1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
スターティングメンバー&試合結果 |
- 川崎は、3日前に福岡とのアウェイゲームではキャプテン・谷口を欠き、ジェジエウもターンオーバーとした影響もあってか開幕26試合目にして無敗記録がストップ。ただしリーグ戦はまだ3ヶ月続くということで、5人を入れ替えるターンオーバーで札幌に乗り込みます。
- 夏にヨーロッパへと旅立った田中碧、三笘の後継者探しは、前者は旗手が最終ラインからスライドか、橘田を試しているところで、後者は元々長谷川に宮城という、質的にはともかく似たタイプの選手がいるので比較的、問題は小さいと言えるでしょうか。しかしその旗手は前節、接触プレーの影響で前半途中で退き、この試合も欠場。
- 札幌は、後継者探しをしているということでもないですが、キム ミンテの期限付き移籍や、コンディション不良等により深井、宮澤といった選手の欠場が重なると、元々手薄なポジションのバックアッパー不足が顕在化します。
- マルチロールな選手をやりくりしたうえで、ここ2試合は最終ラインの4番手となる選手を右DFの位置で試行錯誤していますが、ミシャの中では前々節で起用した岡村、前節で起用した柳は一長一短という評価なのでしょうか(私は柳で問題ないと思いますが)。高嶺の最終ライン起用はそこそこ気に入ってるようで、名古屋戦に続いて、簡単な相手ではないですが重要な役割を任せられています。
2.試合展開(前半)
冒頭の空気感:
- 開始10~15分くらいはお互いにリスク回避的にボールを処理するのが大半となる展開でした。柔道でいうと、互いに指導を1回は宣告されるような感じでしょうか。
- 札幌が相手を警戒するのは当然ですし、川崎からすると、直近1年で敗れていることもあって、またユニークなスタイルのチームだけに慎重にいきたいと考えるのはわかります。我々が反町氏の松本山雅を相手にする時、みたいな捉え方なのではないでしょうか。川崎からすると。
- この間、12分に川崎の遠野のミドルシュートが左ポストを叩き、8分くらいに札幌の青木がスローインから、川崎のDFの間をフリーランで割ってペナルティエリア内に侵入します。
- こう書くとそこそこ互角な感じがしますが、前回の記事で書いた「反・頻度主義」じゃないですけど、質的な部分を追求していくと、既に差はピッチ上の現象に表れていたと感じます。
札幌が(多少は)撃ち合えた理由:
- ピッチ上の現象を見ていきます。
- まず、お互いに敵陣からプレッシングを仕掛けてボールを奪いたいというか、自陣で撤退して守る意思はそんなになかったと思います。これは川崎は相手が札幌くらいなら「そういう試合運び」をすることに前からトライしていますし、札幌としても、レアンドロ ダミアンを筆頭に、川崎のアタッカーをペナルティエリア付近にさせてからの対応だと悠長すぎるという考えがあったと思います。
- ですので、お互いの敵陣での守備と、それがどういう展開になったかをまず確認します。
- サッカーの基本は「広く攻め(ボールを動かすエリアを長大にして、味方がスペースを享受できる状態を作る)て、狭く守る(相手のスペースを消す、守備者同士で近い距離を保ってカバーリングしやすくる)」なんですが、川崎の1列目は殆ど、札幌のペナルティエリア付近に設定してくるので、ピッチの縦幅的には結構広く守っています。
- これは、攻守は一体的だと考えると、広く守っておけばボールを奪って攻撃に転じるときに、広がったポジションを取り直すための時間が少なくなるので、よりシームレスに攻守の切り替えができる(要はカウンターなり何らかの攻撃を速く繰り出せる)というメリットがあるのが理由の一つでしょうか。風間前監督の頃は、セオリーに反した狭い攻撃が特徴でしたが、守備も今ほど広くなかったと思います。
- あとは、単に敵陣からプレスをして相手のGKやDFがナーバスな状態でプレーさせたいので、その結果、必然と縦幅が長くなるともいえるでしょう。
- 詳しくは図▼を参照いただきたいのですが、川崎は2列目のMF3人が広い範囲を動いて、札幌のボールホルダーに制限をかけ、最終的には長いボールを蹴らせた末に、でかくて速くて強いジェジエウが跳ね返せる(→拾って高い位置に残っているウイングに渡して速攻)という設計がある。
