2024年12月18日水曜日

北海道コンサドーレ札幌の2018-2024シーズン(5) 〜選手雑感その2〜

前の記事からの続きです。

4.4 中盤センター

10 宮澤 裕樹

21試合出場(983分、うち先発11試合)、1ゴール、0アシスト

  • 大﨑の途中加入により最も恩恵を被った選手でしょう。出場記録を参照すると、2021-22シーズンはDF中央での起用数が中盤センターでの起用数を上回っている。23シーズンから再び中盤センターでの起用が上回り、このシーズンも同じ傾向でした。これは岡村の台頭が22シーズンの途中からでようやく宮澤がCB中央をやる必要がなくなった、というのが最大の要因です。
  • 一方で23年以降は「高嶺ロール」(中盤センターと最終ラインを行ったり来たりして、相手のトップ下またはインサイドハーフまたは下り目のFWをマンツーマンでマークする)ができる選手が宮澤の他には馬場くらいしか見当たらなくて、中村桐耶を試したり、試合中の選手交代では荒野や駒井、青木をそこに回したりもしましたが、やってることはほとんどCBに近いのでこれらのメンバーの中では宮澤が最も安心できる。
  • そして髙尾のコンディション不良と不調により、馬場が開幕から右DFに回る必要があったため、開幕時に35歳だった宮澤がこの高嶺ロールとしてシーズン序盤からフル稼働を余儀なくされます。
  • そうしたスカッド編成であるため依然として宮澤の重要度は低くなく、またこのシーズンも初勝利を飾ったガンバ戦の決勝ゴールなどで宮澤を救世主視する動きもありましたが、一方で福森とともに、2022シーズンからパフォーマンスの低下がさらに顕著で先発しても途中交代が大半でしたが、宮澤1人で2024シーズンの後半戦を乗り切るのは相当厳しかったでしょう。

  • そこに大﨑が加入し、大﨑と宮澤の併用で宮澤を試合終盤のクローザーとして運用できるようになりました。コンサのフロントや強化担当が仕事をしてないとは思いませんが、コンサは伝統的にDFや中盤センターよりもFWの頭数を増やすことを重視する傾向にあり、宮澤がスタメンフル稼働を余儀なくされる状況のままであれば、後半戦の反転攻勢はなかったかもしれません。


25 大﨑 玲央

17試合出場(1,162分、うち先発15試合)、0ゴール、0アシスト

  • ヴィッセル神戸でのラストシーズンでは、ちょうど今でいう宮澤のような起用状況で、主にアンカーのバックアッパー。その年に神戸がリーグ戦初優勝を飾ったスカッドを擁していたとはいえ、移籍先のエミレーツ・クラブでも長く実戦から遠ざかっていたこともありどこまでのインパクトがあるか未知数でしたが、結果的には大﨑の加入からコンサは急浮上を遂げます。
  • まず加入直後のゲーム(vs鹿島)で中村桐耶や馬場に「ここに立て!」「このタイミングで出せ!」と具体的に細かく何度も指示を出していたのが印象的で、この試合でコンサはいつもの1-4-1-5ではなく1-3-2-5のような布陣でボール保持を試みていたのも大﨑の影響があったのでしょう。この配置変更はそこまで直接的に勝ち点を稼ぐ要因にはなっていないようにも思えますが、結果が出ないにも関わらず完全に硬直状態だったチームにいい意味で風穴を開けることにはなったと思います。
  • チームが軌道に乗り始めてからは、先述の「高嶺ロール」として相手のキープレイヤーを潰す役割で奮闘します。6ポインターとなった28節(vs磐田)ではジャーメイン、渡邉りょうといったクイックな選手を使ってカウンターを繰り出してきましたが、必死に体を張って後ろ方向に何度も走って食い止めていたのが印象的でした。
  • ただ36節(vs湘南)では湘南の速く運動量のあるアタッカーに苦戦し、降格決定後の37節(vs広島)では右DFとして出場し45分で交代するなど、大﨑の頑張りをもってしても個人ではどうしようもない面もあり、連戦によるコンディションの問題もあったのでしょうけど、シーズントータルで見ると終盤はギリギリのところで踏ん張っていた印象があります。

