2026年5月17日日曜日

2026年5月16日(土) 明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第17節 福島ユナイテッドFCvs北海道コンサドーレ札幌 〜今のところはただ奇妙なだけ〜

1.スターティングメンバー



  • コンサホームでの対戦時から福島はGK、アンカー、右インサイドハーフ、ウイングの4選手が入れ替わっています。ここまで16試合で、失点がこのリーグ最多の38と多く、GK4人が出場機会を得ているのはそうした理由もあるかもしれません。
  • コンサは試合後の会見によるとシステム「1-3-2-5」にしたとのこと(私はボール非保持を基準に表記するのでいつもの1-4-2-3-1表記ですが)。堀米勇輝の左での起用はその関係だったようで、その時は梅津が3枚の中央、西野が左になります。
  • なおホーム側がメインスタンドから見て右手ですが、大型ビジョンがホーム側のみにあるという変なスタジアムだなという感想でした。福島のピンクのユニフォーム(ふくしまSDGs仕様)、コンサの赤黒着用と相まってこの表記だとコンサホームの試合のように錯覚しそうです。

2.試合展開

事実確認はいいんだけど何でうまくいったか理解してる?:

  • 試合後の会見でのやりとりは
  • みたいなものだったようですが、私の感想としては、別にこの1-3-2-5というものが福島に対して明らかに特攻性能があるかというとそうは思いません。
  • むしろシステム1-4-1-2-3の形で高い位置から前線守備を行う福島に対し、コンサがボールを持った際にこの形になると、一般には↓のように3バックと中盤の2人が全員マンツーマンではめられてうまくボールを運べない…みたいな事態にもなりかねないものです。

  • なのでこうした構図で「うまくいった」となると、単にどちらかが何かいいプレーをしたとか戦略的戦術的によかった、というよりは、もう片方が著しくパフォーマンスが悪かったりそもそもの能力差があったり…みたいなことも考えられます。
  • おそらく記者会見場にいた人はそうした話の掘り下げをしないと思われるので、ここでなるべくこの試合について考えたいと思います。確かにスコアは3-0の勝利ですが15本のシュートを撃たれているものを「うまくいきました!」とする論評で読者の理解を得られるのかはそのメディアの性質にもよると思いますので。

そもそもシステムとは:

  • 例えばDAZN中継の試合時間6:45頃〜、コンサがGK西野にバックパスして自陣から再構築を図り、福島がコンサのGKとDFにプレッシングを仕掛けようと窺う場面を参照します。
  • 田川に渡った6:50くらいでは、コンサは梅津と西野が田川の左右に開いて髙尾とパクミンギュもSBの位置にいる。アンカーに堀米、左インサイドハーフに木戸…となっており、要は自陣深くでコンサが福島の前線守備を剥がしていくところではシステム1-3-2-5というよりは4バックのシステムのメカニズムを使っていました

  • その後、8:40頃〜からの局面は、福島がボールを保持して密集してわちゃわちゃして…から、最後は右の中村のロングレンジのシュートで終わります。
  • 実況のアナウンサーの方が「福島のボール保持時にコンサは3トップに対しDF3人が残っていてパクが高い位置にいる」と指摘しますが、そこから福島がコンサ陣内に入ると↓のような陣形の攻防になっていました。

  • コンサの選手の中で私が注目するのは、まず(1-3-2-5だとして)左右のパクとティラパットのポジショニングの高さと対応する仕事。
  • 実況アナウンサーが言及した福島陣内でのプレー時は、画面では見切れていましたが西野が永長(右ウイング)を意識していたようですが、コンサ陣内に入るとパクに福島の右サイドを任せている。一方でティラパットは帰陣が遅めで最後までDFに吸収されることはない。

  • なのでここを見ても、自陣で守る時は1-3-2-5というよりは4バックのイメージの方が近いように感じました。
  • ただ堀米勇輝が前線の中央で前残りしており、本来左MFになるような役割も考えられますがそうではないので、この点に関しては4バックの1-4-4-2系の仕事をしていない。
  • 結論としては4バックと3バックの中間というか、パクのような選手が中間的な役割や振る舞いになっていたと言えるでしょう。

こちらに主要因があったのか?:

  • 先述の通り、コンサが自陣でボールを持っている時は4バックの1-4-1-2-3気味の形でした。
  • 福島はハイプレスを仕掛けてくるのですが、この試合、福島のそれがはまって高い位置で奪ってショートカウンターのような場面はほぼなかったと思います。

