2019年7月19日金曜日

プレビュー:2019年7月20日(土)明治安田生命J1リーグ第20節 北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ ~プレス回避どうすんの~

1.予想スターティングメンバー

予想スターティングメンバー

1.1 札幌


×(非帯同、欠場確定)MF金子(ユニバーシアード日本代表招集)
MF高嶺(ユニバーシアード日本代表招集)
×(負傷等で欠場濃厚)※特になし
*(負傷等で出場微妙)MF深井(7/13大分戦での負傷)
MF中野(6/1広島戦での左ヒラメ筋肉離れ)

 特別指定選手の動向がよくわからないが、基本的にはベストメンバーに近い状態が揃っている。前節試合中にゴールポストに激突して交代した深井は重症ではなさそうだが、大事を取って休ませることは考えられる。中野は試合に出場できる状態だろうが、左は好調の白井の起用が継続されそうだ。

1.2 湘南

×(非帯同、欠場確定)※特になし
×(負傷等で欠場濃厚)FW大橋(長期離脱中)
*(負傷等で出場微妙)※特になし

 名古屋、神戸相手に2連勝中ということで、普通に考えれば同じメンバーで臨みそうだ。

2.今季の対戦のおさらい

2.1 リーグ戦第1節(2019/2/23)


レビュー

 シーズン開幕戦。メンバーは互いに前年がベースで、札幌はCB中央に宮澤。
 札幌は1-5-0-5のビルドアップで、サイドの福森と、最前線で坂とマッチアップするジェイへの放り込みで湘南のプレスを回避。174cmの坂はジェイに善戦していたが、空中戦の態勢を確保する必要がある(スタンディング状態では確実に勝てない)ので、湘南の最終ラインは下がる。湘南は札幌にボールを持たせ、ゴール前で食い止めることを選択。
 札幌は1-5-0-5でビルドアップした後は、荒野と深井がポジションを上げ、ネガトラ対策で1-1-4-5のような布陣になる。最後尾は宮澤1人。湘南は5バックで籠城からのロングカウンター。結果的には広大なスペースに、終盤でも運動量が落ちない湘南が飛び出して得意の形から武富が2得点。

2.2 ルヴァンカップ グループステージ第3節(2019/4/10)


レビュー

 札幌ホームでのカップ戦。札幌は負傷者が多かったこともあり武蔵、宮澤、福森、ルーカス、菅を起用。開幕戦では遅攻から攻めあぐねた札幌だが、福森のロングフィードからの速い展開で湘南の左CB大野の裏を突く。裏狙いから前半に武蔵の2得点と檀崎の得点で早々と勝負は決した。

2.3 ルヴァンカップ グループステージ第6節(2019/5/22)


レビュー

 札幌は引き分け以上でグループステージ突破確定な状況で控え中心のメンバー。湘南は自力突破には勝ち点3が必要で何人か主力を送り込む。湘南がボールを持つが、優位な状況の札幌が5バックで引いてスペースを消す。どちらかとういうとオープンな局面になってから互いにチャンスが増え、点を取り合って引き分け、揃ってグループステージ突破が決まった。



3.戦術面の一言メモ

3.1 札幌


青字が前節との更新・変更点。(今回は特に変えてない)
コンセプトより多くの人数による攻撃を突きつけ、相手の攻撃機会や攻撃リソースを奪う(守勢に回らせる)。
ボール保持(自陣)ビルドアップはミシャ式4-1-5から、高い位置に張るWBを出口と位置してサイドチェンジ等でボールを届ける。キム ミンテがスタメンに復帰して以降は後方の役割が固定気味で、宮澤がアンカー、深井が中央左。福森のフリーロールも自重気味。ゴールキックは相手がハイプレスの構えを取らなければCBにサーブする。そうでなければ無理せずロングフィード。
ボール保持(敵陣)サイドアタック主体。押し込んでから仕掛けるのは右のルーカス。菅は極力シンプルにクロス供給に専念か、相手SBを押し込んで福森をフリーにする役割。ルーカスのアイソレーションを活かすためにチャナティップ、福森からのサイドチェンジを狙うが、チャナティップは消されがち。
ルーカスはコーナーフラッグ付近で自由を与えられているが、福森はファーサイド狙いを徹底する。
ボール非保持(敵陣)相手がボール保持が得意なチームならハイプレス。ハイプレス時、リトリート時ともにマンマーク基調の守備を展開する。特に相手のCBと中盤センターに同数で守備できるよう、前線の枚数を調整することが多い。
時間帯にもよるが、先制したらリトリートの傾向が強くなる。
ボール非保持(自陣)基本は1-5-2-3で、前3枚はポジティブトランジション用に残しておく。ゴール前からCBを動かさないことを重視。なるべくマンマーク関係を維持する。
ネガティブトランジション中盤2枚は即時奪回を目指す。ビルドアップが成功するとともにポジションと役割がCBからセントラルMFのそれになる。CBは2枚、時に1枚で相手のFWと同数。裏はGKク ソンユンの極端な前進守備で何とかさせようとの考えがここ数試合は強くなっている。
ポジティブトランジションシャドーが裏に飛び出しての速攻がファーストチョイス。
先制したらリトリートからの速攻狙いに切り替える。
セットプレー攻撃キッカーはほぼ全て福森に全権委任だが、ルーカスもたまに蹴る。ファーサイドで、シンプルに高さを活かすことが多い。ゴールキックはなるべくCBにサーブしてからポジショナルなビルドアップを狙う。
セットプレー守備コーナーキックではマンマーク基調。