  • また大﨑の加入により戦術的にもメンタル・雰囲気的にも小さくない変化があったということで、コンサにはピッチ上のリーダーが不在というだけでなく、テクニカル・タクティカルな役割、マネジメントを担うはずの監督やコーチの不在というか一般的なチームに備わっているはずの普遍的な機能が欠如していたということが、逆説的に露呈されたシーズンだったと感じます。

27 荒野 拓馬

27試合出場(1,873分、うち先発21試合)、1ゴール、1アシスト

  • プレーよりも役職や態度が論点(というか槍玉)にされてしまいました。ここではあくまでプレーにフォーカスしたいと思います。

  • まず荒野に限った話ではないですが、ミシャのサッカーは前線へのロングフィードやサイドチェンジといった「浮き玉の長いパス」を多用するので、中盤の選手の頭上をボールが飛び越えていくことが多くなります。
  • こうしたスタイルだと中盤センターの選手にできることは他のチームに比べて限定的であり(駒井が妙にDFラインに下がってボールに触りたがるのはこれも影響してるかもしれません。仕事を増やさないと不安というか何もしてないと感じるのでしょうか)、自陣でボールを保持している時にはそのボールをどう動かすか?よりもどこにボールが飛んでいって、次の展開がどうなるか?を予測してそれを回収したり、ボール保持/非保持が入れ替わって相手ボールになった時に備えておくなどが仕事になります。
  • 敵陣でボールを保持することに成功した場合は、ポジションを上げていきますが、これも基本的にはコンサは前に5人のアタッカーが並んでいますし、DFも攻撃参加してくるので自分から必要以上にアクションを起こすというよりは状況がどう変わるかを注視し、バランスが崩れる(こちらが5人も6人も前にいる状態で背後を取られる など)状態になることを回避するように動く…といったことがメインタスクになると思います。
  • これらを踏まえると、別に荒野のせいでコンサが勝てないとは思いませんし、勝手に動いて勝手にバランスが崩れるコンサというチームにおいてそれを1人でさせるのは無理でしょう。後半戦、荒野の位置に別に選手が入って浮上したのはそもそもDFも2人入れ替わっていて(髙尾、パク ミンギュ)、そうした勝手にバランスが崩れるということが起こりにくくなったことの方が大きいでしょう。

  • という具合で、評価が難しいですが荒野自体は別に普通だったかなと思います。
  • 一方で2020シーズンに大怪我を負ってから、動きのイメージが以前と違うと本人も認めていますが、動きの量や動きの速さで勝負したり違いを出すスタイルからは転換が必要かもしれません。大﨑と宮澤の項目でも触れた「高嶺ロール」に関しても、荒野はこの役割だとみなされることが直近4シーズンほどでほぼなかったということで、その意味では確かにそこに収まった大﨑の方が貢献度が高かったと簡単に論じられても仕方ないかもしれません。
  • もっとも新監督体制下ではそうしたミシャ体制に最適化された役割がなくなるとは思いますが、それでも荒野に関してはモデルチェンジは模索していく必要があるでしょう。


  • 最後にですが、個人的にはキャプテンが誰かというのは本質的にはあまりプレーや試合内容に関係がなく、どっちかというとチームのシンボルやブランドイメージみたいなもので、そこに不満がある人の声が大きいのだろうと思っていて、だからあまり興味をそそらない議論なのですが、例えば菅野(とマネーフォワード)のYouTubeで「やりたいわけじゃないがいい経験だと思ってやっている」みたいな話を夏場にしていたのを見ると、それならプレーに専念させるという手もあるんじゃないかとは思います。コンサのキャプテンは河合→宮澤→荒野、と指名制で動いているようなので簡単に変わることはなさそうと見ていますが。


