2024年12月8日日曜日

2024年12月8日(日)明治安田J1リーグ第38節 北海道コンサドーレ札幌vs柏レイソル 〜ここでしか見れない無邪気さ〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:




  • 最終節時点で柏と新潟が勝ち点41、磐田が38で僅かに逆転の芽を残す状況。柏は34、25(延期)、35、36、37節と5試合続けて後半ATに失点しており、犬飼不在の影響にどうしても言及せざるを得ません。
  • ただ前節、首位の神戸相手に立田は(主に空中戦で)善戦しており、直接的にはジエゴのラフプレーによるPK献上がスコアを左右していますので、犬飼がいないとダメという目で見るのも本質的ではないでしょう。
  • そのジエゴが出場停止の左SBに三丸。他はほぼ同じメンバーが並びます。高嶺移籍後の中盤センターには手塚の起用が増えているようです。

  • コンサは菅野が出場停止でGKに児玉。大﨑がスタメンに定着した7月以降では初めてベンチスタートとなり、宮澤が先発したのはおそらくCBの役割をするには宮澤がよいとの判断でしょうか(この役割を結局固定できないというか、中盤の選手にやらせるのに無理があるのはここ3シーズンほど共通しての課題でしょうか)。

2.試合展開

どこまでが道なんだ:

  • お互いがどこまでボールを保持して前線に届けるための道を敷けているか。
  • 柏はコンサのpressingを嫌って早々に前線に蹴る選択をとっていました。引き分けでも残留が決まるということでリスク回避は存分に考えていたと思います。

  • 全体として柏は、スーパーエース・マテウスサヴィオにいかに仕事をさせるかということも同時に考えていたのでしょうけど、これについてはサヴィオを中央〜左に初期配置で置いていますが、最初からそこにボールを集めるという選択と、最後にサヴィオに届けるという考え方と両方があったと思います。
  • 柏の選択は前者で、ほぼほぼ左にフィードを蹴って、木下かサヴィオが競る形が何度も繰り広げられます。が、木下は放り込まれた際に恵まれた体躯と運動能力を活かしきれていると言い切れず、サイズやスピードで劣る宮澤とのマッチアップでも、コンサが脅威となる場面を創出されることはそう多くなかったと思います。木下は背中でDFをブロックするのが上手くなく、コンサのDFがボールが落ちてくる直前まで動ける状態であることが多かったためです。

シン・無邪気:

  • 柏よりはコンサの方が前線の選手への”道”は幾分か明確で、少なくとも後方の宮澤や岡村、その隣の馬場やパクミンギュまではルートが繋がっていたと思います。
  • ただそこから先は不明瞭で、右サイドであればシャドーの浅野に当てたりトップの武蔵が引いたところに当てたりと試みていましたが、浅野には古賀がついてくる状態で渡しても簡単に柏を崩すには至らず、コンサの攻撃機会は武蔵が体を張ってボールキープするプレーから生じることが主だったと思います。
  • そして武蔵のそうした前線で起点を創出する能力の、木下との差異はそのまま両チームの優劣となっていましたし、マテウスサヴィオがいる柏といないコンサ、という関係性ですが、サヴィオが輝くには木下の頑張りがもっと必要だったかもしれません。

  • 浅野に押し付けても難しい、という旨を書きましたが、5分の近藤の先制点は浅野への縦パスをフリックしたところからでした。
  • 確かに見事なワンタッチプレーなのですが、体の向きと別の方向にワンタッチでフリックして、かつそれを味方と呼吸を合わせるというのは高難度であり、そうそう何度も決まるものではなく、その点では評価に困るところはあります。

  • もっともこの場面では、コンサの前線5枚に対し柏は4バックで対応し、かつ人を捕まえるのが早めの対応をしていました(ゴール前でクロスが上がるタイミングなどでは人を捕まえるのは普通だが、ここはまだその前の段階なので)。
  • 古賀が浅野についていったところでのワンタッチプレーは、柏DF(個人というよりユニット)の逆をとり、またワンタッチで速くプレーしたことで立田のスライドが間に合わず、柏は完全に崩されたプレーだったとは思います。

  • またこの時のコンサは駒井が出し手でしたが、試合を通じてこのあたりのポジショニングは流動的で、特に本来マテウスサヴィオとマッチアップする馬場のポジショニングが安定しないことで、柏ボールとなった後に(本来この試合で最も自由にプレーできないはずの)サヴィオから前進する場面が頻発します。
  • コンサは宮澤が頑張ってカバーリングしていましたが、加速するサヴィオに対し宮澤では限度がある。試合を通じて細谷や木下との呼吸がもう少し合っていれば違ったスコアになっていたはずです。

雑感

  • 近藤のゴールは見事でしたが、最終順位19位と17位の対戦ということで、両チームともあまりボールを運べないし、それでも適当に蹴ってるだけで何度かチャンスになる、という見ていて厳しい内容でした。来年は異なるカテゴリで、両者とも新体制になるとの報道がありますが、この状態から刷新していくのは簡単ではなさそうに思えます。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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