1.スターティングメンバー
- 岐阜はここまで藤枝、磐田、いわき相手に3連勝(前節はPK勝利)と、この百年構想リーグEAST-Bで特に元気なチームの一つ。前のシーズンは石丸監督就任後、25-31節で7連勝したのち、32節から最終節までは5分2敗でフィニッシュと波があるようでしたが、これはJ3で上位のチームと終盤に続けざまに当たる日程だったのも影響していたのでしょう。
- スタメンは左SBのムンが3試合連続で警告を受けて出場停止で外山を起用。他、トップ下の北→大櫛、左SHのキムユゴン→泉澤に変更しており、スタメンのうち7人が30代の選手となっています。
- コンサはスタメンは前節と同じ。サブは大森を外してキングを戻してきました。福森と木戸の位置はいつもと逆で福森が左、木戸は右が多かったと思います。試合前に中村桐耶の、後十字靭帯負傷の重傷がアナウンスされ長期離脱が想定されます。
2.試合展開
スペックはほぼ同等:
- 岐阜の直近2戦を見た印象では、ボール保持に関しては、ミドルブロックで守りそこまで強烈なプレッシングを仕掛けてこない磐田(コンサとほぼ同じ)相手には岐阜は磐田の1列目を簡単に剥がしてDF→中盤へのパスを成功させ、前線の選手にボールを届けて磐田のペナルティエリア付近でプレーする機会を作ることができていました。
- 一方でマンツーマンベースでハイプレスを仕掛けてくるいわきに対しては、序盤からいわきのハイプレス&ロングボール放り込みというマッチョなフットボールの処理に手こずって、岐阜ボール保持の時間を作ることができず、放り込まれたボールをひたすらクリアする展開となっていました。
- 要するに岐阜は少なくとも川井コンサくらいのボール保持からの前進能力(ペイショットが1列目に配されている磐田くらいの緩さなら突破できる)は持っていそうで、一方でフィジカルやスピードで勝負されるとJ3相応のクオリティを露呈するのかなと予想しました。
- よって、コンサも磐田のようにゆったり構えるよりは、いわきのマッチョなスタイルをある程度マネするというか、ハイプレスを仕掛けたり前線のサイズのある選手(バカヨコ、荒野)にロングボールを放り込んで肉弾戦を仕掛ける方がアドバンテージは取れそうでしたが、特にコンサはそうしたやり方は採用しませんでした。
- 結果的には似たようなスペックのチームが、似たような配置・システムで似たような能力でボール保持からプレーを開始する展開だったといえるかもしれません。もっとも予算的には岐阜が10億円、コンサがその5倍くらいなので、それでスペックが同程度と評価されるのはかなりイカれた話でもありますが。
- 互いにCBに対し、前線の2トップ(または1トップとトップ下)で枚数を合わせて対応することが可能な状況でしたが、岐阜は中盤の福田がDFラインに下がって3枚になることでコンサの前線守備の基準をずらしていました。
- 一方でコンサは、岐阜のFW川本が積極的にコンサのCB家泉とGK田川を追いかけてきますが、CBが田川を使ってボールを動かすことでこの川本の前線でのアクションを回避していました(めんどくさいので図は略)。
「ウイングのプレー」:
- vs磐田を見て、岐阜が優れているというか、ボールを持っている時に単にボールを持たされるような構図にならずうまく機能していると感じたのは、①SBの選手がボールを持った時に、SBから中央の福田や中村に斜めのパスを出してプレスを回避でき、簡単に捕まらないようにプレーできていた点と、もう一つは②サイドで展開している時に、サイドが渋滞している時に無理にそこから展開せずに、積極的にサイドチェンジを使ってスペースを突こうとしている点。
- サイドチェンジが失敗するとカウンターを喰らうリスクがありますが、成功すれば相手が空けている手薄なスペースを使うリターンが得られます。岐阜はvs磐田では積極的にこのリターンを狙いに行って成功していましたが、正直なところキックの精度やスピードはそこまでではないので、今後バレた時はやり方を変える必要があるかもしれません。