37 田中 克幸

17試合出場(300分、うち先発1試合)、1ゴール、0アシスト


  • 左利きの中盤センターの選手ということでやはりこの人との比較を目にします。上里はいかにも蹴るぞというボールの持ち方をしていたのに対し、克幸はより脱力しているというか、DFにとって予測がしづらい自然な動作から次のプレーに移行できるのが長所で、またキックの際のミートの上手さもあり、メッシは言い過ぎとしても宇佐美貴史のようなエグさを感じます。
  • 一方で1年目のシーズンは、序盤のチームの台所事情もありメンバー入りの機会は多かったものの出場時間は300分にとどまっており、点が欲しい場面での交代カード、というよりは克幸を中央で使うことでのリスク(守備強度)を許容できる場合のみ切れるカードという印象でした。
  • コンサの場合、克幸の前に5〜6人がいて、その後ろの4〜5人(場合によってはもっと少ない)で相手のカウンターや放り込みに備えるとなった時に、中央の選手に機動力(動いてボールにアタックする)や跳ね返す能力はいくらあっても足りないので、カップ戦で何度か出場機会を得て徐々にプロの強度やプレースピードに慣れてきた印象はあったものの、リーグ戦で起用するには勇気がいる選手ではあったかと思います。5人交代枠だからこそ得られた出場機会も多かったと考えられるかもしれません。

  • 改めて、セットプレーも含めてキックは秀逸で、特に福森が不在のシーズンとなった中でCKのボールの質が最も良いと感じたのも克幸でした。チームがほとんどセットプレーを練習していなさそうにもかかわらず、キックのイメージと入ってくる選手のイメージの軽いすり合わせだけであれだけのチャンスになるなら、よりセットプレーを重視するチームになればかなりの武器になると思います。
  • 一方でシュートやパス以外だと先述の守備面の話以外にも、ボールを中央でもっと持てる選手であって欲しいとも思います。ボールを持てる、というのは色々なシチュエーションになりますが、一つ言えるのはキックだけに頼ってしまうと↓のように長いパスがインターセプトを喰らって大惨事、ともなってしまうので、プレーの幅を広げることが2年目で出場機会を増やすことに繋がるでしょう。


4.5 DF

2 髙尾 瑠

24試合出場(1,217分、うち先発14試合)、0ゴール、4アシスト

  • 以前から謎だったのが、「なぜコンサの選手(特にDF)は相手が崩れる前に自分から動いてバランスを崩すのか」。いつからか選手のインタビューでようやくその謎が見えてきたのですが「監督がそれを望んでいるから指示に従っているだけ」というなのでしょう(↓の動画以外にも確か駿汰が似たような話をしているインタビューがあったと思いますが失念してしまいました。インタビュアーは杉谷氏と似たキャラ…大森健作氏か誰かだったような気がしますが)。


  • 要はミシャの考え方だとマンツーマンや1v1の局面がベースになっていて、DFが攻撃参加すると必ず誰かがついていく必要があり、それはDFと対峙している相手のウイングの選手などであることが多いので、先に動いて相手を自陣に押し込めてしまえ、ということなのだと思いますが、


  • ↓こんな感じで、ボールを持っていない側がマンツーマンでついていく必要がない場合もあるので、

  • 場合によってはDFの攻撃参加というのは、「相手を崩そうとして自らが先にバランスを崩す行為」にもなりかねません。


  • 髙尾はそうしたコンサ的な「常に高い位置をとる」、「何度も攻撃参加する」といった頻度やマンツーマン偏重な価値観以外で勝負できる点が貴重で、例えば今シーズンのベストパフォーマンスの一つに数えられる川崎戦(29節)では先制ゴールをアシストしていますが、これが試合を通じてほぼ唯一の攻撃参加でした。


  • 攻撃参加の頻度や回数を抑えているからこそ、マンツーマンで相手のウイングやサイドアタッカーをマークしつつ隣のCBをカバーするという難しい役割もこなすことができる。しかし開幕当初はキャンプ中のコンディション調整に失敗した影響もあったほか、コンサ独特の「抜かれたら終わり」な環境に不慣れさを露呈し、特に5節の神戸戦でのパフォーマンスで一時は見切られてしまいます。

  • その後、コンディションの向上やパクミンギュ、大﨑の加入もあり後半戦はスーパー髙尾として君臨し、後半戦躍進のキーマンの一人となりました。田中駿汰とはタイプが異なり、また彼をセレッソに放出して得た移籍金の多くを使った取引だったと思いますが、これについてはいい取引だったと言えるでしょう。