  • 構造としては、福島はトップの樋口がGKに対して出ていくところから始まります。次にコンサの右CB梅津が持った時に、左ウイングの清水がケアしますが、清水は梅津と髙尾の両方を見る役割がある。
  • そしてコンサがもう1人(堀米悠斗)ボールサイドに顔を出すと、近くの選手であるインサイドハーフの中村が出て捕まえようとする…と言う具合に、とりあえず福島はコンサの選手を1人ずつ捕まえようとする姿勢を見せます。

  • しかし福島のこの一連の対応は、まず最終的にどこに誘導してボールを奪おうとアタックするのかが極めて曖昧に見えます。

  • 例えばウイングの選手の対応のところは、梅津と髙尾の両方を見ていましたが、それならば基本的には2選手の間に立ってパスコースを消すとか、1人の選手を追いかけたのちにパスが出たらもう1度全力でもう1人の選手を捕まえる(いわゆる二度おい)とか方針を決めておく必要があるのでしょうけど、福島のウイングの選手は中途半端な位置に立っているだけで、どういったシチュエーションを狙うのか、といった意図がほぼ感じられませんでいた。
  • あとは根本的に首を振って確認する回数が少なすぎて、そもそも2人を見れていないように思えます。

  • このウイングの選手のところで方針が決まらないので、結局梅津がボールを持った時に、梅津にある2-3程度の選択肢を、福島は制限をかけて消すことが全然できておらず、ウイングの次に対応するインサイドハーフの選手も、場合によってはコンサの髙尾も堀米悠斗も両方見なくてはならない…という状況になっていました。
  • こんな対応ではボールを奪えるわけがないし、そもそも相手を誘導して罠にかけるような意図もほぼないので、福島のやっていること組織守備とは一切いえないように感じました。

  • ただ、最終的にコンサが前線の荒野や大森に縦パスを出してくるとして、そこでの局面ではコンサの受け手の選手に対する関係性は明確になっていたこともあり、福島のハイプレスがコンサに対してほぼハマらないことが、直ちにスコア(得点だけでなくシュート数なども)に結びつくことはありませんでした。

言うほどパーフェクトか?(vsクレイジーフットボール):

  • 「守備はパーフェクトだった」と自賛が出たという川井監督。そのパーフェクトな対応を見ていきます。
  • 福島は自陣でボールを保持する時に、相変わらずワイドに人をおかず中央に集める(フットボールの常識的に)クレイジーな配置から始まります。
  • コンサは↓のように、福島の前線3人に対し、髙尾、梅津、西野の3人だけを残す同数対応で、確かにここは3バックと言ってもおかしくないものでした。
  • 考え方としては、福島はどんどん選手が降りてきて低い位置でボール周辺に集まってくるので、確かにコンサとしてはDFは必要最小限で良い状況でした。おそらくコンサの前線に割と人が多く集まっているのも福島のやり方をわかっているからで、ティラパットはほぼFWに近い位置にいて、中盤の枚数がやや足りなくなる分をパクミンギュが絞って真ん中に入って…という状況でした。


  • 福島はこの布陣から、GKがいきなりロングボールを蹴ることも少なくないのですが、前線に特に体を張れる選手もいないし、トップの樋口は足元で受けようと頻繁に下がってくるし、スペースに走り込むようなプレーも少ないし…で、ロングボールのターゲットは永長でしたが、特に工夫もなければ西野が完勝してコンサがボール回収できていました。

  • 試合経過とともに、少しずつ福島は足元にパスをするプレーを増やしてくのですが、基本的にコンサの選手が密集してかつある程度マンツーマンが成立した状態でも、福島は自陣ゴール付近で繋いでいました。
  • このプレーに自信や信念を本当に抱いているならどうぞご勝手に…という感じなのですが、基本的には足元のパスだけで剥がすというのはこのシチュエーションで難しく、パスアンドゴーというかスペースに走るようなプレーが必要かと思います。
  • 福島はDFの選手がなかなかそうした動き出しが少なく足元でのプレーが多く、走るプレーは中盤やFWの選手が下がってきて…というものが多かったですが、前の選手が下がってきて一度受けて、また前方向に走る…というのはあまり効率がよくないですし、その一連の動きも中央の密集したところでやっているので、そもそもスペースに走っていると言えるのか微妙で、とにかくスペースを使おうとしない…ひいては自分たちでフットボールの難易度を(不要に)ハードルを上げている印象でした。

