2026年2月15日日曜日

2026年2月14日(土) 明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第2節 RB大宮アルディージャvs北海道コンサドーレ札幌 〜曖昧戦略には一応の回答〜

1.スターティングメンバー

  • 今年から新たな試みとして、スタジアムで観た試合はサムネをフォーメーション図じゃない写真にしようと思います。開幕戦ということで割と有用なノベルティが配られていました。




  • 6位でプレーオフに進出し3位ジェフを追い詰めるも大逆転負けで涙を飲んでから2ヶ月。オフの大宮は、比較的出場が多かった選手では市原、津久井、藤井、下口、谷内田といった選手がOUTで、新加入はGKのトムグローバー、DFの西尾、MF加藤玄、加藤聖、前線の山本といったラインナップ。
  • 並行してスタッフの刷新というかチームの体制作りは着々と進められているようで、こちらのインタビューでは、
  • 10代の選手を確保して試合に出すことが重要、という話もしていますが、この日のスタメンは、10代まではいかなくとも、杉本(33)、小島(29)、グローバー(28)、イヨハ(27)、他は25歳以下で、脂の乗っている年齢というか、一定は動けそうなスカッドには変えようとの意識は感じます。
  • システムはスポーツナビ等では1-4-2-3-1で表記されていますが、実際には2トップ+山本(前半キックオフの時だけ右にいた)のトップ下でした。

  • キャンプ地を千葉(稲毛?)に移したコンサ。とりあえず、依然として練習の雰囲気は悪くない、みたいな報道が目につきます。自宅から片道2時間かかるので観に行くのはきついというか、これなら大宮に行ったほうが早いので、できればもうちょい都心よりだとありがたいところです。
  • 開幕戦のメンバーからトップ下と左SBのW堀米に変えて荒野とパクミンギュ、2列目左にスパチョーク。中盤センターは田中克幸に変えて福森。ベンチにはティラパットとキングを入れてフィットする選手探し、組み合わせ探しをしている様子を感じさせます。

2.試合展開

大宮の非対称システムと狙い:

  • 大宮はボールを持っていない時は中盤3枚のシステム1-4-3-1-2に近い。
  • ただし「3」の右が中盤真ん中またはCBの加藤玄で、左がサイドハーフかウイング的な泉が勤めており、ボールを持っている時はこの2人の特徴を活かしたメカニズムというか、泉が左に進出してくる左右非対称な形をとります。
  • コンサゴール前では、やはりこの泉にピッチの左寄りでボールを渡して、左SB(SBだけどプレースタイルはCBっぽい)イヨハの攻撃参加もありますが、中央で待つ山本、杉本、サンデーにの3人にボールを届けてシュートに持ち込むには、泉の仕掛けやラストパスが非常に重要になる構造だと思います。

  • ただしこの試合、大宮の左からのサイドアタックというか頭を狙ったクロスボールは、コンサのDFが4人揃った状態では殆どCBの家泉と西野に跳ね返されていました。
  • 左クロスだと、右にいることが多いサンデーがまずターゲットというか合わせやすいポジショニングになることが多いですが、サンデーはおそらく空中戦はそこまで得意ではなく、彼に合わせるなら頭を狙うボールではなくスペースに出すとか、やり方を考える必要はあったと思います。
  • 開始10分頃に左クロスからコンサの4バックが横幅を守れない大外、パクミンギュの背後で山本がフリーになってインスイングのクロスボールをコントロールからの左足シュートで狙います(GK田川が正面でセーブ)が、これがほぼ「DFが揃った状態での左クロス」がシュートに結びついた場面でした。

  • 28分の大宮の1点目は泉の突破から左足のグラウンダーのクロスといえるものでしたが、これはサイドアタックでコンサのDFが揃った状態から攻略したというよりは、その前にDF背後へのパスに山本が抜け出してコンサのCB西野が中央から引っ張られた形を作っていたため、サイドアタックで崩したものではない。大宮はコンサにゴール前中央を固められると苦しかったのは事実かと思います。


  • また83分に大宮は茂木の右クロスを山本が頭で合わせて追いつき、ようやくサイドアタックが成功した結果となりますが、これは何人かの選手交代を経たのちの出来事でしたので、試合序盤のプランとは分けて考える必要があります。

補完関係を発見?①:

  • 大宮が左サイドから前進には成功してもその後のシュートの局面では苦労していたのは、一つは大宮側の問題というか、ゴール前でクロスボールと、中央に展開できた場合のミドルシュート以外に攻撃のパターンなのか、工夫のようなものが乏しかったことは言えると思います。
  • たとえばコンサがDF4枚で守っているのに対し、大宮は2トップを採用しており、2トップのポジショニングによってCBの家泉と西野を牽制しやすく、コンサのCB-SB間にポケットに大宮の選手が走り込むようなプレーもあっても良かったと思いますが、そうした試みは乏しかったですし、中央に展開した後もそこからミドルシュートだけではなく、右でSBの関口が攻撃参加して左右にボールを動かしてコンサのDFを揺さぶるようなプレーも効果的だったかと思います。

  • 一方で別の要因として、コンサ側の対応で、大宮の左に対し髙尾と白井のユニットでうまくスペースを消して守っていたということも挙げられるでしょう。
  • 1-4-4-2の右MFとしての白井の献身性は前のシーズンでも際立っていましたが、この試合も白井は高い位置でイヨハを牽制するだけでなく、自陣でブロックを作った時にイヨハや大宮の左の位置から中央方向へのパスを消して、外に誘導して髙尾との1v1で誘導することで、(左ではなく)右ボランチだった福森のところに簡単に展開されないようにする役割がありました。

  • 後半になるとこの白井のところでの横を切る対応に綻びが生じ初めて、大宮は中央への横パスからミドルシュートでこじ開けようとする場面が何度か出てきます。
  • 前半ATにも山本のミドルシュートがポスト直撃という場面はあったものの、全体としてはそう簡単に中央を使われることは阻害できていた印象です。

  • コンサはあまり敵陣高い位置からプレッシングを仕掛けず、ハーフウェーライン付近までは大宮に持たせて1-4-4-2のミドルブロックで対応するという方針でしたが、相手に持たせて撤退して守るとするなら、家泉と西野のところで跳ね返す強さはあるとして、ポケットを取られた時にDFの間のスペースを走って埋めるような献身性のある中央のMFがスカッドに見当たりません。
  • 特にこの日は福森を中央で起用しているので、相手に持たせた状態からDF間のスペースを使われて、撤退しているのに守れない、みたいな展開は大いに想定できるところでしたが、少なくとも白井が元気なうちはある程度プランが遂行できていたと言えるかもしれません。

補完関係を発見?②:

  • MF福森がボールを持っていない時に白井や周囲の選手、チームとしての戦術に助けられているとして、ボールを持っている時には依然として無視できない存在であることを示す場面はこの試合何度か見せていたと思います。
  • 3分にこの試合最初のセットプレー(CK)で家泉の頭に合わせてアシストを記録し、以降も前半だけで3-4度ほど、浮き玉のパスで大宮の選手を越えて(つまり基本的にはパスコースが切られているシチュエーションでも)走り込む選手に合わせていましたが、コンサの選手としても、福森が持てば遠くの位置でも視認して出す能力がある、という相互理解みたいなものは、さまざまな形でのコミュニケーションが重要であるサッカーという競技において大きい要素ではあるでしょう。

大宮の”曖昧戦略”に対しスペースを見つけることには成功:

  • コンサはボールを持っている時のプレーについて、配置や関係性を開幕戦の時から変更してきました。
  • いわきとの開幕戦ではSBの髙尾と(左の)堀米が機を見て中に入って中央の選手として振る舞おうとしていましたが、この試合では中央に入るよりも縦の走力が持ち味のパク ミンギュを起用し、そのパクの前の左MFにはシャドータイプのスパチョーク。
  • ですので開幕戦は前の田中宏武が外に張って後ろの堀米が中に入るという関係性を、前のスパチョークが中に入って後ろのパクミンギュが外に張る、と逆にしてきました。
  • 大宮がシステム1-4-3-1-2というか、中盤から前では中央に人が多めだけどサイドの高い位置に人を置かないシステムなので、SBには中央に入ることが得意なタイプよりも、サイドでプレーする選手の方がスペースを得た状態でボールに触りやすいということと、田中宏武をスパチョークに変えるなら、スパチョークは得意の中央付近でプレーしてもらうとしてサイドの高い位置まで走って攻撃参加できるSBを置きたいということで、パクに変えてきたのだと思います。

  • サイドの高い位置に人を置いていない大宮は、コンサがサイドの低い位置でボールを保持している時に、ボールに対し制限をかけていく役割をFW(サンデー)なのか、右MF(加藤)なのか、SB関口が高い位置まで出ていくのか不明瞭もしくはあえて曖昧にしているところがあったので、コンサがパクのポジション付近で始発点に前進するという狙いはうまくはまっていたと思います。

