2025年4月6日日曜日

2025年4月5日(土) 明治安田J2リーグ第8節 北海道コンサドーレ札幌vs徳島ヴォルティス 〜常勝のお面を被り直すとき〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

クライシスを経て過渡期へ:

  • 2024シーズンのJリーグで危機?混乱?に見舞われたチームといえば、J1では前半戦にコンサ、後半戦は鳥栖が盛り上げていましたが、J2では開幕10試合で1勝2分7敗、7節で吉田達磨監督が辞任した徳島が似たようなポジションでした。徳島は選手の突然の引退や移籍もあり、コンサと鳥栖のミックスのような状態だったかもしれません。
  • 徳島は監督と共に強化本部長の岡田明彦氏が退任し、後任は黒部光昭クラブアドバイザーが務め、監督人事は増田功作ヘッドコーチの昇格という展開になりましたが、増田監督は就任後31試合で15勝6分10敗で勝ち点51を稼ぎ、1試合平均だと勝ち点1.65を稼いでいます。
  • このシーズン5位、6位の岡山や仙台がだいたい1試合あたり1.7ですので、監督交代後の混乱期に清水、ジェフ、長崎とこのシーズン上位でフィニッシュしたチーム相手に1分2敗だったことも考慮すると、徳島のこの意思決定がどのように行われたのかは気になりますが、かなり”当たり”を引いた印象です。
  • コンサも徳島から1年遅れで三上GMが退任しサポーターに就任。こちらの後任は空席となるようですが、コンサはミシャ監督を引っ張ってオフに岩政新監督を招聘。なんとなくですがこの辺にクラブのカルチャーや価値観が現れる感じがします。岡田本部長が去っても徳島はフットボール的に立ち返るところがあるのなら大成功でしょうし、コンサはまだそれがなく、監督人事もピッチ上のこと以上にネームバリュー(三上サポーターの表現では「コミュニケーション能力」)の方がまだ大事なのでしょう。
  • 片方は監督が元日本代表選手選手で強化担当が選手としては無名、もう片方は逆に監督が選手としてはそこまで目立たない人で強化担当が地元出身の元日本代表選手。このあたりも対照的ですが、黒部強化本部長の手腕が見えてくるのはまだこれからでしょうか。

  • 2023シーズンの徳島の売上は約20億円。J2降格1年目の2022シーズンから2億円程度減少していますが、主力選手のOUTが複数あったのでその違約金による変動の影響はあるのかもしれません(ただし「その他収入」は両年とも2億円台でものすごく変動しているわけではないですが)。
  • 予算規模的には今のJ2で2.5番手〜3番手グループになるかと思いますが、2025シーズンはここまで7試合で3勝3分1敗で6位のスタート。長崎には敗れたものの、仙台、山形、そしてRBの名を冠して好調の大宮相手に計2勝1分で乗り切っており、十分にプレーオフ圏内を狙えそうな状況にあります。
  • オフの動きはoutが7ゴールのブラウンノア賢信とCBの森がJ1のクラブへ移籍したのと、柿谷の引退が目立ったところで、inが左WB/SBの高木友也、CBの山田奈央と山越、前線にはジョアンヴィクトルとルーカスバルセロスといった外国籍選手で補っています。ただスタメンを見ると、杉森、杉本、渡、児玉といった馴染みのメンバーが引き続き主力を張っているようです。

スターティングメンバー:


  • 徳島はどちらかのサイドの選手の高さを変えることで、試合中に3バックの1-3-4-2-1と4バックの1-4-4-2を使い分けます。通常はボール保持時に1-3-4-2-1または1-3-2-5で、4バックで守るチーム相手にギャップのできる形からスタート。ボール非保持の際は1-4-4-2ベースでスタートすることが多い傾向にあります。この日のメンバーは前節から右シャドー/右サイドハーフの役割に重廣→杉森。
  • コンサは木戸を中央に入れて、高嶺を左SBに起用する前節の後半を意識した配置ですが、あまり機能していたようにも見えない形を継続してきました。左CBは中村桐耶→西野。

2.試合展開

序盤の出来事:

  • 試合の序盤はお互いにGKを中心に、ピッチ上の多くの選手の頭を越えて前線に届く長いボールを相手ゴール方向に蹴る展開が続いたのであまり細かく描写することがありません。
  • 5分くらいに、インプレー中に徳島の増田監督がテクニカルエリアに最も近い選手(DF青木)を呼んで何か会話をしましたが、増田監督は「予想以上にコンサのロングボールが多かった」とする旨の振り返りをしており、もしかすると「ボールが落ち着かないので、徳島が放り込む際などのシチュエーションでは、最初から4バックの1-4-4-2にした方がトランジション後の展開を考えると安定する」みたいなやり取りだったのかもしれません。

  • 7分にこの試合初めて、「後ろの選手が長いボールを頭上に蹴る」以外のシチュエーションが生じます。
  • 徳島がゴールキックを山田→青木→高木と渡して青木が内側を上がってリターンを受けてコンサの1stディフェンスを突破しようとしたところで引っかかってトランジション。コンサの白井がターンしたところで児玉がファウルで止めてゴール正面でFK、という展開でした。
  • この時の互いの形(この試合で長いボールを蹴る以外の展開になったという点で貴重なサンプルである)を見ると、特に予想と異なることは両チームともしていませんでした。徳島は3バックを左にずらした形からスタートして、コンサは相変わらずマンツーマン気味というかボールサイドの選手だけで相手に対応する形。私が以前から指摘していますが、ボールと反対サイドの選手が絞ってボール周辺に圧縮するような対応は特に見せていません。
  • 徳島のこの試みが失敗に終わると、次のプレー以降は再びゴールキックを前線に蹴る挙動に戻ります。

  • 11分には徳島が跳ね返した後のボールを拾った杉森が、小回りがきく選手としての特徴を見せ自陣でターン成功、加速してコンサ陣内へ…というところで木戸が倒してイエローカード。リスタートを徳島は↑と同様に青木→高木のところに渡しますが、高木に近藤と髙尾の2人でうまくアプローチできたコンサが引っ掛けてショートカウンターの形へ(近藤の右クロスはCKに)。

  • コンサは13分のリスタートで初めてこの試合、マイボールの際に頭上を超えるパスを選択しなかったのですが、家泉→左の青木か高嶺へのパスはずれて杉森がインターセプトしてショートカウンター(最後は杉森のシュートをコンサDFがブロックしてCK。CKのクリアが小さくなったところを高木がダイレクトでボックス外から強烈なシュートもコンサのGP小次郎が横っ飛びでストップ)。
  • これもコンサ側の数少ない”サンプル”ですが、ポジショニング等を見る限りでは少なくとも自陣から敵陣にボールを運ぶ上で、例えば左SBに入った高嶺を使って何か意図的なことをするようには見受けられませんでした。馬場がアンカーで木戸がインサイドハーフになるようなポジショニングは、いつもの馬場がインサイドハーフになる役割から変えてきましたが、特徴を考えると妥当というか特筆するものでもないでしょう。

プランや意図を考察:

  • 序盤のコンサのプランとしてはとにかく「前に蹴る」のだったと思います。
  • 2シーズン前の5月連休にドームで鹿島と対戦した際、開幕から不調が続いていた岩政監督の鹿島はボールを捨てるプランに切り替えてきて、中村桐耶のプレゼントパスから鈴木優磨のゴールで鹿島が勝利、というゲームがありましたが、結果が出ない時の岩政監督のソリューションとしては同じことをやったな、という印象です。
  • ロングボールを使うことについては、頻度としてはこの試合、両チームとも特に変わらないように見えます。一方でコンサにはバカヨコというこのカテゴリでは割とわかりやすいターゲットがいるので、コンサは例えば「ボールを拾った選手が前の状況をあまり察知してなさそうな状態で蹴るクリアボール」みたいなプレーにも徳島よりも寛容だったように思えます。
  • どちらかというと徳島の方は、渡はサイズはそこまでないものの全般にフィジカルに優れパワフルなプレーを随所に見せているものの、それでもコンサに比べると、徳島はなんでもかんでも渡に、というよりはシチュエーションやプレーの使い方を考えている印象でした。
  • 徳島の方が基本的にはある程度、整った状態…陣形をコンパクトにした状態を作ってから前に蹴る、かつ前後がある程度圧縮できているので、長いボールを力いっぱい蹴るというよりはコンサのDFのヘディングでの飛距離が出ないように工夫もしていたと思います。
  • お互いにロングボールを蹴る意図としては、自陣でボールを失ってカウンターを受けるリスクを減らす(一般にこれを指して”ボールを捨てる”と言う)他に、互いのDFやMFの選手を後ろに下げて間延びさせる意図があったかと思います。これについてもプレー選択の頻度だったり、前に蹴る以外の選択肢の残し方だったりを考えると、コンサの方がボールを捨てている感じはしましたがそこは主観的なところも多くなんとも言えません。
  • 重要なのは現象として、互いにCBの選手を中心に頑張って跳ね返していましたが、これだけ放り込む展開が続くと互いに少しずつ中央や後方の選手のポジショニングが下がって間延びしていきます。開始1分くらいの最初のプレーで、徳島のFK(コーナーフラッグ付近から)をコンサがクリアした後のDFラインの押し上げは近年のコンサらしからぬクイックさがあり、その後DAZN中継の解説者(大森健作・クラーク記念国際高等学校及び専修学校クラーク高等学院札幌大通校男子サッカー部コーチ)も指摘していましたが、少しずつその押し上げの意識も薄れていくことになります。