3.2 湘南


コンセプト自陣でリスクを排除しながら、敵陣で走力の優位性で攻撃。
ボール保持(自陣)基本的にはボール保持にはこだわりがなく、リスク回避が大前提。放り込みによる前進も少なくなく、楔の縦パスは(被カウンターのリスクが大きい)中央よりもハーフスペース~サイドのエリアで狙っていく。
ボール保持(敵陣)なるべくボールを下げずにシュートに持ち込む。中央でターゲットの準備が整っていなくとも作り直さず、クロスを上げていい、とする整理になっているように見える。クロスはGKにキャッチされない、ニア狙いが多い(DFのクリアならOK。トランジションが多発するが、そうした速い展開に持ち込みたいようにも見える)。
遅攻になったらWBかシャドーが、味方に預けて自身はスペースを狙い、対面の選手を走力で押し切る。スペースに走れば、必ずボールが出る約束事にもなっている。
ボール非保持(敵陣)1-5-2-3でセットし敵陣からプレスを起動。陣形を整え、後ろが準備できたら前の5人でボール周辺から順に人を捕まえるプレス。ゾーン3でも敢行する。
プレスから攻撃が始まる。プレスは整ってから仕掛けるが、フィニッシュは相手が混乱しているうちにシュートに持ち込む。
ボール非保持(自陣)1-5-4-1で撤退してゴール前はほぼ人を捕まえる守備。機動的な迎撃ユニット5人+撤退ユニット5バック、のイメージで、5バックは基本的にスライドしない。前の5人がボールにアタックを続けて敵陣側に押し戻す。
ネガティブトランジション即時奪回というより、時間を稼ぐためにボールホルダーにプレスは徹底。
非保持と方針は近い。
ポジティブトランジションボール奪回時にスペースがあれば奪った選手がドリブルで前に運ぶ(前が空いていればCBでも攻撃参加は許容)。トランジション時に生じているスペースと時間を使い、少しでも前進。できればそのままシュートに持ち込む。
難しければ山﨑へフィード。
セットプレー攻撃右足キッカーは梅崎。左足は杉岡(たまにパワー系のシュートを狙う)。
セットプレー守備CKではほぼ純粋なマンマーク。ストーンに1人置くだけでポストにも置かない。
その他メモ名古屋戦では梅崎がトップ下の2トップに近い状態でプレーする局面も、ボール保持、非保持時ともあった。

4.想定されるゲームプラン

4.1 札幌のゲームプラン


 最低限癒えることはボールは放棄しない。ただし、速攻を狙ってくる湘南に対し、「誰を」「何人」「どこに」投じるかというディティールが重要になる。先手が欲しいので、2回目の対戦(ルヴァンカップ第3節)で成功した、早い段階でのロングフィードによる裏狙いは狙ってくるだろう。

4.2 湘南のゲームプラン


 いつも通り、ボールを持たせてなるべく相手ゴールに近い位置で狩り、速攻を狙う。札幌がボール保持に時間をかけてくれる(陣形が流動的になる)ほどゲームプランは遂行しやすいはず。

5.想定される試合展開とポイント


 湘南のイメージは、「5人の機動部隊と5人の迎撃部隊」。機動部隊はあまりポジションバランスは気にしなくてよく、ボールに近い選手を捕まえてハンティングすることの優先度が高い。
湘南のイメージ(5人+5人)

 5人の準備が整うと、1列目がスイッチを入れてプレス起動。荒野は度々このシチュエーションに直面するだろう。荒野とその隣り合う選手が1列目によって捕まり、アンカー宮澤も金子か齊藤が捕まえる(人を捕まえるやり方なので、中間ポジションという概念は消滅する)。
ボールに近い選手から捕まえる

 チャナティップに対しては流動的だ。チャナティップが下がってくるなら、エリア的には機動部隊の担当。しかしマッチアップ関係を考えると迎撃部隊(5バック)がそのまま見た方がいい。これに札幌得意の左サイドの旋回(↓)が加わると「チャナティップどうすんの」問題は再燃する。但し、旋回すると、札幌のビルドアップの枚数が削られるので、そこを隠してボールを湘南陣内に運べるか、は考えておく必要がある。
札幌得意の左サイドの旋回等でポジションを入れ替えると人を捕まえる前提は難しくなる

 両チームとも開幕戦とはCB中央の選手が変わっている。札幌は宮澤→キム ミンテ、湘南は坂→フレイレ。札幌はミンテがCBになってからは、開幕戦で使った1-5-0-5(中盤に誰も置かない形)のビルドアップを封印している。但し上記の図で考えても、湘南相手にアンカーを置いておく必要はないかもしれない。その意味では1-5-0-5は理に適ってはいた。ただし、中盤でセカンドボール争奪戦に備える意味合いもあるので、誰も置かなくていいとは言い切れない。湘南相手なら、荒野とミンテの速さがある2人に後方の管理は任せられるように思える。
 坂→フレイレの変更は、ジェイ→武蔵の変更と併せて札幌のビルドアップに影響を与えそうだ。フレイレ相手に放り込むだけでは前進は難しいだろう。アンロペをターゲットとすることもあるが。

 「何らかの前進手段」が確保できれば札幌ペース、前進手段が見えなければ湘南優位となりそうだ。

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