2024年4月18日木曜日

2024年4月17日(水)JリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド 第2回戦 アスルクラロ沼津vs北海道コンサドーレ札幌 〜見せるべきステージ〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:


  • 3月にleminoで日向坂の特番があって、leminoに加入するとその観覧に応募できるので1月末から有料契約している(結局観覧は落選した)関係で今年はルヴァンカップを観れそうです。
  • 沼津はJ3で10節を消化して6勝2分2敗の2位と好調。この試合にはターンオーバーしてコンサ同様にひらがなあするくらろといったメンバーを送り出しているようです。
  • スタメンのうち右SBの安在と、CBの附木、インサイドハーフないしはトップ下のような役割の徳永、右ウイングの森はリーグ戦でもよく出ている選手のようです。齋藤学はあの齋藤学本人です。
  • ひらがなこんさのメンバーは、キャプテンマークを巻く中村桐耶と怪我からの復帰戦のキムゴンヒ(ゴニ)以外はリーグ戦でほぼ経験のないメンバー。GKは以前なら小次郎に経験を積ませていましたが、そうした特別扱いもなく厳しい立場かもしれません。
  • システムは私の表記にしては珍しくミラーになっていないですが、これは丁寧に説明します。


2.試合展開

意外にモダンな?ゴン沼津:

  • 両局面での初期配置やマッチアップを図示すると、まず沼津がボールを持っている時は毎回⇩の形…右SB扱いになっている安在(鳥栖にいた選手の弟)が中央に移動して、後ろは1-3-2の人の配置になっていました。


  • ここから沼津は、①安在がさらに下がってDFライン付近からボールを持って、コンサの1列目3人の間を(フットサルっぽく)ドリブルで持ち運んだり、フリーマン化している遠山と徳永に縦パスを入れて前を向く、といった選択でひらがなこんさ陣内に侵入することにはまずまず成功していたと思います。
  • ひらがなこんさは、まず安在に対して田中も西野もついていかない時点でマンマークの約束事はかなり緩いルールとなりますし、加えて半端な位置どりをする沼津のフリーマン2人、特に左に寄ってくる徳永をどうするかが不明瞭で、ここを捨てる時点でマンマークではめる、というコンサにとって数少ない戦術的な要素は形骸化していたと思います。


  • 沼津は人が余剰気味の左サイドでコンサのマークを混乱させて何度か前半、チャンスを作っていました。13分には左で(たぶん)徳永がハーフウェイライン付近で受けてフリーのままひらがなこんさ陣内に侵入、低いアーリークロスで惜しい場面を作りましたが、この時に遅れて徳永についていったのが右FWの出間(本来宮脇の対面なのでここについて行く必要はない)という点がコンサのマークの混乱を示しています。

  • ただ試合全体に関して言えるのですけど、ひらがなあするくらろの選手は一応2カテゴリ上のひらがなこんさの選手と正面で勝負できるのが、齋藤学くらいしかおらず、そうなるとギャップを作ってなんとか前を向かないとラスト1/3では仕掛けることができないのも事実だったと思います。

  • 対するこんさがボールを持っている時は、⇩の配置からスタート。
  • まず阿波加はほぼ毎回中村桐耶を選択していて、このメンバーにおける桐耶が圧倒的な信頼を示します。これについては沼津の2トップはアンカーの田中カツに基準を置いていましたが、中村桐耶を何らか狙うとか阿波加とのコースを分断するとかの工夫があっても良かったかもしれません。
  • そしてその田中カツは沼津の2トップの間、というかもう少し下がって2トップの手前か目先くらいでボールを受けて前を向く能力があって、中村桐耶が10分くらいでこの能力と、カツにボールを預けられると気づいてからは、阿波加に仕事を一任された中村の職場環境は劇的に改善されます。