- この日はそこまでサイドチェンジを使っていなかったのですが、サイドチェンジをしなくとも序盤20分までに右サイドから岐阜は3度チャンスを作ります。
- 最初のチャンス:10分過ぎに福田が得意のアーリークロスに3列目から中村が飛び出しコンサDFの背後を取った場面は↓のように示されますが、
- 岐阜は右MFの荒木がボールを受けて、パクミンギュにゆっくり向かっていくようなドリブルをしてパクを引き付けて背後にスペースを作ってから、SBの箱崎がサポートし、最後に福田が得意のハーフスペースに出ていくという展開でした。
- 特にコンサとの対比になっていたのが、荒木が上記のようなウイングのプレーができるのに対し、コンサは白井やスパチョークがそうしたアクションに乏しく得意なプレーに終始する(白井は縦突破や右足に持ち替えての強引なフィニッシュ、スパチョークは中央に入ってのシュートなど)ので、互いのSB付近でSBの選手を攻略してスペースを作ってより脅威となる攻撃ができていたのは岐阜の側だったかと思います。
- コンサも散発的に、髙尾のパスに白井がポケットを取るような攻撃が見られた時もありましたが、岐阜に比べるとコンサのそれは、岐阜のSBを攻略するというよりは出し手と受け手の阿吽の呼吸のようなもので生まれていたと思います。
- 12分には荒木の右クロスを髙尾がクリアミスしコンサゴールに向かうも田川がビッグセーブ。17分には、やはり福田が得意の位置から右クロスで、川本が触ってコースが変わったボールを外山が頭で狙いますがサイドネット。という場面でした。
SBへの攻撃参加要求と背後のケア:
- このシーズンに入ってほぼ毎回書いている気がしますが、コンサはワイドの選手がウイングのプレーをできないというか、(田中宏武など以外は)ウイングっぽいタイプの選手がいないため、サイドバックの選手がサイドで高い位置を取ってパスの受け手になったり、最後フィニッシュのところでクロスボールを中央に送ったり、ポケットに飛び出したりといった仕事を担うことが期待されています。
- 髙尾もパクもそうした仕事ができるだけの運動量や走力、フィットネスが備わっており、特に前節(vs長野)でのパクのスピードは、J3のチームと比較すると、歴然としたクオリティの差を感じさせるものでした。
- 一方でサイドバックの攻撃参加の重要性が高く、両サイドともDFラインに残っていない場面もこれまでの4試合で見られますが、そうなるとCBの家泉と西野しか残っておらず、相手のカウンターや攻撃の起点となるポストプレーに対し2人のみで対処することを強いられます。
- SBが攻撃参加するなら、例えば岐阜のFW川本にボールが入った時に、家泉がターンさせないように守って時間を稼いで、木戸や福森がプレスバックして2v1で対応…などもやり方としてはありますが、ここまでを見たところだと木戸も福森もそうした意識はそこまで強くないように思えます。
- ですのでコンサがCB2人で対応するとして、おそらくJ3の岐阜相手ならそれでもなんとかなるとたかをくくっていたところもありそうですが、28分に岐阜の川本がスペースに大きく蹴り出して家泉と1v1の形を作り、個人技で家泉を突破してグラウンダーのクロスに荒木が詰めて岐阜が先制します。
》》》𝙂𝙊𝘼𝙇 𝙋𝙇𝘼𝙔 𝘽𝘼𝘾𝙆《《《
— FC岐阜 (@fcgifuDREAM) February 28, 2026
明治安田J2・J3百年構想リーグ 第4節
🆚 北海道コンサドーレ札幌
✅ #荒木大吾 選手#FC岐阜 #AimHigh【広報】 https://t.co/0fMMv4K8VC pic.twitter.com/lScfCEqXY3
- 確かに最後、福森が迅速に戻っていれば荒木を捕まえることができたかもしれませんが、個人的には福森に今更そんなことを要求するのも無理があるというか…。
- SBの攻撃参加、CBの個人能力、中盤の選手の守備能力や意識、どこかで調整の必要があるとして、CBは簡単に変えられない、SBの攻撃参加も削れない、福森は福森なので…と考えると、「見なかったふりをする」という結論になってしまうのでしょうか。