3 パク ミンギュ

14試合出場(1,156分、うち先発13試合)、0ゴール、1アシスト

  • 「ミシャのサッカーは適応に時間がかかる」。何か都合の悪いことがある度に頻繁に使われるワードですが、パク ミンギュを見ていれば非常にうそくさい話に聞こえてきます。
  • 彼のいいところはいくつもあるのですが、まず現在のJリーグで最速と思われるガンバの山下とかけっこして完封するだけのスピード。どのタイプのアタッカーに対してもファウルが非常に少なくエレガントな対応を見せられるのは、読みや技術もそうですがフィジカル的にも優れているから無理をしなくて良いのでしょう。
  • 左サイドタッチライン付近で雑にパスを押し付けられても苦し紛れのロングボールに逃げず味方により良いシチュエーションで返せる技術と視野の広さ。ボールを持っている時にリスキーな選択を避けつる判断(しかし菅にボールを渡してもあまりリターンがないことには気づいていないかも)。
  • そして岡村の背後をCBとしてカバーする強さや危機察知。4バックのSBと聞いていたのでこのタスクがどこまでできるか未知数でしたが、彼の加入によって岡村の頭を超えたり背後に流れてくるクロスボールというコンサのやられパターンの一つに対する不安も解消されます。
  • 何試合見れば韓国にこんないい左利きのDF何人もいないでしょ、の感想を抱くのは自然で韓国代表への招集も当然のように思えます。改めてこのクラスのDFを一本釣りしたのはフロントのナイスディールでしたが、その存在の大きさゆえにいつまで彼を維持できるかは今後の方針やチームパフォーマンスに大きく影響するでしょう。

6 中村 桐耶

35試合出場(1,649分、うち先発18試合)、0ゴール、2アシスト
  • ここ2シーズンはパフォーマンス低下が顕著だったとはいえ、なんだかんだで最終ラインの主力級選手だった福森を横浜FCに期限付き移籍で放出したのは、直近2シーズンで先発3試合→17試合と場数を踏みつつあった中村が24歳になるこのシーズンにDFとして独り立ちするという予想と期待が大きかったからでしょう。
  • 結果としては、パク ミンギュの加入までの期間での左サイドの不安定さを考えると、中村はこの期待に十分応えたとは言えませんし、19位に終わったシーズン全体として見てもこの左サイドでの”読み違え”は大きく響いたと感じます(以前このブログにいいねをしてくれた選手にそのように評するのは心苦しいですが)。

  • ただ中村も左DFだけではなく高嶺ロールを一部兼任していたり、しかもこの役割において特にこうプレーすべき、みたいな指導がなさそうに見える(好きな時にドリブルで突っ込んでも誰にも何も言われない)ので、この点では未完成の若手選手として見た時に丁寧に指導して育ててくれるという感じがあまりない体制であったことは本人だけの問題ではないかもしれません。
  • シーズンのパフォーマンスを追っていくと、その高嶺ロールとして出場した2節(vs鳥栖)で鳥栖のFWヴィニシウスに何度もターンされて退場処分の憂き目に遭い、チームが初勝利を挙げた7節(vsガンバ)以降は左DFとして菅が起用され、そこから5月末に再びスタメンで起用されたのは中村がどうというか、青木(左WB)の離脱によって菅をDFで起用できなくなったことが大きいでしょう。
  • そして6月に入ってヴェルディとの第17節では大量失点の責任を負わされるかのように45分で交代と、そこからパク ミンギュ加入までは起用されていましたが以降はほぼベンチスタートが定位置となってしまいます。

  • ちょうどこのヴェルディとのゲームの前後は、チーム内で「どこまでマンツーマンでプレーするか」(なおコンサ語での「マンツーマン」はプレッシングとほぼ同義だと捉えてください)みたいな議論が活発で、かつ結果が出ないということで中村だけでなくほぼ全ての選手がどう対応すべきか、どこまで相手についていく対応でいくべきか迷っていいたのが今見返してもよくわかる失点をしていて、これも中村だけの問題だとは言い切れないですが、左サイドで監督が陣取るテクニカルエリアの目の前ということもあったか、彼が懲罰的な扱いを受けることになります。

