2023年5月9日火曜日

2023年5月6日(土)明治安田生命J1リーグ第12節 北海道コンサドーレ札幌vs FC東京 〜言えない事情〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • 試合後に話題になっていましたが、FC東京は前節アウェイでの福岡戦から中2日。
  • 確かに中2日だと、たとえば5/2に東京で調整してから夜に福岡へ移動、5/3の15:00キックオフで福岡に泊まるか、遅めの便なら22時くらいに羽田着で深夜に帰宅、5/4-5に調整をして5/5の午後に札幌入り…みたいなスケジュールでしょうか。
  • 確かに移動は大変といえばそうなんですけど、個人的には移動自体は福岡と札幌なら空港からそんなに遠くないし便数も多いし、中2日の試合も日本でもヨーロッパでもいくらでもあると思うんですけどね。日程的にはロシアW杯があった2018シーズンや、東京オリンピックがあった2021シーズンの方が中2日でリーグ戦が続いて大変でした。
  • それに札幌もそうですけど、東京は移動の面では立地的におそらく一番恵まれていますし。新潟から四国とか直行便がない地域の方が大変でしょう。
  • だからアルベル監督が言っていた日程への不満は、単に日程自体を指すというかは中2日だと戦術練習ができなくてコンディショニングしかできないという話だったり、あとはそもそも彼らは札幌と違ってこうした移動に慣れてないということの弱音みたいなもんなのかなと思います。2018シーズンは、ミシャも戦術練習が全然できなくて大変だ、と言ってましたね。それを聞いて、今後じゃあ時間が取れたらもっといいチームになるんだな!とワクワクしてましたが(いや、してないかな)。

  • さて、いきなり脱線しましたが、FC東京は前節からディエゴ、仲川、徳元、木村、木本、長友、東と7人を入れ替えています。右SBには大学3年生の安斎。バングーナガンデ(カシーフ、左SB)、小泉(中盤センター)はどっちかというと前節がターンオーバーだったと言えるでしょうか。ペロッチはこの試合が初スタメン。
  • 対する札幌は、中村と負傷の青木に代わって荒野と宮澤がスタメン復帰。

2.試合展開

札幌得意の展開へ:

  • FC東京・アルベル監督のコメントを拾うと「序盤15分ほどは相手の裏を突こうと思った」とのこと。
  • 解釈としては、DFがボールを持った時にコンサのマンマークに捕まるのだけど、そこでボール放棄して長いボール一辺倒になると前線にボールを押し付けているだけになってしまう。だからある程度は、DFの選手がコンサのpressingを引きつけて前線にボールを押し付けない展開にしたいのだけど、最初15分はボール放棄気味でも良い、ということでしょうか。
  • この時、FC東京は前線のアダイウトンと渡邊がいずれもアウトサイドに張るのではなくて、ペロッチに近いところにいました。イメージとしては、ペロッチがターゲットになって、安部や松木が回収して、裏に走るのはアダイウトンと渡邊。この2人が、直線的にゴールに向かい速い攻撃を仕掛けるイメージだったのかもしれません。

  • だとすると東京の誤算は、前線の選手に全くボールが収まらなかったことがまず挙げられます。ペロッチは45分でピッチを去りますが、岡村は1回も負けてなかったように思えますし、また渡邊にも何度かボールが放り込まれるのですが、これはまずボールの質が良くないなと思いました。
  • 福森は裏には大変弱いですが、正面からくるボールを自分の射程内で跳ね返すのは得意なので、渡邊に対して放り込まれるボールはコンサにとってカモでした。

