2025年6月16日月曜日

2025年6月15日(日) 明治安田J2リーグ第19節 北海道コンサドーレ札幌vsFC今治 〜スキャンの速度と精度〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

マジックナンバー・2025:

  • 現在Jリーグに在籍するクラブのうちJリーグ入会が最も新しいのが2025シーズンからの栃木シティと高知。次いで奈良・FC大阪(2023)、いわき(2022)、今治(2020)、八戸(2019)、沼津(2017)、鹿児島(2016)、山口(2015)…と、J3発足(2014)以降に入会しておりJリーグ的には若いクラブということになります。
  • これらのラインナップを見ても、地域リーグ時代から「人(経営者)」、「ビジョン」、「ハード」、「地元(行政・財界)」と一通りの資本が揃っており、その名を轟かせていたいわきと今治は後発ながらしっかり階段を登ってきていると言えるでしょう。栃木シティは0.5世代くらい遅れでそれらのクラブに近い道のりを辿りそうな雰囲気があります。
  • しかし今治は岡田武史オーナーが元々掲げていた目標は「2025年にJ1で優勝争いをするチームとなり、ACL優勝を目指す。その時にはFC今治から5人以上の日本代表選手を輩出する」というものだったらしく、当事者からするとJFLとJ3のところで思った以上に時間がかかった感覚なのでしょう。
  • もっとも町田も、2018年にクラブのオーナーとなった藤田氏が「2020年にJ1昇格を果たし、21年にJ1参戦。それ以降、24~25年にJ1優勝を争えるクラブに成長を遂げ、24年にJ1優勝、そして25年のACL制覇」と掲げており、単に2025というのが時期的に丁度良いから、という考えもあったかもしれません。なおいわきは出自が他のクラブと異なることもあってか「⚪︎年に〜〜」という言い方はしていないようです。

  • 2024シーズンの売上は13.5億円。J3では大宮(26.4億円)には及ばないものの松本(14.3億円)に肉薄し、J2でもいわき(14億円)、とほぼ同等、山口や水戸、熊本を上回る水準を確保しています。但しこれらのクラブと比較するとスポンサー収入の比率が高めなのはやや気になるところです。
  • 2025シーズンはJ2で18節消化時点で9位とまずまずの位置につけ、反面あまり目立つと夏のマーケットで選手を売る羽目になるのでは?と思っていましたが、2024シーズン時点でこれだけの予算があるなら、案外主力選手はとりあえずこの1年はキープできるくらいの契約になっているのかもしれません。


スターティングメンバー:



  • クラブワールドカップの開催及びJリーグから浦和が参加することで特例的に移籍ウインドウがオープンになりましたが(6/1-10)、和製ロマーノことカズ垣内記者のコメントの通り「予想以上に動く」移籍期間でした。
  • 今治は川崎からパトリッキヴェロンを期限付き移籍で獲得。川崎では出場機会に恵まれませんでしたが、天皇杯で勝ち上がったため6/7に延期された第17節で早速先発しており90分近くプレーしています。
  • スタメンはダニーロが累積警告4枚で出場停止でCB中央に福森。アンカーはここ数節は山田とヴィニシウスディニスの併用が続いています。GKは前節で37歳にしてJ2デビューを飾った植田。

  • コンサは待望の左利きCBの宮、シャペコエンセのエースFW(らしい)マリオ セルジオ、DFラインを一通りこなせる(らしい)浦上を獲得と、馬場(→柏)、キムゴンヒ(契約満了)の放出があったにせよJ2全体で見てもかなり積極的に動いたクラブだったと思います。
  • その宮は6/4から練習に合流しており期待通り左のCBでスタメンに。浦上とマリオは6/11に合流しましたが、浦上はいきなりスタメンで使ってきました。負傷者もかなり戻ってきたようで、パクミンギュは第10節(4/20vs藤枝)以来の出場。

2025年6月1日日曜日

2025年5月31日(土) 明治安田J2リーグ第18節 ベガルタ仙台vs北海道コンサドーレ札幌 〜足し算の末に何が残る?〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

競争環境は成長を誘発する?:


  • 一方で予算的には、ここ3シーズンJ2の仙台は年間25億円規模をキープと、いちおうJ1にいて紆余曲折あって50億円規模にまで膨らんだコンサの半分程度。直近では山形が26億円規模にまで成長しており、また新スタジアムによるブースト効果も控えているので今後5年くらいで特に注目の存在かもしれません。

スターティングメンバー:



  • 編成から混乱しまくっている(というか30年経っても人件費の使い方がわからない)コンサのことを考えると、システム1-4-4-2であればある程度どんな選手を集めるかコンセンサスがありそうな仙台の方がこの点では整理されているのかもしれません。このシーズンの出場状況を見ても、右ワイドとCBには割と各ポジション2人ずつというか競争関係が作られていそうに見えます。
  • この日はCBで全試合出場の井上が出場停止で代役に左利きDFのマテウス モラエス。DFは左の2人が右利き(菅田と石尾)であることも多かったですが、左SBには奥山でこちらも右利きの選手を起用しています。前線はエロンがベンチスタートで荒木と宮崎。

  • コンサは悪夢の鳥栖戦から出場停止のジョルディ→中島、田中克幸→木戸、スパチョーク(負傷で代表招集を辞退とリリース)→原と前線の3人を入れ替え。中盤は大﨑が12節(vs長崎)以来となる中盤センターでもスタメン復帰で、CBに西野、高嶺を左SBに回していますが、おそらく宮澤の復帰が大﨑のスタメン起用を後押ししたのだと思われます。