  • 結果的には沼津はこの中村桐耶と田中カツの関係性を分断することには失敗していて、中村がボールを持って前に運ぼうとする時にはあまり効果的にプレッシングを仕掛けたり、ボールを高い位置で回収したりはできませんでした。
  • ただコンサが中村桐耶を経由しない場合、例えば右の家泉が持った時は、西野がなんとも言えない位置に終始いたこともあって家泉には有効な選択肢がなく、なんとなく家泉がフィードしたボールを沼津が回収してカウンター、みたいな場面も何度かありました。
  • 沼津は家泉もわりと放置気味だったので、家泉はそのままドリブルで運べそうな感じだったのですが、その家泉が運びたいコースに西野がいることが多く、俯瞰で見た時に西野はボールに触りたいのかそうでないのか不明瞭で、それは彼だけの問題ではないというか、コンサが普段こういう形でプレーしていないこともあっていまいちどうするのか不明瞭な感じではあったと思います。


随所に現れるクオリティ:

  • 試合の入りは悪くなかった沼津ですが、10分に先制点を献上してしまいます。

  • 中村の放り込みを安在が目測を誤って後逸。安在がそのまま後方のボールと、ボールを拾った木戸を追いかける一方、木戸を見ていた遠山もそのままついていって、右CB井上はクロスに備えて中央にステイしたのでSB-CB間に大穴ができて、そこで原が入り込んでターンからの…という場面。まず安在の対応(頭でのボールの処理とその後の対応の両方)が普段見ているJ1のプレーと比較すると軽すぎるのと、原が動き出してから誰も数秒間誰も危機察知をしていないしコーチングも切り替えの速さも欠けているのはイージーすぎるかなと感じました。


ねえもっと気楽に ひらがなでプレーしたい:

  • 後半頭からコンサは4人、沼津は1人を交代(交代で入った選手に印をつけています⇩)。コンサに関しては、入る選手はおそらく出場時間シェアの観点で決まっていたと思います。


  • 誰を変えるかについては、西野が交代して木戸が一列下がり、その木戸は西野と違って明確に最終ラインに落ちるなど振る舞いを変えているので、ここはもしかすると西野の起用にあまり納得がいっていないのはあったかもしれません。

  • 沼津は後半頭からやや出力を変えてきたというか、少なくともコンサのDFやGKがボールを持つと前半以上に距離を詰めたりGKを二度追いしてミスを誘おうとしていました。
  • この時、コンサがボールを持っている時に右CBに家泉、左に落ちてきた木戸となる、いつもの1-4-1-5の形からスタートするのですが、こうなると木戸と家泉のところにすっぽり沼津の2トップがハマってしまう形になって、かつ普段のようにFWへの放り込みで逃れられないとしたら、コンサの後半の布陣変更はかえって選手にはやりづらかったかもしれません。

  • また54分の沼津の得点は、木戸のCB化により、フィードが跳ね返されて、CB家泉も突破されるとカバーが木戸しかいないという、駒井CBなどと似たようが現象が起こっていました。もっとも阿波加の準備不足も要反省ではあると思います。

  • 沼津としてはここからコンサのDFやGKにプレッシャーをかけてさらにミスを誘いたかったのでしょうけど、スパチョークと小林のユニットがその思惑を引き裂きます(このステージだとスパチョークが妙に速く見えます)。


  • 沼津は63分に持井と(あの)川又を投入。コンサは73分に高校生の坂本を右WBに。


  • 川又は全然試合に出ていないみたいなのですけど、この川又が入ってからの時間帯が、沼津は1トップが体を張って(かつ対峙する選手に勝って)基準点となって、インサイドハーフの選手が飛び出す、という役割分担がよりはっきりした時間帯でした。
  • この時、マッチアップはコンサの5バックのWBと沼津のSH、コンサの3バックの両サイドのDFと沼津のインサイドハーフ、なのですが、髙尾はかなり下がったところからスタートしてボールを受けて、川又に入ると最前線に出てくる持井を捕まえきれずコンサのベンチとしてはちょっと心配そうな感じになっていました。


雑感

  • 小林のループシュート以外にも、ゴニが普段見せないドリブル突破やオーバーヘッドキックを見せたりで一定の経験がある選手には余裕のあるステージでしょう。なので戦術的には難しいにせよ、そうした個人のクオリティはここで見せれないとリーグ戦で試合に出ることは難しいくらいかと思います。それではみなさん、また逢う日までごきげんよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