  • 来年夏に25歳になるということでもう若手ではなくなりつつありますが、新監督がDF出身ということで(石屋製菓社長も惚れ込む元日本代表のDF…2002年くらいを思い出してワクワクしますね)、この空白の数年間を埋められるくらいの成長を期待するところです。おそらくコンサの編成の傾向でいうと、中村が左利きCBとして1stチョイスになると思われますし。

  • ただ最後に触れておきますが、前に加速できる状態でのドリブル突破はリーグ全体で見ても過小評価されていると感じます。最終ラインにいるとそれをどこまで出していいのか難しいですが、ガレスベイルみたいなキャリアもまだ残されているかもしれません(ゴルファーという意味ではなく)。


15 家泉 怜依

12試合出場(482分、うち先発5試合)、0ゴール、0アシスト

  • シーズン序盤で岡村の負傷した際に、CB中央の代役として宮澤に次いで登場し、10節(vsセレッソ)ではレオ セアラとマッチアップし、PKによる1ゴールに抑えるなど及第点と言える働きを見せたことで、岡村頼みの最終ラインにおける新戦力として期待が高まりましたが、12節(vs川崎)では元フランス代表・バフェテンビ ゴミスにパワーで対抗するもゴミスがやり方を変えた途端に崩壊し、以後は非常に限られた出場機会となってしまいました。

  • 夏場は故障もありましたが、トレーニングでも私が見た時は、CB中央としては宮澤以下の序列でミニゲームに加わらない若手ロンド組扱いと、監督から一気に見切られてしまった感があります。
  • ただ家泉もカオスを極めるチーム事情の犠牲者という印象が強く、チームとしてマンツーマンに迷いが生じた中で柏戦(15節)などでスイーパー(あれはフォアリベロか)として途中起用されたり、隣を守る左右のDFの選手も安定しない中での起用が多かったのはJ1で初年度の選手としてはハードだったと思います。


  • ボールを持っている時のプレーは↓のようなミスもありましたが、あまり上手い・巧い選手とは思わないまでもボールを運ぶ積極性や意識は感じられ、むしろ岡村の1年目と比較するとそう悪くはなかったかもしれません(ただし岡村はそこからえぐい成長速度を見せる)。

  • ↓のゴールも家泉のconducciónからでした。 

  • 岡村の動向と関係なく、新監督で4バックのオプションも検討するならDFの更なる台頭が求められますので、中村と同じく中央の選手として手応えを掴んで欲しいところです。


50 岡村 大八

33試合出場(2,878分、うち先発32試合)、2ゴール、0アシスト

  • 現在コンサとの契約が残っている状況のようですが複数クラブからの関心が報じられており、Jリーグの人材空洞化問題を考慮しても毎年リーグ最多失点争いの常連チームのDFとして異例の評価を受けています。
  • このシーズン序盤は、岡村にしてはもうちょいやれるのでは、と感じる試合もあり、コンサのディフェンスの8割は岡村と菅野でもっているとするなら、岡村のところでもう少し勝てれば別の結果になったかもしれませんし、家泉が試されたのもそうした感覚が、もしかすると監督にもあったのかもしれません。
  • ただ今となっては、1節の福岡でウェリントン、2節の鳥栖でマルセロヒアン、4節の町田でオセフン、5節の神戸で大迫、6節の名古屋でパトリック、と岡村の能力がもろに問われるハードなマッチアップ続きだったこともあるでしょうし、鳥栖や町田相手には個人というよりチームで、ゲームプランの失敗の方が大きかったでしょう。後半戦は髙尾とパク ミンギュという頼もしい仲間を得て完全に本来のパフォーマンスを取り戻していたと思います。
  • ボールを持っている際には、このシーズンから負担の大きい左DFに回って、右DFの宮澤や大﨑を助けていました。去就は未定ですが普通に考えればJ2でプレーする選手ではないでしょう。