川崎の前線守備 |
- ただその分、中盤は広いスペースを3人(右から脇坂、山村、橘田)で担当するのが、図のように脇坂が出ていけば2人しか残っていなくて、かつ山村や橘田は特定の選手を決め打ちで守ることはしない(バランスをとっている)ので、札幌はシャドーのチャナティップや青木がそこそこ空いていて、出し手がそれを察知すれば、彼らが前を向いてからの展開…小柏を走らせたり(ジェジエウではなく車屋のサイドなら勝てる)、サイドチェンジをして攻撃を加速したり、という展開は、ものすごくきれいに決まった!ってとこまではないですが、仕掛ける役割の選手にボールが渡る場面はそれなりにあったと思います。
- 川崎はチャナティップが前を向いたら、強気の対応はいったんやめて、撤退に切り替えるので、そうなると札幌は川崎のペナルティエリア付近には何らか進出はできていました。
- ただ、右の金子に渡ったとして、左足を切られる(宮城は当然金子の特徴をわかっていて、プレスバックして登里とダブルチームでつきます)と停滞するのは、金子本人、またチームとしても工夫がないのは相変わらずで、大半は「ペナルティエリア付近に入ったけど特にそこからは何も起こらない」という状況でもありました。
- 川崎としては、それもわかっていて、ペナルティエリア付近まで進出されても中央を固めておけばOK、と思っていたのではないでしょうか(そういう守り方に見えました)。その意味では、札幌の方がボール支配率が高いとかスタッツが出てましたが、ラスト1/3まで持たされていたともいえるでしょう。
- 川崎は、ジェジエウ(と、車屋…普段は谷口)が早めに前進して潰せるのが(ある程度は)前提の守り方で、16分の札幌の決定機(菅の左クロスに金子が右足で合わせるも枠外)は、駒井がチャナティップとポジションをスイッチしてシャドーに居て、その駒井を潰そうと前進したジェジエウが、駒井のミスキック(うまく当たらなかったのが、結果的にジェジエウをシャベウ気味にかわすことになった)もあって潰しきれなかったところで、駒井→菅と渡ったものでした。
- ただジェジエウが登場してから、札幌としてはもう4,5試合目くらいだと思いますが、このDFを札幌はこれまでほとんど突破できていないのがfactです。この試合、前半に小柏が左サイドで勝負して1度シュートまで持ち込んだプレーがあり、札幌がここのデュエルで勝ったのは初めて見た気がします。
- 若干話が前後しますが、川崎はアンカーの駒井に対する監視も結構緩めで、駒井も割とボールを持てる状況だったのも、札幌が「とりあえず川崎陣内に侵入」できていた一因だったと思います。
- 川崎の3枚の中盤のうち、山村はとにかく相手ボール時にはDFラインの前からステイしてスペースを守る。その分、脇坂と橘田が遊撃部隊になりますが、左右のポジションからスタートするこの2人には駒井は捕まえづらい位置にいて、かつ、そんなにそのタスクは重要視していないように見えました。全体的に川崎は、札幌の事情をよく把握しているなという印象でした。
互角に見える攻防の差:
- 札幌は川崎のボール保持に対して「いつもの対応」をします(詳細を一から書くのは割愛)。特筆するとしたら、ジェイはこの時の強度を考慮してベンチスタートで、ルーカスはジェイとセットで使いたかったのでしょう。
- たびたび書いていますが、Jリーグにはマンマークで突っ込んでくる守備をする相手を引き付けてCaracolesで回避できる選手は、イニエスタのような一部の選手を除くとほとんどいない。川崎相手にも、札幌の突っ込む守備は”まだ”有効ではあったと思います。
いつも通りの対応 |
- 川崎は、ボールホルダーに対してインサイドハーフが寄ってくる。山根が持って出しどころを探しているときに、橘田はそちらのサイドまで横断してくることが許容されていて、札幌はここに橘田ー荒野の関係性ははっきりしているのですが、あまりにダイナミックに動くとややマークがズレ気味になることも序盤はあったと思います。
- 逆に、福森ー遠野あたりは、遠野は福森の想定内でのポジションしかとらないので、福森が読んでインターセプト、からのすぐに前線に展開、みたいな場面もありました。全般には、川崎の受け手が不規則に動いて札幌のマーカーを混乱させるみたいな形がなければそう問題はなかったでしょうか。