  • そして、そうした状況でコンサがボールを奪うと、コンサは前に残っている選手を活用すべく、さっさと前線にボールを送ってシュートに持ち込もうとします。
  • イージーな放り込みだけでは点が取れず、福島が自陣ボックス付近でボール回収するとして、福島はそこからクリアというかはパスを繋ごうとするのですが、その際に福島の選手はワイド誰もおらず中央に密集しているので、こうした「自陣ボックス付近で、繋ぎたいが絶対にミスはできない」みたいなシチュエーションで安全にボールを預けられるところがなく、ミスをしてはいけないシチュエーションでミスをしてまたコンサのシュートチャンスに…といった場面も何度かありました。
  • これも福島は自分からフットボールのハードルを上げているという感想なのですが、シンプルに危機察知の意識の欠如なのか、意識の低さみたいなことも指摘できるかもしれません。コンサのシュートが入らないので、痛い目をみることがなく意識が変わらないのかもしれませんが…

続・言うほどパーフェクトか?:

  • この日コンサは前後半に3ゴール全てをクロスボールからゲット。1点目はおそらく(画面に映らないからおそらく)トリックプレーで、本来CKの際に後ろで残っている堀米悠斗が隙を見てボックスに侵入して完全にフリーの状態でシュート。
  • 2点目はティラパットのクロスボールを投入直後の長谷川がヘディングシュート。ビルドアップは梅津?からのロングフィードを右のスペースでティラパットがキープしたもの。最終的にティラパットに再び渡ってクロスボールを供給するのですが、この時も福島はボックス内に人はいるけど、出し手(ティラパット)に圧力も誘導も制限もかけられず、長谷川もボックス内でフリーでした。

  • 3点目はフリーキックから、またも長谷川のいつもながらの、素晴らしいクロスボールがありましたが荒野はオフサイド気味かもしれません(樋口をブロックするプレーはうまくいきましたが)。
  • そこは無視するとして、福島のこのセットプレーの際のライン設定は高すぎて長谷川のような非常に優秀なキッカーだと容易にDFとGKの間にボールを落とせますし、荒野の難しいボレーシュートが決まりましたが、別の質のボールでも走り込みながらスピードを維持してヘディングシュート、のようなプレーはこの対応ならかなりやりやすそうに思えます。




  • 3-0で楽勝ムードとなりましたが、最終的には福島がシュート15本とコンサの12本を上回ります(コンサ公式より)。枠内も3-3で同数でした。
  • あまり福島の良いところをここまで書けませんでしたが、福島は足元にパスをするのは非常に上手いので、コンサが疲れたか、集中が切れたかわかりませんが福島の選手がフリーになってスペースが空いてくると、中央突破で終盤はコンサゴールに何度か迫れていました。

  • 特に、コンサの右サイドのティラパットのところが戦術的にイレギュラーというか、左はパクがDFとして戻るのですけどティラパットは戻らないので、かつ髙尾が福島の左ウイングをマークしているとなると、コンサは右サイドが空くことになり、福島はそこを使うことができれば面白かったかもしれません。
  • しかし基本的にそうしたサイドをつくとかスペースを狙うことをほぼしないチームですので、前半に1回左SBの安在が飛び出してから樋口?のシュート、という場面はありましたが、戦術的にコンサのもろさを突くような展開はそれだけでした。

雑感

  • この半年でJ3にもちょっとは詳しくなれたかもしれません。そういう、ちょっとつまんだ程度の分際で僭越ではありますが、まず長野と福島はJ3勢の中でもかなりチームとして落ちるな…という印象でした。
  • 福島や、岐阜なども似ているかもしれませんが、特定のプレーや局面に関しては強みというか特徴があり、それがハマった時は割といい形になるとして、フットボールとしては、何度か書いていますが
  • これらの要素を最低限どれだけ持っているかが重要になる。
  • J3のお金がないチームなのでしょうがないのですが、福島はゴール前やセンターラインの強度がなさすぎて、コンサのように別にプレッシングもビルドアップもそこまで上手いチームではなくても、なんとなく中央でプレーしていれば勝手に福島がミスをしたり集中を切らしたりしてシュートチャンスになって…という印象でした。

  • あとは試合と全く関係ないですが、このシステムを「3バック」だとするなら、かつてのミで始まる名前の監督については2バックか4バックとかになると思うのですが、そこは誰も指摘せずに3バック表記を続けていたのが純粋に疑問でした。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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