- 一応?34分に福森のセットプレー(CK)からスパチョークのミドルを家泉が押し込んで同点に追いつきます。
- J2の下位やJ3であまり高さがないチーム相手などだと、福森のセットプレーが脅威になるのは間違いなく、ターゲットとしての家泉も同様で、ミドルシュートを放ったスパチョークも併せて、このコンサのバランスが悪い問題に関係している当事者全員が絡んで追いつくという実にコンサらしい試合になりました。
バレないようにやってくれ:
- 岐阜は前半ほぼ登場しなかった泉澤を下げて後半頭から山谷を右に、荒木を左に移します。
- 監督コメントを見るとスタートからはコンサの右の白井のスピードを警戒していたようですが、泉澤→山谷の交代もサイドに蓋をできるように、との意図だったのかもしれません。
- 後半最初のチャンスは52分に、岐阜が自陣から山谷が長い距離をドリブルで走って背後に抜ける川本にスルーパス。川本が1点目と同じように反対のサイドからグラウンダーのクロスを送りますが荒木が今度は押し込めずコンサは救われます。
- 山谷はシンプルにスペースを突くプレーが得意なのか?よくわかっていないですが、パクの攻撃参加で留守になりがちなコンサの左サイドでスペースを突く動きは結構刺さっていたと思います。利き足は逆ですがコンサだと白井に近いプレースタイルかもしれません。
- 後半もボール保持から何かを起こせないコンサは62分に白井→青木。前節と同じく右に入ります。
- しかし直後のプレーで岐阜がスローインからコンサのボックス付近に到達し、左に回った荒木がまたも見事な「ウイングのプレー」でインスイングのクロス。ファーで今度は川本が合わせて勝ち越します。
》》》𝙂𝙊𝘼𝙇 𝙋𝙇𝘼𝙔 𝘽𝘼𝘾𝙆《《《
— FC岐阜 (@fcgifuDREAM) February 28, 2026
明治安田J2・J3百年構想リーグ 第4節
🆚 北海道コンサドーレ札幌
✅ #川本梨誉 選手#FC岐阜 #AimHigh【広報】 https://t.co/lommPn4J6X pic.twitter.com/uAr0iDbhZa
- コンサは川井監督になって基本的には真ん中を固めてリトリートで守るやり方だと思いますが、決定的だったのは福森が川本のマークを外したところ。
- 福森的にはDFに任せた、という様子に見えましたが、DFは皆マークを持っていて任せられても困る状況ですし、福森は川本のマークを外してするするっと前方に移動しますが、結果的にはそこにいても全く意味がないポジショニングになっているというか、もしかするとDFが跳ね返した後のセカンドボールを拾うみたいな考えだったのかもしれませんけど、だとするとプレーの予測の観点でも冴えていなかったといえるでしょう。
- あとは荒野とバカヨコのところも疲れていて、岐阜がゆったりボールを持っているときにプレスバックする元気はなかったようです。何人かが少しずつサボっていた状況だった、といえるかもしれません。
- その後コンサはバカヨコが相手ゴール前でチャレンジしたプレーで退場処分を受けて10人に。終盤は岐阜の足が止まり気味、頭も疲れ気味で雑な選択が多くなり、”事故”もありそうでしたが、それを誘発できるリソースもなく1-2で終了します。
3.雑感
- またまた同じようなことを書いてしまう展開となりましたが、やはり2列目にウインガーがいない、ついでに言うとトップ下としても仕事ができる選手がいない、という問題はあるでしょう。それによって、SBの攻撃参加などでかさ増しをして攻撃の厚みを出そうとしているけど、少ないに人数で守れる相手ではなかった、というのが1点目。
- ただ冒頭書いたように、岐阜はゆるい1列目守備なら楽々と突破するクオリティもあるし、2点目もラスト1/3で見事な攻撃を見せました。普通に岐阜の方が強かったなと感じます。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。




0 件のコメント:
コメントを投稿