  • このように最終ラインが1対1で守れる状態が成立している時のコンサはチームとして機能します。7分に小柏のラストパスから浅野。
  • 動画の見切れている冒頭部分は、東京のボール保持で松木が最終ラインに落ちて、エンリケがconducciónを試みたところに浅野がしつこくプレスバックでついていき前進を阻害。エンリケ→カシーフ→落ちてきた渡邊のところでマーク受け渡ししていた岡村のチャレンジが成功してボール奪取に成功したところでした。
  • このエンリケのconducciónは悪いプレーではないのですが、全体的に東京はビルドアップの際に、ピッチ縦幅を広く使うように広がったポジショニングをとって、中央にスペースを空けてそこを使ってコンサのDFを回避したかったのだと思います。
  • ただ、にしては中央でそうしたプレーをするだけのクオリティが足りないようで、結局は前半は(このエンリケのconducciónなどを除けば)ほぼ全て前線に放り込んでいて、それをコンサが跳ね返すことに成功していたので、東京にはこの広がったスペースだけが残されていたように思えます。

  • 28分に菅のゴールで追加点。これはラインコントールのミスとDFのセルフジャッジで、ちょっとお粗末としか…DF4人はターンオーバーしているし疲労は言い訳にならないと思うんですけどね。

  • 34分には福森がボックス内で倒され、VARチェックを経てPK。金子が決めてスコアは3-0。これもカシーフの(苦し紛れの)フィードを渡邊のところで福森がインターセプトしてそのまま攻撃参加したところからで、前半何度か見た、「東京DFがFWにボールを押し付けている状態」でしたので特にコメントはなし、とします。

  • 東京のチャンスは41分にアダイウトンの突破から、松木がボックス外から右足ミドルシュート(ポスト直撃)。アダイウトンがこの試合初めて前を向いた場面で、ただそれも強引な展開からで松木のシュートもボックス外から。まだコンサを崩したというものではなかったです。


人が変わってもそこまで戦局は変わらず:

  • 後半頭から東京はペロッチ→ディエゴ、渡邊→仲川、安部→青木で3枚替え。
  • 前半、東京はボールを持っていない時は1-4-4-2、ペロッチと安部が1列目で、その基準は安部が札幌のアンカー(荒野)を見て、CBどちらかをフリーにするという形から入っていましたが、このやり方だとコンサのGKとCB1人がフリーで、ボールを持ちたいコンサからすると全く困らない。
  • そして右SH(渡邊)がそのフリーのCBに出ていくか福森を見るかが不明瞭なのもあって、最終的に左SBの福森が割とボールを持てる状況から、右WB金子へサイドチェンジ…という100万回くらい見た得意パターンが何度か成功していて、かつカシーフがそんなに金子に強く出て行かない、アダイウトンはカシーフと一緒に金子をサンドするほどの守備意識がない…こんな感じで、コンサのロングフィード主体のビルドアップに振り回されていました。
  • 後半、東京は3トップの1-4-1-2-3にして、かつGKをディエゴが見て、CBを仲川とアダイウトンが見れるようにしたことである程度はコンサに圧力がかかるようになります。

  • しかし次の1点もコンサ。小柏の見事な突破で4人ほどを引きつけてからでした。


  • 東京はメンバーが変わっても(むしろ変わったからこそ?)前線のFWに早くボールを当てる前輪駆動系のスタイルに終始します。ディエゴはペロッチよりも遥かに難敵ですが、岡村はそれでも互角以上の対人性能を見せていました。
  • 73分に東京は仲川のゴールで1点を返します。これはコンサのネガティブトランジションでマークがずれている状態から、アダイウトン(本来福森のマーク)が岡村を交わして中央でディエゴと仲川がフリー、というしょうもないコンサの守備から生まれたものでした。
  • あとはオープンな攻防。東京は3度ほどゴールの枠を叩くシュートがありました。決まってたら、コンサはもうちょいピリッとした守備になっていたでしょうか。札幌はATに金子のゴールで5-1。戦術的には特に見るべきところがないので終わります。


雑感

  • 全体的に元気がなく1対1で対処できる東京はコンサにとって大変やりやすい(選手の能力はあるはずだが、嫌なことを全然してこない)相手でした。
  • 日程に関するアルベル監督のコメントですが、ここで「選手に問題がある」とするとハレーションを生むので、日程や審判に問題があるとするのはこの業界のお約束でしょう。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