2023年4月10日月曜日

2023年4月9日(日)明治安田生命J1リーグ第7節 セレッソ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 〜新システム開発の必要性〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • セレッソはリーグ戦4節から中盤を鈴木徳真、香川、奥埜の逆三角形で構成する1-4-3-3にしており、松田陸の欠場中に右SBだった毎熊が右ウイングに上がって、クルークスはスタメンから外れているようです。またミッドウィークのカップ戦で京都相手に大敗したからか、サブの選手も入れ替わっています。
  • 1-4-3-3の採用自体は、トップがレオ セアラは軸だと考えられるものの、ユニットを組む選手にはそこまで絶対的な選手がいない。一方で清武と香川がいますが、どっちが出るにしても2トップというよりは中盤になんらか組み込むシステムを開発する必要性は理解できます。

  • 札幌は小柏が負傷のようで、またカップ戦に出ていた西もメンバー外。これはオウンゴールとは全く関係がないと思いますけども。
  • そのカップ戦ではミシャは中島のプレーをゴール以外も評価しているようで(これは私も同じ見解です)、中村は特に言及がなかったですが、馬場か中村(前者なら中盤に入って福森を最終ラインに)で後者を選んだのは、中村もそれなりに評価されていたのかと思います。パフォーマンスは悪くなかったですが、私はやや無謀な仕掛けが多かったのが気になりました。あとは、もう福森は相手のウイングとマッチアップさせたくない、ということもあるでしょうか。

2.試合展開

浅野の万能性:

  • 序盤からややオープンな展開でした。まずセレッソは結構ロングボールが多め。これはGKがフィード得意ですし、前線に長身FWがいて(レオセアラは特に上半身が強そうで、岡村と手押しで全然負けてませんでした)、試合序盤でリスクを回避したい、そして札幌がマンマークで捕まえてくる、と条件が揃っているので、余っているGKに渡して、キムジンヒョンが蹴るところからスタートするのは容易に予想がつく展開でした。
  • セレッソの特徴的なところは、システム1-4-3-3と表記するのですが、両ワイドの選手は割と最初から中央付近にいて、ですのでボール保持時は寧ろ1-4-3-2-1みたいな感じでしょうか。為田とカピシャーバはウインガーというよりシャドーのような動きをします。
  • なので、香川も含めて中央に人が集まりがちなセレッソに対し、序盤のコンサはマークがやや不安定。自陣ゴール前でも遅れて人を捕まえるような光景が目立ちます。


  • しかし7分に、左サイドでの長いスローインを浅野がDF背後で受けて、ゴールライン付近で鳥海をドリブルでかわしてマイナスの折り返しを金子が合わせて札幌が先制します。まず浅野のドリブルとアシストが見事で、また私の浅野への評価が上がるのですが、鳥海の対応は利き足を切り切れてなくてやや軽かった印象でした。

  • 14分にセレッソが追いつきます。記録では14分ですがVAR判定があったので、先制点からあまり時間はなかったと思います。先述の通りコンサはマークが混乱気味で、ペナルティエリアすぐ外でゴールに背を向けたレオセアラにボールが入った時に(本来岡村が担当だと思いますが)フリー。このポストプレーから、リターンをレオセアラがボックス内で受けて、中村が遅れてスライディングで勝負しますがレオが冷静に切り返してPKをゲット、でした。
  • 直後の15分に札幌が勝ち越し。浅野が中央で鈴木徳真から引っ掛けてボールを回収し、青木が運んで右の金子が早いタイミングでクロス。セレッソDFは一応戻ってはいましたが、ヨニッチが目を切った瞬間にゴニがうまくdesmarqueしてGKとDFの間へ。最後シュートはヒットしてなくて金子の得点になりましたが、ゴニが飛び出したことでGKの判断を難しくさせたのは小さくない貢献でした。


  • このあと24分くらいに、中村が福森のようなロングパスを浅野に通して、GKをかわしてネットを揺らしますがオフサイドの判定でした。
  • ただ、このプレーもそうなんですが、全般に札幌の方がうまく長いパスを使っている印象でした。まずセレッソは1-4-5-1っぽい陣形でセットするところから始まりますが、レオセアラ1枚で対応できないところは、中央だったら香川や奥埜が出てきてプレッシャーをかけていく方針だったと思います。
  • ただ奥埜が割と、自分が出過ぎると中盤が空いてしまうことを気にしている印象で、対面の福森は結構余裕を持ってボールを受けれていたと思います。やはり福森がフリーでかつ受け手(基本的には右ウイング)もあまりケアされないと、札幌は一気に嫌なチームになります。
  • そしてセレッソはどこから守備を開始するのかがはっきりしなくて、見た感じ1列目(というか主にレオセアラ)はあまり後ろでブロックを作る雰囲気はないのですが、本来は後ろで8枚でブロックを作って守るのが得意だったはずです。ヨニッチと鳥海のユニットも、ものすごく守備範囲が広いというよりは、周囲を他の選手に任せた上で中央での迎撃に専念している状態が望ましいはずです。
  • それが、札幌のロングフィードを蹴られてそれをうまく跳ね返せないと間延びしがちになりますし、DFが守る範囲も広くなって、全体的に広いサッカーをしている印象でした。それは私の知っているセレッソとは別で、そういうプレーに取り組んでいるのかはわからないですが、結果的にはコントロールが難しくなっていたと思います。


こういう日は決まる?:

  • 後半からセレッソは前半終了間際に痛んだ為田→中原でカピシャーバが左へ。このスカッドはクルークスも含めて左利きが3人で、やや多いでしょうか。
  • その中原が入ってからも割と展開は同じで、セレッソは両ワイドの選手が中央に寄ってプレーします。札幌がやや足が止まると、札幌は前からディフェンスできなくて後ろに引いて固める局面も出始めますが、中央にスペースがある状態だと密集攻撃は有効なのですが、中央が塞がるとどうしてもサイドを変えたくなる。その時に結構セレッソはワイドに誰もいなくて手詰まり感を感じる時はありました。
  • それでも61分にレオセアラのヘッドで同点。結局これも、カピシャーバがサイドにいったん流れたことが効果的だったと思います。


  • これもなんでかはわからないけどこの日の札幌はすぐに突き放します。64分に福森のCKから田中。

  • セレッソは66分に入った加藤がフリーランでボールを呼び込み、ちょうど疲れた福森とのマッチアップだったのもあって彼から攻撃が始まることが何度かありました。札幌は交代カードが少なく、前線の選手を変えるだけでバックラインは我慢でしたが、なんとか逃げ切って勝ち点3を得ました。


雑感

  • セレッソは川崎がコンサ相手にとった戦術に近いものを意識していたのかもしれません。間延び気味のセレッソをロングボールでうまく突いたのと、浅野が全体的に非常に効いていた印象です。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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