- 冒頭に書いた、12分の遠野のシュートも、橘田のスルーパスに山根が抜け出しましたが、橘田が右に大きく移動していて札幌は誰が捕まえるのかが明確ではないところで、一瞬フリーになってルックアップからのスルーパス、というものでした。
- こういうランダムな動きは決まると脅威なんですが、案外そう呼吸が合うことは少ないし、寄りすぎるとスペースがなくなります。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) August 28, 2021
強烈ミドルは
惜しくもポスト直撃💥
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4試合ぶりの勝利を狙う川崎Fは#遠野大弥 が際どいシュートを放ったが
ゴールにはつながらなかった。
🏆明治安田J1第27節
🆚札幌×川崎F
📺#DAZN でライブ中#2021のヒーローになれ#EverydayJリーグ@frontale_staff pic.twitter.com/dFc0eg8SR5
- ただ、一つ言えるのは、川崎の攻撃は不規則なポジショニングもある一方で、札幌に比べて最低限の約束事…この時だと、山根は必ず大外レーンを走るとか、小林がニアで遠野はギャップになるポジションを取ってパスコースを用意しておくとかは整理されていて、その部分がフィニッシュの質…札幌は得点期待値が低そうなシュートをとりあえず売っておけ、が多くて、川崎は明確に「形」を作って菅野を脅かしていた、という違いに表れていました。
- そしてこのあたりの質の差が、攻撃が失敗した後のトランジションの局面を左右します。
- 例えば14分、登里がインターセプトから独走しかけて荒野がプロフェッショナルファウルで警告を受けますが、この時は直前のプレーで、札幌はペナルティエリア付近でどうやってシュートに持ち込むのかイメージが全くなくて、最後は金子に渡して強引に突破させようとした、イージーパスを登里がカット。金子に出すのはバレバレで、また札幌の選手は前線のサポートのためにかなりバランスを崩したポジションをとっていて、荒野はファウルするしかないという状況になりました。
- 川崎は最後のところで、札幌のDFを見てプレーを選択することが、少なくとも札幌よりはできていて、そうなると簡単にボールを手放して札幌のカウンター!にはなりにくい。札幌は攻めているようだけど、質的にはむしろダメージが大きい展開になっていきます。
高嶺を最終ライン中央で起用する意義:
- これについては、読者のうち7500%は仕事中にこのブログを開いているような訓練されたアジアンベコム信者だと思いますので、そういう人なら改めて説明するのは野暮かもしれませんが一応書いておきます。
- この日はDAZNや各種メディアでも「CB・高嶺」と出てましたが、そもそも、そうでなくて、MFと表記されている時でもボール保持の際の高嶺は常に最後方、中央左(宮澤の左隣で、福森の右隣)が定位置です。ここは元々深井を固定して置いていたのが、左利きの高嶺を置いた方がボールを持ち出す際にスムーズだから、ということで定着しています。
- そして2トップの相手に対する守備の際は、札幌は中央のDF(宮澤)とアンカーでそれぞれ2トップを同数関係でマークするので、この時も高嶺はCBとほぼ同じ役割になります。
- ですのでミシャとしては、「お前普段から似たようなことやってんじゃん」という認識がまずあるでしょうし、ボール保持の際に高嶺が毎回中盤から下がってくるなら、最初から後ろに置いた方がスムーズだろ、という発想もあったでしょうか。
- 後者については、特に、中盤センターが駒井と高嶺のユニットだと、高嶺が左に下がるのが明らかにスムーズなんですが、駒井も自由に動くことを好むのでよく下がってきます(そして、左足でボールを隠しながら持ち出せないので詰まりやすい)。この問題についても、左利き高嶺(固定)+右利き駒井or荒野(どちらか選択)とすれば、右利きと左利きをバランスよく配置できるというメリットにもなります。
- 田中を中央に置けば?との問いに対する回答は▼です。早い話が「右からの田中の組み立ては重要なので動かしたくない」。
まず、私もそう思います。
— アジアンベコム (@british_yakan) August 28, 2021
