを誘ってFK、正面のFKから家泉のヘッドは枠外)、クリアボールを堀米のミドルシュート(ミートしていましたが枠外)、55分にもゴール右から堀米がミドルシュートと、とりあえず松本の中央が空き気味なのもあってミドルシュートを撃って対抗するコンサでした。

  • 松本が自陣に引いての対応は、これも末期ミシャを思わせる現象でしたが、部分的にはマンツーマンっぽい対応が残っているのと、人を捕まえるだけではなくスペースを埋めておく必要があるのとでそれらが混在した対応になります。
  • ↓のように、CBの家泉と浦上、SB髙尾のところには2トップと澤崎が引き続き1v1の関係を意識しているとして、木戸と川原のところには、深澤と安永がそこに食いつくとDFが簡単に晒されてしまうので深澤は川原に出られなくなります。

  • そして松本がDFの前の2-3人で守っていて、ここも横幅は枚数不足になるので、コンサとしては”深澤の横の位置”でボールを持ってのラストパスやミドルシュートは、前半も木戸や髙尾のミドルシュートはありましたがそれ以上に後半は狙いどころではあったと思います。

  • そんな感じで懐かしのオープンな展開から抗戦していたコンサですが、57分に村越のロングスローから松本が追加点。松本にとっては後半最初のシュートでした。

  • まずロングスローというのは投げられる人が限られているので、練習で緻密に守備対応を対策するのが難しい部類に入るプレーかなと思います。
  • 映像で見るとコンサの対応はコーナーキックの時とほぼ同じ対応で、青木がボールに一番近い位置で低いボールを跳ね返す役割なのですが、まず青木のところで跳ね返すことができなかったこと、対する松本は浦上と競っていたDF金子の動き出しが早く、青木よりも先にボールに関与することに成功しました。
  • あとは対空時間が長いのでGKが前に出て触る、というのが一つの対処法ですが、田川も不慣れなところがあったのと、村越の投げたボールがちょうど青木を越えるくらいの絶妙なところだったこと、ゴール前で松本の選手がコンサの選手をほぼ全員ブロックしていたのは完全に「用意できる側とできない側」の構図だったと言えるでしょう。

同数で守るのは無理では?:

  • 60分にコンサは堀米→大森。


  • 青木が本来のシャドーというかトップ下の扱いになりますが、左利きの堀米は右サイドには位置されていたのに対し青木は左サイドを浮遊します(木戸が右に移動)。
  • 左サイドに青木、スパチョークと並び、あとは田川の配球(家泉と浦上のどちらを使いたいか)もあってコンサは左サイドに人とボールが集まるようになっていました。


  • 最近「ラスト1/3で中央方向にプレーできるウイングがいないから」という話をこのブログや配信では毎回していますが、66分くらいの、コンサが松本陣内の左サイド、ボックス付近でパク、木戸、スパチョーク、川原と四選手が集まってボールを持っている場面が象徴的かと思います。

  • コンサのSBの攻撃参加は一応、戦術的に組み込まれているものではありますが、両サイドが同時に高い位置を取って、中盤の2人(木戸と川原)も予備的なポジショニングを取らない非常に前がかりな状態になるのは、この負けている試合展開や時間帯といったステータスが反映されたものでもあるし、何よりもワイドからゴールに近づくことのできる(≒ボールやチームをキャリーできる)ウイングの不在をサイドバックの攻撃参加という、質的ではなく量的なもので補おうとしているとする解釈が妥当だと思います。

  • 前節のvs岐阜での1点目の失点場面などもそうでしたが、「とりあえずCB2人だけ残しておく」という対応がこのチームの最低基準なようです。
  • そして前節も岐阜のFW川本を1v1で止められず先制点を献上しましたが、80分の松本の3点目、藤枝の得点でもコンサは同数対応を求められているCBが要求に応えることができませんでした。

  • 画面手前側で、浦上が村越へのチャレンジに失敗して反対サイド、家泉と藤枝のマッチアップになるのですが、浦上は1v1で負けているけど、この時のチームの方針としては1v1で対応するということだと思うので、村越にチャレンジしたこと自体はコンセプト通りではあるとも言えます。
  • 一方で家泉は、前節に岐阜の川本にやられた記憶が残っているのか定かではないですが(忘れてはいないでしょうけど)、藤枝が前を向いた時にほぼボールおよび藤枝にチャレンジすらできておらず、完全にシュートコースも残っていた状態でした。

  • チャレンジした結果やられるのも「それでいい」と簡単には言い難いですが、そもそもチャレンジすらできないとしたら、現状のコンセプトや選手起用のバランス(両SBの攻撃参加、中盤にバランスを取れる選手を置かない)自体がそもそも無理があるのかなと感じます。

3.雑感

  • 松本は石崎監督らしい、マンツーマンベースであまりスペースを管理しない懐かしいスタイルでした。
  • それに対するコンサの印象はここまでの4戦と同じで、
  1. J2中位やJ3相手相手ならそのうちボールは持てるが、相手ゴール付近でワイドから中央方向に向かってプレーできる選手がいないのでシュートまで持ち込めない
  2. ワイドの質不足を補填するためにSBに高い位置を取らせがち & 中盤センターにアンカータイプが不在 のため、CBが簡単に晒されるが、CBだけで守り切れるほどの質はない
  • 他にもありますがこの2点はこの試合においてもやはり顕著でした。

  • あとは、一概にどの監督がいいとか悪いとかを議論するのは私の仕事ではないので誰かに任せますが、昨年岩政前々監督が指摘していた「ポジションとかパターンとか役割を固定しすぎると、相手のマンツーマンで簡単に対策されてしまうので、パターンではなくて相手を見てプレーできる仕組みが必要」みたいな話の妥当性は、この松本のようなマンツーマンベースで対応してくるチーム相手の試合運びを見ても事実だったかなと思います。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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