  • また、おそらくコンサは近藤を前に出したいという理由で、岡田を試したりもしながらCB不足にも関わらず4バック採用なのでしょうけど、コンサがロングフィードをバカヨコに蹴る展開だと確かに近藤は前にいる状態からスタートはする。しかしそこでコンサボールにならず、徳島がクリアしたりクリアボールをコンサDFがクリーンに処理できないと近藤も自陣に下がっての対応を強いられます。
  • どちらかというと、徳島がボールを持っている時に、徳島がロングフィードを選択しない場合、↑で見たようにコンサは高い位置からマンツーマン基調のプレッシングを仕掛けますが、この時に近藤が高い位置からスタートして、かつどこかで徳島のボール保持を引っ掛けることができればコンサの意図する?近藤が高い位置でなんらかの攻撃に関与する形になります。

思惑通り?徐々にスペースが:

  • 20分前後から互いに間延びしたことでスペースを探す意識が強くなり、ボール保持の時間がやや増えた印象ですが、21分に徳島がDFにバックパスしてピッチ縦幅を使ってやり直そうとした際に、バカヨコがDF山田のコントロールが大きくなったところを引っ掛けてボール奪取。これを近藤が拾って最後は白井が正面からミドルシュート(僅かに枠外)。前半のコンサが作ったチャンスの典型的なプレーでした。
  • 対する徳島は22分に、GK田中の中央を割るフィード。馬場が触りますが滑ってコントロールできず鹿沼が拾って速攻へ。最後はボックス外から杉森が左足で巻いたミドルシュートを放ちますがコンサはポストに救われます。徳島はこのように、この試合コンサよりも先に相手の列を超えるプレーを繰り出すやり方を見つけることができていました。

  • 一方でスペースができてきた中で、徳島が思ったよりもコンサのボールホルダーに対して組織というより個人単位で突っ込んでくる様子も目立ちました。
  • 31分にはコンサゴール付近でボールを持つ家泉や西野、GP小次郎を渡が1人で2〜3度追いかけて、最終的には家泉が持ち出そうとしたところでアフター気味にファウル。警告対象でもおかしくないプレーでした。29分には浮き球を処理しようとした髙尾にアフターで高木がヘッドバッドのような激しい衝突でさすがに警告が提示されます。あくまで印象ですが、徳島も間延びし始めたゲームのコントロールが難しくなっていたように思えます。

  • ただ全体としては、依然として中央で放り込み→中央の選手が拾って…という展開が続く中で、2シャドーと中盤センター2人を配置するシステムの徳島の方が、中央に中盤センター2人だけのコンサよりもボールを拾ってそのまま前に出ていくことが容易だったかもしれません。
  • 特に徳島の杉本にボールが入った際に、反転からの展開で徳島にスイッチが入る感じになりますが、例えばコンサの木戸も特徴的に、もう1列前での起用なら杉本のような働きができたかもしれません。しかしコンサのシステムだと中央に木戸と馬場しかいないので、木戸はその杉本や杉森のケアもしなくてはならず、4人で中央を見る徳島の方が負荷が小さく4選手での分業が機能していたように思えます。