ただミシャ的には、右DFは中央に比べて圧倒的にフリーになりやすいから、ここにボールを運べる、1つ目のパスを出して起点になれる選手を置きたいのでしょう。それは岡村では絶対無理だし、柳も今のところはサイドを上下動しかしてない。
大… https://t.co/m2vnhRTPqZ
- そんな皆の懸念が34分に的中します。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) August 28, 2021
華麗なターンから
正確無比なシュート!!#小林悠 が決めた✨✨
\#登里享平 がランニングでDFを引きつけ#宮城天 が小林にラストパス。
小林が見事にネットを揺らした👏
🏆明治安田J1第27節
🆚札幌×川崎F
📺#DAZN でライブ中#2021のヒーローになれ#EverydayJリーグ@frontale_staff pic.twitter.com/CWLE9Qxyyo
- 形としては、ウイングが幅をとった位置から開始して、トップが中央付近でDFを背中でブロックする。その間のスペースにSBやインサイドハーフが入ってくる。
- レアンドロ ダミアンがフィットしてから、彼のDFを背負ってプレーする能力を最大限に引き出すことで猛威を振るっている連係プレーですが、小林は少なくともダミアンほど背負ってプレーするのがうまくない(今日は「この形でゴールするイメージを持っていた」そうですが)。
- しかし高嶺とはゴール前での経験値が違いすぎて、背負ってから簡単に距離を取ってコントロールされたシュートを許してしまいました。なお個人的には、枚数は足りていてボックス内中央でカバーリングに備えないといけない福森の棒立ちが気になります。
- この得点以降、川崎は1-4-5-1に切り替えて、スペースを消すようになります。明白に、札幌相手に1点で十分、という姿勢を見せます。
- その引いた状態から札幌の縦パスをひっかけてカウンター。小林が粘って、39分には遠野が追加点。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) August 28, 2021
🏆 明治安田生命J1リーグ 第27節
🆚 札幌vs川崎F
🔢 0-2
⌚️ 39分
⚽️ 遠野 大弥(川崎F)#Jリーグ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/a1wnPpICbd
- この切り取られた動画でいいかなと思いますが、札幌は中央に高嶺、荒野、駒井と本来まったくDFではない選手しか用意していないので、彼らの戦術的なエラーでもあるのですが、起こるべくして…という印象があります。
3.試合展開(後半)
得意のプレースピード:
- 川崎はスコアが0-2となった後から形を入れ替えて試行錯誤していて、最終的には後半スタートの段階では、前線でプレッシングを行う際は脇坂を上げて1-4-2-3-1に近い形にしていました。これはアンカーの駒井がフリーになるので、脇坂にケアさせて万全を期すということだったでしょう。
- これによって、それまで川崎は中盤3枚でスライドしてサイドのスペースを見ていたのが、2枚になったことで同じ対応はできなくなる。札幌はこの変化を、恐らくわかってなかったんじゃないかと思いますが、出しどころがない時は、菅野は積極的にSB(田中、福森)に1人飛ばしたパスを出していて、これに川崎はSBが食いついてくる。
- 結果、▼のように札幌のWBに対して川崎のCBがサイドに引っ張られる形で対応したり、そもそも前線で捕まえられないと最終ラインで枚数不足になっているような状態で、札幌はそのスペースを活用してどんどん加速してくるので、オープンな形が多いのが後半立ち上がりだったと思います。
中盤2枚になってSBの守備範囲が広がりスペースができる(オープンに) |
- 49分には、小柏のスルーパスにチャナティップが抜け出して、セカンドボールを青木が狙う。川崎のDFが戻ってクリアしますが、得点は十分にとったので後はさっさと閉店して帰りたいと鬼木監督は考えていたでしょう。
2つの解釈:
- そこで61分に宮城→シミッチ。中盤は右から遠野、山村、シミッチ、橘田で、ちょっと変則的だったのは、遠野は橘田よりも高めの位置で、1.5列目の脇坂に近いくらいの列にいて、そこまで頑張って戻ってこない。橘田はシミッチと同じ高さにいて、あまり高い位置を取らない。おそらく札幌は右からのドリブル突破がメインということで、用意していた対応だったのかもしれません。