  • そして大宮はSBは持ち場を離れられないので、結局はサンデーか加藤が対応することになりますが、サンデーは前線でコンサのCBにぶつけたい選手でもあるので加藤が主にこの役割を引き受けます。
  • その加藤の周辺(前後関係)で、コンサはスパチョークと木戸という小回りのきく2人の選手がおり、パクや西野の縦パスから加藤の周囲で何度もこの2人がターンに成功して、コンサはこの位置で起点を作ってから前方向にプレーし、左だけでなく中央や右に展開し大宮陣内に入ることが何度かできていたのは、コンサも大宮同様にゴール前のクオリティの問題はあったとはいえ、途中経過としては悪くなかったと思います。

エースをジョーカーにして課題解決:

  • 後半に入ってコンサは57分に荒野・バカヨコ→宮澤・大森。
  • 後半開始からも変わらず大宮が左サイドからコンサ陣内に何度か侵入する(もしくはコンサが自陣に引いて構える)展開の中で、前でボールを収められる選手を2人変えたという見方になるのか、もしくは去年の総括でも書きましたがコンサのシャドー/MFの中で宮澤が最もクロスボールに入ってシュートを狙う能力があるということに川井監督も気づいているのか、という印象でした。
  • その交代直後の58分に自陣からのカウンターから、パクミンギュの攻撃参加で左サイドを突破してスパチョークの得点でコンサが勝ち越します。

  •  カウンターのチャンスで中央が宮澤と大森だとややスピードに欠け、宮澤はやはりシュートスポットに入りきれていないのですが、パクが人ではなくスペースに出したことが、反対サイドでやや遅れて走っていた白井に繋がり、中央をケアしていた大宮DFに対して予測不可能性みたいなものを誘発したと言えるかもしれません。

  • 63分に大宮はサンデー・関口→カプリーニ・茂木。コンサは71分に白井→キング。

  • レッドブルフォーマットというか速く力強いスタイルを採用するなら、大宮は前線で速さと強さのあるサンデーがキーマン。ただ彼に変わるFWの選手がいないのでは?と見ていましたが、カプリーニがそのままサンデーのポジションに入って、役割的にもクロスボールをニアで合わせたりとほぼ”9番”の振る舞いをしていました。

  • 先に述べたようにラスト1/3ではサイドからの放り込みがやや単調かつ(殆ど同じようなところを狙ったクロスボール)、精度もそこまでなかった大宮。ただ後半の2得点の場面では、いずれもカプリーニがしっかりニアに入って家泉と西野を引っ張るFWの役割を遂行していました。
  • コンサは中央ではこのCB2人しか頼れる選手がいないので、家泉もしくは西野を引きつければ、ATの得点シーンのように跳ね返すプレーが得意ではないSBのパクが中央を守らなくてはならない状況を誘発したりもしますし、

  • 先に見た83分の山本の得点の場面でも、カプリーニは1度ゴールから離れた位置からシュートを狙い、ブロックされた後にすぐに切り替えてFWの仕事に移行してポジションを取り直して空中戦に参加したことで、ここもコンサのDF西野のクリアミスと髙尾がファーで競り負けるという、3点目と似た状況を誘発することに成功しています。

3.雑感

  • 去年コンサを率いた岩政・柴田両監督にも当てはまりますが、大抵の「若手の気鋭監督」みたいな方はキーワードとして「相手に積極的に圧力をかけてゲームを支配したい」みたいなニュアンスのことを明かすことが多いと感じます(柴田ゴンシ監督のように建前と本音なのか、妥協みたいなものがあるのは別にして、あくまで指向性として)。

  • 川井監督になってここまで意外なのは、あまり高い位置からプレッシングを仕掛ける様子はなく自陣で守ろうとしているように見える点。
  • ただ本文中にも書きましたが、コンサが「低めの4バック」で守るとすると、4バックのチームで必ず考えないといけないSBとCBの間のスペースをケアできるような中盤の選手が見当たらなさそうだし、コンサには長らくそうした”組織としての献身性”みたいな要素が見当たらなかったのもあって、4バックのシステムで守るならもう少し高い位置から守備を開始したほうがいいというか、簡単にいうと今のところは引いて守れる気があまりしない、というのが2試合を終えての印象です。

  • ただ、SB-CB間のポケットを管理できる選手がいないという編成の問題があるとして、かといってハイプレスに適すような選手がいるわけでもないので、結局は現状のスカッドだと、どんなやり方でもどこか足りない感じがするアウトプットになりそうだし、どんなやり方が最適かという議論のまだ手前が現在地かもしれません。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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