  • 40分にはコンサの右サイドのスローインから、(DAZNのカメラワークのせいで詳細確認できませんでしたが)この試合、左に張り続けて我慢していた青木に初めて仕事ができる状況でボールが渡ります。左クロスに白井が入り、こぼれ球をバカヨコが至近距離で狙いますがブロックに入るDFを避けようとしたキックはクロスバーを直撃。やはりこのチャンスも速攻かつ徳島が戻りきれていない、崩れた状態でのリスタートからでした。

スペースを使うための選手投入と相手のスペースを消す方法:

  • HTにコンサは木戸→怪我から復帰の田中克幸。岩政監督のコメントを見ても、前半は前に蹴って間延びさせてオープンになってから、野々村社長風に言うと「クオリティのある」克幸を投入というのは一貫性がありますし、そういうプランだろうなという私の見解と一致もしました。現状だと克幸がスタートからではそうした役割が難しく、木戸がよりハードワークできる選手ということで2人で分業した形になります。もっというと西野や高嶺のDF起用の理由も多くはこれで説明できるでしょう。

  • 一方徳島は自陣ではエウシーニョを最初から下げた1-5-2-3に近い形を作って最終ラインの枚数を増やす形を見せます。
  • もしかすると普段から用意していて、この試合後半になるまでそうしたシチュエーションにならなかったので見せなかっただけかもしれませんが、ただおそらくはコンサが予想以上に放り込みやハイプレスからの速攻中心でサイドに蓋をしておきたいこと、またバカヨコに徳島DF2人で対応すると枚数不足からスペースを作ってしまうことなどから、エウシーニョのポジショニングを修正したのではないかと思います。

  • 59分に互いに選手交代。徳島は渡・杉森→ルーカスバルセロス・高田。コンサは2トップをバカヨコ・白井→ゴニ・スパチョーク。両チームともスペースを作る選手からスペースを使う選手の投入ということで考え方や試合展開の読みは共通している印象でした。

  • バルセロスがルーズボールの競り合いで腹いせに西野に蹴りを入れたのが61分。この試合、徳島はスペースが開いた中で無理にコンサの選手に寄せるというかアフター気味のプレーが何度かあったのは↑に書いたとおりですが、バルセロス個人としては投入直後でコンサの選手とは何ら因縁もない状況でしたので、投入後いきなりこのプレーというのは選手としてかなりダメな部類に入ると思います。ただJ2なのでVARがなく主審のブラインドであれば退場処分にはなりにくいとかまで計算していたなら策士かもしれません。もっとも第四審判は間近で見ていたはずですが…

  • 70分に徳島は高木→坪井。

  • ボールを持っていない時の徳島は↓のようなイメージで、

  • やはりエウシーニョのところで数的不利にならないようにしてマークをはっきりさせるのと、中央を3センターにしてここも数的不利にならない、またスペースも埋めることができる形とする選択だったかと思います。
  • 徳島は依然として、引いてスペースを埋めるというかは、コンサの選手(特にDF)がボールを大切にしてパスで繋ごうとすると必ず高い位置からマンツーマン気味に捕まえに出ていくのは継続しており、この原則の徹底と戦術変更もあって、コンサとしては常にスカスカになっていて克幸がいくらでもどこでも前を向ける、みたいな展開にまではなりませんでした。

  • そしてボールを持った時には、高田がウイング気味にワイドからスタートする形に。高田に渡してバルセロスが中央からややボールサイド、ニアサイドで動いて、西野の視界の外から坪井が入ってくるを意識していて、足が止まる時間帯、コンサの前線にスパチョークのようなあまり前線で圧力がかからない選手が入ったことで、最初から高い位置に張らせた選手を使うという形を出しやすい状況だと考えての変更かと思います。



我慢の勝利?:

  • 79分にコンサは青木→長谷川。そのまま左に入ります。
  • 85分に近藤を倒した徳島のDF青木がレッドカードで退場。
  • リアルタイムで見るとDOGSOとしては微妙かなと思いましたが、何度か巻き戻して見ると近藤のスピードと、カバーに入るDF山田のポジショニングや雲行きなどを照らし合わせると、山田にはカバー不可能で確かにGKと1v1になりそうな状況だったかもしれません。
  • 徳島としては右サイドは割とエウシーニョのところを役割を明確にして蓋をしたけど、近藤には高田が戻るか、青木がこのようにスライドするか両方併用する形だったこと、選手の消耗具合(近藤も疲れている感じで前残りしていましたが、まだ動ける状況で、青木はかなり疲れていたように見えました)などを考慮すると、ここも何らか手当が必要だったかなと思います。

  • 徳島は一旦は高田をSBに下げて1-4-3-2とし、その後91分にエウシーニョ→カイケ、杉本→田向で1-4-4-1に。
  • 現代サッカーではこの状況だと大半のチームが1トップにして残りを5-3か4-4でブロックを作る形になります。コンサはワイドでの「ポケットを取る攻撃」か放りこみくらいしかゴール前の選択肢がないので、徳島が(よりポケットを守りやすい)5-3にする方が個人的には嫌でしたが、徳島もコンサの特徴を承知の上でそうしなかったのは監督やチームのスタイルの表れでもあると思います。
  • 徳島の交代の前に、1人多くなった直後にコンサは西野→パクミンギュ。西野が足を痛めたとのことでしたが、また↑に書いたように1人退場者が出た後のセオリーは見えているにせよ、後ろで必ず1人フリーになるということでパクミンギュの交代カードを迅速に切ったのは好判断でした。

  • バルセロスの乱もあり長めのAT8分。ゴール前を徳島がタイトに守ると近藤よりも長谷川や青木のようなタイプの方が頼りになるとして、徳島はフレッシュな田向が長谷川を徹底マーク。90+3分に田向をサポートした坪井が長谷川を倒してFK。
  • そのリバウンドからの流れで徳島は選手の配置がシャッフルされていて、再びの長谷川に対処したのは本来反対サイドの高田とカイケ。私だったら長谷川は7:3くらいで右足だと想定して対応しますが、高田の軽めの対応はホーム未勝利のコンサには助かった形になったでしょうか。

雑感

  • ピッチ上での現象としては、ボールを蹴り合う展開が序盤から続いてちょっと物足りないところはありました。
  • ただ、我々が「戦術」と呼ぶものについて、コンセプト、原則、判断基準、ルール、選手の配置と組織の構造、個人の裁量に基づく振る舞い…みたいなもので構成されるとするなら、ボールを蹴るという最終的なアウトプットの前もしくは背景に様々な要素が包含されているのを感じられるという点では、凡戦ではなく両監督の手腕や仕事を感じられる悪くないゲームだったかもしれません。

  • 鹿島での23年、岩政監督は開幕4節未勝利で5戦目からやり方を変えて持ち直した、という話がありました。
  • ここまでプレッシングも機能しない、ボールを持って前に運ぶのもできない、撤退しても守れない、相手のカウンターにも対処できてない…とポケットを取ること以外はさっぱりなコンサということで、まずはボールを持って前に運ぶ部分を変えるというか、簡単に言えばボールを捨ててその次の展開にフォーカスした、そのためにDFに西野や高嶺を起用、ということになります。
  • 試合を見た感じでは、プレッシングをしたりといったところでは構造を変えた感じはあまりしませんが、一般にやり方と呼ばれる部分を変えたと見るべきでしょう。
  • とりあえずは鹿島の頃と同様、まずやり方を変える、要求水準を落とすことで短期的な成果を得ることには成功しましたが、結局鹿島ではそのシーズン限りで退任の憂き目に遭っています。
  • もちろん今は監督として働いているチームが違うので話は変わってきますが、結果だけでなくプロセスを見られる部分はあるはずなので、今後そこをどう改善していくかは引き続き見ていく必要があるかと思いますし、そもそも相手が退場者を出すまではいうほどゲームプランが機能した感じはしない(間延びさせようとはしていたが、後半にその間延びした状況で活きる選手を投入してもチャンスを作ったようには感じない)ので、とりあえずは勝ててよかったねが今の到達点でしょうか。いや、もっとも、新社長が生粋の熱烈サポーターということで我々が思っている以上にプロセスよりも目先の結果を求めている可能性もありますが…それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