2026年2月8日日曜日

2026年2月8日(日) 明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第1節 いわきFCvs北海道コンサドーレ札幌 〜想定内の折衷案〜

1.スターティングメンバー


  • 紆余曲折ありましたが類稀な決断力と実行力を備えるJリーグチェアマンのもと、Jリーグのシーズン移行が実行される2026年を迎えました。移行後のリーグ開幕までの繋ぎ期間として、史上最短のオフが明け、史上最高にかっこいい名前のリーグが幕を開けます。
  • スタメン発表された12時の時点で、東京は数センチの積雪があり、栃木、相模原、滋賀での試合開催は中止が発表されました。いわきも幾分かの積雪があったようですが試合開催には問題ない程度との判断になりました。

  • いわきFCは25シーズンのプレータイムtop3だった、石田、五十嵐、山下のほか、MF石渡ネルソンがレンタルバックで退団。”そういうコンセプトのチーム”ではありますが、センターラインがごっそり抜け軸になれる選手を探すところからのスタートになりそうです。
  • 予想では木吹がインサイドハーフでしたが彼は右WBとSBの中間のような役割で、大卒新人の久永がインサイドハーフ。撤退時は堂鼻が中央の5バックで、ハイプレス時は堂鼻と、1ヶ月前に高校選手権決勝でプレーしていた中野が中央を務める4バックの1-4-4-2に近い形でコンサにマッチアップを合わせていました。

  • 川井新監督を迎えたコンサはウイングバックタイプの選手のinがなく、堀米悠斗や内田の加入およびシャドータイプの選手が軒並み残留で4バックの1-4-2-3-1ベースになることは容易に想像できましたが、高嶺が抜けこれといった補充もない中盤センター田中克幸と木戸が選択されました。名前についてはとりあえず悠斗、勇輝と表記します。試合前にマリオ セルジオの負傷がリリースされ、おそらくこのコンペティションの半分以上を欠場となるでしょう。

2.試合展開

一応マンツーマン対策はあったが:

  • 予想通り立ち上がりからコンサがボールを持つ(いわきがコンサにボールを持たせる)ところから大半の局面が始まる展開になります。
  • そして前半はそれらのプレーの多くがコンサ陣内かセンターサークル付近でのボールロスト→いわきのカウンター→シュートミスでゴールキック…と帰結したため、またゴールキックからコンサのボール保持…ロスト…と同じような展開をひたすら再放送のように見せられ続けます。そして15分に(この時間で既に)何度目かのカウンターアタックの機会をいわきのMF柴田がモノにし、結果的にこれが決勝点となりました。

  • コンサはGK田川が必ず中央の木戸か克幸にパス→この2人が田川にバックパス(レイオフ)してから田川が右の家泉か左の西野、どちらかのCBにパス。おそらくGKがボールを持った時に、ここまでの3本のパスから始めるプレーはほぼ1回も崩していなかったと思います(例えばいきなり田川が前にフィードしたりはしない)。

  • CB(序盤は家泉も使われていましたが途中からはほぼ西野)に渡った時に、通常はこの配置だと①西野→左SB堀米悠斗、②西野→左ボランチ田中克幸、③西野→トップ下堀米勇輝またはFWバカヨコ、という具合に、前方向に3つのパスコースを作ることができますが、①と②はいわきがマンツーマンで受け手を管理していたので、ここにパスを出しても受け手が個人技で剥がしたりしない限りはコンサにとって良い局面にはならなそうでしたので西野はこの選択肢は消します。
  • よって残った選択肢…③のトップ又はトップ下へのパスをひたすら西野は選択しますが、まずコンサは前半トップ下の堀米勇輝が、ボールホルダーに対しパスコースを作るポジションに出てくることがありませんでした
  • 中継画面の構成上、勇輝のポジショニングを画面で確認できることは稀でしたのでどういう振る舞いや意図だったのかは推察の部分が大きいですが、おそらくコンサはいわきのマンツーマンベースのハイプレスは想定した上で、勇輝を受け手とするよりもバカヨコのポストプレーの方が受け手として信用できるので、バカヨコに収まった後の展開が勇輝の役割として大きかったのかと思います。

  • ただこうしてマンツーマン対策というかデザインはあったものの、コンサのビルドアップやボール保持があまりうまくいかなかったのは、本来ボールの動かし方として3パターンくらいはあるはずが、あまりにも同じ配置で同じ人にボールを動かしすぎていて、要するにワンパターンすぎたというのはあったかなと思います。
  • ワンパターン、同じことをひたすら続けるとして、河合C.R.C改め河合GMが問題提起していたように、それこそ「パスのズレ」が全くないような状況なら相手に読まれていたり受け手がDFを背負っていてもパスが繋がるのかもしれませんが、味方も相手も動きのある状態でそもそもパスのズレを完璧に無くしていくということ自体が極めて難しい話かと思いますし(練習でDFがいない状態でパスするなら別ですが)、この西野→バカヨコのフィードのように長い距離のパスがキーになっているとより難易度は高まります。

ワイドの役割とクオリティと選択:

  • ↑にアニメーションで示したように、コンサはウイングの白井と田中宏武が常にサイドに張った状態で待っていました。彼らは中央に入ったり下がったりして、ボールのある位置に自分から近づくことはしない。
  • 本来左のスタメン級である青木のコンディションは謎ですが、この2人はコンサの前線の中では比較的走力がある2人。2人ともワイドの高い位置で我慢強く待って、コンサが何らかハイプレスを突破していわきの配置が崩れかけワイドの選手が前を向くスペースが生じたりマークが外れかけた状態になったら、縦にスピードアップしていわき陣内にチーム全体として前進させる(敵陣での崩しの前段階として見た時に、ビルドアップの最後の仕上げを担う)役割でした。

  • 前半コンサはこのワイドの選手にボールが渡ってからいわき陣内に入るプレーに、3回くらいは成功していたと思います。
  • ただ、試行回数を数えたわけではないので説得力に欠けるかもしれませんが、この試合展開というかボールを持ってプレーする機会が相当多かった割に、build-upが成功した回が3回というのは、ボールを大事にしてプレーすることを志向しているチーム、予算が相手よりも倍以上あるチームなどの観点で見るとかなり少ないと言えるのではないでしょうか。

  • そして特に右の白井に関して言えるのは、右利きで縦への速さが売りの白井をこの役割とすると、(対面の選手:いわきのDF高橋の対応にもよりますが)どうしても、ボールが渡った後に縦に加速して右足でドリブルから、そのままコーナーフラッグ付近に突っ込んでいく選択になりやすい
  • よく「サイドをえぐる」と言いますしその表現も間違ってはないですが、状況としてはコーナーフラッグ付近で白井がスペースを封じられ、わずかなスペースを縫って中央に唯一攻撃参加してきているFWのバカヨコに、どうにかしてクロスボールでラストパスを成功させようとするけど期待値としてはあまり高くなさそうなプレーに帰結します。

  • おそらくコンサとしては、ワイドの選手とバカヨコの計2人だけで攻撃を完結させようというよりは、ワイドに渡ったら一旦スローダウンして全体を押し上げて全員でいわき人内に入って、中央の枚数も確保してボールロスト時のカウンターへの備えも整えて…というのが本来の指向性に近いように思えますが、そうした展開がほぼなく、build-upの成功率とは別に成功した後の振る舞いや共通理解にも課題があったと言えます。

流石の戦術理解度:

  • 前半コンサがいわきのペナルティエリア内に侵入するなど比較的ゴールに迫っていたと言えそうな2-3局面には、毎回左SBの堀米悠斗(左米)が関与していました。

  • 20分頃から左米は、西野がバカヨコへのパスをほぼ毎回選択していたので、サイドに張って受け手となるよりは別の役割を探し始めます。一つは左ハーフスペース付近に出てきて中央でボールを拾って左ウイングの田中宏武にクイックに渡す役割。

  • もう一つは敵陣に入った後に、マンツーマンで守っているいわきの対応によってペナルティエリアの角付近が空いたタイミングで浮き玉などでパスを入れるか、自らがそのスペースにスプリントしてスペースをアタックする役割。

  • 正直なところボールを持ちたがるチームの方向性でいくならいずれも常識やん感はありますが、「知っている」と「プロの試合で一定のクオリティで実現できる」はまた別の話でもありますし、明らかにこうしたボールの運び方、動かし方、突破口の開き方を知っていそうなのはコンサのスタメン11人の中では左米でした。

こちらも”らしさ”は発揮したが:

  • 後半頭からコンサは堀米勇輝(前米)→荒野。そのままトップ下に入った荒野ですが、前から動かなかった(≒我慢していた)前米と異なり、荒野は後半早々のプレー機会からCBの付近にまで下がってボールを受けに動きます。

  • 後半立ち上がりに立て続けに2回ほど、この荒野からの変化によってマンツーマンベースのいわきがハイプレスをどうするか混乱してコンサはbuild-upに成功する場面がありましたが、いずれもフィニッシュではゴールを脅かすことはできず。
  • この奇襲っぽくうまくいった形を別に続けても良かった気はするのですが、その後は特に変化を起こすこともなく、特にゴールを脅かすこともできず(シュート本数はいわき23に対しコンサ4、うち枠内は5-0)。いわきが逃げ切りました。

雑感

  • まず現状のコンサのスカッドだと2列目に3人並べるシステムを採用し、かつその3人がいずれも170cm前後の身長で、中盤も田中克幸と木戸なら同程度のサイズ、左SBに左米…となるとスタメンのFP10人のうち6人がこうしたかなりスモールなサイズで並ぶので、少なくともセットプレーなどで空中戦やゴール前での競り合いの強さが試されることになると想定すると、CBに家泉のような選手を起用してサイズやパワーを補いたいと考えるのは自然かなと思います。

  • その上で、ボール保持の際の形というかポリシーとして、相手がマンツーマンベースで対応してくるときに①こちらが形を変えて相手のマンツーマンがはまらないようにする、②マンツーマンで対応されることはある程度受け入れてこちらは変化せずバランスをより意識する、みたいなポリシーどちらかになるとして、前のシーズンに岩政監督下でポジションチェンジを採り入れた形にトライするもコンサには難しい、という結論になったとするなら、
  • 川井監督下で改めてボール保持に注力するようなチーム作りからリスタートするなら、この試合のようなポジションを固定した上でプレーするやり方になるのは、個人的にはかなり読めた展開ではありました。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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