- ただこの1-4-2-3-1ないし1-4-4-2の守備が、前線で制限をかけて札幌の前進を阻む、という狙いだったらあまり機能してなかったと言えますし、そうではなくて川崎陣内のペナルティエリア付近までは進出させてもOKで、そこで跳ね返すよ、というなら問題なし、な展開になっていきます。
- そもそもミシャチームに対して1-4-4-2で普通にブロックを組んでも、ブロックの間なり幅を取る位置に立たれて捕まえるのが難しい。高嶺や福森は、積極果敢というかダメ元みたいな感じで縦パスを入れてくるのですが、これが左シャドーのチャナティップによく当たっていて、ジェジエウが結構引っ張り出されて、それでもチャナにボールは入って、札幌がそれなりにボールが回るようになります。
- 札幌は後半立ち上がりは、スペースができていてオープンな攻防から多少はシュート機会があったので、ジェイの投入タイミングを我慢していたのでしょうか。
- 結局67分にルーカスと共に投入されますが、なぜかルーカスはまた左。このブログを見ているテレビ、新聞等各種メディアの皆さん、そろそろこの点を突っ込んでください。以前のように「クライフバルサも逆足ウイングだ」って言われたら、「クライフバルサは偽9番がスペースを作る+ワイドストライカーとして逆足ウイングが中に入ってシュートを打つ意識だけど、コンサドーレはウイングバックが逆足なので中に入ってシュートできる機会はすくなく、インスイングのクロスを蹴りたいようにしか思えない」みたいな感じで、福森のインターセプト並みの出足の鋭いプレスで応戦してください。
雑感
- 1点目などについては、誰かが「安い失点」と言いそうだなと思います。ただ「安い失点」とは何を指すのでしょうか。むしろ、本来ここでプレーする役割ではない選手に過剰な仕事を担わせているのは、「安い采配」、「安いマネジメント」などといった方が適切ではないでしょうか。そのあたりはしゃくぜんとしがたいですが、それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
ミシャが求めるビルドアップ能力があるセンターバックを見つけるのは大変そうですが、岡村や柳は練習でできるようにならないのでしょうか。
返信削除そもそもセンターバックに田中駿太レベルを求める設計自体どうなの?という部分もありますし、ミンテや岡村の冷遇ぶりを見ると今後センターバックが移籍してこなくなってチーム構成がおかしくなる心配もあるかなと思います。
まずミシャが求める、という言葉に個人的に違和感があって、基本的に札幌でのミシャは滅茶苦茶要求水準が低い、ということを最近Twitterによく書いてます。
削除選手への要求って、30ゴールしろとかドリブルで全部勝て、みたいな量的なものではなくて、質的なもの…例えばこのシチュエーションではこういう風に振る舞え、って話なんですよ。量的なものは、俺の求めることをやれば自然とうまく行くよ、って関係性で。
その点でミシャは駒井にせよ金子にせよジェイにせよ、好きにしていいよの範疇が広すぎて、戦術的には全然要求してないと言えると私は見ています。
進藤が例で、彼は得意なプレー…流れの中で意味不明なタイミングで持ち場を明け渡してシュートする、って得意なプレーだけ磨いてセレッソに行きましたけど、標準的なボールを運ぶ能力で今、苦労してると思ってて、それはミシャがそんな要求しなかったからできてないだけなんですよ。求められないことは身につかない。
だから、そんな人が言う「田中駿汰みたいなDFが必要」ってのは、50ゴールするFWが欲しいみたいな話と変わらないなと思ってます。それは要求水準が高いのではなくて要求すること自体がおかしい。
その上で話をすると、例えばオタメンディとかは数年で凄く良くなってて、それは監督(グアルディオラ)の要求水準が高くて、そのための方法論が提示されて、本人もそれに追いつけるように努力したからなんですよ。
岡村も柳もそこまでの環境があればうまくいく可能性はある。そうでなければ、今のままなら、ほかにミシャに指導を受けた選手…進藤、福森(キックの精度は別)、あとは槙野とかと同じような結果になるはずです。全ては環境がまずあって、その上で本人の努力。