88 馬場 晴也

37試合出場(2,985分、うち先発35試合)、2ゴール、3アシスト

  • 2023シーズンの後半戦でコンサは3勝に終わりましたが、この間の数少ない収穫として荒野と馬場の中盤センターのユニットが定着したことが挙げられます。
  • この2人は荒野が動いてボールにアタックし、馬場が予測してボールを拾う…という役割分担をしていた印象で、コンサはどうしても前のFWに放り込む展開が多い中、セカンドボールを拾う重要な役割で加入1年目の馬場は立場を確立しかけていました。
  • 迎えた2024シーズンは髙尾の出遅れに伴い、開幕から右DFで起用されますが、この位置では地上戦、空中戦を問わず1人では対処しきれない場面も多く、

  • 18節の京都戦では西野を右で起用するなど、右DFとしてはほぼ失格に近い扱いとなってしまいます。その後は大﨑の加入、荒野の故障により、中央で大﨑-馬場のユニットが多くなりますが、馬場を含めチームを動かしていたのは大﨑ですしゴール前で身体を張ったり相手のキープレイヤーをマークする役割を担っていたのも大﨑で、前の年に東京ヴェルディから一定の移籍金で獲得したと思われる(今回見木がヴェルディ→福岡で推定8,000万円と報じられていますが馬場はより若いのでもう少し上でしょうか)選手としては物足りなさを感じます。
  • パリオリンピック代表候補でキャプテンマークを巻くこともあるCB、という触れ込みでしたが、DFとしてはスピードに欠ける印象があり現場その際に身体を投げ出すプレーでカバーしようとする傾向があるように感じますが、そうしたリスクのあるプレーに頼らず予測で勝負するようになって欲しいところです。


4.6 GK

1 菅野 孝憲

35試合出場(3,147分、全て先発)、63失点
セーブ率66%、1試合平均セーブ数3.5、クロスキャッチ率21.2%
  • 順位も失点数もワースト3ということで普通の感覚ならGKやセンターバックには特に厳しい目が向けられるのだと思いますけど、菅野がリーグでワーストのGKかというと少なくともその水準ではないでしょう。
  • このシーズンの失点を改めて振り返ると、序盤戦でPKを含むセットプレー、特にCKで菅野が出られない速いボールを蹴って、ニアで1人潰れてスペースを作ってからファーサイドで合わせられるパターンは定番化していました。こういうデザインされたプレーで来られるとGKや個人個人のDFの力で対処が難しく、やはりセットプレー軽視は最後にツケを払うこととなったと感じます。

 

 

 

 

17 児玉 潤

2試合出場(93分、うち先発1試合)、0失点
  • 失点ゼロなのでセーブ率は100%です。こちらもリーグ戦最終節とカップ戦2試合(ルヴァンカップ+天皇杯)で計2試合しか見ていないので判断が難しいですが、まず利き足が左右どちらか初見ではわからないほどに両足を使いこなす起用さが目を惹きます。当然フィードにも自信があるのはわかるのですが、キックの精度というよりフィードを使うタイミングや誰に最初に当てるかはまだ向上の余地があるように思えました(選手の特徴を知るという連携の問題もあるでしょう)。
  • キャッチングやフットワークは練習で見る機会があって、比較対象が小次郎とすると確かに児玉がベンチ入りで高木不在時のNo.2かなと思わされます。この辺りの特徴は菅野に似ていて、サイズの割にクロスボールに対して積極的に出ることができるのは、スタッフからすると起用を後押しする理由になるでしょう。
  • セービングは全般に見るとまだ菅野とは差があるように感じますが、ソンユンのようにバックパス処理が不得意なGKを抱えておくよりは緊急時にも対応しやすいかもしれません。
  • ただ菅野にも言えますがJ2にどんなチームが並ぶかは不透明ですが、背の低いGKに対してファーサイドにふわっとしたボールを蹴ってひたすら空中戦を仕掛ける、みたいなどこかの眼鏡をかけた監督のような陰湿な戦術を取ってくることも、おそらくサイズのないGKが2人いるということで検討くらいはしてくると予想します。

以上で一連の企画を終了します。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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